離婚届の用紙は、市区町村役場まで取りに来るようにとの運用をしてしいる市区町村は少なくありません。
しかし、市区町村役場は原則として平日の日中しか開いておらず、用紙を取りに行くためだけに仕事を休みたくないという場合も少なくないでしょう。
今回は、用紙がダウンロードできる市区町村役場のホームページを紹介するとともに、ダウンロードをした用紙を使用する際の注意点などについて弁護士がくわしく解説します。
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離婚届のダウンロードはこちらから
離婚届の様式がホームページに掲載されていない市区町村も存在する中、次の市区町村ではダウンロードできる様式が掲載されています。
下記のページから、それぞれダウンロードして使用するとよいでしょう。
なお、大阪市の様式以外は届出先の市区町村名を記載する左上の「〇〇長」が空欄となっているため、原則として他の市区町村でも使用することが可能です。
東京都江東区の離婚届
東京都江東区の離婚届ダウンロードページは、次のとおりです。
東京都江戸川区の離婚届
東京都江戸川区の離婚届ダウンロードページは、次のとおりです。
横浜市の離婚届
横浜市の離婚届ダウンロードページは、次のとおりです。
大阪市の離婚届
大阪府の離婚届ダウンロードページは、次のとおりです。
なお、こちらはあらかじめ「大阪市」との印字がありますので、他の市区町村では使用できません。
離婚届をダウンロードして使用する際の注意点
ダウンロードした離婚届を使用する際には、次の点に注意しましょう。
A3用紙で印刷する
離婚届は、A3用紙で印刷しなければなりません。
一般家庭にA3のコピー機があることは稀ですので、コンビニなどで印刷をするとよいでしょう。
なお、ダウンロードした離婚届の様式をスマホに保存しておくことで、コンビニのコピー機で印刷することが可能です。※1 ※2
コンビニでの印刷には専用のアプリが必要となる場合がありますので、あらかじめ確認して必要なアプリをダウンロードしておくとよいでしょう。
拡大や縮小をしない
ダウンロードした離婚届の様式は、拡大や縮小をせずそのまま印刷をしてください。
多少の縮小などであれば受理される可能性が高いものの、たとえばA3用紙の中央に小さく印刷するようなことは避けましょう。
他の市区町村の様式は使えないことがある
市区町村によっては、他の市区町村のホームページからダウンロードをした様式を受理しない場合もあります。
そのため、他の市区町村の様式をダウンロードして使用する際には、あらかじめ提出先となる市区町村へ電話などで確認しておくとよいでしょう。
離婚届の書き方のポイント
こちらは、江東区のホームページに掲載されている記載例です(参考:https://www.city.koto.lg.jp/060302/kurashi/jumin/koseki/documents/rikonnkinyuurei.pdf)。
離婚届を書く際には、次のポイントに注意をしましょう。
日付は空欄とする
様式の左上、枠外にある日付は、実際に提出をする日付です。
そのため、ここは空欄のままで市区町村役場へ持っていき、受理される際に書き入れるとよいでしょう。
住所は離婚届を出す時点での住民票上住所を書く
夫婦それぞれの氏名欄の下にある住所欄は、離婚届を出す時点における、住民票上の住所を記載します。
今後新たに住む住所を書くわけではないことには注意しましょう。
ただし、転居後の住所地となる市区町村役場に離婚届を提出する場合で、かつ転居届を一緒に提出する場合は、例外的に転居先となる新住所と、新たな世帯主を記入します。
住所は「1-1」などハイフンで記載をせず、「1番地1号」などと正しく記載してください。
本籍は離婚前の本籍地を書く
住所の下にある「本籍地」欄には、離婚前の本籍地と筆頭者名を記載します。
筆頭者とは、戸籍の一番上に記載されている人のことです。
婚姻前の氏にもどる者の本籍欄に注意する
「婚姻前の氏にもどる者の本籍」欄には、その婚姻で名字を変えていた人について記載する欄です。
