離婚という文字が頭に浮かぶのはどんな時でしょう。互いに一歩も譲らずに言い争いをしている時なのか、それとも、生活のすれ違いから既に会話がなくなった時なのか。もしかすると、何の気なしにふとした瞬間なのかもしれません。
では、実際に離婚をする場合には、どのような手続きが必要なのかご存知でしょうか?
本ページでは離婚するまでの流れを段階的に区切り、離婚についての漠然としたイメージから抜け出し、自分の取るべきアクションがおおよそ把握できるように、まとめて解説します。
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離婚するには、こんな道のりが待っている!
離婚に至るまでの道筋は一本ではありません。フローチャートのように枝分かれしています。ここでは、全体像が把握できるよう、手続きを一つずつ確認していきます。
・まずは夫婦で話し合い
「離婚」が成立するには大きく2つの方法があります。
夫婦での話し合いか、裁判所の制度を利用するかの2つです。
話し合いの結果、離婚に対して合意が得られれば、あとは離婚条件などの取り決めに問題は移ります。ただ、両者が離婚に同意している以上、離婚届に双方が署名捺印して役場に提出すれば、離婚成立となります。
このように当事者間の協議で離婚が成立する場合を協議離婚といいます。
なお、離婚届には親権者の欄があるため、子どもがいる場合は、離婚届の提出までに必ずどちらが親権者となるかを決める必要があります。
合意できなければ調停へ
どちらか一方が離婚を望んでいるにもかかわらず、夫婦の話し合いで離婚の合意が得られない場合には、家庭裁判所の調停制度を利用することになります。
テレビドラマでは、いきなり離婚裁判という流れの場合もあるかもしれませんが、現実的には、まず調停という段階を踏む必要があるのです(調停前置主義)。
裁判でいきなり白黒つけて離婚を判決で命じるよりは、まずは第三者である調停委員の主導のもと、話し合いで着地点を探る方が穏便に解決できるからです。
実際の手続きとしては、家庭裁判所に「夫婦関係調整調停(離婚調停)」の申し立てを行い、約1ヵ月後に呼び出しが行われます。それぞれの言い分や事情を聴取され、調停員会が助言や解決策を提案し、合意すれば調停証書が作成され、離婚が成立します。この場合の離婚を調停離婚といいます。
調停でも合意できなければ審判or離婚訴訟へ
調停委員会の解決策でも合意に至らない場合は、一般的に離婚訴訟を提起する流れとなります。
ここで、注意すべきは、判決で離婚が成立する場合には、離婚が成立するための要件である離婚原因が必要となるということです。
離婚原因には、以下の5つがあります(民法770条)。
- ・配偶者に不貞な行為(浮気・不倫など)があったとき
- ・配偶者から悪意で遺棄を受けていたとき
- ・配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- ・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- ・その他結婚を継続しがたい重大な事由があるとき
特に「その他結婚を継続しがたい重大な事由があるとき」とは、言い換えれば、「夫婦関係が破綻していて回復の見込みがない」ことを指します。例えば、暴力、精神的暴力(モラルハラスメント)、別居、性格の不一致、宗教活動、セックスレスなどの事情は該当する可能性があります。ただ、判断基準が明確でなく、裁判官個人の考えも影響するため、結論の予測が難しいところです。なお、一方的な暴力、長期間の別居などは、結婚を継続しがたい重大な事由に比較的認定されやすいと理解されています。
一方、調停が不成立になった事情として、ほぼ合意に達しているものの、手続き上の支障や感情的なためらいなどが原因の場合は、裁判をせずに、裁判所の判断で審判が下され、離婚が成立する場合があります。この場合を審判離婚といいます。
裁判の結果によって離婚が成立
離婚裁判となった場合は、月1回のペースで審理が行われます。何について争っているのかを明確にしながら、双方の意見などを確認していきます。
この審理の途中で、通常は裁判官から何度か和解を促されます。この和解に合意した場合は、和解調書が作成され、離婚が成立します。この場合の離婚を和解離婚といいます。
一方、和解も拒否された場合は、最終的に裁判所の判決が出されることになります。ここで離婚を命ずる判決が出され勝訴した場合は、離婚成立となります。この場合の離婚を裁判離婚(判決離婚)といいます。
なお、敗訴した場合は、残念ながら離婚することができません。不服があれば、2週間以内に高等裁判所に控訴して、再度裁判を行う可能性があります。
離婚の話し合いで決めるべきこと
離婚の条件は今後の生活に多大な影響を与えます。特に、専業主婦のようにこれまで相手に扶養されていた場合は、生活が一変する恐れがあります。そのためにも、以下のことをしっかりと離婚の話し合いの中で決める必要があるのです。取り決めをすれば、離婚協議書として公正証書の作成をお勧めします。
