コラム
公開 2020.02.27 更新 2021.10.04

離婚の方法は?手順を間違えると裁判でも勝てない?

結婚は人生における大きなイベントで準備も大変なものですが、大変なのは離婚も同様です。離婚をするにあたり、知らないと損をしてしまうこともありますので、ここで離婚の方法や知っておくべきことなど、重要なポイントを詳しく解説します。

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気になる離婚の方法とは?正規の手順を解説

離婚の方法と手順

離婚完了までの流れは、基本的には以下のとおりです。

  • ・離婚をすると決断して意思を相手へ打ち明ける
  • ・慰謝料や親権など必要なことについて相談する
  • ・新生活に向けた準備をする
  • ・離婚届を準備して役所に提出する

まずは、離婚をすると自分のなかではっきりと決断するところからはじまります。離婚は重い選択なので、慎重に検討しましょう。衝動的に決めてしまうのではなく、一定のスパンを決めて冷静に自分のなかで答えを出すことをおすすめします。
いろいろな人に相談するのも、判断材料を増やすという意味では効果的かもしれませんが、最終的にはご自分で決断することになります。

離婚を決断したら、次は相手にその意思を打ち明けます。相当な材料が揃っていればスムーズに聞き入れてもらえるかもしれませんが、相手に落ち度がない場合、離婚成立までかなりの期間が必要となるでしょう。

相手と離婚の方向で一致できれば、次は相談にうつります。離婚する理由や子どもの存在にもよりますが、慰謝料・財産分与・親権・養育費といったものに関して話し合うことが必要です。

その後、住居や仕事など新生活に向けた準備をはじめましょう。これまでの住居を離れる場合は、新たにアパートやマンションといった賃貸を借りる、実家に帰るといった選択肢があります。
大変なのは住居よりも仕事でしょう。今後は自分1人で生活を成立させなければならないので、安定した職を見つけなければなりません。

これらすべてが片付いたら、離婚届を準備して役所に届けましょう。離婚と同時に引っ越す場合は、住所変更の手続きも必要です。

このように話し合いのなかでスムーズに解決できる離婚を、協議離婚といいます。多くの離婚は協議離婚で成立しているといわれており、トラブルを最小限に抑えられます。離婚までにかかる期間も短く、費用もかかりません。

ですが、問題なのは話し合いで解決できなかった場合です。
この場合、調停委員を間に挟んで話し合う「離婚調停」で解決を試みます。それでも成立しなかった場合は、家庭裁判所にて「離婚裁判」を行います。

離婚は準備不足だと裁判で不利になる!慰謝料の請求で損をしないために

離婚における話し合いが大きくこじれてしまった場合、離婚裁判で決着をつける必要があります。離婚裁判にまで至るのは、不貞行為などが原因であるケースが少なくないでしょう。

裁判では法律を踏まえて公平な判断がされなければならないため、人情的な部分よりも、目に見える証拠がすべてとなります。そのため、不貞行為などの確固たる証拠を用意しているかどうかで、望んだ慰謝料で離婚を成立させられるかどうかが変わってきます。

たとえば相手の不倫行為が原因だった場合、その不倫行為を証明する写真やメールといったものが必要です。有利に裁判を進められるように、焦らず確かな証拠を集めて離婚裁判に備えましょう。

離婚前に準備しておくべき項目9選とその理由

離婚前に用意すべきことと大切なポイント9選

離婚を成立させるためには、離婚前の準備が大切です。新生活までスムーズに辿り着けるよう、以下の9点を押さえておきましょう。

1.今後の人生設計のために信頼できる相手に離婚相談をする

離婚成立までの道のりは、自分のなかで決断するところからはじまります。離婚は、人生のなかでも大きなイベントです。
このような大きな決断をするには、自分だけの判断に限らず、いくつかの意見を取り入れることも重要でしょう。
ですが、むやみに多くの人に相談するのではなく、できればその道のプロに相談し、自分の意思がぶれないように備えたいところです。意思が固まれば、離婚成立まで心を折らずに向かっていけます。

2.離婚後に安定して生活していけるように就職先の目途をつける

自分1人の収入では生活が苦しくなることが考えられる場合には、離婚後の生活をしっかりと成立させるために、就職先の目途を立てておきましょう。自分がどういう風に生きていきたいのかを考え、離婚後の就職先を検討しましょう。
安定した仕事を見つけられれば、離婚後の経済面での負担を軽減できます。

3.子どもに対してしっかりと説明する

離婚によって、夫婦の間にいる子どもにも大きな影響があります。子どもに対して、離婚についてしっかりと説明しておきましょう。
まだまだ成長途中にある年頃の場合、すぐには飲み込めないことも考えられます。
ですが、強引に自分側に取り入れるようなことはやめ、その子の将来のためにも事実をしっかりと告げましょう。

