配偶者に不倫されたら、内容証明郵便を使って不倫相手に慰謝料の請求書を送る方が多いでしょう。
ただし内容証明郵便を送るときにはいくつか注意点があります。考えなしに内容証明郵便を送ると、かえってトラブルを大きくしてしまう可能性もあり要注意です。
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1.内容証明郵便を利用する意味
不倫慰謝料請求をするとき、なぜ内容証明郵便を利用するかご存知でしょうか?
まずは内容証明郵便の効果や利用する意味を理解しておきましょう。
1-1.内容証明郵便の法的な効果
世間では内容証明郵便を送ると、記載内容通りに差押えができるようになる等の効果があると思われているケースがあります。内容証明郵便が利用されるのは「最終通告書」や「訴訟、差押えの予告」など法的な請求や通知を行う場面が多いからです。
しかし内容証明郵便自身には送った内容に基づいて差押えを行うことができるわけではありません。内容証明郵便は、記載内容について内容が真実であることを証明するものではないからです。内容証明郵便は、郵便の1種に過ぎず、基本的には普通郵便や書留式の郵便と同じで、送った相手に記載した内容を伝えるという役目があるにすぎません。普通郵便と異なる点は、郵便を出した内容、発送日、相手が受け取った日付等を郵便局が証明してくれるという点です。
そのため、書面での「請求」によって時効期間を6か月間延長する際は、相手方が受け取った日付を証明することができる内容証明郵便を用いるべきです。
1-2.相手にプレッシャーをかけられる
慰謝料請求等で内容証明郵便を用いるメリットはなんでしょうか?
1つには受け取った相手に強いプレッシャーをかけて慰謝料の支払いを促すためです。
内容証明郵便は通常の郵便とは異なる特殊な書式となっており、相手に直接手渡されます。
また、内容についても「支払いに応じない場合には法的措置をとります」などと記載することで、受け取った人に心理的なプレッシャーを与えるため、支払いに応じさせやすくする効果があります。
1-3.証拠を残せる
内容証明郵便を発送すると、発送日付が記録されて差出人と郵便局に控えが残り「配達証明」というサービスを利用すると、相手が郵便物を受け取った日にちも明らかになります。
このように日付と請求内容を保存することにより、確実に慰謝料請求をした証拠を残せますし、相手が受領した日付も証明することができます。
後に訴訟になったときにも内容証明郵便や配達証明書を証拠として提出できます。
2.【注意点】内容証明郵便の発送方法は2種類から選べる
内容証明郵便を発送するときには、2種類の方式から選択できます。どちらを利用するかで書き方や発送方法が大きく変わってくるので注意が必要です。
2-1.郵便局から発送する方法
郵便局から発送する方法は、昔からあるオーソドックスなやり方です。内容証明郵便の文章を紙で3通作成し、営業時間内に郵便局へ持ち込む必要があり、ポスト投函はできません。その場で料金を払えば郵便局から内容証明郵便を発送してもらえます。
2-2.ウェブ上で発送する方法
もう1つはウェブ上から内容証明郵便を発送する方法で「電子内容証明郵便」とよばれます。
電子内容証明郵便の場合、24時間いつでもネット上から発送できますし、紙に印刷する必要もありません。まずはユーザー登録を行ってから文章を作成し、ボタンをおして発送します。代金はクレジットカードを使って払うことも可能です。平日の昼間に忙しくしておられて郵便局に行く暇のない方は、電子内容証明郵便を利用すると良いでしょう。
日本郵便「電子内容証明」
https://e-naiyo.post.japanpost.jp/enaiyo_kaiin/enaiyo/enkn110/engm111.xhtml#
以下では内容証明郵便の書き方の注意点を、紙の内容証明郵便と電子内容証明郵便に分けてみていきます。
3.紙の内容証明郵便の書き方の注意点
紙の内容証明郵便を利用する場合、以下の点に注意してください。
3-1.書式が決まっている
紙の内容証明郵便の場合、1通に書ける文字数と行数が決まっています。
縦書きの場合
- 1行20文字以内
- 1枚26行以内
横書きの場合
以下のいずれかの書式を利用します。
- 1行20文字以内
- 1枚26行以内
- 1行26文字以内
- 用紙1枚20行以内
- 1行13文字以内
- 用紙1枚40行以内
パソコンで作成するときにも、上記の書式設定にして文書を作成する必要があります。
3-2.利用できる文字の種類や文字数のカウント方法が特殊
句読点は1文字扱いとなるので、句読点によって1行の文字数がいっぱいになったら改行が必要です。㎡や➀は2文字扱いです。英字は氏名・社名などの固有名詞以外では原則利用できません。このような細かいルールがあるので守って文章を作成する必要があります。
3-3.間違えたら訂正印が必要
間違った場合、二重線で消して訂正印を押し、欄外に「〇字削除」と記載し、その記載にも押印を行う必要があります。発送するときに訂正を求められるケースも多いので、必ず署名押印に用いた印鑑を郵便局へ持参しましょう。
3-4.取扱い郵便局が限定されている
内容証明郵便を発送できる郵便局は限定されています。事前に取扱いがあるかどうかを確認してから郵便を持ち込みましょう。
4.内容証明郵便に書く内容の注意点
不倫慰謝料の内容証明郵便を送るときには、内容面でも注意が必要です。
重要なのは以下のような点です。
4-1.脅迫、恐喝にならないように注意
「払わないとあなたの子どもも無事では済みませんよ」「家を燃やしてやりたい」「あなたの家族もめちゃくちゃにしてやる」など相手に対して危害を加えることを告げる脅迫、恐喝に当たるような記載をすると、脅迫罪、恐喝罪等が成立する可能性があります。そのため、脅迫や、恐喝に当たるような文言は記載しないよう注意が必要です。
4-2.話し合いの余地があることを明記
慰謝料請求をするときには、話し合いの余地があることを明記しておくようお勧めします。「300万円を一括で払わないと訴訟します」としか書かれていないと、相手は「それなら裁判してもらうしかない」と考えて連絡をよこさず、訴訟せざるを得なくなってしまう可能性が高くなるからです。「貴殿のご意向について以下の連絡先にご連絡をお願いします」などと書いて話し合いを希望していることを伝えましょう。
4-3.請求金額について
不倫の慰謝料請求において、裁判所で慰謝料として認められる金額は、離婚する場合でだいたい150~300万円程度であるケースがほとんどです。
請求額については、自由に記載できるとはいえ、1,000万円や2,000万円などの法外な請求をすると、相手が、話し合いの余地はないと判断し、無視をされる可能性が高くなります。
そのため、請求金額については、裁判所で認められる金額を念頭において請求することが望ましいといえます。
もっとも、相手方の資力や社会的地位によっては、裁判で認められる可能性のある金額よりも高い金額で合意ができる可能性もあるため、請求金額としては、相場より多少高めにし、相手の返答次第で金額を調整することをお勧めします。
不倫慰謝料を請求するときにはいろいろな注意点があります。迷ったときには弁護士に相談してみると良いでしょう。
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