コラム
公開 2020.07.16 更新 2021.10.04

離婚問題について知っておくべきポイント

妻や夫と離婚したいと思ったら、やみくもに話し合いを進めるのではなく離婚問題についてきちんと理解したうえで手続きを進めていく必要があります。

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離婚したいと思ったら考えておくべき5つのこと

離婚したいと思ったら考える5つの事

離婚したいと思ったら、まずはこれからご紹介する5つことについて考えてみてください。

離婚の手続きに進んでも、しっかりした考えがないと損をしたり後悔してしまう可能性があります。
場合によっては離婚できない可能性もありますので、十分に注意しましょう。

1. 相手の同意を得られるか

離婚は、相手が同意しているかどうかでその後の進め方が大きく変わります。
離婚の手続きの方法も違ってくるため、相手が同意しているかどうかは重要なポイントです。
相手が離婚に応じる場合は比較的簡単な協議離婚で済みますが、離婚に同意しない場合は調停や裁判といった複雑な手続きを踏む必要があります。

いきなり離婚について切り出しても同意が得られない可能性もありますし、話し合いがこじれてしまうケースもあります。
離婚したい理由など、相手を説得する十分な言い分を集めてから離婚を切り出すようにしましょう。

2. 法的に離婚できる理由があるか

相手が離婚に同意しなくても離婚が認められるケースがあります。

法律では、

  • ・配偶者の不貞行為(配偶者が自分以外と肉体関係を持っている)
  • ・悪意の遺棄(生活費を払わない・家族の共同生活を放棄する)
  • ・3年以上の生死が不明
  • ・配偶者が精神病にかかっており回復の見込みがない(精神病が強度であり共同生活の義務を果たせない)
  • ・婚姻生活を維持できない重大な理由(配偶者からの暴力・暴言・配偶者が働かない・配偶者が性交不能・また性交を拒否する・犯罪行為を行った・服役中である)

上記のような理由があれば離婚が認められることになります。(ただしこれらの理由を裏付ける証拠が必要です。)
反対に、これらの重大な理由がない場合は相手が同意しない限りは離婚することは難しいです。

3. 慰謝料や婚姻費用は請求できるか

離婚する際に慰謝料や婚姻費用を請求したいのか、また請求できるのかについて考えてみましょう。

暴力や暴言などで心身にダメージを受けた場合、それらの行為があった事実を証明できれば慰謝料の請求が可能です。

また、別居生活が長く続いていたり、相手が生活費を払ってくれていなかったりという場合は、その期間の婚姻費用を請求することも可能です。
これらのお金の計算は複雑であり、また法的な証拠も必要となるため、個人で請求するのではなく弁護士に相談することをおすすめします。

4. 財産分与などお金の問題

離婚をする際に慰謝料や婚姻費用を請求する場合もしない場合も、財産分与についてはよく考えなければなりません。

夫婦の共同の財産は離婚時に的確に分与する必要があります。
預貯金などの分かりやすい財産だけでなく。不動産や自動車、株、家財道具なども共同財産として分与することが可能です。
離婚して家を飛び出してしまうと損をする可能性があります。
財産分与の問題については、何を分与することができるのかきちんと把握しておきましょう。

5. 子どもがいる場合は親権の問題

夫婦の間に子どもがいる場合は、親権をどちらが獲得するのかも重大な問題です。

子どもを育てられる能力や子どもを養える収入が十分にあるのかなど、自分が子どもの親権を獲得できるかどうかはしっかり考えておきましょう。
万が一親権を獲得できなかったとしても、面会の有無や頻度を話し合いで決定できます。
自分の希望が通りそうか、適切な主張かどうかを確認してみてください。

離婚の手続きの種類は3種類

離婚に進む際には、手続きの種類についても知っておく必要があります。
どのような手続きが最適かどうかは、相手の同意の有無や主張の食い違いなどで変わります。
3種類の離婚手続きの内容をチェックしていきましょう。

1. 協議離婚

夫婦の話し合いで離婚を進めるパターンです。

お互いに離婚について同意しており、離婚届を出すことで離婚が成立します。
弁護士を介入させる必要がなく、速やかに離婚することができます。
相手の同意を得られる場合は、時間も手間もかからないこの協議離婚を選択することをおすすめします。

2. 調停離婚

相手が離婚に同意しない場合や、離婚に同意しているものの条件などで意見が食い違う場合には調停離婚という手続きが必要です。

離婚についての話し合いすらできないような状態の場合も調停離婚を選択します。
家庭裁判所を通じて離婚の話し合いを進めます。夫婦間の問題について、裁判所の調停委員が話し合いの間に入って進めてくれます。
お互いの条件のすり合わせをしていき、お互いが納得する形で離婚できるように進めます。