たとえば、妻が婚姻により旧姓である「鈴木 花子」から新姓である「山田 花子」に変えていた場合には、妻について記載をします。
この場合には、掲載した記載例のとおり、まず「妻」にチェックを入れましょう。
次に、その右の「もとの戸籍にもどる」か「新しい戸籍をつくる」にチェックを入れます。
「もとの戸籍にもどる」とは、婚姻前に入っていた戸籍(父母の戸籍など)に戻ることです。
一方、「新しい戸籍をつくる」とは、妻が筆頭者となって新たな戸籍を編製することを指します。
ただし、次の場合には「もとの戸籍にもどる」ことはできず、「新たな戸籍をつくる」しかありません。
- 子どもを自分と同じ戸籍に入れたい場合:戸籍法の規定により三世代が同じ戸籍に入ることはできません
- 婚姻時の姓を名乗り続ける場合:同じ戸籍に、異なる姓の人が入ることはできません
- もとの戸籍が除籍されている場合:もとの戸籍に入っていた人の全員が、死亡や婚姻などで抜けている場合などです
その下の欄に、新たに入る戸籍の本籍地と筆頭者を記載します。
両親の戸籍などに戻る場合には、もどる先の戸籍の情報を記載してください。
一方、新たに戸籍をつくってそこに入る場合には、新たに本籍地をしたい場所と新たな戸籍の筆頭者(旧姓に戻るのであれば、「鈴木 花子」)を記載しましょう。
なお、本籍地はどこであっても構いませんが、あまり突拍子もない場所にすると戸籍謄本の取り寄せなどが面倒です。
そのため、通常は住んでいる場所か、実家の所在地などとすることが多いでしょう。
未成年の子がいれば氏名を記載する
離婚する夫婦に未成年の子どもがいる場合には、「夫が親権を行う子」または「妻が親権を行う子」の欄に子どものフルネームを記載します。
なお、親権と名字は、必ずしも一致するものではありません。
仮に、旧姓に戻す妻が子どもの親権を持つ場合であっても、特に手続きをしなければ子どもの名字は夫側のままであり、子どもの戸籍も夫の側に入ったままとなります。
仮に、妻が親権を持つ未成年の子どもを妻の旧姓として妻側の戸籍に入れたい場合には、家庭裁判所に子の氏の変更を申し立てることが必要です。
押印は任意である
令和3年(2021年)9月1日以降、離婚届への押印は任意(押しても押さなくても構わない)とされています。※3
様式には「印」の表記が残っていることが多いものの、押印をしなくても構いません。
2名の証人に署名などをしてもらう
裁判所を介さず夫婦の話し合いで離婚をする場合には、離婚届に2名の証人の署名が必要です。
証人は、未成年者でなければ誰であっても構いません。
実際には、両親や兄弟、友人などに依頼することが多いでしょう。
心当たりがない場合には、有料の証人代行サービスへ依頼することも可能です。
離婚届を出す前に主に検討すべきこと
離婚届を出す前に、次の点についてよく検討しておきましょう。
それぞれ、適正額がわからない場合や具体的な交渉の進め方などがわからない場合には、弁護士へご相談ください。
親権について
親権とは、未成年の子どもの利益のために監護や教育を行ったり、子の財産を管理したりする権限です。
離婚にあたっては、夫婦のいずれかが子どもの親権を持つことになります。
親権を持たなかった親には原則として面会交流権があるものの、これまでのように自由にいつでも会うことは難しくなるでしょう。
養育費について
養育費とは、子どもの監護や教育に必要な費用です。
婚姻期間中はいわゆる家計費から養育費を負担するため、特に意識しないことが多いでしょう。
しかし、離婚後は夫婦の財布が別になるため、それぞれが負担する養育費を決めておく必要が生じます。
実際には、親権を持たなかった側の親が、親権を持った側の親に対して支払う形で負担することが一般的でしょう。
養育費の受け取りは、子どもにとっての権利です。
裁判所が算定表を公表していますので、こちらを参考に適正額の授受を取り決めておきましょう。※4
財産分与について
財産分与とは、離婚にともなって夫婦の財産を清算することです。
