離婚協議がうまくいかない場合、家庭裁判所で「離婚調停」を申立てる必要があります。
この連載では、離婚に悩んでいる「オー子」の日常を通じて、離婚に関する法律を弁護士が解説します。
今回は離婚調停の流れやかかる期間、調停を行った方がよいケースや有利に進める方法を、弁護士が解説します。
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こんにちは、オー子です
私、オー子は夫との関係に悩む40歳、専業主婦。小学生の子どもがいます。
夫の不倫問題や、モラハラな言動、ふるまいに耐えられず、離婚を決意しました。
子どものためには我慢するべきなのか、すごく悩みました。
最近、夫が子どもに対しても突然怒鳴ったりするので、子どもも夫におびえを感じています。また「父親が、母親を侮辱する姿を子どもに見せるのもよくない」と弁護士にアドバイスをもらいました。
最初は何から手をつけていいかわからなくて、不安なことがいっぱいでしたが、慰謝料や財産分与を請求できること、子どもの親権は私が取得しやすいこと、養育費を請求できることなどいろいろな知識を得て、ようやく離婚を決断したところです。
そうはいっても夫は私に対しては常に高圧的。
私自身が夫に慰謝料や財産分与を要求しても、まったく応じてくれそうもありません。
これまでに、私が夫に請求できるいろいろなことを学んできました。
慰謝料
夫は不倫していますし、私に対するモラハラ言動もきつかったので、慰謝料を請求できるとのこと。
だいたい200~300万円くらいにはなりそうです。
財産分与
夫は年収が1,000万円程度あり、結婚生活でそれなりに蓄えを作ってきました。
こういった財産は「夫婦共有財産」として、原則的に2分の1ずつに分けられるとのことです。私は専業主婦で収入がありませんが、そのことを理由に財産分与を減らされたりはしないと知り、安心しました。
親権、養育費
小学生の子どもの親権は、主に養育に携わってきた私が有利とのこと。
親権者になって子どもを引き取ったら、夫には養育費を請求できます。
月12~14万円くらいが相場になるみたい(場合によっては10万円~12万円が相場になる可能性あり)なので、それだけあれば何とかなるかなぁ、と思っています。
年金分割
夫の厚生年金保険を分割してもらえるとのこと。将来年金を受け取る年齢になったときのために、きちんと手続きしておこうと思います。
オー子の日々離婚協議がうまくいかない、どうしたら?
私には慰謝料や財産分与、養育費などのいろいろな権利が認められるとのことですが、自分で夫にこれらを説明して請求するのはとても大変。
特に夫は、常に私に対して高圧的な態度なので、とてもじゃないけれど私の話なんか聞いてくれません。
先日も一度「離婚したい、子どもの親権は私に、財産分与も…」と言いかけたら、夫にものすごい形相で「離婚はしない!1人で生きていけると思うのか!だからお前はバカなんだ!」と怒鳴られました。
その後「離婚するとしても1円も渡さないから1人で出ていけ!子どもは俺が育てる!」と言って荒れてしまい、どうしようもない状態に。
怖くてそれ以上は何も言えなくなってしまいました。
離婚協議がうまくいかないときにはどうしたらいいんでしょうか?
「離婚調停」をすれば解決できると聞いたこともあるけれど、調停って何をするんだろう?
1人でもできるのかな?
