コラム
公開 2020.10.19 更新 2021.10.28

どんな理由で離婚するの?離婚原因ランキング

どんな理由で離婚するの?離婚原因ランキング

日本では、毎年20万組を超える件数の離婚が発生しています。
「どんな理由で離婚しているのだろう…」
そんな疑問にお答えし、今回は、男女別の離婚原因ランキングについてご紹介いたします。

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年間離婚件数は21万組!

厚生労働省が発表している「令和元年(2019)人口動態統計の年間推計」によると、令和元年の離婚件数は21万組と推計されています。[注1]

ちなみに婚姻件数の推計は58万3,000組で、離婚件数との数を比べると、婚姻件数の数字に対して離婚件数が3割以上の割合で存在していることがわかります。「3組に1組は離婚する」などと世間でよく囁かれるのは、こうした数字があるからです。

もちろん、多くの夫婦が結婚した年のうちに離婚するというわけではないですし、さらに日本は人口減によって毎年婚姻件数も減少しているため、同じ年に起こった婚姻件数と離婚件数を比べること自体が正確な比較にはなりません。

しかし、離婚件数自体は人口動態統計の年間推計の発表がはじまった平成12年以来一度も20万人を下回ることなく推移してきたというのも事実です。
やはり日本において離婚問題が発生する数は少なくないと判断できるでしょう。

こうした数多くの離婚はどんな理由で起こってしまったものなのか、次はそれを見ていきましょう。

[注1] 厚生労働省:令和元年(2019)人口動態統計の年間推計[pdf]
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei19/dl/2019gaiyou.pdf

司法統計から見る男女別離婚原因ランキングトップ10

男女別離婚原因ランキング-司法統計-

離婚する理由としてはどんな理由が多いのか、その参考となる資料として挙げられるのが、裁判所が発表している司法統計のひとつである「婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所」です。[注2]

この資料データをもとに、男女別の離婚原因ランキングをまとめました。
男女ともに性格が合わないことがトップに挙げられているのがわかります。

[注2] 裁判所:司法統計 平成30年度 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所[pdf]
https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/705/010705.pdf

司法統計から見る男性の離婚原因ランキングトップ10

平成30年度の司法統計における男性の離婚原因ランキングトップ10をご紹介いたします。

  • 1位:性格が合わない
  • 2位:精神的に虐待する
  • 3位:異性関係
  • 4位:家族親族と折り合いが悪い
  • 5位:性的不調和
  • 6位:浪費する
  • 7位:同居に応じない
  • 8位:暴力を振るう
  • 9位:家庭を捨てて省みない
  • 10位:生活費を渡さない

夫が妻と離婚する理由として、もっとも多くの人が挙げたのが「性格が合わない」です。
価値観や考え方の違いは、最初は目をつぶれる程度だったとしても、積み重なれば離婚を考えるようになる夫婦も少なくないということでしょう。

司法統計から見る女性の離婚原因ランキングトップ10

平成30年度の司法統計における女性の離婚原因ランキングトップ10をご紹介いたします。

  • 1位:性格が合わない
  • 2位:生活費を渡さない
  • 3位:精神的に虐待する
  • 4位:暴力を振るう
  • 5位:異性関係
  • 6位:浪費する
  • 7位:家庭を捨てて省みない
  • 8位:性的不調和
  • 9位:家族親族と折り合いが悪い
  • 10位:酒を飲み過ぎる

妻が夫と離婚する理由としても「性格が合わない」が1位です。
夫も妻も、価値観や考え方の違いが離婚原因の1位になるのがおわかりいただけます。

離婚原因の1位は男女ともに「性格が合わない」

妻、夫、ともに離婚原因の1位が「性格が合わない」ことなのがわかりました。
経験のない方では、歩みよれるのでは?と感じるかもしれませんが、長い積み重ねのなかですれ違ってしまった思いを修復するのは容易なことではありません。

結婚生活では、生まれも育ちも違う2人が、協力しあって問題解決に取り組み、コミュニケーションをとりながら関係を守っていく必要があります。

もちろん、離婚という結論にいたるまで、夫も妻も、たいへんな努力をしているものです。
そのうえでなお、「性格が合わない」という理由を、離婚原因に挙げる方が多いのです。

司法統計から見る離婚原因ランキングについての注意点

さて、司法統計の結果を見ると男女ともに離婚原因のトップは「性格が合わない」となっていますが、この統計に出ているのはあくまで、離婚調停などの申立てを家庭裁判所にしたケースのみが対象となっています。

つまり、家庭裁判所に申立てすることなく、夫婦双方の話し合いなどだけで離婚が成立したケース、いわゆる協議離婚は統計には含まれていないということです。

そのため司法統計をもとにした離婚原因ランキングは、離婚理由の実態のすべてを反映しているとはいいきれないかもしれません。

家庭裁判所が関与しない協議離婚のケースも含め、全体的な離婚理由はどのような傾向になっているのか、それについても知っておいたほうがいいでしょう。

民間調査の結果から見る離婚原因ランキングトップ10

男女別離婚原因ランキング-民間調査-

家庭裁判所が関与しない協議離婚のケースも含めた場合、どんな離婚原因が特に多いのか、その参考となるのが、株式会社リクルートマーケティングパートナーズが運営しているブライダル総研による調査「離婚に関する調査2016」です。[注3]