たとえば、夫婦のうち主に外部からの収入を得ているのが一方のみ(仮に、夫)であった場合、夫のみが財産を保有しており、妻名義の財産がほとんどないという場合も少なくありません。
しかし、名義はどうあれ、婚姻期間中に夫婦の協力で築いた財産はすべて夫婦の共有財産です。
なぜなら、一方が外部から収入を得られたのは、もう一方の内助の功があったためだと考えられるためです。
財産分与の割合は原則として2分の1であり、婚姻期間中に築いた多くの財産を持っている側がもう一方に分ける形で財産分与を行います。
慰謝料について
慰謝料とは、精神的な苦痛に対して支払われる金銭です。
離婚をするからといって、必ずしも慰謝料請求の対象となるわけではありません。
しかし、たとえば一方の不貞行為が原因で離婚に至った場合など、夫婦の一方に離婚原因を作った責任がある場合には、慰謝料請求ができる可能性があります。
公正証書にしなくてよいかどうか
裁判所が関与せず、夫婦のみで離婚条件の取り決めをする場合には、任意の合意書などを作成するケースが散見されます。
中には、書面さえ作成せず、口頭やLINEなどでのみ取り決めをするケースもあるでしょう。
しかし、これらの場合には仮に相手が約束を守らなかった場合に、すみやかに対応することができません。
一方、取り決めを公正証書にしておけば、仮に相手が養育費を滞納するなど約束を破った際の取り立てが容易となります。
公正証書があれば、相手の財産や給与などを差し押さえることができるためです。
そのため、特に長期に渡って受け取りが発生する養育費などについて取り決めをする場合には、公正証書にしておくことを検討するとよいでしょう。
離婚について弁護士に相談したほうがよい主なケース
次の場合などには、離婚について弁護士へ相談されることをおすすめします。
相手が離婚に応じない場合
離婚をしたいにも関わらず、相手が離婚に応じない場合には、弁護士へご相談ください。
相手の不貞行為など法律上の離婚事由に該当する場合には、たとえ相手が離婚を頑なに拒んでも離婚できる可能性があります。
直接の離婚交渉に不安がある場合
相手からモラハラやDVの被害を受けている場合などには、相手と直接離婚の交渉をすることに不安を感じることでしょう。
その場合には、弁護士への相談がおすすめです。
弁護士へご依頼頂くことで、弁護士が代理で交渉したり、交渉の場に立ち会ったりすることが可能となります。
不利な条件を飲まされそうな場合
相手と直接交渉をしてしまえば不利な条件で丸め込まれてしまいそうな場合には、弁護士へ相談するとよいでしょう。
弁護士が代理で交渉することで、適正な条件での離婚がしやすくなります。
慰謝料請求をした場合
相手に対して慰謝料請求をしたい場合には、弁護士への依頼がおすすめです。
弁護士へ依頼することで、事案に応じた適正な慰謝料を受け取れる可能性が高くなるでしょう。
まとめ
離婚は、お互いが署名をした離婚届の様式を市区町村役場に提出すれば、簡単に成立します。
しかし、さまざまな取り決めをしないままで離婚届を出してしまえば、後悔することにもなりかねません。
離婚を検討している場合には、離婚届に署名をする前に、弁護士へ相談しておくことをおすすめします。
Authense法律事務所では離婚問題の解決に力を入れており、初回は無料でご相続いただくことが可能です。
離婚をご検討の際には、ぜひAuthense法律事務所までご相談ください。
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※3 法務省:戸籍届書の様式変更について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00827.html
※4 裁判所:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について
https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html
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