離婚が決まった場合、離婚というプライベートな問題を会社に報告したくないと考えるのは、ある種当然のことだと思います。しかし、今や結婚した夫婦の3組に1組が離婚する時代です。離婚自体は決して珍しいことではないため、社内の事務手続き等で問題が生じないようにきちんと報告する必要があります。この記事では、離婚を会社に報告するタイミングや、しない場合のデメリットについて解説いたします。
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離婚を報告するタイミングと報告すべき内容
離婚と同じプライベートな事柄であっても、結婚の場合は報告された側も素直に祝福できます。上司など職場の人への切り出し方についてそれほど思い悩むことはないでしょう。しかし離婚となると、いつどうやって会社に報告すべきか悩まれる方も多いのではないでしょうか?
特に、結婚式に会社の人たちを招待していたり、お祝いしてもらっていたりした場合には、離婚自体に罪悪感を覚えて、報告することをためらってしまうかもしれません。しかし、離婚は単なるプライベートな問題ではなく、戸籍の変更を伴う法的な問題でもあります。そのため、報告しないままでいると、社内での保険手続きなどの際に離婚していることが発覚して、トラブルになる恐れがあります。離婚の報告をためらう気持ちはわかりますが、報告するデメリットよりもしないデメリットの方がはるかに大きいので、離婚の報告は早めに済ますようにしましょう。
離婚を報告すべきタイミングに具体的な決まりはありませんが、社内手続きを考えて、できるだけ早い方がいいでしょう。かといって、まだ離婚の時期が具体的に決まっていないタイミングで伝えるのは、混乱を招く上に心配をかけてしまうかもしれません。いつ離婚するか決まってから報告するようにしましょう。そのため、離婚を報告する時期としては離婚が決まってから実際に離婚するまでの期間を目安に考えると良いでしょう。社内手続きに必要とされる書類は離婚後にしか手に入らないものもありますので、離婚届の提出後すぐに報告しても問題ありません。
また、離婚を報告する際、どこまで詳しく説明すべきか悩まれる方もいらっしゃいますが、離婚理由などの詳細な事情を伝える必要はなく、基本的には後述するように、会社側の手続き上必要となる情報を事務的に伝えるだけで問題ありません。もし、結婚式に招待していたり、お祝いを頂いたりなどの事情があり、相手にある程度事情を伝えた方がいいとご自身が判断されるのであれば、性格の不一致など当たり障りのない理由を添えて報告するとその後の人間関係においても過剰に詮索されたり、気を使われすぎたりすることもないでしょう。
苗字の変更について
もっとも人目につきやすく、また書類など手続上も問題になるのが苗字の変更です。離婚に伴って苗字を変更する場合には、社内の書類だけでなく社会保険や雇用保険での氏名変更手続きが必要となりますので、必ず報告しましょう。
離婚したからといって必ずしも元の苗字に変更すること(復氏)が必要なわけではなく、結婚後の苗字を使い続けることもできます。そのため、営業や接客、あるいは研究職など、苗字の変更によって仕事上の不利益が大きい職種の方では、苗字を変えないという選択をする場合も多いようです。そういった場合にも、特に女性の場合には「離婚したら元の苗字に戻る必要があるのか?」と考えることもあるかもしれないので、離婚後も同じ苗字を使い続けるとしっかり報告しておきましょう。同じ苗字を使い続けることで、職場のよく知らない人からの好奇の目に晒されることもなくなるというメリットもあります。
また、同様の理由から、離婚によって戸籍上の苗字は変わっても、仕事では同じ苗字を使い続ける方もいます。ただし、近年は夫婦別姓の議論などもあり、旧姓使用が認められている会社は増えつつありますが、まだ全ての会社が対応しているわけではありませんので、もし離婚後戸籍上は結婚前の苗字に戻るものの、仕事では引き続き離婚前の苗字を使用したいと希望する場合には、一度担当者に問い合わせてみましょう。
扶養家族の変更に関する手続き
