コラム

企業の法務部に資格は必要?資格なしでも仕事はできる?おすすめの資格を弁護士が解説

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法務部とは、企業内における法務関連業務を担う部署です。
では、法務部員には資格は必要なのでしょうか?

今回は、法務部員に適した資格や、法務部員として有資格者を採用する方法などについて解説します。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。大阪市立大学法学部卒業、大阪市立大学法科大学院法曹養成専攻修了(法務博士)。企業法務に注力し、スタートアップや新規事業の立ち上げにおいて法律上何が問題となりうるかの検証・法的アドバイスの提供など、企業 のサポートに精力的に取り組む。また、労働問題(使用者側)も取り扱うほか、不動産法務を軸とした相続案件などにも強い意欲を有する。
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資格がない人でも法務部員になることは可能?

法務部員になるために、必ずしも法律関係の資格が必要というわけではありません。
資格を有していない人を法務部員として配置することは可能です。

しかし、次で解説するように、法務部員は法律に関連するさまざまな業務を担います。
そのため、法律の素養がまったくない人を採用してしまうと、問題なく実務を任せられるレベルに達するまでに長い期間や教育コストを要する可能性が高いでしょう。

したがって、有資格者でなくとも、少なくとも法学部レベルの法律知識を持った人の採用をおすすめします。
また、法務部員のうち一定の人数は、法律関係の資格保有者を配置することが望ましいでしょう。

法務部が行う主な業務

企業の法務部が担う役割は、その企業によってさまざまです。
他にどのような部門があるのかといったことや、その企業の規模や業種などによって異なるためです。

しかし、次の業務などについては、法務部の役割とされていることが多いでしょう。

契約書のリーガルチェック

企業の法務部のもっとも中心的となる業務の一つが、契約書の作成やリーガルチェックです。
自社が顧客と取引する際に使用する契約書を作成して確認するほか、取引先が作成した契約書の原案を確認することもこれに含まれます。

取引先が提示した契約書原案に自社にとって見過ごせない不利益があれば、取引先と契約内容について交渉する必要があるでしょう。
契約書のリーガルチェックで見落としがあれば、トラブルの原因となる他、トラブルが発生した際に不利となってしまいかねません。

また、自社で契約書を作成する際には、消費者契約法などさまざまな法令の要請に沿った内容で作成する必要があります。
不備があれば、契約取り消しやトラブル発生の原因となるほか、罰則の対象となる可能性があるためです。

契約書のリーガルチェックには注意点が非常に多く、ミスの許されない重要な業務の一つであるといえるでしょう。

社内規程の整備

定款や個人情報保護規程、秘密保持規程など、社内規程の作成やメンテナンスも法務部が担う重要な役割の一つです。

なお、就業規則や退職金規程など、人事に関する規程については別途労務部や人事部などが担う場合もあれば、法務部が担う場合もあります。

法的手続き

企業には、さまざまな法的手続きが発生します。
たとえば、株主総会の開催や役員改選の手続き、企業が取得している許認可上必要となる手続きなどがあります。

これらの法的手続きについても、法務部が担うことが多いでしょう。
なお、総務部がある場合には、これらのうち一部の手続きを総務部が担う場合もあります。

法律相談窓口

法務部は、社内からの法律相談の窓口を担います。

社外との取引にあたっての相談のほか、経営陣などから新規の取り組みについて法的な観点からの助言を求められる場合もあるでしょう。

また、パワハラに関する相談窓口や内部通報窓口など、コンプライアンス系の相談窓口が法務部門内に設置される場合もあります。
なお、別途コンプライアンス部がある場合には、コンプライアンス部が担う場合もあります。

法務研修の実施

法務研修やコンプライアンス研修も、法務部が担う役割の一つです。
たとえば、自社に関連する業法が改正された場合において、特に重要な内容を社内に周知する研修などがこれに該当します。

他にも、機密情報漏洩の予防研修や、パワハラ防止研修などを行う場合もあります。
なお、法務部の他にコンプライアンス部がある場合には、社内研修についてはコンプライアンス部が担うケースが多いでしょう。

知的財産管理

特許権や商標権、実用新案権など知的財産の管理業務も、法務部が担うことが多いでしょう。

新たに特許などを申請する手続きの他、他社の知的財産権を侵害していないかどうかの確認や、自社の知的財産権の侵害が発覚した場合の法的対応などを行います。

トラブル対応

トラブル発生時の対応も、法務部の重要な役割の一つです。
トラブルには、残業代不払いなど社内の労使トラブルもあれば、社外とのトラブルも含まれます。

法務部主導で自社のみで解決を図る場合もありますが、訴訟などへ発展する際には、社外の弁護士との連絡窓口となる場合が多いでしょう。

法務部員におすすめの資格

法務部員におすすめの法律関連資格は、主に次のものがあります。

弁護士

弁護士は、最難関といわれる司法試験に合格した後、さらに1年間の研修(司法修習)を経てようやく獲得できる資格です。

弁護士はさまざまな法令に詳しいうえ、トラブル対応にも慣れています。
そのため、法務部員として弁護士資格を持った人を採用できれば、非常に心強いといえるでしょう。

弁理士

弁理士は、知的財産の専門家です。

特許権や実用新案権、意匠権、商標権などの知的財産権を頻繁に申請したり活用したりする企業は、法務部員に弁理士資格者を採用することも検討するとよいでしょう。

司法書士

司法書士は、登記手続きなどの専門家です。

司法書士試験では、民法や会社法など、法務部員が頻繁に参照する法律が広く出題範囲となっています。
そのため、法務部員に必要な知識を有しており、中でも役員変更などの登記手続きや株主総会の招集などの機関法務などについては非常に頼りになるでしょう。