4.離婚後の自分をより自由にするために住居を検討しておく

離婚後は、仕事先と同じくらい住居の問題が重要です。新たにアパートやマンションなどの賃貸を借りたり、実家に帰ったり、といった選択肢が考えられます。離婚後は、自分1人の自由な時間が圧倒的に増えます。
今後の自分をどうしていきたいかを慎重に考えながら、住居を慎重に検討しましょう。
子どもがいて親権を獲得する場合は、自分1人の意思で決定するわけにはいかないので、この点も覚えておきましょう。

5.熟年離婚なら老後の人生設計も明確に視野に入れる

熟年離婚の場合、経済収入には限度があります。そのため、財産分与に関する話し合いには慎重に臨みたいところです。
お互いにお互いを大切にしあって、老後を快適に暮らしていけるよう、説得する準備をしましょう。財産分与が満足いく形で片付けられれば、老後に新たな人生をはじめられます。

6.人任せではなく自分自身で決断するという覚悟を固めておく

離婚には、役所の人だけでなく、場合によって調停委員や裁判官など、多くの人が関わることになるかもしれません。ですが、根本的には自分と相手の2人の問題であるため、相談相手や調停委員、弁護士といった人たちに委ねるのではなく、最終的には自分の意思を持って決断しなければなりません。

7.合意したことは証明できるように形を残しておく

離婚調停や離婚裁判では、間に第三者を挟むため、話し合いのなかでの「言った言わない問題」を解消できます。一方、円満な離婚を目指して夫婦間での協議を試みる場合だと、口頭で決めたことを証明できるものがないため、後々トラブルに発展してしまう可能性があります。

協議のなかで解決したものは離婚協議書を作成して取り決めますが、作成に至るまでに、決まったことをしっかりと証明できる形で残しておくことが大切です。慰謝料や養育費といった深刻なお金の問題も、「そんなことは言っていない」と言われてしまえばどうしようもありません。
夫婦間での協議は、しっかりと契約書やレコーダーといった形に残して、トラブルを最小限にしましょう。

8.夫婦間の協議で合意できたら離婚協議書を作成する

協議の間で合意できたことは、離婚協議書を作成してまとめておくことで、契約を成り立たせられます。離婚協議書の作成は、法律上で必要とされてはいませんが、契約の不履行が生じた場合、離婚協議書があれば裁判所などで証明できます。

9.事態が深刻であれば協議を優位にすすめる証拠を集める

相手の不貞行為などが原因で離婚する場合は、確かな証拠を用意しておくことで、裁判を優位に進められます。離婚裁判では、目に見える証拠のみをもとに公平に判断されるので、少しでも不備があると不利になりかねません。証拠は多いに越したことはありません。しっかりと用意しておきましょう。

相手から調停に持ち込まれた場合の対応例

相手から離婚調停に持ち込まれた場合、調停委員から聞かれる質問事項を想定して、有利に進められるようにしましょう。

離婚調停では、一般的に以下のようなことを聞かれます。

  • ・2人のなれそめや結婚に至った経緯について
  • ・離婚という決断に至った経緯について
  • ・夫婦関係の修復は見込めないのか
  • ・今の夫婦間での生活はどうか
  • ・慰謝料や親権についてはどうするのか

これらにきちんと答えられるように用意しておけばとりあえず良いでしょう。
ここで気をつけたいのは、しっかりとした事実を告げるということです。「改善するために何度も努力してきたが、やはり駄目だった」という実際の苦労を伝えます。また、夫婦間での現状について言いづらいことだったとしても、有利に調停を進めるために正直に話しましょう。

夫婦の問題でも裁判所は必要?

夫婦の問題でも裁判所の存在は必要です。離婚裁判にはいくつのかのメリットがあります。

  • ・相手がどう考えていようと条件が揃えば離婚を成立できる
  • ・証拠を基に公平で強力な判断が下される
  • ・法のスペシャリストである弁護士に託せられる

いくら2人だけの問題といっても、お金や子ども、それぞれの人生についてなど、重大なことを決めなければならないのが離婚です。離婚までの道のりが複雑すぎると、途中で心が折れてしまうこともあるかもしれません。そんな方にとって、裁判所は頼もしい存在となるのです。

困ったときは弁護士に相談しよう

弁護士は法に関するスペシャリストです。家族や友人と違い、第三者の視点を持ちながら相談者が有利になるように考えてくれます。自分ひとりでは心許ないと感じる場合は、ぜひ検討しましょう。

まとめ

離婚は、夫婦間での話し合いのなかで円滑に成立させることが望ましいですが、すべてがそううまくいくとも限りません。
事態が深刻であれば、離婚調停や離婚裁判といったものが必要です。お金や子どもの問題など、しっかりとした契約書を用意して取り決めないといけない重い問題があるため、離婚の方法や手順などを押さえておくことが大切です。
また、困ったときは弁護士に相談してみましょう。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
中央大学法学部法律学科卒業、中央大学大学院法務研究科修了。離婚、交通事故、相続問題などの一般民事事件を中心に、幅広い分野に積極的に取り組む。
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