コラム
公開 2025.03.16

単体10325_新規_品質不正とは?原因と防止策を弁護士がわかりやすく解説

品質不正が起きると、消費者は製品の正しい性能を正しく認識することができません。
その結果、購入すべき製品の選択が正しくできなくなるおそれがあります。

では、品質不正はどのような原因で起きるのでしょうか?
また、自社で品質不正が起きる事態を避けるため、企業はどのような対策を講じればよいのでしょうか?
今回は、品質不正の原因や概要、品質不正の予防策などについて、弁護士がくわしく解説します。

なお、当法律事務所「Authense法律事務所」では企業法務に特化した専門チームを設けており、品質不正を予防する体制整備などのサポートを行っています。
自社での品質不正を防止したいとお考えの際には、 Authense法律事務所までご相談ください。

記事を監修した弁護士
authense
Authense法律事務所記事監修チーム
Authense法律事務所の弁護士が監修、法律問題や事例についてわかりやすく解説しています。Authense法律事務所は、「すべての依頼者に最良のサービスを」をミッションとして、ご依頼者の期待を超える弁護士サービスを追求いたします。どうぞお気軽にご相談ください。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら

品質不正とは

品質不正は法律上の用語ではないものの、一般的には製品の品質に関する不正を指します。

たとえば、製品テストの結果、実際には一定の性能(燃費性能や省エネ性能など)を満たしていないことが判明したにもかかわらず、あたかもその性能を備えているかのようにカタログなどに表示することがこれに該当します。

また、法令で一定の基準が定められている場合において、実際にはその基準を満たしていないにもかかわらず、基準を満たしていると偽って届出をしたり消費者に販売したりすることも品質不正の一つです。

品質不正の事例

品質不正には、さまざまな事例が存在します。
ここでは、近年明るみとなった品質不正のなかから、代表的な事例を3つ紹介します。

パナソニックインダストリーの品質不正

電子部品事業を手がけるパナソニックインダストリー株式会社(パンナソニックホールディングス株式会社の子会社)が、自動車や家電製品などに使用される部品の材料の「燃えにくさ」などのデータをアメリカの認証機関に登録する際に、数値を改ざんするなどした事例です。
確認された不正行為は1980年代から2024年までの期間で93件にのぼり、経営トップが役員報酬の一部を自主的に返納するに至っています。※1

自動車メーカーで相次いだ品質不正

2024年、自動車メーカー各社で相次いだ品質不正事件です。

2024年6月3日、トヨタ自動車株式会社、本田技研工業株式会社、マツダ株式会社を含む複数の自動車メーカーが、国土交通省への型式指定申請で不正があったことを表明しました。
これ以前にも、ダイハツ工業株式会社や、株式会社豊田自動織機でも品質不正が発覚している中での表明です。

品質不正の項目も複数に渡り、たとえばトヨタ自動車株式会社ではエンジン出力試験や前面衝突時の乗員保護試験、後面衝突試験などの6項目で不正があったとしています。
トヨタ自動車は認証試験よりも厳しい基準で開発をしているため直ちに案税制に問題が生じたわけではないものの、一連の品質不正は自動車業界全体のへの信頼を揺るがすこととなりました。※2

川崎重工業子会社の品質不正

川崎重工業株式会社の子会社である川重冷熱工業株式会社が製造販売したビル用の空調システム用の冷凍機に、204件に上る検査不正があった事件です。

この事件では、不正な性能データをもとに公的機関の認証も取得していました。
この事件を受け、認定の取消や評価書の効力停止などの処分を受けています。

品質不正が起こる主な原因

ここまでで紹介したのは大企業の例ばかりである一方で、品質不正は性能検査などを行うどの企業でも起こり得る問題です。
なかにはパナソニックインダストリーの事例のように、問題が明るみに出ないまま数十年にもわたり不正が繰り返されている場合もあるでしょう。

では、品質不正はどのような原因から起こるのでしょうか?
ここでは、品質不正が起きる主な原因を4つ解説します。

厳しい納期

1つ目は、厳しい納期です。
品質不正は、厳しい納期によって引き起こされる場合があります。

製造した製品が想定した性能を満たしていないものの、その時点から原因を究明したりカタログの数値を修正したりする時間的猶予がとれず、結果的に検査結果などを改善する場合などがこれに該当します。