行政書士

行政書士は、官公署へ提出する書類作成の専門家です。

行政書士試験では、民法や会社法などが幅広く出題されています。
法令について幅広い知識を持っているうえ書類作成を専門としているため、企業の法務部員として適した資格の一つであるといえるでしょう。

個人情報保護士

個人情報保護士とは、個人情報保護法など個人情報関連の知識を中心に出題される民間資格です。

今や、個人情報保護法は企業が避けては通れない法律の一つであるといえます。
個人情報保護士を法務部員として採用することで、個人情報保護についてのコンプライアンス体制の構築につながるでしょう。

ビジネス実務法務検定

ビジネス実務法務検定とは、東京商工会議所が主催している民間の検定資格です。
ビジネスに必要な法律知識を広く学ぶため、この検定に合格している人は、法律の基礎知識を持っているといえるでしょう。

法務部員に資格者を採用する主な方法

法務部員に法律関係の資格者を採用するための主な方法には、次のものが挙げられます。

求人募集を行う

法務部員として資格者を採用するためのもっとも一般的な方法は、求人募集をすることです。
一般の求人サイトなどで募集をする他、資格の専門学校などでの合同採用説明会に参加したり、資格者に特化した人材紹介サービスを利用したりすることも一つの方法でしょう。

紹介を募る

周囲の経営者や資格者などから紹介を募ることで、資格者を採用できる可能性があります。

資格勉強中の人や法学部に在学している人などに知り合いがいれば、日ごろから紹介して欲しいと発信しておくことで、よい人材との出会いにつながる可能性があるでしょう。

社内で資格取得を推進する

社内で資格取得を推進し、従業員の中から資格者を誕生させることも選択肢の一つです。
中でもビジネス実務法務検定や個人情報保護士などの民間資格は、他の国家資格に比べれば難易度が低く取り組みやすいため、まずはこれらの資格の取得を目指してもらうとよいでしょう。

外部専門家に打診をする

外部で活躍する弁護士などの専門家へ、インハウスロイヤーとなることを打診してみることも選択肢の一つです。
ただし、すでに独立して多くの案件を抱えている専門家に、企業内弁護士などとして専属してもらうことは容易ではないでしょう。

その場合には、専属にこだわらず、次で解説をするアウトソーシングの方法がおすすめです。

法務部を外注(アウトソーシング)するメリット

法務部員を自社で雇用せずアウトソーシングをすることには、さまざまなメリットがあります。
主なメリットには、次のものが挙げられます。

人材採用のコストと手間が削減できる

優秀な法務部員となり得る人材は希少であり、また多くの企業が欲しがっています。
そのため、そういった人材を採用するには相当な手間とコストを要するでしょう。

しかし、法務部を弁護士に外注すれば、自社で法務部員を新たに採用する必要がありません。
これにより、人材採用にかかるコストや手間を大きく削減することが可能となります。

自社で教育するコストが削減できる

法律は日々改正されているため、知識も常に最新情報へとアップデートし続けなければなりません。
そのため、自社で法務部員を雇用する場合には、研修へ積極的に参加させるなど、教育に相当の時間やコストを割くことが必要です。

しかし、法務部を外注すれば、自社で教育をするコストも削減できます。

小規模な企業でも導入しやすい

特に小規模な企業では、法務部の業務がそれほど頻繁に発生するわけではありません。
これに備えて常に自社で人員を雇用し続けることは、あまり現実的だとはいえないでしょう。

一方、法務部を外注した場合には、必要な業務をその都度依頼することが可能です。
そのため、自社で人材を雇用し続ける必要がなく、小規模な企業であっても法務部の機能を持つことが可能となります。

一定水準の法務機能が担保される

法務部の能力は、法務部員の能力に左右されることが少なくありません。
そのため、企業としては、できるだけ優秀な法務部員を採用したいことでしょう。

しかし、その人が優秀な法務部員となるかどうかを採用前に正確に見極めることは困難です。
ある資格を持っているからといって、必ずしも自社の法務部が必要とする人材であるとは限らないためです。

また、法務部が担う業務は特殊であり、平時には結果が見えにくいものです。
それゆえ、法務部員として採用した人が果たすべき役割を果たしているのかどうか、経営陣や採用担当者が判断することは容易ではありません。
たとえば、契約書のチェックが甘かったことに気づくのは、実際にトラブルが起きてしまってからという事態にもなりかねないでしょう。

一方、法務部をアウトソーシングした場合には、一定の能力が担保されているため、安心して業務を任せることが可能です。

まとめ

法務部は、契約書のチェックやトラブルへの対応など、企業法務に関するあらゆる業務を担当します。
一つ間違えれば大きな問題へと発展する危険性があり、非常に高い専門性が必要です。

そのため、法務部員には、可能な限り法律関係の資格保有者を採用することが望ましいでしょう。

しかし、優秀な法務部員を自社で採用することは容易ではありません。
法律関係の資格保有者は独立開業をしていることも多く、また優秀な法務部員となり得る人材は多くの企業が採用したがっているためです。
また、法務部門の業務が均一的に発生しない場合には、コストの面から見ても自社で法務部を維持し続けることは効率的ではないでしょう。

そこで検討したいのが、法務部門のアウトソーシングです。
Authense法律事務所では、法務機能アウトソーシングサービスを展開しており、法務責任者の右腕として高い専門性を発揮します。
法務部のアウトソーシングを検討されている場合には、ぜひAuthense法律事務所までお問い合わせください。

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