コラム
公開 2020.05.21 更新 2021.10.04

DVでコロナ離婚!?「ステイホーム」で増える家庭内暴力

諸外国では新型コロナウイルス感染症防止のため長期にわたって厳格な外出制限が敷かれたことにより、ストレスを溜めた人々が「DV(家庭内暴力)」に及ぶ例が急増しています。

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1.諸外国における「DV」の現状

新型コロナウイルス感染症防止のため、アメリカや欧米諸国、中国、東南アジア、アフリカ、オセアニアなどの各国で厳格な外出制限体制が敷かれました。それに伴い家族が家に閉じこもる日々が続き、ストレスからDVが行われるケースも増加しています。

各国のDV増加に関する現状に関するニュースは、次のとおりです。

1-1.アメリカ

アメリカでは、「米NBCテレビが全米の22都市の警察当局に調査したところ、18都市がDVの報告件数が増加したと回答。南部テキサス州ヒューストン市では3月の報告件数が前月比で2割増えた。」と報じられています。

[引用]SankeiBiz「“コロナ離婚”急増の可能性 自宅待機が長引きDV被害増」,2020/4/11
https://www.sankeibiz.jp/econome/news/200411/ecc2004110902001-n1.htm

また、DV事件の緊急通報電話や逮捕者も増えています。
「20の主要警察署からのデータでは、半数近くの警察署で3月の家庭内暴力事件による911コール(緊急通報電話)は、昨年および今年の3月上旬のデータと比較し、2桁増加した。
例えばオレゴン州ポートランド市では、今年3月12日から23日までの家庭内暴力による逮捕者が昨年の同時期と比べ27%増加。 昨年3月から今年3月までの家庭内暴力関連の事件数は、マサチューセッツ州ボストン市では22%増加、ワシントン州シアトル市では21%増加した」と報告されています。

[引用]安部かすみ「米・外出制限で増加する家庭内暴力(DV)とコロナ離婚、日本も今後増える?」,2020/4/13
https://news.yahoo.co.jp/byline/abekasumi/20200413-00172429/

殺人事件も発生

さらに、「ウィスコンシン州では先月末、50代の夫婦が、自宅に入り浸る養女とその交際相手の少年に対し、家を出て民泊サービスを利用するよう促したところ、少年らに殺害されるという事件が起きた。」との報告もあります。

[引用]上記SankeiBiz

1-2.フランス

フランスでも外出制限にともなうDVの増加が顕著です。2020年3月から原則として外出禁止となりましたが、「フランスでは外出規制が始まって最初の1週間でDVの通報が3割増え、対策が急務となっている。」と報じられています。

[引用]毎日新聞「新型コロナ 外出規制でDV被害悪化の恐れ フランスでは通報3割増」,2020/4/1
https://mainichi.jp/articles/20200401/k00/00m/040/347000c

1-3.中国

中国でもDV被害が増加しています。
湖北省は感染拡大を防止するために2020年1月に封鎖されましたが、「『湖北省が封鎖された一月下旬から、夫から暴力を受けたという相談が大幅に増えた』。湖北省武漢市の女性団体「〇七四職場女性法律熱線」の郭晶さんは電話取材に答えた。」と報じられています。
また、湖北省以外でもDVが増え、「全国から相談を受ける女性団体「為平」の責任者・馮媛さんは『湖北省だけでなく全国的に相談件数が増えており、例年の四倍ほど』という。」とのことです。

さらに、「夫からの度重なるDV被害に悩んでいた山西省の四十二歳の女性が『今日は本当に悪夢だ。心が壊れそう』と友人にメッセージを送ったのを最後に飛び降り自殺した。」との情報もあり、事態は深刻です。

[引用]東京新聞 「<新型コロナ>中国でDV深刻 在宅勤務、経済不安でストレス蓄積」,2020/4/6
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/202004/CK2020040602100119.html

2.コロナ外出制限によってDVが増える理由

新型コロナウイルス感染症防止のための外出制限で、なぜDVが起こるのでしょうか?

2-1.閉鎖的な環境で逃げ場がない

1つは外出制限のせいで人々の暮らしが閉鎖的な環境に追い込まれ、逃げ場がなくなっていることが挙げられます。
家が広くたくさんの部屋があれば夫婦はお互い顔を合わさずに済みますが、小さなアパートなどの場合、顔を合わせないわけにはいきません。いったんイライラが募ると怒りのやり場がなくなり、暴力につながってしまいます。
また普段は許せるような些細なことでも、四六時中一緒にいて気分転換ができないと強い怒りに変わり、暴力を振るってしまいがちです。

2-2.強いストレス

新型コロナウイルス感染症の蔓延により、世界中の人々が強いストレスを感じています。
いつ収束するかわからない不安感、慣れない在宅ワーク、また収入減少による「生活苦」の危険が現実化しています。このような閉塞的な環境の中、ストレスの矛先が配偶者に向かい、DVにつながります。

2-3.元から行われていたDVが激化するケースも

世界中でDVの報告件数が増えていますが、これらの中には「元からDVが行われていたケース」も多く含まれているといわれます。
もともとはさほど程度が強くなかったところ、今回の外出禁止令で激しさを増したケース、頻度が上がったケースなどです。

3.DV被害に遭ったときの対処方法

3-1.日本でもDVが増えるおそれが高い

日本でも、外出制限によって徐々に人々の感じるストレス度合いが高まっています。
そのため、DV被害の増加、深刻化が懸念されます。

特に以下のような場合、ストレスを溜めた夫と妻が一日中家の中で顔を合わせるようになるので、注意が必要です。

  • ・自営業者が、休業要請を受けて自宅にいるようになった
  • ・解雇され自宅にいるようになった
  • ・非正規雇用者で仕事を失ってしまった

仕事を失わなくても、慣れない在宅ワークのストレスで暴力を振るってしまう人もいます。

3-2.DVを受けたら我慢せずにすぐに相談を!

家庭内暴力は重大な人権侵害行為であり、どのような理由があっても許されるものではありません。「仕事がなくなって悩んでいる」「生活がしんどい」などの事情でも暴力は正当化されません。

日本では、DV被害を受けたときに逃げる場所や逃げる方法が用意されています。一人で悩まず、相談窓口や弁護士に相談し、まずは身を守りましょう。
地域には、警察のほか、配偶者暴力相談支援センターなど、さまざまな相談の窓口があります。どこに相談すればよいか分からないという方のために、内閣府の「DV相談ナビ」もあります。もっとも、緊急の場合は、ためらわずに110番通報をしてください。

離婚するなら、弁護士を間に入れたり離婚調停を利用したりして夫と顔を合わさずに話し合いを進めることも可能です。コロナが理由であっても暴力を振るわれたのであれば、慰謝料も請求可能です。

DV被害を受けているなら、早急にご相談下さい

もしも夫と同居していて電話を利用しにくい状況であれば、メールで問合せをしましょう。当事務所でも「お問い合わせフォーム」からのご相談を受け付けていますので、DVや離婚についてお悩みのことがあれば、お気軽にご利用ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
早稲田大学法学部卒業(3年次卒業)、東京大学大学院法学政治学研究科修了。離婚、相続問題を中心に、一般民事事件や刑事事件など幅広く取り扱う。
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