離婚問題で、「親権」という言葉はよく知られているでしょう。
親権を得れば子どもと一緒に生活できるという理由から、離婚時に親権の有無を争うことも少なくありません。
そんな親権についてチェックしていると、「監護権」というワードもヒットします。
目次
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1.「親権」と「監護権」の違いは?実は親権の中に監護権は含まれていた!
まずは、親権、監護権、この2つの権利について、その詳細をチェックしていきましょう。
それぞれの権利の内容が分かれば、親権と監護権の違いが明確です。
「親権」は2つの柱で成り立っている!親権の本来の役割とは?
親権は、未成年の子どもの「監護・養育」に関する権利のことです。
さらに、子どもの「財産を管理」しながら、その子どもの代理人として法律行為をする権利もあります。
具体的に、親権の2つの柱として扱われる身上監護権と財産管理権の内容を詳しく見ていきましょう。
身上監護権とは?
大きく分けると、下記の4つの権利があります。
- ・居所指定権
- ・身分行為代理権
- ・懲戒権
- ・職業許可権
親権に含まれる身上監護権を取得すると、子どもが身分法上の行為をする際に代理等をすることが認められます。
そのほかに、子どもの居所の指定や監護及び教育に必要な範囲内での懲戒、職業を営むことを許可する権利も発生します。
さらに、財産管理権についても下記でチェックしましょう。
財産管理権とは?
- ・子どもの法律行為への同意権
- ・包括的な財産の管理権
財産管理権とは、子どもの財産を管理し、財産に関する法律行為の代理・同意を行う権利のことです。
「親権」の重要な柱に含まれる権利が「監護権」だった!
親権の2つの大きな柱が、身上監護権・財産管理権です。
そして、親権の中で、身上監護権のみを取り出して「監護権」と呼んでおり、親権に監護権は含まれています。
したがって、親権を有する者は同時に、監護権を有することになり、原則として親権者と監護者は一致します。
一般的に、監護している親が、子どもの財産管理権を有しているほうが、子どもの利益にかなうものであると考えられています。
しかし、例外もありますので、以下でご説明いたします。
2.例外もあり?親権者と監護者を別にするケースとは?
原則として、親権者と監護者は一致すると先述しましたが、例外もあり、親権者と監護者を別々に指定することもできます。
たとえば、父親が親権者になったものの、仕事が忙しく、乳幼児である子の監護ができない場合です。
そのような場合では、母親を監護者と定めることができます。
このようなケースでは、どちらか一方が親権者で、もう一方が監護者として認められることがあります。
さらに、このケースでのメリット・デメリットも掘り下げてみましょう。
親権者と監護者が別の場合のメリット・デメリット
親権者と監護者が別のケースでは、一般的に、以下のメリット・デメリットがあると言われています。
[メリット]
- ・親権・監護権が分かれていることで、子どもが双方の親と接しやすくなる
- ・子どもの精神面での安心に繋がる
- ・非監護親が養育費の送金を継続的に行うことを期待できる
[デメリット]
- ・子どもの法律行為・財産手続きの際は、親権を持つ親への連絡が必須となる
- ・親権者に手続きの同意を得るまでに時間や手間が発生する
親権者と監護者を分属させることは、深刻な父母間の争いの妥協的な解決方法として利用されることが少なくなく、後日の紛争再燃の原因になりやすいとして、裁判所は分属に慎重であるといわれています。
特に、離婚に至った夫婦が子に関して円滑に協力できるとは期待しがたく、上述したデメリットが大きな問題となります。
しかしながら、夫婦の両者が協力関係を維持する冷静さを持ち合わせているケースであれば、親権と監護権の分属について検討できないか、弁護士に相談するとよいでしょう。
3.「監護権」のある「親権者」になるためには?
まずは、親権者を決める流れを以下でチェックし、その後に親権者の決定の際に考慮される事情も把握しておきましょう。
親権者になるまでの流れ
- ①両親で話し合う
- ②話し合いで決まらない場合は、調停へ
- ③調停で決まらない場合は、訴訟で決定
まずは、話し合いで親権者を決めますが、話し合いで折り合いがつかない場合には調停に持ちこされます。
その調停でも親権者が決まらなければ、訴訟にて親権者が決まる流れです。
できれば裁判まで持ち込みたくないという方は多いですが、裁判で親権が決まるにはどのような事情が考慮されるのでしょうか。
以下では、親権者の決定の際に考慮される事情をまとめました。
親権者の決定の際に考慮される事情を確認!
親権者指定の具体的な基準は定められていませんが、次のような事情を比較考量しながら決定すべきものとされています。
親権を得たい方は早速チェックしましょう。
親権者の決定の際に考慮される具体的事情とは?
- 父母双方の事情
- ・監護に関する意欲と能力
- ・経済力
- ・健康状態
- ・子どもに対する愛情の程度
- ・自身の代わりに面倒をみてくれる人がいるかどうか
- ・学校・住居などの生活環境
- 子どもの事情
- ・子どもの性別・年齢・発育状況
- ・従来の環境への適応状況
- ・子どもに影響を及ぼす環境変化への対応性
- ・兄弟姉妹がいる場合には、全員で暮らせるかどうか
- ・子どもの意向
子どもの意見がどこまで尊重されるのかは子どもの年齢によって異なりますが、おおむね満10歳以上の子どもの意思が尊重される傾向にあるといわれています。
上述した項目について、詳しく確認したい場合は、弁護士に相談してみることをおすすめします。
4.「監護者」はどう決まる?最終的に決めるのは裁判所!
離婚した夫婦の間や別居中の夫婦の間で、監護者を決める流れは、以下のとおりです。
監護者になるまでの流れ
- ①両親で話し合う
- ②話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所の調停へ
- ③調停で決まらない場合は、審判で決定
審判となった場合、親権と同様、子どもの利益を十分に考えたうえで監護者は決まります。
監護者については、離婚した後にも決定はできます。
離婚前で別居中のケースでは、どちらを監護者にするのかを決めることで、子どもの精神的負担が軽くなることもあります。
監護者について不安がある方は、早めに弁護士に相談するとよいでしょう。
監護者や親権者の変更は可能!その手続きは?
離婚の際に決めた監護者・親権者について、離婚後、変更することは可能です。
親権者の変更は、当事者間の協議ですることはできず、家庭裁判所に親権者変更調停を申し立てます。
監護権の場合は、当事者間の協議でも変更が可能です。
ただし、話し合いがまとまらなかった場合は、調停を申し立てなければなりません。
監護者・親権者の変更は、「子の利益のため必要があると認めるとき」にできるとされています。
しかし、変更が認められないケースも多いので、監護者・親権者を変更したい方は、一度弁護士に相談するとよいでしょう。
なお、親権者の変更が認められやすいケースは、以下の例を参考にしてみてください。
親権者の変更が認められやすい場合
- ・親権者の死去
- ・親権者が子どもを虐待・世話の放棄をしている場合など
このようなケースでは、一度、親権者が決まっても変更できる場合が多いです。
まとめ
離婚の際、親権者とは別に監護者を定めることもできますが、安易に分属させることなく、夫婦間でしっかり話し合う必要があります。
親権・監護権について、夫婦間での話し合いが難しい場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
子どもの環境や精神がベストな方向に向かうよう、しっかりと考えましょう。
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