離婚する方法の中でも、シンプルな方法が協議離婚です。しかし、だからこそ、「相手と話し合う」という説明しかなされていないため、当事者としては困るわけです。実際に、相手と離婚について話し合う際に、本当にこのような話し方でいいのか、どのような流れで協議するべきなのかと、迷うことも大いに考えられます。そこで、今回は、協議離婚の進め方について、具体的な事例を紹介しながら解説していきます。特に注意すべきポイントも合わせて解説します。
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協議離婚とは、当事者で話し合って離婚を決めること
協議離婚とは、当事者双方が離婚に合意することで、離婚を成立させる方法です。まずは、協議離婚について説明します。
・協議離婚に理由はいらない
結婚する際に、理由はいりません。ひと昔前には、ビビット婚などの言葉が流行りましたが、その通り、相手の何かにビビッときて、結婚を決めても問題はありません。そして、これは、離婚においても同じことがいえます。協議離婚の場合であれば、特別な理由がなくても当事者の合意があれば離婚することが可能です。
・協議離婚では、相手を納得させる事実が必要
協議離婚において、離婚に至る理由が不要なのは、相手も離婚に同意をしているからです。逆に、離婚を申し出たところ、相手に「別れたくない」と反対の意思表示がなされれば、交渉するしかありません。離婚したいと考えた理由、その事実を相手に話して納得させ、離婚することに同意してもらう必要があります。
ここで必要なのは、離婚の事実を証明する揺るがぬ証拠です。あれ?裁判ではないのに?と思われた方もいるでしょう。しかし、客観的な事実を示して相手に理解をしてもらうところは、裁判と同じです。ただ対象者が裁判官か当事者かの違いがあるだけです。
例えば不貞による離婚の場合、相手がシラを切り通して、離婚しないという状況が想定されます。このようなケースでは、論より証拠です。動かぬ証拠を突きつけて、相手に結婚生活の継続を断念してもらう必要があります。そのため、相手に離婚を申し出るには、その前から準備をして、ある程度の決め手となる証拠を確保することをお勧めします。客観的な証拠であり、相手からの反論も封じ込める程度のものです。このようにして、相手の退路をふさいで離婚についての交渉を行います。相手が離婚することに合意すれば、あとは手続きに移行していきます。
協議離婚の中で忘れがちなのが、離婚条件についての合意
ただ、離婚することに合意しても、それだけで離婚手続きが完了するわけではありません。これまで夫婦として共に歩んできた人生を二つに分けるわけです。つまり、生活に関する事柄を一つずつ決めていく必要があります。これを「離婚条件の合意」といいます。
ここでは、事例を挙げて説明します。
・1日でも早く離婚したいAさんの場合
Aさんは30歳で結婚して15年が経った現在、夫の不倫を知って離婚を決意しています。子どもはおらず、Aさん自身もキャリアウーマンとして働いています。離婚をしても生活には困らず、すぐにでも新しい家を探して生活を再スタートさせたいと考えています。夫も不倫相手との再婚を望んでおり、離婚自体には積極的に話し合いに応じていましたが、慰謝料のことになると、金額を少しでも下げようとして、譲りません。
Aさんとしては、夫の不倫を知ってから一緒に生活することに我慢ならず、1日でも早く離婚をしたいと考えています。しかし、不倫を知った衝撃は大きく、慰謝料を少しでも高く支払ってもらわなければ、気が済みません。Aさんは、離婚を先に成立させて、あとから慰謝料についてゆっくり話をしようと考えています。このようなことは可能なのでしょうか。
さて、Aさんのケースは、離婚そのものについて合意しているものの、離婚条件が折り合わない場合といえます。離婚条件は大きく二つに分けることができます。金銭的事項と子どもに関する事項です。金銭的事項は以下の通りです。
- ・財産分与として、どのように夫婦の財産を分けるか
- ・慰謝料を支払うのか