品質不正に関する意識の低さ

2つ目は、品質不正に対する意識の低さです。

企業はさまざまな場面で重要な判断が必要となり、「品質不正をして予定時期の販売に間に合わせるか、必要なレベルにまで品質を向上させられるまで販売を先送りとするか」など、難しい判断を迫られる場合もあります。
このような場面で品質不正に対する意識が低いと、「多少の不正は発覚しない可能性が高いから、ここで事を荒立てるより納期を優先しよう」と判断する可能性が高くなるでしょう。

なかでも、同業他社でも品質不正がまかり通っている場合や長年品質不正を行ってきた場合には、品質不正への意識が低くなりやすいといえます。

社内の風通しの悪さ

3つ目は、社内の風通しの悪さです。

予定した性能を満たしていない場合、これを是正するには関係する複数の部署が協力しなければなりません。
苦心して販売先を確保した営業部などからは、苦言を呈されることもあるでしょう。

それでも、消費者からの信頼や自社の長期的な成長を考えれば、必要な性能をクリアするよう技術的な見直しをしたり、法令上の基準をクリアしている場合は、カタログの性能を実態に合わせて引き下げたりするなどの対応をすべきです。

しかし、社内の風通しが悪ければ「あえて波風を立てず、性能をクリアしたことにする」などの不正が起きやすくなります。

長年品質不正が見逃されてきた環境

4つ目は、長年品質不正が見逃されてきた環境です。

品質不正が長年に渡って行われこれが咎められることもなかった場合には、従業員が上司などから「そういうもの」であるなどと教えられ、特に疑問を抱くことなく品質不正に手を染める場合もあるでしょう。
品質不正が企業の悪しき「文化」になってしまうと、何らかのきっかけで外部に発覚して大きな問題とならない限り、是正することが困難となります。

社内で品質不正が起きていないか不安がある場合や、品質不正の可能性があり是正を検討している場合には、 Authense法律事務所までご相談ください。
実績豊富な弁護士が、状況にあった最適な解決策を提案します。

品質不正が発覚した際に生じ得るリスク

品質不正が発覚した場合、企業にはどのようなリスクが生じるのでしょうか?
ここでは、品質不正によって企業に生じ得る主なリスクを4つ解説します。

回収などの対応が必要となる

品質不正が発覚した場合、製品などの回収や納入先・購入者への損害賠償請求が必要となる可能性があります。
これには相当のコストを要し、企業の業績に大きく影響しかねないでしょう。

罰則の適用対象となる可能性がある

品質不正により法令で定められた基準を満たしていなかったことが判明した場合には、その法令に基づく行政処分が適用される可能性があります。

たとえば、業務改善命令や業務停止命令などがこれに該当します。
また、品質不正が故意に組織ぐるみで行われていた場合には、罰金や懲役などの罰則が適用される可能性もあります。

株価が低迷する

上場会社である場合、品質不正が明るみに出ると、株価が低迷する可能性があります。

品質不正が重大なものである場合には経営陣の責任が問われ、退任を迫られる可能性も否定できません。
また、上場廃止に至ったり他社から買収されたりするおそれもあるでしょう。

ブランドイメージが低下する

品質不正が発覚した場合、ブランドイメージが低下するおそれが生じます。
その結果、顧客や取引先などが離反したり、退職者が出たりする可能性もあるでしょう。

ブランドイメージを回復させるには、原因究明を行い真摯に再発防止に努めるほかありません。

Authense法律事務所は企業法務に特化した専門チームを設けており、不祥事が発覚した際の対応についてのサポートも可能です。
自社で品質不正が発覚してお困りの際は、Authense法律事務所までご相談ください。

企業が講じるべき品質不正の予防策

ここまで解説したように、品質不正は企業に重大な影響を及ぼします。

では、自社で品質不正が起きないためには、どのような対策を講じればよいのでしょうか?
最後に、企業が講じるべき品質不正の予防策を4つ解説します。

企業として品質不正について厳しい姿勢を示す

対策の1つ目は、企業として品質不正を許さないとの厳しい姿勢を示すことです。

品質不正が個々の従業員にとって直接の利益となることは少なく、多くは企業や上司などへの忖度から品質不正が起きていることでしょう。
企業が品質不正を許さないとの厳しい姿勢を示すことで、誤った忖度から品質不正が起きる事態を避けやすくなります。

研修を実施する

2つ目は、社内で研修を実施することです。
他社の事例などを紹介し、品質不正によって生じ得るリスクを周知することで、品質不正を防ぎやすくなります。

また、長年に渡って品質不正が横行している場合、従業員が不正行為であると認識しないまま、単に前例を踏襲して品質不正をしている場合もあるでしょう。
疑問に感じたとしても、疑問を呈しづらい状況である可能性もあります。