流れや期間、進め方など教えてもらいたいです。
弁護士が解説!離婚調停の流れ、かかる期間、有利に進める方法
離婚調停とは
離婚調停は、家庭裁判所で調停委員を間に挟んで夫婦が離婚問題を話し合うための手続きです。
裁判所で行われるので構えてしまうかもしれませんが、訴訟とはまったく違います。
基本的に和やかな雰囲気で話し合いによって進めていくので、緊張しすぎる必要はありません。
申立人の意見は調停委員を介して相手に伝えられ、相手の意見も調停委員を介して伝えられます。
直接相手と顔を合わせないので、モラハラやDV案件でも安心して進められるでしょう。
ただし、調停開始時の説明の際や、離婚を成立させる場面で、お互いの同席を求められたりする場面もあります。
このような時は、「相手と同席を避けたい」ということを、調停委員に対して、理由を含めてきちんと説明すれば、顔を合わせなくて済むように対応してくれるケースがほとんどです。できれば、調停を申し込む際に、予め、裁判所に対して「相手と顔を合わせたくないこととその理由」を説明しておくのが望ましいでしょう。
調停委員から解決案の提示を受けられるケースも多く、お互いが納得すれば離婚が成立します。
協議がうまくいかないとき、非常に有効な解決手段となります。
離婚調停の流れ
離婚調停の一般的な流れをみてみましょう。
・申立て
まずは調停を利用したい側が、「相手方の住所地の家庭裁判所」へ離婚調停(夫婦関係調整調停)の申立てをします。
必要書類は「申立書」と「夫婦の戸籍謄本」。
費用としては1,200円の収入印紙と連絡用の郵便切手が必要です。
これらの書類、資料を家庭裁判所へ持参または郵送にて提出しましょう。
・第1回期日
申立てをすると、第1回の日程を家庭裁判所と調整をした上で、家庭裁判所から相手に対して、第1回期日の呼出状が届けられます。
第1回の当日に裁判所へ行くと、まずは申立人から調停委員へ意見を伝え、その後相手の返答が調停委員を介して伝えられます。
申立人と相手方は別々の待合室で待機するので、基本的に顔を合わせることはありません。
また調停委員はあくまで話し合いを仲介する人なので、間に立って積極的に何かを判断してくれる人ではありません。自分の希望を実現するためには、言いたいことをしっかり述べて、自分の意見を聞いてもらいましょう。
・調停成立、離婚届
離婚調停は、1回の話し合いでは解決しないケースがほとんどなので、その後は月1回程度の頻度で調停期日が繰り返されます。
最終的に合意できたら「調停が成立」(離婚が成立)し、調停調書と離婚届を役所へ提出すれば離婚できます。
離婚調停にかかる期間
離婚調停にかかる期間はケースによっても異なりますが、少なくとも6か月程度はかかると思った方がよいでしょう。
親権争いがあって調査官による子どもの調査が行われる場合や、財産分与について争いがある場合など、複雑な事案では期間が長くなりがちです。
離婚調停を有利に進めるために
離婚調停を有利に進めるには、自分の意見をしっかり調停委員に伝えなければなりません。
相手からの主張に対しても、的確な対応が必要です。
どういった条件で着地すべきか、その時々に応じた判断力が要求されるでしょう。
1人で対応するより弁護士についてもらっていたほうが安心ですし、適切に行動できます。
調停委員を説得しやすく相手の不当な主張にも的確に反論できて、有利に進められる可能性も高くなるでしょう。
また、上にあった、相手と顔を合わせないようにするための対応も、もし弁護士に依頼していれば、弁護士が調停に同行しますので、そういった対応を弁護士に任せることもできます。また、その他顔を合わせるリスクを極力減らすように色々な方策を立てることもできます。
1人で離婚調停に対応するのに不安を感じるなら、一度弁護士へ相談してみてください。
まとめ
離婚協議がうまく進まないときには、離婚調停をする必要があります。
調停では調停委員が間に入って話し合いを進めてくれるので、相手と直接顔を合わせずに済みます。
調停委員の仲介によって話し合いが成立し、無事に離婚できるケースは多数あります。
ただ、過去にこういった経験の無い方が1人で対応すると、自分の意見や希望をうまく伝えることが難しいかもしれません。
そんなときには離婚トラブルに詳しい弁護士の力を頼ってみてください。
オーセンスでは離婚、男女問題を重点取り扱い分野としており、高い解決実績を誇ります。
オー子さんのようにお悩みの方がおられましたら、ぜひ一度ご相談ください。
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