離婚をしたいと考えても、裁判となると少し躊躇してしまうのが本音かもしれません。というのも、「離婚裁判は時間がかかる」との思い込みがあるからではないのでしょうか。
今後の人生を大きく左右する離婚。人生の再スタートを切りたいという気持ちも、離婚が成立するまでにかかる時間があまりにも長いと、途中で失速しかねません。それでは、実際に、離婚裁判ではどれくらいの期間がかかるのでしょうか。
そこで、今回は、裁判による離婚の成立までについて、期間や裁判の流れを中心に解説します。
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離婚裁判は、必ず離婚調停を先に行う必要がある
平成29年度の司法統計によると、婚姻関係事件の総数が65,725件のうち、審理期間が6ヵ月以内は22,808件、1年以内は16,606件、2年以内は3,928件、2年を超えるのは186件という調査データが出されています。
審理期間が6ヵ月以内というケースで、その内容をみれば、調停成立は13,115件、訴えの取り下げは4,040件であり、裁判で認容されたのはわずか520件です。
離婚裁判は思いのほか、期間がかかるような結果となっています。
出典:平成29年度 婚姻関係事件数 終局区分別審理期間及び実施期日回数別 全家庭裁判所
https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/021/010021.pdf
出典:平成29年度 婚姻関係事件数 実施期日回数別審理期間別 全家庭裁判所
https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/027/010027.pdf
それでは、どうしてこのようにある程度の期間がかかるのでしょうか。日本の制度や、訴訟手続きの流れをみていきましょう。
日本は調停前置主義を採用している
離婚は当事者が話し合って行うことが可能です。これが協議離婚です。しかし、当事者の話し合いがまとまらない場合は、裁判で離婚を決することになります。つまり、当事者の一方は離婚したい、もう一方は離婚したくないと主張している場合に、離婚を認めるか認めないかを裁判所が判断するわけです。極論をいえば、当事者のどちらかの意思が尊重されないという状況になります。
そのため、裁判での離婚は最終手段という位置付けになります。まずは当事者の話し合い、まとまらない場合は第三者を交えての話し合いというステップが必要です。これが調停です。
このように、日本の制度は、裁判の前に必ず調停のプロセスを踏まなければいけません。これを調停前置主義といいます。なお、調停とは調停委員が話し合いを進めて、合意による円満な解決を目指す手続きです。家事調停は非公開となりますが、裁判の場合は特別な事情がある場合を除き、原則公開の法廷で行われることになります。
離婚裁判の流れ
調停での話し合いがまとまらず不成立の場合に、次のステップとしては裁判があります。それでは、実際に離婚裁判はどのような流れで進められるのでしょうか。
離婚裁判のように、夫婦や親子関係について争う訴訟を人事訴訟といいます。人事訴訟は民事訴訟のうちの一つなので、基本的な流れは民事訴訟と同じです。ただ、人事訴訟特有のステップもあります。具体的には、参与員と呼ばれる人が、訴訟の中で和解を働きかける場合や、家庭裁判所調査官が、子どもに面接などして事実を調査することもあります。
訴えの提起から審理まで
Aさんは結婚してから10年経ったのち、3年前から夫が不倫していることを知ります。我慢できずに、離婚を切り出しましたが、夫は不倫の事実を認めようとしません。調停でも両者の意見がまとまらず、裁判に至りました。実際に、どのような流れで進められるのでしょうか。
・訴えの提起
離婚裁判を起こすには、訴状、手数料、郵便切手、戸籍謄本などが必要となります。訴状には、裁判で認めてほしい内容を記載します。提出先は、当事者(夫または妻)の住所を管轄とする家庭裁判所となります。なお、家事調停を行った家庭裁判所が別にある場合は、その家庭裁判所に提出することも可能です。
・答弁書の提出
審理をスムーズに行うために、被告(訴えられた人)は訴えられた内容について、認めるか認めないか、認めない場合はその理由を記載した答弁書を提出します。
例えば、先ほどのAさんのケースであれば、Aさんが夫の不貞行為(不倫)を原因にして離婚したいと離婚裁判を起こしています。訴えられた夫としては、不貞行為の事実を認めないとして、離婚しないことを答弁書に記載して、提出するわけです。
