コラム
公開 2021.04.20 更新 2021.10.04

ゴールデンウィークに考えたい別居中・離婚後の生活費

「離婚や別居をしたいけど、生活費が不安。ちゃんと考えたいけど時間が無い…」
まとまった時間が取れるゴールデンウィークに、別居や離婚における生活費について考えてみませんか。別居や離婚を考えるとき、気になるお金の話。子どもがいる方は、子どもの養育費も考えなければなりません。
今回は、別居時や離婚後の生活費、行政からの手当などについて弁護士が解説します。

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1.別居中の生活費

まずは離婚前に別居する場合、生活費をどのように工面すれば良いのか、みていきましょう。

1-1.別居中には配偶者へ生活費を請求できる

離婚前に別居する場合、収入の低い配偶者は高い配偶者へと生活費を請求できます。
民法上、夫婦には互いに助け合うべき相互扶助義務があるからです。夫婦が分担すべき生活費を「婚姻費用」といいます。
専業主婦の方、パートの兼業主婦の方、相手方と収入格差のある方が夫と別居すると、離婚するまでの間、相手から「婚姻費用」を支払ってもらえると考えましょう。

1-2.婚姻費用の金額

婚姻費用の金額は、夫婦の収入状況によって決まります。払う側の収入が高い場合や受け取る側の収入が低い場合に金額が上がります。
裁判所のホームページで婚姻費用の相場が公表されているので、参考にしてみてください。

裁判所:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について
https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html

1-3.婚姻費用の請求方法

婚姻費用は、基本的に夫婦が話し合って自分たちで決定するものです。別居前に生活費の話し合いをして金額や支払い方法を取り決め、別居後期間を空けずにスムーズに支払ってもらうのが理想です。
ただし、別居前に話し合いができないケースも少なくありません。その場合、別居後家庭裁判所で「婚姻費用分担調停」を申し立てて、調停内で話し合いを進めます。
調停もまとまらなかった場合、裁判所の「審判」という手続きで金額を決定してもらえます。審判で決まったことに相手が従わない場合には、相手の給料や預貯金を差し押さえて生活費を回収できます。
調停を申し立ててから成立するまでは最低2~3か月程度かかります。生活が逼迫していてすぐにでも支払いを受けなければならない場合には、婚姻費用の「仮払い」という方法で調停が成立する前に婚姻費用の一部を支払ってもらえる可能性もあります。生活費に不安があるときには、一度弁護士にご相談ください。

2.離婚後の生活費

離婚後の生活費

次に離婚後の生活費についてみていきましょう。

2-1.離婚後は配偶者へ生活費を要求できない

離婚すると夫婦ではなくなります。相互扶助義務もなくなるので、元の配偶者へ婚姻費用を請求することはできません。

2-2.子どもの養育費

未成年の子どもがいる夫婦の場合には、離婚後も子どもの「養育費」を請求できます。
夫婦は離婚すると他人になりますが、両親が離婚しても子どもと親の関係は一生続くからです。
親には子どもへの扶養義務があるので、たとえ親権者にならなかったとしても親は子どもへ養育にかかる費用を支払わねばなりません。
養育費の金額も婚姻費用と同様、両親の収入状況に応じて決定されます。ただし婚姻費用と異なり配偶者の生活費が入っていない分、離婚前の婚姻費用よりは金額が低くなります。
裁判所が定める基準があるので、こちらの算定表をもとにして妥当な金額を決定しましょう。

裁判所:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について
https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html

2-3.離婚時の財産分与や慰謝料

離婚時に財産分与や慰謝料を受け取った場合、そのお金を離婚後の生活費に充てることも考えられます。例えば、財産分与で300万円を受け取ったら、そのお金を月々の生活費に充てることができます。
また、相手の有責行為により慰謝料を受け取ることになり、相手の慰謝料を分割払いにして毎月定額を受け取る場合、そのお金を毎月の生活費に充てられます。

2-4.行政の支援制度

離婚後の生活を考えるとき、相手からの養育費や離婚時の財産分与・慰謝料だけでは不安があります。養育費だけでは充分な金額にならないケースも多々あります。
子どもを引き取って、「ひとり親」になる場合、国や自治体のシングルマザー支援制度(ひとり親支援制度)を利用できる可能性があります。

児童手当

児童手当は、中学校卒業までの子どもがいる家庭に一定額の給付金が支給される制度です。中学生までの子どもがいる世帯が対象なので、婚姻中から受け取っていた方が多いでしょう。子どもの年齢や人数、養育している親の所得によって金額が異なります。婚姻中は世帯主へ支払われるので、離婚して自分が世帯主に変わる場合、受取人の変更手続きが必要です。

児童扶養手当

離婚してひとりで子どもを育てる場合、児童扶養手当という給付を受けられる可能性があります。
児童扶養手当とは、ひとりで子どもを育てていて、所得が一定以下の方に給付される手当です。
所得が低いほど高額な支給を受けられる仕組みになっており、最高額は子ども1人あたり毎月4.3万円程度です。ただし所得が上がると段階的に金額が減り、最低額は1万円程度になります。また所得制限があるので、所得が一定以上になると受け取れません。
児童扶養手当は子どもが18歳になるまで受け取れます。早めに役所で手続きを行いましょう。

医療費や家賃の助成

ひとり親家庭の場合、医療費や家賃の助成も受けられる可能性があります。
子どもや親が病院を受診する際に一定以上の負担が免除されたり、家賃の一部を自治体が負担してくれます。
これらの支援は各自治体が行っており、助成内容も自治体によって異なります。
制度の内容や利用できる条件など、お住まいの自治体の窓口に相談してみましょう。

3.生活が不安で離婚を迷っているなら、弁護士までご相談下さい

「離婚したら生活費が心配」というご相談は非常に多いのですが、最終的には「生活保護」という手段もあります。生活保護を受けながら子どもを育てている方もたくさんいらっしゃるので、受給を躊躇する必要はありません。今の日本では「生活ができなくて破綻する」といった状況にならないよう、最低限の生活保障制度が整っています。生活の不安を抱えて離婚を迷っているなら、ぜひオーセンスの弁護士までご相談下さい。現状に応じてアドバイスをさせていただきます。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
中央大学法学部法律学科卒業、中央大学大学院法務研究科修了。離婚、交通事故、相続問題などの一般民事事件を中心に、幅広い分野に積極的に取り組む。
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