コラム
公開 2022.01.28 更新 2023.07.21

離婚裁判とは?裁判の流れや期間、有利に進めるための注意点を弁護士が解説

離婚裁判とは?裁判の流れや期間、有利に進めるための注意点を弁護士が解説

離婚調停が不成立になったら、離婚裁判を提起できます。

裁判で法定離婚事由を立証できれば相手が合意しなくても判決で離婚が認められ、財産分与や慰謝料、親権などの離婚条件も裁判所が判断してくれます。

離婚裁判の審理期間は平均して14か月程度です。

有利に進めるため、弁護士へ依頼しましょう。

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離婚裁判までの流れ

「離婚したい」と思っても、いきなり離婚裁判を起こすわけではありません。
法律上、裁判は最終手段として位置づけられているからです。
まずは一般的な離婚裁判に至るまでの流れを理解しましょう。

STEP1 当事者同士で話し合う

離婚する場合、まずは夫婦が当事者同士で話し合って協議離婚を目指すのが一般的です。
ただしDV事案などで話し合いができない場合、協議のステップを飛ばしてすぐに離婚調停を申し立てるケースもあります。

STEP2 離婚調停を申し立てる

協議が決裂した場合や話し合っても合意できない場合、家庭裁判所で離婚調停を申し立てます。
調停では調停委員を介して相手と話し合います。

STEP3 離婚調停が不成立になる

調停で話し合ってもお互いが合意できなければ、離婚調停は終了します。
離婚裁判を起こすには調停を「不成立」で終了させるのがよいでしょう。
調停を取り下げると調停がなかったことになってしまい、離婚裁判を起こせないことがあるので注意しましょう。

STEP4 離婚裁判を提起する

調停を経た後、離婚裁判(離婚訴訟)を提起できます。
ただし相手が長期間生死不明であるなど、調停をしても明らかに合意成立の見込みがない場合、
例外的に調停をせずに訴訟提起することが認められることもあります。

離婚裁判で判断される内容、離婚が認められる条件

離婚裁判では、以下のような事項について判断してもらえます。

  • 離婚すること
  • 財産分与の方法
  • 年金分割
  • 慰謝料の支払い義務や金額
  • 親権者
  • 養育費

相手が離婚に応じなくても「法律上の離婚原因(法定離婚事由)」を証明すれば判決で離婚が認められます。
また、双方が離婚自体には合意していても、親権者や財産分与などの離婚条件について自分たちで決められないとき、
離婚訴訟を提起すれば裁判所に条件を定めてもらえます。

裁判で離婚できる条件

相手が拒否する場合に裁判で離婚を認めてもらうには以下の5つの「法律上の離婚原因」のいずれか1つ以上を証明しなければなりません。

不貞

相手が他の異性と肉体関係をもった場合、法律上の離婚原因となります。

悪意の遺棄

悪意の遺棄とは相手が「夫婦関係が破綻してもかまわない」と考えて生活費を払わなかったり家出したりした場合です。

3年以上の生死不明

相手が生死不明となって3年以上経過すると、裁判で離婚が認められます。

回復しがたい精神病

相手が重度の統合失調症や双極性障害などの精神病にかかり、これまで献身的に看護してきた事情などがあれば裁判で離婚できる可能性があります。

その他婚姻関係を継続し難い重大な事由

相手から暴力やモラハラ被害を受けている場合、長期間別居状態が継続している場合などには
「婚姻関係を継続し難い重大な事由がある」として離婚が認められる可能性があります。

離婚裁判の流れと期間、長引きやすいケース

離婚裁判の流れと期間、長引きやすいケース
離婚裁判の流れや一般的にかかる期間、特に長引きやすいケースをみていきましょう。

STEP1 離婚裁判を起こす

まずは当事者の一方が家庭裁判所で離婚裁判を起こします。
提訴の際には訴状や証拠、戸籍謄本等の添付書類とともに所定の金額分の収入印紙を提出する必要があります。

STEP2 第1回期日が開かれる

訴状を提出すると相手方にも送達され、多くの場合には第1回期日前に相手方から答弁書が提出されます。
その後第1回期日が開かれてお互いが提出した文書や資料を確認し、次回以降の予定を決定します。
弁護士が代理人となっている場合、その当事者本人は必ずしも出席する必要はありません。