そこで、品質不正の具体例を研修内で示すことで、従業員が「自身が行っていることが品質不正かもしれない」と気づき、是正のきっかけとしやすくなります。
研修は社内の従業員が行うほか、外部の弁護士に講師を依頼する方法もあります。

日ごろから弁護士と顧問契約を締結するなど関係性を築いておくことで、研修講師の依頼もしやすくなるでしょう。
Authense法律事務所では、ご希望に応じ品質不正に関する研修講師もお受けしています。

内部統制システムを構築する

3つ目は、内部統制システムを構築することです。
内部統制システムとは、業務を適正かつ効率的に行うことを目的として、企業の内部で構築される体制やプロセスを意味します。

たとえば、品質検査を複数人で担当したり、複数人によるチェック体制を設けたりすることで、品質不正の抑止となります。
また、定期的に検査データをチェックするなど適切な監視体制を整えることによっても品質不正が起きづらくなるほか、万が一不正が発生した際にも早期の対応がしやすくなります。

Authense法律事務所では、企業法務に特化したチームを設けており、内部統制システムの構築支援も可能です。
品質不正が起きづらい内部統制システムの構築をご検討の際は、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。

品質不正が発覚した際に厳しく対処する

4つ目は、社内で品質不正が発覚した際は、これに厳しく対処することです。

不正が発覚した際に企業がこれを隠蔽したり見過ごしたりすると、不正体質を是正する機会を逃してしまいます。
発覚した不正について企業が厳しく対処することで、不正の膿を出し切るきっかけとなり、企業体質を改善しやすくなります。

なお、品質不正は横領事件などとは異なり、従業員が個人の利益のために行っていることは稀でしょう。
そのため、不正に関与した従業員の処分については、難しい判断が必要となります。

厳しすぎる懲戒処分をすれば、これについて無効を主張され、トラブルとなる可能性も否定できません。
不正に関与した従業員の処分をご検討の際は、あらかじめ弁護士へご相談ください。

まとめ

品質不正の概要や近年起きた品質不正事件を紹介するとともに、品質不正が企業にもたらす影響や企業が品質不正を防ぐポイントなどを解説しました。

品質不正は、企業が製品などの品質を偽ることです。
品質不正は消費者の信頼に背く行為であり、明るみに出ればブランドイメージの低下は避けられません。
また、罰則や行政処分の対象となったり、損害賠償請求がなされたりする可能性もあるでしょう。

品質不正を避けるには、企業が「品質不正を許さない」との厳しい姿勢を示すとともに、内部統制システムを構築したり研修を実施したりする対策が有効でしょう。
具体的な対策や対応については、弁護士へご相談ください。

Authense法律事務所は企業法務に特化した専門チームを設けており、品質不正などの不正を防ぐ内部統制システムの構築などのサポートも可能です。
社内で品質不正が起きていて是正したいとお考えの場合や、品質不正が起きづらい企業体制を構築したいとお考えの場合などには、Authense法律事務所までまずはお気軽にご相談ください。

無料資料ダウンロード

開催したセミナーのレポートや、サービスの概要資料、
契約書の雛形など、企業法務に役立つ資料を無料でダウンロードできます。

充実の企業法務コンテンツ

Authenseの
無料メルマガ

Authense法律事務所のメールマガジンでは、実務に役立つ企業法務や労務情報、最新の法改正情報などの資料ダウンロードのご案内、
セミナー情報などをお届けしています。ご登録は無料です、ぜひご登録ください。

01.

契約書の雛形や法改正情報などの
資料ダウンロード

契約書の雛形や法改正資料など、実務にすぐにお役立ていただける資料のダウンロードURLをご案内しています。

02.

多彩な内容のセミナーに
ワンステップでお申し込み

生成AIの業務活用法から労務や企業法務の基本知識などを弁護士がわかりやすく説明するセミナーを多数開催しています

03.

THE INNOVATORS

Authenseが発刊しているビジネスマガジン「THE INNOVATORS」
各分野のトップのインタビューや最新ビジネストピックスなど、ここでしか見られないコンテンツが多数揃っています。

THE INNOVATORSAuthenseが発刊する経営者向けのビジネスマガジン

お問い合わせ

電話でのお問い合わせ

弁護士へのご相談可能な時間帯
平日:10:00~18:00(最終受付)/土日祝日:10:00~17:00(最終受付)

Pagetop