3. 裁判離婚

相手が離婚に同意せず、さらに調停でも条件をすり合わせることができなかったという場合には、裁判離婚を選択します。

協議離婚・調停離婚は夫婦の話し合いが基本でしたが、裁判離婚になると裁判官が最終的な決定を下します。
法律に則って、離婚理由は正当なものか、主張している条件が法的に正しいものなのかを判断してくれます。

また、相手の同意が得られなくても離婚できる法的な理由の主張が、条件に沿っているかどうかのジャッジも裁判官が行います。
裁判になると弁護士をつける必要があり、離婚できるまでも長期化して心身の負担も大きくなってしまいます。

裁判に向けて必要な3つの準備

離婚裁判に向けて必要な準備

離婚したい気持ちが固まったら、離婚に向けての準備を進めていきましょう。

準備1. 離婚後の経済的自立の準備

男女平等とはいっても、未だに日本では女性の収入のほうが低い世帯が多いです。
収入がパートナーより低い方やパートナーの収入に依存して生活していた方は、離婚後自立できるだけの収入を確保できるように準備をしていきましょう。
就職活動をする、パートを増やすなど、経済的自立は子どもの親権を獲得するためにも重要です。

準備2. 離婚後に住む場所を確保

離婚すれば住む場所も変える必要があります。
賃貸住宅や実家など、新しい住まいは早めに確保しておくようにしましょう。
財産分与で家財などを引き取る場合など、十分なスペースを確保する必要があります。
子どもがいる場合は将来子どもが成長しても満足に生活していくだけのスペースの確保も必要です。

準備3. 慰謝料や養育費の請求の準備

慰謝料・婚姻費用・財産分与の請求などを行うには、明確な証拠が必要です。

弁護士や裁判所が認める証拠を集めて書類を作成し、金銭をきちんと請求できるようにしましょう。
これらは離婚の話合いがスタートしてから準備すると非常に時間がかかってしまいます。離婚を切り出す前にある程度固めておくことをおすすめします。

離婚協議書の書き方

離婚協議書とは、離婚後に請求する慰謝料や婚姻費用、財産分与、また子どもの親権や養育費についてまとめた書類です。

書面に残しておかないと、相手に言い逃れられたり、正当な金額を受け取れなくなってしまう可能性があります。
万が一相手が約束を破った際には、この離婚協議書を提出することで裁判を有利に進めることができます。

離婚協議書の書き方をチェックしていきましょう。

離婚に合意した旨を記載する

まずはお互いに離婚に同意した旨を記載します。
離婚届を提出する日にちや、どちらが離婚届を提出するかについても記載しておきましょう。

慰謝料や財産分与について記載する

相手に慰謝料を請求する場合は、下記を明確に記載します。

  • ・慰謝料の支払い金額
  • ・支払いの期日
  • ・複数に分けて支払う(分割の)場合は都度いくらか
  • ・分割の場合はいつまで支払いが続くのか

財産分与に関しては何を財産分与の対象にするのか、財産分与の金額はいくらになったのかなど記載します。

さらにいつまでに財産分与の金額を支払うのか、分割払いの際は金額と期限を記しておきます。

親権者はどちらかを記載する

夫婦に子どもがいる場合は、どちらが親権を獲得したのかを記載します。
養育費の有無についても明確にしておきましょう。

  • ・養育費を支払うのか
  • ・支払い金額はいくらか
  • ・子どもが何歳になるまで払い続けるのか

子どもと面会させる場合は、下記を記載しましょう。

  • ・面会の頻度
  • ・面会の時間
  • ・面会に関する取り決め(場所、受け渡しの方法、連絡手段など)

証拠として残すなら公正証書にする

公正証書とは法律に則って専門家が作成する書類です。
離婚協議書を公正証書にすることでより証拠としての価値が高くなります。
万が一、慰謝料などの支払いが滞ったときに強制的に支払わせることができます。
離婚協議書を作成したうえで、または、最初から公正証書として作成するために、弁護士に相談をして公正証書の案文を作ってもらうと良いでしょう。公正証書にすべきかどうかは夫婦で話し合いましょう。

まとめ

離婚したいと思ったらやみくもに切り出すのではなく、しっかりと知識を蓄えたうえで証拠や書類を用意して話し合いを進めていくことをおすすめします。
離婚についての話し合いをより有利に進めましょう。
後悔しないためには慎重な話し合い、離婚協議書の作成などが重要です。
相手が離婚に同意しない、条件が折り合わない、高額な慰謝料を請求したいときなど。よりスムーズに離婚手続きを進めていくためにも、弁護士に相談することをおすすめします。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
中央大学法学部法律学科卒業、中央大学大学院法務研究科修了。離婚、交通事故、相続問題などの一般民事事件を中心に、幅広い分野に積極的に取り組む。
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