これらの、金銭的事項は、離婚後に落ち着いて話し合いを行うこともできます。そのため、Aさんの希望通り、先に離婚を成立させてから、慰謝料を話し合うことも可能です。
ただ、基本的には、離婚前に離婚条件についても話し合いをしておくことをお勧めします。というのも、Aさんのケースのように慰謝料の金額で揉めているケースでは、特に相手が離婚を希望している場合であれば、離婚前の交渉の方が譲歩する可能性があるからです。離婚をしたあとならば、相手に交渉に応じさせる切り札がありません。そのために、夫婦の個別事情にもよりますが、一般的に、離婚条件の話し合いは、離婚前に決着をつけておくことをお勧めします。
親権について合意できないBさんの場合
6歳の子どもがいるBさんは、どちらが親権を持つか合意できていません。しかし、これ以上、夫と一緒にいることに我慢ならず、先に離婚をしてから、親権を決めようと考えています。
このようなことは可能なのでしょうか。
さて、Bさんのケースでは、子どもがいる夫婦の離婚です。このようなケースでは、離婚する際に子どもに関する事柄を決めていかねばなりません。具体的には、以下のような事項です。
- ・どちらが親権者となるか
- ・子どもの養育費はどのように決めるか
- ・子どもとの面会交流はどうするか
そして、特に重要といわれるのが、親権者についてです。親権者は、離婚後の子どもの生活に関する事柄を決めることができます。財産を管理するなどの財産管理権と、子どもの身の回りの世話をする身上監護権があり、共に子どもの養育に直結する権利といえます。子どもの養育に直接的に関わりたいと思う親が多いため、この親権者に関する合意は特に難しく、両者が一歩も譲らない状況も珍しくありません。
しかし、親権者を決めることは、離婚前にしておかなければならない唯一の事項です。残念ながらBさんの希望のように、離婚後に決めるという選択肢はありません。
というのも、離婚届には親権者の欄があるため、記載しなければ、離婚届が受理されないからです。そのため、離婚の協議の中で、離婚について同意が得られれば、次に決めるべき事項は「親権者」についてなのです。
なお、親権者について両者の合意が得られない場合は、調停などを利用するなど、次のステップで合意を目指すことになります。
協議離婚成立のためには、離婚届と公正証書がポイント
離婚することに対しての合意と、離婚条件に関しての合意がなされれば、あとは、離婚届を記入して、役場に提出すれば離婚の手続きは完了です。
ここで注意すべきは、離婚条件の履行が確実になされるかです。例えば、慰謝料の支払いや、財産分与における財産の引き渡しなど、それぞれが行わなければならない義務があります。これを確実に実行されてこそ、本当の離婚手続きが完了したといえるでしょう。
そのためには、離婚条件が記載された離婚協議書の作成が必要です。いくら口約束をしたところで、そんな約束をした覚えはないと言われれば、泣き寝入りとなる可能性があります。確実に履行してもらうために、書面で離婚条件の内容を残すことをお勧めします。
また、万が一相手が履行を怠った場合に備えることも忘れてはなりません。公証役場の公正証書であれば、すぐにでも裁判所の強制力により、強制的に相手の財産を差し押さえて、そこから支払いを受けることができます。このような強制執行の手続きをすぐに実行できるように、離婚協議書は、「強制執行認諾付公正証書」で作成すれば、なお安心といえるでしょう。
まとめ
協議離婚は、裁判所などの制度を利用しないためシンプルである反面、離婚の様々な知識がなければ、自分に不利に話し合いが進む可能性があります。また離婚条件の話し合いにおいても、必要な事項が漏れるケースもあり、それに気付かずに協議離婚書にサインをすることも考えられます。
やはり、法律の専門家である弁護士に相談することが、このような不安を払しょくする方法といえるでしょう。相手に離婚を申し出る前に、まずは弁護士に相談をして、戦略を練って十分な準備をすることをお勧めします。
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