コラム
公開 2021.01.18 更新 2021.10.04

離婚慰謝料の金額はどのくらい?弁護士が解説!

離婚の際、どのくらい慰謝料が発生するかご存知でしょうか?
離婚するからといって必ず慰謝料が発生するわけではなく、慰謝料の金額も事情によってさまざまです。ただし一定の相場はあります。

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1.離婚慰謝料が発生するケースとは

離婚する場合には必ず慰謝料を払ってもらえると考える方もいらっしゃいますが、それは間違いです。離婚するからといって相手に慰謝料を請求できるとは限りません。

慰謝料が発生するのは「配偶者のどちらかに有責性がある場合」です。有責性とは「婚姻関係を破綻させた責任」を意味します。つまり配偶者のどちらか一方に婚姻関係破綻の責任があれば、その配偶者は相手に慰謝料を払わねばなりません。どちらにも責任がないケース(言い換えるとどちらが悪いともいえないケース)では慰謝料が発生しないのです。

1-1.慰謝料が発生するケースの例

  • ・夫婦のどちらかが不倫したために離婚する場合
  • ・DVやモラハラが原因で離婚する場合
  • ・一方が正当な理由なく他方を置いて別居し、生活費を負担すべき義務があるのにこの義務を果たさない場合

1-2.慰謝料が発生しないケースの例

  • ・性格の不一致で離婚する場合
  • ・相手の実家との不和で離婚する場合
  • ・子どもの教育方針が異なる、子どもへの対応方法で意見が合わず離婚する場合
  • ・宗教や思想が違うのでお互いに納得して離婚する場合

2.離婚慰謝料の金額

慰謝料が発生するケースでも、理由によって金額の相場が異なってきます。
以下で不倫やDVなど、パターンごとの離婚慰謝料の金額をみていきましょう。

2-1.不倫で離婚するケース

配偶者のどちらか一方が不倫して離婚を余儀なくされた場合、他方は多大な精神的苦痛を受けるので慰謝料を請求できます。
この場合の慰謝料の相場は100~300万円です。

慰謝料が高額になりやすいケースとは

不倫のケースで以下のような事情があると慰謝料が高額になる傾向があります。

  • ・不倫の期間が長い
  • ・不倫の回数が多い
  • ・不倫した当事者が反省していない
  • ・不倫相手が妊娠、中絶、出産した
  • ・不倫された被害者がうつ病などの精神病になった
  • ・不倫された被害者が仕事を辞めた、仕事をしていない(経済的不安を抱えている)
  • ・未成年の子どもがいる、子どもの人数が多い
  • ・不倫した配偶者が家出して不倫相手と同棲した、生活費を払わなくなった

特に悪質な場合、慰謝料が400万円や500万円となる可能性もあります。

2-2.DV、モラハラで離婚するケース

DV(家庭内暴力)や精神的な暴力である「モラハラ」は許されない人格攻撃であり、違法行為です。配偶者の一方による暴力やモラハラが原因で離婚する場合、被害者は相手に慰謝料を請求できます。
DVやモラハラで離婚する場合の慰謝料の金額は、50~300万円程度です。悪質な場合には400万円を超える可能性もあります。

慰謝料が高額になりやすいケースとは

DV、モラハラ案件で以下のような事情があると、高額な慰謝料が認められやすくなります。

  • ・婚姻期間が長い
  • ・DVやモラハラの期間が長い
  • ・DVやモラハラの態様が悪質
  • ・被害者が大けがをした、後遺症が残った
  • ・被害者がうつ病などの精神病になった
  • ・被害者が働けなくなった、経済力がない
  • ・DVやモラハラの加害者が不倫していた

2-3.相手による家出や生活費不払いで離婚するケース

夫婦は同居し、お互いに協力し合う義務を負います(民法752条)。
それにもかかわらず一方的に相手を見捨てて家出をし、一家の大黒柱が相手に生活費を払わなかったりすると違法行為となり、離婚慰謝料が発生します。理由もなく同居を拒否したり、実家に戻ったまま夫婦の居住する家に帰ってこなかったりするケースで、生活費の支払いを拒む場合なども同様です。

同居拒否(家出)の上での生活費不払いといった行為を法律的には「悪意の遺棄」といいます。悪意の遺棄で離婚する場合の慰謝料の金額は、50~200万円程度となるのが通常で、高いときには300万円程度にまで上がります。

慰謝料が高額になりやすいケースとは

家出や生活費不払いで慰謝料が高額になりやすいのは、以下のような場合です。

  • ・婚姻年数が長い
  • ・生活費不払いの期間が長い
  • ・見捨てられた側に経済力がない
  • ・見捨てた方が不倫していた
  • ・家出や生活費不払いの理由が身勝手なものである
  • ・未成年の子どもがいる、子どもの人数が多い

3.当事者同士で協議する場合の慰謝料

3-1.当事者同士で取り決めるなら慰謝料の相場にこだわる必要はない

上記で紹介したのは離婚裁判を起こした場合に裁判所が認定する離婚慰謝料の金額相場です。当事者同士の協議によって離婚するなら、上記の相場にとらわれる必要はありません。基本的にはお互いに納得すればいくらの金額を定めてもかまわないのです。

たとえば不倫のケースで離婚慰謝料を「500万円」としても有効です。芸能人が離婚する場合などには非常に高額な慰謝料を定めるケースも少なくありません。

支払う側の資産や収入が高額で支払能力が充分にある場合には、話し合いによって相場よりも高額な慰謝料を払ってもらうのが良いでしょう。

ただし相手を脅迫して法外に高額な慰謝料を支払うよう無理に約束させた場合には、合意を取り消されて無効とされる可能性があります。
慰謝料の取り決めをするときには、合理的な範囲内でお互いに納得できる金額を定めましょう。

3-2.離婚慰謝料と財産分与との関係

本来、財産分与と慰謝料は異なるものです。財産分与は夫婦共有財産を清算するための手続きであり、慰謝料は有責性のある配偶者が相手の受けた精神的苦痛に報いるための金銭です。
ただ、離婚の際には「慰謝料代わりに財産分与を多くしてもらう」ケースが少なくありません。財産分与は基本的に夫婦2分の1ずつとするものですが、「慰謝料代わりに妻へすべての財産を分与する」などの方法です。これを「慰謝料的財産分与」といいます。
当事者同士で話し合って協議離婚するなら、こういった取り決め方法も選択肢として検討してみてください。

3-3.住宅ローンとの関係

住宅ローンつきの家がある場合、「慰謝料代わりに住宅ローンを負担する」ケースもよくあります。たとえば夫が不倫して離婚するとき、妻が離婚後も無償で家に住み続けて夫が住宅ローンを払い続けるなどの方法です。
ただしこういった解決方法をとると、夫が住宅ローンを払わなくなったときに妻が家を追い出されて不利益を受ける可能性があるので、注意が必要です。

まとめ

離婚で慰謝料請求するときには、そもそもどういったケースで慰謝料が発生するのか、またパターンごとの金額相場を把握しておきましょう。迷われたときにはお気軽に弁護士までご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
中央大学法学部法律学科卒業、中央大学大学院法務研究科修了。離婚、交通事故、相続問題などの一般民事事件を中心に、幅広い分野に積極的に取り組む。
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