STEP3 争点整理を行う

裁判所の指示の下で当事者双方が主張と証拠を補充していき、争点の整理を行います。

STEP4 尋問を行う

争点整理が終わったら尋問を行います。
離婚裁判の場合、夫婦双方の当事者尋問が行われるのが一般的です。
不貞の有無や内容が争点となる案件では、不貞相手を証人として尋問するケースもあります。

STEP5 判決

審理が終結すると、判決言渡し期日が指定され、判決が言い渡されます。

離婚裁判にかかる期間

裁判所の公表データによると、離婚裁判にかかる平均的な審理期間は14.2か月です(令和2年)。
平成23年以来、長期化する傾向が続いています。

最高裁判所事務総局家庭局 人事訴訟事件の概況
https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html

離婚裁判が長引く場合

離婚裁判が長引きやすいのは以下のようなケースです。

親権について争いがある

子どもの親権について争いがある場合、調査官調査を行わねばならず慎重に審理を進める必要もあって、期間が長くなりがちです。

財産分与について争いがある

財産分与について争いがあると多数の資料提出や照会、財産評価や計算などの対応が必要となり、期間が長くなるケースが多々あります。

争点が多数

慰謝料や財産分与、親権問題などの争点がたくさんあると、争点整理に時間がかかって裁判が長期化する傾向があります。

控訴、上告する場合

一審判決に納得できず当事者が控訴したり、さらに上告したりすると、期間が延びます。

離婚裁判を有利に進めるための注意点

離婚裁判を有利に進めるための注意点
法定離婚事由を証明しなければならない
相手が離婚を拒否している事案で離婚判決を出してもらうには、法定離婚事由を証明しなければなりません。
不貞や生活費不払い、DVなどの証拠が必要です。
立証できなければ離婚請求が棄却されてしまいます。

証拠や資料を事前に集める

裁判は調停と異なり主張と立証が必要です。
証拠のない事実を主張をしても、裁判所がその事実を認定することはほとんどありません。
不貞慰謝料を請求したり、十分な財産分与を受けたり、親権を獲得したりするには、十分な証拠や資料を集めておく必要があります。
裁判を起こす前の証拠収集や準備活動が極めて重要といえるでしょう。

離婚に詳しい弁護士へ依頼する

訴訟は専門的な手続きで、法律の知識やスキルがなければ対応が困難です。
したがって、相手には弁護士が代理人としてついているのに、自分には代理人弁護士がいない場合、かなり不利になってしまう可能性があります。
希望する条件で離婚するため、離婚案件に積極的に取り組んでいる弁護士へ依頼しましょう。
証拠集めや準備段階から相談していると、より有利に進めやすくなります。

離婚裁判を弁護士へ依頼すべきケース

以下のような状況であれば、離婚裁判を弁護士へ依頼することを検討しましょう。

  • 裁判の制度について理解していない
  • 相手に弁護士がついている
  • 証拠の集め方がわからない
  • 書面の作成方法がわからない
  • 書面を作成したり裁判所へ行ったりする手間を掛けたくない
  • 相手が離婚を拒否しているが、どうしても離婚したい
  • 有利な条件で離婚したい
  • 親権をとりたい

まとめ

離婚裁判をすると、自分たちで話し合って合意できない問題について、裁判所の判断を仰ぐことができます。
ただし裁判は主張と立証が必要なので、事前にしっかり証拠を集めて争点に的確に対応した主張書面を提出しなければなりません。
専門的な知識と慎重な検討が必要となるため、
離婚裁判の提起を検討しているなら、早めに弁護士に相談してみましょう。

Authense法律事務所の弁護士が、お役に立てること

離婚事件は親権や財産分与など、とても重要な内容を扱うため、専門家の知識やノウハウをとりわけ活用していただきたい分野です。
特に訴訟(裁判)を行う場合には、平日に裁判所に出廷すること自体ハードルが高いですし、
法律や裁判の仕組みを理解してご自身の主張を的確に書面化・証拠化して進めていくことはとても難しい作業だと思います。
離婚訴訟を有利に進められたい場合は、ぜひAuthense法律事務所にご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶応義塾大学法学部法律学科卒業、上智大学法科大学院修了。個人法務から企業法務まで多様な案件に従事する。特に、離婚、相続を中心とした個人法務については、請求側・被請求側、裁判手続利用の有無などを問わず、数多くの案件を解決してきた実績を有する。
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