コラム
公開 2020.12.09 更新 2021.10.04

産後離婚で後悔しないために必要な知識【弁護士解説】

出産後、「産後うつ」となり夫との関係がうまくいかなくなる女性は少なくありません。夫側も妻の変化に戸惑い、うまく対応できず、夫婦関係が悪化するケースもあります。

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1.産後に離婚の危機が訪れやすい理由

夫婦の間に子どもができたら、夫婦の絆も深まりそうなものです。しかし、反対に離婚の危機に陥ってしまう夫婦が少なくありません。その理由は以下のとおりです。

1-1.妻の産後うつ

出産すると、しばらくうつ状態になってしまう女性がいます。いわゆる「産後うつ」です。
産後うつの原因は、主に出産によるホルモンバランスの崩れです。妊娠中と産後では分泌されるホルモン量が変わるため、出産後、精神的に不安定となってしまう女性が少なくないのです。また、泣き止まない赤ちゃんをあやしたり、数時間おきに授乳したりと、出産後、女性の生活は一変し、大きなストレスにさらされます。
産後2~3週間が経過すると気分の落ち込みが始まり、症状が数か月続くケースもみられます。産後うつの典型的な症状は以下のようなものです。

  • ・無感情になる
  • ・集中できない
  • ・考えをまとめられない
  • ・倦怠感が強い
  • ・食欲不振
  • ・感情的になって怒る
  • ・不眠、睡眠障害
  • ・落ち込む、意欲低下
  • ・自信がなくなる、ネガティブな感情になる

1-2.妻側の気持ちの変化

うつ状態にまでならなくても、出産すると女性には大きな気持ちの変化が訪れるものです。

夫と2人のときには夫に対する男女の愛情が強くても、子どもができれば関心が子どもに向かいます。夫への男女の愛情よりも子どもへの母性愛が強くなるので、夫との関係を今までのようには重視しなくなります。

1-3.妻が夫に不満を持つ

出産すると、そのときから子どもの世話が始まります。最近では男性が育児参加する機会が増えたとはいえ、やはりまだまだ「赤ちゃんの世話は女性任せ」という方が多数です。「おむつを替えるのは無理」などと言う男性も多数います。
しかし、妻にしてみれば、夫のそういった言動は「育児に非協力的」としか映りません。特に今はネットやテレビなどで、育児を率先して行う男性の情報もたくさん入ってくるので「うちの夫はなぜこんなに非協力的なのか」と感じて不満を抱えるようになります。

1-4.夫が環境や妻の変化についていけない

女性は出産すると変わります。これまでのように夫の方を向かなくなり、夫の身の回りの世話よりも赤ちゃんの世話を優先します。そのため、夫にしてみればないがしろにされているような気持ちになるケースもあり、夫婦の間に溝ができてしまいます。
また、妻が産後うつの状態から、感情的に「子育てに協力して!」などと夫を怒るケースもあります。
このような妻の変化に夫側がついていけないと感じ、夫婦関係が悪化していくパターンも少なくありません。

以上のように、産後、夫婦関係に影を投げかける要因がたくさんあります。そのため、出産後間もなく離婚してしまう夫婦が相当数存在します。

2.産後離婚の問題点

産後、離婚の危機が訪れやすいものですが、すぐに離婚を決めてしまうと、以下の理由により、後悔する可能性があります。

2-1.産後うつがおさまったときに後悔する

産後うつの原因は、主に出産によるホルモンバランスの崩れのため、数か月程度経過するとホルモンバランスが整ってきて安定してくるケースが多数です。うつ状態のときに急いで離婚をしてしまうと、後で冷静になったときに後悔する可能性が高まります。

2-2.子ども中心の生活や環境の変化に慣れることができる

出産直後は、妻も夫も、子ども中心の生活やその環境の変化についていけず戸惑ったとしても、遠くない将来に慣れるのが通常です。1年もすれば夫も成長し、積極的に育児に参加しているかもしれません。
それを待たずに早期に離婚を決めてしまうと、離婚を早まったと後悔する可能性があります。

2-3.経済的な問題

産後すぐに離婚をして女性が一人で子どもを育てるとなれば、経済的な問題が立ちはだかります。
小さい子どもを抱えていると就職も難しく、経済的に苦労する場合があります。また、仕事をして子どもを保育所に預けるとしても、一人で子育てと仕事を両立させ、十分な生活費を確保するのは大変です。離婚後、「もう少し我慢しておけば良かった」と考える方も多数おられます。

3.産後離婚を乗り切る方法

産後離婚をした後、後悔しないために、産後、気分が落ち込み、夫婦関係に不安があれば、まずは、以下のように対応してみてください。

3-1.夫婦で話し合う

まずはしっかりと夫婦で話し合いましょう。うつ状態となってしんどい思いをしていることやもっと育児に協力してほしいことなどを、夫に伝えてみてください。
夫も「協力したいけれど何をすればよいかわからない」と戸惑っている可能性もあります。具体的に「してほしいこと」を伝えて協力を得られれば、妻にかかる負担も多少は軽減されるでしょう。
また、夫婦で、一時保育や、家事・育児支援のヘルパーなど利用できる社会資源について話し合うのもよいでしょう。
夫婦で心の内を伝え合えばお互いがすべきことが明らかになり、これまでよりも良い関係性を作っていける可能性があります。

3-2.がんばりすぎない

子どものお世話を完璧に一人でこなさないといけないと思う人ほど、ストレスを溜めてしまいます。家事や育児は高い目標を掲げず、無理に一人でがんばりすぎないことが大切です。

3-3.気分転換をする

気分が落ち込み、追い詰められた気分になってしまうときには、気分転換をしましょう。
育児で大変な状況ではありますが、ときには自分の親に子どもをみてもらって、自分のための時間を作ったり、好きな映画を見たり音楽を聴いたりして、ゆっくり過ごす時間を持ちましょう。

3-4.カウンセラー、クリニックに相談する

それでも気分の落ち込みが止まらない、夫婦関係に不安があるときには、専門家の力を借りてみてください。
心理カウンセラーや夫婦カウンセラーに相談してみるのも良いですし、うつ状態がひどければ、まずはメンタルクリニックを受診してみるのも良いでしょう。
専門家に話を聞いてもらうと、気持ちが楽になるものです。

4.産後に離婚するなら弁護士に相談を

夫から暴力を振るわれるなどの事情があれば、出産後すぐであっても離婚を検討すべきです。また、夫の浮気が発覚するなど、どうしても離婚したい方もいらっしゃるでしょう。

もしも、産後、離婚を検討されるなら、早めに弁護士に相談してみることをおすすめします。後悔のない離婚を実現するには、離婚前の準備や離婚交渉などの専門的な対応が必要だからです。
たとえば財産分与や親権、養育費のことなどをきちんと取り決めておかないと、離婚後、子どもとの生活で、経済的に困窮してしまう可能性が高まります。
当事務所では離婚問題や男女問題に積極的に取り組んでおり、産後間もなく離婚するケースでも、ご本人やお子様の離婚後の生活を見据え、最善の対応を進めさせていただきます。
産後離婚を検討されているなら、お一人で悩まずに専門家までご相談下さい。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
早稲田大学法学部卒業(3年次卒業)、東京大学大学院法学政治学研究科修了。離婚、相続問題を中心に、一般民事事件や刑事事件など幅広く取り扱う。
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