コラム
公開 2020.11.09 更新 2021.10.04

離婚後の生活費はどうする? 離婚後の生活に困らないために知っておきたいこと

離婚を考えるとき、「離婚して、本当に生活していけるのか…」など、特に未成年の子どもがいる場合には、離婚後の生活費が心配になるものです。
今回は、「離婚後の生活費はどうする?」について、離婚後の生活に困らないために知っておきたいことを、各市区町村の手当・助成制度なども紹介しながら、弁護士がわかりやすく解説します。

オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。

離婚後にかかる生活費

離婚後にかかる生活費は、地域差もありますが、大人1人が生活するのに13~20万円程度、子どもがいれば20万円以上かかるケースも少なくありません。
まずは、一般的な家計簿の費目を参考に、離婚後どのくらいの生活費がかかるのか確認してみましょう。

固定費

  • ・住居費(家賃・住宅ローン・マンション管理費など)
  • ・水道光熱費(水道代・電気代・ガス代など)
  • ・通信費(携帯電話・インターネット料金など)
  • ・保険料(生命保険・個人年金など)

変動費

  • ・食費
  • ・日用品費
  • ・被服費
  • ・教育費(入学金・学費・給食費・部活動費・通学費など)
  • ・医療費
  • ・交際費
  • ・雑費
  • ・上記以外

生活費(婚姻費用)はいつまでもらえる?

別居していても、婚姻期間中は、生活費として、「婚姻費用」を請求することができます。
これは、夫婦にはお互いに扶助義務(助け合う義務)があるからです。
しかし、離婚すると夫婦は他人になるので、扶助義務がなくなり婚姻費用の請求はできなくなります。

離婚後の生活費はどうすればいい?

離婚する時に、財産分与や養育費などを受け取ることができれば、離婚後の当面の生活も安心できるでしょう。
また、各市区町村の手当てや助成制度などの受給条件や必要な手続き、給付までの期間などはあらかじめ調べておくとよいでしょう。

財産分与

財産分与は、夫婦の共有財産を離婚する時に分け合うことです。夫婦の預貯金や生命保険、不動産など、原則2分の1ずつに分けられます。

慰謝料

慰謝料は、配偶者の浮気や不倫、配偶者からのDVやモラハラなど、夫婦のどちらかに有責性(婚姻関係を破綻させた責任)がある場合に請求することができます。
内容や程度によって異なりますが、100~300万円の範囲内となる事例が多いです。

養育費

離婚後、子どもと一緒に生活していく場合、養育費を受けとることができます。
相手方との取り決めの内容にもよりますが、養育費の支払期間の終期(例えば「大学を卒業するまで」、「22歳に達する年度の3月まで」)まで、子どもの生活費に充てることができます。
養育費の金額は、裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」が参考になります。

手当て・助成

各市区町村では、ひとり親家庭や受給対象となる家庭に支援する仕組みがあります。
例えば、児童扶養手当や子ども医療費助成などがそうです。

各市区町村の手当て・助成など

各市区町村には、ひとり親家庭への手当て・助成制度など、さまざまな支援の仕組みがあります。ここでは、その一部をご紹介します。
所得制限や申請が必要なものがあるため、詳細は、各市区町村のホームページなどで確認しておきましょう。

児童扶養手当

児童扶養手当は、18歳以下の子どもがいるひとり親に支給される手当です。子どもが一人の場合、最高額は月額4万円程度になります。子どもの数が多いと増額されます。
ただし所得制限があるため、一定以上の収入のある方は受け取れません。また役所で申請が必要です。

児童手当

婚姻中にも児童手当を受給している方もいらっしゃると思いますが、離婚後も引き続いて児童手当を受給できます。ただし婚姻中に配偶者が受取人となっていた場合、離婚後は変更する必要があります。また児童手当にも所得制限があります。

ひとり親家庭への医療費補助

ひとり親家庭の場合、親や子どもの医療費の補助を受けられます。具体的な補助の内容は自治体によって異なります。利用の際には自治体へ申請しましょう。

乳幼児医療費助成

子どもが乳幼児の場合、医療費の助成を受けられます。ただし所得制限があります。受給を希望するなら自治体に相談してみましょう。

住居費の助成や優先入居

各自治体で、住居費の助成が行われています。家賃の一部が支払われるので、自己負担が小さくなります。また公営住宅に優先的に入居できる自治体も多いですし、東京都では「母子アパート」というひとり親家庭専門の住居が用意されています。
所得制限があるケースが多く利用するには申請が必要なので、まずは役所で相談してみましょう。

就労支援制度

ひとり親が就職のために資格を取得する際、専門学校の費用の一部を国から支給してもらえる制度があります。
一般的な訓練給付金として「母子家庭自立支援教育訓練給付金」、看護師や介護士の資格を取るための制度として「母子家庭高等技能訓練促進費等給付金」があります。

パソコン、医療事務、看護師や介護士などの勉強をしたり資格を取得したりする際に一定金額を支給してもらえるので、これから資格の勉強をしたい方は、助成制度の適用対象となる学校を選んで申請しましょう。

就学支援制度

お金がなく子どもの就学が難しい家庭に向けて、各自治体では就学支援制度が用意されています。学用品などの現物支給のケースもあれば、給食費などの費用助成のケースもあります。自治体で相談して詳細を確認しましょう。

交通費助成

JRや都バスなどの交通機関ではひとり親家庭への交通費助成制度をもうけています。定期券の割引きや無料券の交付などを受けられるので、利用できるものは賢く利用しましょう。

税金や健康保険料、下水道料金の減免

所得が低くて税金や健康保険料を払えない場合、状況に応じて減免を受けられる可能性があります。下水道料金が減額されるケースもあるので、支払が難しければ自治体に相談してみてください。

まとめ

離婚後の生活に困らないためには、離婚する時に、慰謝料や財産分与、養育費について、しっかりと取り決め、受け取るべきものは受け取りましょう。離婚する時に、取り決めた約束が守られない場合の対応方法もあります。
ぜひ一度、弁護士とご相談されることをおすすめします。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
京都大学総合人間学部卒業、立教大学大学院法務研究科修了。一般民事(主に離婚事件)に関する解決実績を数多く有する。また、企業法務についても幅広い業務実績を持つ。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら

オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。

こんな記事も読まれています

コンテンツ

オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。