養育費は、離婚協議前に知っておきたいことの1つです。
未成年の子どもがいる方がこれから離婚を進めるなら、養育費算定表や調停などの基本的な知識を把握しておくことが重要です。
この連載では、離婚に悩んでいる「オー子」の日常を通じて、離婚に関する法律知識を弁護士が解説します。
今回は養育費をできるだけ確実に支払ってもらう方法を弁護士が解説します。
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こんにちは、オー子です
私、オー子は夫との関係に悩む40歳、専業主婦。小学生の子どもがいます。
最近、ようやく離婚を決意して具体的に準備を進めています。
夫のモラハラと不倫問題に、我慢の限界。離婚することを決意しました。
小さい子どもがいるので不安もありますが、離婚後は夫から養育費をもらいながら、仕事を頑張ろうと思っています。
とはいえ、世間では子どもの養育費を支払ってもらえていないケースが多いと聞きます。夫がきちんと養育費を支払ってくれるのか心配です。
夫は結婚している間、モラハラ行為を繰り返し、不倫の疑いもあるので、うまく証拠を集めることができれば、慰謝料請求できるらしいと知りました。
また私が主に子どもの面倒をみてきたので、夫と別居するときに子どもと離れなければ、私が親権者になれる可能性が高いとのこと。
私は専業主婦で収入がなかったけれど、婚姻中に築いた財産については基本的に2分の1ずつに分けてもらえることも知りました。
このように、私が子どもの親権を取得できて、慰謝料や財産分与もきっちりしてもらえるなら、離婚後のことも少し安心です。
オー子の日々養育費はいつまで払ってもらえる?学費は?
離婚時に、慰謝料の支払いや財産分与はしてもらえるとしても、子どもが大きくなるまで養育費を支払い続けてもらえるのかがとても心配です。
厚生労働省の発表によると、養育費を取り決め通りに受け取れている「ひとり親家庭」の割合はとても低いとのこと。
夫の性格からして、「親権をとれないなら養育費は、一切支払わない!」と言い出しそうで怖いです。
子どもが大きくなったら大学の学費もかかるだろうし、万一病気をしたり大けがをしたりしたら、病院代などを負担してもらえるのでしょうか?
また養育費の金額を、どうやって決めればいいのかも知りたいです。
できれば一括払いしてもらいたいけど、できるのかな?
夫が「絶対、支払わない」と言い出したらどうなるんだろう。
離婚の際にいったん約束しても、子どもが成長するまでには長い年月がかかります。
その間に支払ってもらえなくなるかもしれないし、そうなったら諦めるしかないの?
いろいろと不安が大きくなります。
離婚後に確実に養育費を受け取る方法があれば、ぜひとも知りたいので教えてください!
弁護士が解説!養育費の相場、より確実に支払ってもらう方法について
未成年の子どもを持つ方が離婚するなら、養育費についてきっちり取り決めましょう。
確かにオー子さんの心配しているように、養育費をきちんと受け取れているひとり親家庭は多くはありません。
厚生労働省による調査結果(平成18年度)、全国母子寡婦福祉団体協議会による調査結果(平成21年度)などによると、養育費を現在受け取れている家庭は全体の20%程度とされています。
内閣府:第3章 日本の子供の貧困に関する先行研究の収集・評価(2.2.(10))
https://www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/chousa/h28_kaihatsu/3_02_2_10.html
しかし養育費を受け取れていないケースの中には、そもそも養育費に関する取り決めをしていなかったり書面を作成していなかったりするケースが多数含まれます。
きちんと取り決めておけば、養育費を受け取れる可能性は大きく上がるので、悲観する必要はありません。
養育費の相場
養育費の金額は、基本的に父母が話し合って決定するものです。
ただ、何らかの基準がないと決めにくいでしょう。
そんなときには養育費の算定基準を参考にしてみてください。
裁判所では、養育費算定表をもとに養育費の金額を算定します。
これは、父母それぞれの収入状況に応じて養育費の金額を決定するものです。
「支払う側」の収入が高ければ養育費は高額になり、「受け取る側」の収入が高ければ養育費は低額になります。
この算定表は、子どもの年齢や人数によってパターンが分かれており、子どもの年齢が15歳以上であったり、未成年の子どもが複数いたりすると、その分養育費が上がります。