審理では、口頭弁論で互いの意見を主張する
裁判所から、裁判することが認められた場合、第1回目の口頭弁論が開かれる日が決定し、当事者に通知されることになります。一般的には、訴状の提出から約1ヵ月後に第1回目の口頭弁論が開かれます。その後は月1回の頻度で審理がなされます。以下がその流れです。
なお、初回以降は、弁護士を代理人としている場合は、本人が出席しなくても問題ありません。
・口頭弁論
原告(訴えた人)と被告(訴えられた人)が、事前に提出した書面に基づいて、自分の意見を主張します。
・争点と証拠の整理
裁判の中で、どのようなことが争われているのか、その争点を整理します。また、提出された証拠の整理も併せて行います。
Aさんのケースであれば、夫の不貞行為(不倫)があったかどうかについて争われます。それぞれが提出した不貞行為の有無の証拠を整理するわけです。
・証拠調べ
実際に提出された証拠と共に、当事者から事情を訊くこと(本人尋問)が行われます。その後、双方の最終書面のやり取りが行われ、結審となります。
・事実の調査
なお、子どもの親権者について争われている場合には、専門家である家庭裁判所調査官が、子どもが通う学校や子どもとの面談を通して調査することがあります。
判決から離婚届提出まで
結審後、1ヵ月ほどで、訴えの内容に対し認めるか、認めないかの判決が出されます。なお、裁判の途中でも参与員が和解を提示し、当事者双方が和解に応じる場合は、そこで裁判は終了となります。また、裁判の途中で原告が訴えを取り下げる場合もあります。先ほどのAさんのケースであれば、Aさんが夫とやり直すことを決めて、訴えを取り下げるような場合です。
また、判決に不服がある場合は、判決書が送達されてから2週間以内に控訴することが可能です。2週間が経過して控訴がない場合は、判決が確定します。離婚を認める内容である判決の場合は、離婚成立から10日以内に、夫婦の本籍地か住所地の役場へ書類の提出が必要となります。離婚届、判決書の謄本、判決確定証明書の3つを提出すれば、手続きは完了です。ちなみに、離婚届に関しては、署名捺印は原告だけでよく、証人も不要です。
以上が離婚裁判の流れになりますが、調停も合わせれば最短で1年、長ければ2~3年かかるといえます。
離婚裁判にかかる期間を短くする2つの方法
それでは、少しでも離婚裁判にかかる期間を短くする方法はないのでしょうか。
審理事態を長引かせないように確実な証拠を確保する
どうして、審理が長引くのでしょうか。それは、複雑な事実関係の場合や、事実を認定する際の資料である証拠が乏しいからといえます。
反対の視点から考えれば、疑問を挟む余地がないほど事実を裏付ける明確な証拠があれば、審理は長引かないでしょう。つまり、客観的な確実な証拠を提示して、誰もが事実であると推測できればいいわけです。争いのある事実につき、その都度、相手に逃げる口実を与えない、反論できないほどの証拠を事前に準備しておくことが、最短の方法だといえます。
和解を検討する
審理の途中で、参与員から何度か和解の提案がなされます。「離婚するかしないか」という離婚の成立に関しては、譲歩することは難しいでしょう。しかし、離婚条件については、ある程度の譲歩ができるのであれば、和解を検討することも決して損ではありません。
最短でも1年、敗訴して控訴した場合、長ければ2~3年と裁判に関わる期間が延びていきます。判決が出るまでの期間は、裁判のことが頭から離れず、精神的にも辛い状況に置かれるでしょう。長い目でみれば、和解をして、少しでも裁判の期間を短くして切り上げるという方が得策という場合もあるかもしれません。
まとめ
裁判は、慣れない手続きの上、離婚成立まで最短でも1年ほどかかることを考えれば、法律のアドバイスだけでなく、精神的な支えも必要になるといえます。その意味で、弁護士は2つの欲求を叶えてくれるでしょう。法律の専門的知識と精神的なサポートで、離婚成立まで二人三脚で進めてくれるはずです。
まずは、離婚を考えている段階で弁護士への離婚相談をお勧めします。離婚を早急に成立させたいほど、「急がば回れ」です。弁護士に相談をし、綿密な戦略を立て、十分な準備をしてから、離婚裁判に臨むのが離婚までの一番の近道ではないでしょうか。
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