この調査結果は2016年7月6日に発表されたものであり、この調査結果の発表から2020年3月現在までの期間に同様の調査結果はまだ発表されていないため、現状ではこれが最新のデータです。

それではこちらも、男女別の離婚原因ランキングトップ10を見ていきましょう。

[注3] 株式会社リクルートマーケティングパートナーズ:ブライダル総研 離婚に関する調査2016[pdf]
http://www.recruit-mp.co.jp/news/pdf/20160706_01.pdf

民間調査の結果から見る男性の離婚原因ランキングトップ10

下記が2016年の民間調査における男性の離婚原因ランキングトップ10です。

  • 1位:価値観の違い
  • 2位:人生観の違い
  • 3位:性格の不一致
  • 4位:夫婦の会話がない
  • 5位:金銭感覚の違い
  • 6位:時間のすれ違い
  • 7位:相手の浮気
  • 8位:子育てに対する考え方の違い
  • 9位:相手のモラルハラスメント
  • 10位:(相手が)相手の親や親族と不仲

夫が妻と離婚する理由として、もっとも多くの人が挙げたのが「価値観の違い」です。

民間調査の結果から見る女性の離婚原因ランキングトップ10

下記が2016年の民間調査における女性の離婚原因ランキングトップ10です。

  • 1位:価値観の違い
  • 2位:金銭感覚の違い
  • 3位:人生観の違い
  • 4位:性格の不一致
  • 5位:夫婦の会話がない
  • 6位:相手の借金
  • 7位:相手のモラルハラスメント
  • 8位:相手が家事に協力的でない
  • 9位:相手が育児に協力的でない
  • 10位:相手の浮気

妻が夫と離婚する理由としても、もっとも多くの人が挙げたのは「価値観の違い」です。
夫も妻も、1位は同じく「価値観の違い」なのです。

民間調査の結果から見えてくるコミュニケーションの大切さ

この民間調査については、先ほどご紹介した司法統計とは調査項目そのものに違いはありますが、考え方の違いが離婚原因のトップになることには変わりないようです。

男女ともにランキング1位となった価値観の違いや、そのほかの上位ランキング項目である人生観の不一致、性格の不一致などについては、いわゆる「性格が合わない」にほぼ含まれる内容と考えられます。

ただ、性格が合わないといっても、その合わない内容はさまざまであるということも、この民間調査の結果から見えてきます。

単に「せっかちとのんびり屋」などの気質的な部分だけでなく、価値観や人生観など、お互いの考え方の根本的な部分に食い違いが出ているケースがとくに多いということがわかります。

さらに、妻が夫に対して子育てや家事に関する不満を抱えるケースが多いということや、夫が妻に対して会話のなさや時間のすれ違いなど、コミュニケーション不足に耐えられなくなったケースも多いということも見えてきます。

離婚せずずっと夫婦でいられるようにするためには、「言わなくてもわかるだろう」という姿勢ではいけないのかもしれません。
お互いの価値観や人生観を知ったうえで、すり合わせや歩み寄りをし、お互いを思いやり、協力し、日々のコミュニケーションを大切にする、などの重要性も認識しておくようにしたいものです。

調停・審判・裁判になってしまう離婚問題は弁護士に相談しよう

離婚原因はさまざまですが「お互いの価値観が一致しなかっただけで、どちらが悪いなどという問題ではない」という状況なら、お互いの話し合いによって協議離婚ができるケースは少なくありません。

なかには協議離婚をしたあとも、双方の仲がとくに険悪になったわけではなく、友達のような交流が続いている、というケースさえ見受けられます。

しかし、話し合いが決裂して調停・審判・裁判などの手続きで離婚をしようとなった場合は、もはやお互いの亀裂は非常に深いものとなっており、養育費や財産分与、慰謝料などをめぐって話し合いというよりも争いに近い状態になるケースも考えられます。

こうした状況でただ感情的に物事を進めようとすると、調停員の心証を悪くするなどして不利な流れを招いてしまうリスクも出てきます。

家庭裁判所を関与させるほどにお互い譲れない状態であれば、法律のプロである弁護士のアドバイスを受けるなどして、冷静に、的確な対応をできる態勢を作ることをおすすめします。

弁護士によって得意分野は異なります。離婚問題を専門的に取り扱う弁護士を選びましょう。

まとめ

日本では毎年20万組以上が離婚しており、その離婚理由は、性格の不一致、価値観や人生観の違いなどがとくに多い傾向があります。

離婚という事態を避けるためには、日々の結婚生活のなかで、お互いの考えを知り、すり合わせや歩み寄りをして、コミュニケーションを増やしていくことが大切です。

それでも離婚に向けて進み、なおかつ調停・審判・裁判など、家庭裁判所に申立てをする状態になるまで話がこじれてしまった場合は、離婚問題に詳しい弁護士に相談してみましょう。少しでも冷静かつ的確な対応をするサポートが得られるでしょう。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
中央大学法学部法律学科卒業、中央大学大学院法務研究科修了。離婚、交通事故、相続問題などの一般民事事件を中心に、幅広い分野に積極的に取り組む。
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