裁判所:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について
https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html
オー子さんの場合は、小学校の子どもが1人いるということなので、上記の算定表のうち、「表1」という表が基準となります。夫の年収が1000万円ほど、専業主婦ということなので、表からすると「12万円から14万円」が相場ということになります。ただし、オー子さんのような専業主婦であっても、子どもがある程度の年齢に達していると、パート収入を得られるぐらいの能力があるという風にみなされて、実際の年収と関係なく、100万円から120万円くらいの年収を得る能力があると認定される可能性があります。
そうした場合、オー子さんのケースでは、養育費の相場が「10万円から12万円」ということになります。
学費や医療費について
私立の中学・高校や大学などの学費、けがや病気をしたときの医療費など、基本の「養育費」に含まれていない費用を「特別費用」と呼びます。
これらについては、養育費とは別の取り決めが必要ですが、あらかじめ学費の負担額を取り決めておくこともできますし、実際に進学の際に話し合うことにしてもかまいません。
「5割ずつ負担する」などと割合を定めておく方法もあります。
離婚成立後、相手とあらためて協議をしたくない場合には、上記のとおり負担割合を決めておくか、または「大学進学時に100万円」など金額を固定して合意をしておくとよいでしょう。
養育費は一括払いしてもらえない?
養育費の金額や支払方法は、基本的に当事者同士が話し合って決めるものです。
ただし一括払いは基本的にできません。
養育費は、子どもが成長するにつれて発生し続けるものだからです。
子どもや父母のその時の状況によって金額が変わるので、先払いはしないのが原則です。
養育費の取り決めをせずに離婚してしまった場合でも、家庭裁判所で養育費請求調停を申し立てることで、後から請求が可能です。
調停が不成立になった場合は、「審判」という手続きに移行します。そこでは、審判官が養育費の金額を定め、義務者(養育費を支払う側)に支払い命令を出してくれます。
義務者が調停での取り決めや支払い命令に従わない場合は、勤務先や銀行口座の情報などを調査して、差押えをすることもできます。
養育費をできるだけ確実に支払ってもらう方法
協議離婚をする際には、「公正証書」を作成し、その中で養育費に関する取り決めをするようお勧めします。
単なる当事者同士で作成する書面より、公正証書の方がより強制力があるからです。
公正証書を作成しておけば、相手が不払いを起こしたときにすぐに差押えができます。
オー子さんの場合でも、離婚後に元夫が養育費の支払いをしなくなったら、給料を差し押さえるという手段が考えられます。
公正証書がないと、先ほど説明したように家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てるなどしなければなりません。
差し押さえまでに時間がかかれば、相手が現在勤めている会社を辞めたり預金を隠したりするおそれもあります。
多少の手間と費用をかけても、安心材料として公正証書を作成してみてください。
なお、離婚時に調停や裁判などで養育費が決定されていた場合は、裁判所が作成する書類を使って差し押さえなどが可能ですので、さらに公正証書を作成する必要はありません。
まとめ
子どもが成人するまできちんと養育費を受け取るために、離婚時に養育費の取り決めをして公正証書を作成しましょう。
養育費の金額については、裁判所の定める養育費算定表を参考にしてみてください。
子どもの学費についても取り決めておくと安心です。
養育費の金額は状況に応じて変更できる場合もあるので、離婚後に養育費を支払う側の収入が激増したり、お互いが再婚したりして状況が変わったら、当事者間で再度話し合いましょう。相手が増額に応じてくれない場合には、裁判所に対して養育費増額調停を申し立てることもできます。
養育費についてお悩みがある方は、弁護士に相談してアドバイスを求めてみてはいかがでしょうか。
困ったときにはお気軽にオーセンスまでご相談ください。
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