離婚によって大きく変わることの一つが、扶養家族に関することです。子どもが新たに扶養に入る、これまで扶養に入っていた妻や子どもが自分の扶養から外れるなど、離婚によって扶養関係に変更が生じることは一般的です。扶養家族の有無や人数は社会保険の控除や厚生年金などに関係してきますので、できるだけ早く手続きを行う必要があります。しかし会社に属している場合では、こういった手続きは会社を通して行うことが一般的ですので、会社としてはできるだけ早く扶養家族変更の事実を把握しておきたいと考えています。そのため、扶養家族に変更があった際には、必ず会社の担当者に連絡しましょう。
また、婚姻期間中は相手の社会保険に加入していたけれど離婚に伴って自分の会社の保険に加入する場合にも、手続きが必要です。パートなどで配偶者の扶養の範囲内で働いていた場合でも、労働時間などの条件によっては勤め先の保険に加入できる場合もありますので、問い合わせてみましょう。そのため、離婚についてはできるだけ早く上司に報告し、事情を話して保険手続きについても問い合わせると良いでしょう。
報告する相手は?〜社内の関係部署への連絡もお忘れなく
離婚の報告を考慮する相手は、基本的にはあなたの離婚によって影響を受ける人たちです。具体的には、まずは部下の管理責任がある上司、そして苗字の変更や社会保険などの手続き担当者などです。また、離婚によって住所を変更する場合に関係部署に住所変更した旨を届け出しましょう。
同僚などには必ずしも離婚を報告しなければいけないというわけではありませんが、苗字が変わる場合などでは、余計な詮索を防ぐためにも自分から離婚したことを報告することも考えられます。また、離婚後に自分一人で子どもを育てていくことになった場合は、同僚にそのことを報告しておくことで、子どもの病気など、もしものときのサポートを受けることが期待できますので、会社の雰囲気などで考えていきましょう。
共働きで扶養関係がなかった場合、会社に報告しなくてもバレない?
これまで見てきたように、会社側として社員の離婚の手続きが必要になるのは、苗字や扶養家族の変更に関するものです。そのため、共働きの夫婦で互いに自分の会社の社会保険に入っていて、なおかつ苗字に変更がない場合には離婚の事実を会社に報告しなくても良いと思われるかもしれません。実際、そういった場合には報告しないままにしていても書類手続きの問題から発覚することは少ないので、うまくやるとしばらくは隠し通せるケースもあります。しかし、年末調整や源泉徴収票などでは配偶者について記載する欄がありますし、思わぬきっかけで離婚した事実が明らかになることもあります。そういった場合には、一般的には職場への報告が必要とされる事項であるにも関わらず報告を怠っていたとして上司など管理的立場にある人たちから不信を買うことになるかもしれません。さらに、会社によっては戸籍に変更があった場合には必ず届け出るように就業規則に明記されていることもあります。そういった場合には、就業規則違反として戒告など何らかの処分が下されることになりかねません。扶養に入っているかどうかに関わらず、配偶者がいる社員に対して家族手当が支給される会社もあります。ほとんどの会社では配偶者の所得制限がありますので配偶者が自分の扶養に入っていない場合は支給されませんが、まれに所得制限がない会社もあります。その場合には報告を怠ると不正受給になってしまい、懲戒処分など重い処分が課せられてしまう可能性もありますので、速やかに報告するようにしましょう。
以上のように、会社側としては事務手続きなどの関係上、社員の離婚をきちんと把握しておく必要があります。離婚を報告するのは誰だって気が重いものですが、だからと言って先延ばしにしていると、のちのちのトラブルを引き起こす可能性があります。離婚は今や決して珍しいことではなく、個人にとっては非常に大きな問題ですが、会社にとってはよくあるケースの一つに過ません。むしろ、周囲の反応を気にするあまり報告を怠ることの方が問題です。離婚が決まったら、あるいは離婚後すぐに上司や氏名の変更手続き等関連する部署に連絡するようにしましょう。
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