コラム
公開 2020.11.11 更新 2021.10.04

同じ相手と不倫が発覚!もう一度、慰謝料請求はできるのか

夫や妻が不倫したとき「別れる」と約束させて慰謝料も支払わせたのに、その後また同じ相手との不倫が発覚するケースがあります。
今回は、再び不倫されたときに、慰謝料請求をもう一度できるのか、金額がどのくらいになるのかなどについて、弁護士が解説します。

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1.1回目の不倫と2回目の不倫が別の不法行為といえる場合

配偶者に不倫されても離婚しないケースは少なくありません。
その場合、通常は不倫相手と決別させて慰謝料を払わせることにより矛を収めます。

多くのケースで「今後一切接触しない」などの接触禁止条項を入れた示談書を作成して不倫の再発を防ごうとしますが、合意に反して再度同じ不倫相手との交際を再開されるケースも少なくありません。

そんなとき、2度目の不倫と1度目の不倫が「別の不法行為」と評価される場合には、別途慰謝料請求をすることができます。

1-1.不法行為とは

不倫によって慰謝料が発生するのは、不倫が「不法行為」に該当するからです。
不法行為とは違法行為によって他人に損害を与えることをいいます。不法行為が行われた場合、被害者は加害者に対して損害賠償請求をすることができます。

1-2.2回目に不倫されたら別途慰謝料を請求しうる

1回目の不倫についての慰謝料等の合意をした後に再度同じ相手と不倫を始めた場合のように、2回目の不倫が1回目の不倫とは別の不法行為と言える場合には、1回目とは別に慰謝料(損害賠償金)を請求できます。

このような場合には、相手から「前に支払ったから今回は支払わなくて良いはずだ」などと反論されても聞き入れる必要はありません。

2.2回目の不倫慰謝料の相場

2回目に不倫されたとき、慰謝料の金額はどのくらいになるのでしょうか?不倫慰謝料の相場は、50~300万円程度といわれることが多いですが、夫婦が離婚するかどうかで金額も大きく変わってきます。
離婚しない場合には100万円以下の金額になることが多いですが、離婚する場合には離婚しない場合に比べて高額となります。

1回目の不倫のときには相手を許して夫婦関係を修復しても、2回目となると精神的苦痛が大きくなりさすがに許せなくて離婚するケースが多いでしょう。その場合、高額な不倫慰謝料を請求できる可能性はあります。

不倫慰謝料が高額になる要因

不倫慰謝料が高額になるのは、以下のような場合です。

  • ・夫婦が離婚する
  • ・婚姻期間が長い
  • ・被害者が精神病になった
  • ・不倫相手や不倫した妻が妊娠した
  • ・不倫相手や配偶者がまったく反省していない
  • ・未成年の子どもがいる、子どもの人数が多い
  • ・被害者が専業主婦で経済力が低い

婚姻期間が10年以上になると慰謝料が300万円を超える可能性も高くなります。

3.1回目の示談書で違約金を定めている場合

1回目の不倫の際、「示談書」に「違約金条項」を定めることがよくあります。違約金条項とは「約束を破ったら違約金(違反金)を支払う」という取り決めです。

3-1.確実に別れさせるための接触禁止条項

不倫された後夫婦関係を修復するには、配偶者に不倫相手と別れてもらうことが必要です。そこで「今後は一切不倫相手と接触しない」という約束をしてもらいます。さらに、その約束を破ったときには違約金を払うという合意をすることもあります。

「一切接触しない」というのは通常、面談や電話、メールやSNS、LINEなどのあらゆる手段による接触をすべて禁止する意味です。ただし職場が同じ場合など一切接触を禁じることが現実的でない場合には、「プライベートで一切接触しない」と約束させるケースもあります。

このような「一切接触してはいけない」という条項を「接触禁止条項」といいます。接触禁止条項は、配偶者が不倫相手と再び不貞行為に及ぶことを防止するための取り決めです。

3-2.接触禁止条項を守らせるための違約金条項

ただ「一切接触しない」と約束しただけでは破られる可能性があります。そこで「約束を破ったときには違約金を支払う」という違約金条項を定めることがあります。「違約金」は法律上「損害賠償額の予定」(当事者があらかじめ約束を守らなかった場合の損害賠償額を定めておくこと)と推定されます。そのため、相当額の違約金を定めておくことにより実際に損害が発生したときに個別に計算をせずスムーズに予定額を払わせることが可能となります。また相手にプレッシャーをかけて不倫の再発を防ぐ効果も期待できます。

1回目の不倫の際の示談で違約金を定めていた場合、2回目に不倫をされたら接触禁止条項に違反することは明らかなので、違約金の支払いを請求できます。

4.違約金の金額

違約金の金額をいくらにするかは、契約自由の原則により原則として自由に定めることができます。
しかし、違約金の金額があまりに高額である場合には、この合意は公序良俗違反として一部または全部が無効とされる可能性があります。
そして、何に対する違約金なのかによっても、違約金の定めの相当性判断は異なります。
つまり、再度不倫をした場合の違約金と、連絡をとった場合の違約金とでは、後者の違約金の方が低く判断されるのが通常です。

5.違約金を超える慰謝料請求は可能か?

配偶者に同じ相手と再度不倫された場合には、違約金で不足する慰謝料を別途請求したいと思うかもしれません。
しかし、違約金は損害賠償額の予定と推定されるので、違約金を定めている場合には、実際に生じた損害が違約金の金額より多くても少なくても、実際に生じた損害の金額を請求することができないのが原則です。
そのため、再度不倫をした場合の違約金を定めている場合には、原則としてそれ以上の金額を請求することはできません。
もっとも、違約金の性質が、損害賠償額の予定とは異なる内容の合意であって、そのことを証明できた場合には、実際に生じた損害を別途請求することも可能です。2回目の不倫で慰謝料請求をするときには、何に対する違約金の定めをしたのか、示談書の記載がどのようになっているかしっかり確認しましょう。

6.まとめ

配偶者が懲りずに再度同じ相手と不倫をしたら、慰謝料請求が可能です。ただし請求できる金額や違約金との関係等は状況に応じて変わってきますので、お一人で悩まず、弁護士に相談してみるのも良いでしょう。
旦那さんや奧さんに不倫されてお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(大阪弁護士会)
京都大学法学部卒業、神戸大学法科大学院修了。不動産法務、離婚、相続、刑事事件を中心とした法律問題を取り扱う。不法行為に基づく慰謝料請求事件や刑事事件の示談交渉などの解決実績を有する。
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