コラム
公開 2021.05.11 更新 2021.10.04

へそくりも財産分与の対象に!併せて知りたいへそくりの調査方法も解説

離婚する際には財産開示をして、相手と財産を分け合わなくてはなりません。へそくりも基本的に財産分与の対象になります。
へそくりを隠しても、預金口座を照会されたり裁判所から調査嘱託されたりして発覚する可能性があります。離婚後も2年間は財産分与請求できます。

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1.へそくりも財産分与の対象になる可能性がある

婚姻中に相手に内緒でへそくりしていた場合、離婚時に財産分与の対象にしなければならないのでしょうか?せっかくこれまで相手に知られないように貯蓄をしてきたのに、離婚時に相手に分けるのは嫌だと考える方も多いでしょう。

しかし、へそくりを財産分与の対象にしなければならないケースもあります。

以下でへそくりが財産分与の対象になる場合とならない場合に分けて、みていきましょう。

1-1.へそくりが財産分与の対象になる場合

財産分与とは、夫婦が婚姻中に積み立てた共有財産を離婚時に清算することをいいます。
共有財産となるのは「夫婦が婚姻中に協力して形成した資産」。よって、自分や相手の給料、収入をへそくりの資金にした場合、そのへそくりは財産分与の対象になるのが基本です。
へそくりは、以下のようなかたちで作っている方も多いと考えられますが、すべて財産分与の対象となります。

  • ・ネット口座
  • ・電子マネー
  • ・キャッシュレス決済アプリなどのチャージ分
  • ・国債
  • ・株式

とくに最近ではWAONやEdyなどの電子マネーやPaypayなどのキャッシュレス決済アプリにお金をためている方も多数おられますが、こういったものも財産分与の対象になるので注意しましょう。

1-2.財産分与の対象にならない場合

以下のようなへそくりは、財産分与対象になりません。

・独身時代から持っていた財産

独身時代から持っていた預貯金や株式などの財産は特有財産となるので財産分与の対象になりません。

・独身時代から持っていた財産が形を変えたもの

独身時代から持っていた株を売却して預金に変えた場合などには、財産分与の対象になりません。

・親から贈与された財産、相続した財産

親や親族から贈与された財産や相続した財産についても、本人の特有財産となるので財産分与の対象になりません。

2.へそくりは調べられるのか?

へそくりは調べられるのか?

もしもへそくりを隠し持っていて相手に開示しなかった場合、調べられてしまうのでしょうか?へそくりの調査方法をみてみましょう。

2-1.口座がわかれば開示請求される

相手が口座内容の詳細を把握していなくても「どこの銀行のどこの支店に口座があるのか」を知られたら、任意での開示を求められる可能性が濃厚です。拒み続けるといつまでも財産分与の合意ができず、離婚の話し合いが進まなくなってしまうでしょう。そうなると、やがて離婚調停や訴訟を申し立てられて、裁判所からも開示を促されます。

いったん口座の存在を知られたら、いずれは開示せざるを得なくなると考えましょう。

2-2.弁護士を使って情報照会される

こちらが任意で開示しない場合、相手は弁護士を使って情報照会する可能性があります。弁護士には「弁護士法23条照会」という情報照会を行う権限が認められているからです。
こちらの預金口座を知られていたら、取引明細書などを取得されて内容を知られる可能性があるといえるでしょう(ただし、弁護士会照会であっても、口座名義人の同意がないと回答しない金融機関が多いのが実際です)。

2-3.裁判所から調査嘱託される

離婚調停や訴訟になると、相手が裁判所へ情報照会を申し立てることができます。裁判所が必要と認めたら、「職権調査嘱託」という方法で金融機関や証券会社などへ情報照会され、明細を知られてしまうでしょう。

3.へそくりが後から発覚した場合のリスク

離婚時に相手にへそくりを開示せず、後から発覚したらどういったリスクがあるのでしょうか?

3-1.あらためて財産分与請求される

財産分与請求は、離婚後でも可能です。法律により、離婚後2年以内であれば財産分与を求められると定められているからです。
離婚後にへそくりが発覚したら、相手は財産分与を求めてくるでしょう。話し合いで合意できなければ、家庭裁判所で財産分与調停を申し立てられて大きなトラブルになる可能性もあります。

3-2.詐欺になる可能性がある

相手にへそくりを開示せずに財産分与を行うと、相手から「詐欺」であると主張される可能性があります。相手は「詐欺取消」として、財産分与が無効だったと主張するかもしれません。相手の主張が認められた場合には、財産分与を全部やり直さなければならないでしょう。
また離婚後2年以上が経過した場合でも、相手が「不法行為(詐欺)にもとづく損害賠償請求」としてへそくりの財産分与相当額を要求してくるリスクが発生します。

へそくりを隠すと、後から大きなトラブルになるリスクが高いと考えましょう。

4.相手のへそくりを開示させる方法

相手のへそくりを開示させる方法

離婚協議中、相手がへそくりを作っている可能性もあります。その場合、以下のようにして調べてみてください。

4-1.郵便物をチェック

まずは郵便物に注意しましょう。銀行や証券会社と取引していたら、定期的に郵便によるお知らせが届きますし、株式配当のお知らせもきます。
相手方宛に銀行や証券会社、信託銀行などから通知が来ていたら、差出人の金融機関名や支店名をチェックしておきましょう。

4-2.スマホのアプリやPCのお気に入りをチェック

最近では電子マネーやキャッシュレス決済アプリにお金をチャージしている人も増えています。
相手のスマホアプリやPCのお気に入りサイトを見て、ネット銀行やネット証券にアクセスしていないか調べてみましょう。アプリやお気に入り登録されていたら、へそくりがある可能性が濃厚といえます。

4-3.弁護士へ相談

銀行口座や証券口座がどこにあるかわかっても、取引内容までは明確になりません。
自分で調べるには限界があるので、弁護士に相談しましょう。
弁護士であれば、23条照会によって調査できる可能性があります。金融機関が回答しない場合、裁判所へ調停や訴訟を申し立てを行った上で、調査嘱託の申し立てを行い、調べる方法もあるので、あきらめる必要はありません。

4-4.証拠保存が大切

相手が銀行口座や証券口座、電子マネーなどを持っていると考えられる場合、なるべく「証拠」をとっておくべきです。たとえば郵便物のコピーをとったりスマホ、PCのスクショを撮影したりして、「ここに財産がある」といえる根拠を用意しましょう。

まとめ

財産分与の際、へそくりが紛争の種になるケースは少なくありません。自分のへそくりがどうなるのか心配な方、相手のへそくりを開示させたい方は、お早めに弁護士までご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
早稲田大学法学部卒業、一橋大学大学院法務研究科修了。離婚、相続問題等の一般民事事件や刑事事件、少年事件、企業の顧問など、幅広い分野を取り扱う。
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