なお、親権以外の事項は、離婚をしてからでも話し合うことができ、調停もそれぞれの目的別に用意されています。
親権
子どもがいる場合に一番問題となるのが、誰が子どもの親権者となるかということです。
親権とは、子どもの財産を管理する財産管理権と、子どもの身の回りの世話を行い養育する身上監護権の2つを指します。通常は親権者がこの2つの権利・義務を行使しますが、場合によっては、身上監護権だけを切り離すことも可能です。
なお、親権者が決定しなければ、離婚することができないことに注意が必要です。
面会交流
平成24年より施行された改正後の民法776条で、「父又は母と子との面会及びその他の交流」と「面会交流」が明示されました。これで、子どもと離れて暮らしている一方の親(別居親)が、子どもと定期的、継続的に交流することが保障されたことになります。具体的には、実際に会って話をしたり、電話や手紙などの方法で子どもと交流をすることができます。
子どもがいる場合は、面会交流の頻度や会わせる方法などの詳細を取り決めします。
養育費
両親には子どもを扶養する義務があります(民法877条)。
離婚後も変わらずに双方に子どもの扶養義務があり、資力その他の事情を考慮して、子どもが生活する上で必要なお金を分担します。このお金のことを養育費といいます。
一括よりは、毎月の振り込みという形式が多く、具体的な金額や支払わない場合の対処法などを取り決めることになります。
財産分与
民法768条には、「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる」と財産分与請求権を認めています。
この条文より、離婚の際には、夫婦が協力して形成・維持されたと考えられる財産を清算して分割します。なお、夫婦の一方の名義であっても、協力した財産であれば分けることになります。
また、財産分与は離婚原因を生じさせた側からも、離婚理由に関係なく、請求することはできます。なお、分割の割合も、財産を形成・維持した貢献度で判断されます。
裁判では一般的には、1/2の割合が多いようです。
話し合いでは、どの財産をどのように分けるかを取り決めることになります。
慰謝料請求
慰謝料とは、「不法行為による損害賠償請求」(民法709条)を法的根拠に、離婚に関係して何らかの損害を被った代わりにその償いとして払ってもらうお金のことです。
ここでいう不法行為とは、以下のような事柄です。
- ・不貞行為(浮気や不倫)
- ・暴力、精神的暴力(モラルハラスメント)
- ・悪意の遺棄(夫婦の同居義務、協力義務、扶助義務違反 民法752条)
例)生活費を渡さない、理由なく同居しないなど - ・セックスレス
上記の事情などで精神的な苦痛を受けた場合に、相手に金銭を請求することができます。夫婦間の話し合いでは相場はありませんが、裁判となれば、具体的な事情を総合的に考慮して、およそ200万円~300万円で落ち着くようです。
婚姻費用
「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」(民法760条)と定められています。婚姻費用の分担は同居でも別居でも変わりはありません。そのため、離婚に際して先に別居をする場合は、離婚が成立するまでの期間、生活を維持するための費用(生活費)を、収入の多い方が少ない方に支払います。
話し合いでは、具体的な金額や支払い方法を取り決めることになります。
離婚後にもするべきことがある!
ようやく「離婚」が成立したと一息つく前に、じつは、離婚後にもするべきことはまだまだあります。
離婚後の「戸籍」と「姓」を選ぶ
離婚後の戸籍をどうするか考えなければなりません。
筆頭者(戸籍の始めに記載される方)の戸籍は変わりません。筆頭者でない方は、離婚すれば夫婦の戸籍から抜けることになります。その際、以下の2つの選択肢があります。
- ・結婚前の戸籍に戻る
- ・新しい戸籍を作って筆頭者となる
新しい戸籍を作る場合は、結婚前の旧姓か、もしくは結婚していた姓のどちらかを選ぶことができます。
なお、子どもの戸籍と姓は離婚後もそのままとなるため、子どもの氏を変更するなどの場合は、新たな手続きが必要となります。
各種届出を忘れずに!
日常生活を送るために各種さまざまな届出が必要となります。
- ・公的な届出
(住民票の世帯主変更届、健康保険の加入・変更届、年金関係書類、運転免許証やパスポートの身分証関係書類、印鑑登録の変更届など) - ・財産に関する届出
(預金通帳、クレジットカード、携帯電話関係、生命保険、不動産・自家用車の名義など) - ・子どもに関する届出
(転校の場合は転入学届、児童扶養手当や児童育成手当などの申請など)
離婚するには時間や労力が必要となります。相手に離婚を切り出す前に、離婚までの流れを一通り理解し、本当に離婚すべきなのか、自分の選択に後悔がないかを確認することが重要です。不安な方は、弁護士などの専門家に相談するのもいいかもしれません。
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