コラム
公開 2020.10.14 更新 2021.10.04

離婚に必要な条件と有利な条件とは?

なんらかの理由で離婚をしたくても、配偶者が離婚に応じないケースは多いです。
自分だけの条件・要求では離婚は成立しません。
また、有利な離婚では、離婚に必要な条件が揃っていることが好ましいでしょう。

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必ず知っておきたい!離婚に「必要」な条件は民法770条から分かる!

離婚に必要な条件5つ!

相手が離婚を望まないケースでも、離婚に必要な条件があてはまれば離婚できる可能性もあります。
調停や裁判になった際、離婚に必要な条件が判断基準として採用されるので、まずはその条件をチェックしておきましょう。

離婚に「必要」な条件とは?

  • ①配偶者の「不貞行為」が発覚した場合
  • ②配偶者の生死が3年以上明らかでない場合
  • ③配偶者が強度の精神病で回復する見込みがない場合
  • ④配偶者からの悪意で遺棄された場合
  • ⑤婚姻を継続し難い理由がそのほかにある場合

民法第770条では、このような条件において離婚の訴えを提起できることになっています。
もし、自身がこの民法に該当している場合には、離婚請求が認められなくなる可能性も考慮したいです。
また、条件については弁護士に相談するとよいでしょう。
さらに次項にて細かくこれらの条件を掘り下げていきます。

①配偶者の「不貞行為」が発覚した場合は婚姻関係が困難に!

不貞行為は、配偶者以外の異性と性的な関係を結ぶことです。
これはいわゆる浮気・不倫であり、自由な意思に基づいて不貞行為をしていた場合に限ります。
ですので、自由な意思ではない強姦は不貞行為に当てはまりません。

さらに、異性との性的な関係を条件にしているので、同性と性的な関係を結んだ場合も、不貞行為に当てはまらないので注意しましょう(ただし、同性と性的関係を結んだことが、後述の⑤婚姻を継続し難い理由に当たると評価されることがあります。)。
不貞行為があったと疑っても、性的な関係ではないと評価されると不貞行為には当てはまらなくなってしまいます。

不貞行為の条件が当てはまらないケース

  • ・手をつないでいた
  • ・メールやSNSでのやり取りのみ

メールやSNSの内容は、性的な関係だと分かる内容で不貞行為とみなされるケースも、一例ではあります。
また、不貞行為が確かにあったことを裏付ける証拠があれば、この条件に当てはまる可能性も否定できません。
不貞行為の条件については、自身のケースを弁護士に相談するとより分かりやすいでしょう。

②配偶者の生死が3年以上明らかでない場合は生死不明が条件に!

生死が3年以上明らかでないケースでは、完全に行方不明なうえに生死も不明な場合に限ります。
行方が分かれば(住民票などから)この条件にはなりませんが、居場所・生死がまったく不明であれば離婚が認められるでしょう。
さらに、「失踪宣告」を利用すれば、行方不明の人を法律上で死亡したことにできます。

7年間生死不明な状態では普通失踪になり、震災などで生死が不明になって1年経過すると特別失踪に該当します。
この宣言では、生死不明の条件が当てはまるとともに、配偶者が残した財産を相続できるケースもあるのです。
通常の離婚では生死不明3年以上が理由とされ、一般的に離婚は認められるでしょう。
生死不明の条件について不安なことがある方は、弁護士に相談するとよいでしょう。

③配偶者が強度の精神病で回復する見込みがない場合

配偶者が強度の精神病であることが診断され、回復の見込みがないとされれば、それは離婚条件として扱われます。
この条件で大事なのが、回復見込みの有無です。
精神病には、うつ病やパニック障害などさまざまな症状がありますが、治療を続ければ回復する可能性がある場合、この理由での離婚が成立しにくくなります。
また、治療をしている期間は生活や療養の面で配偶者が治療に集中できる環境を整えなければなりません。
精神病の回復については素人では判断しにくいこともあるでしょう。
その場合は弁護士に相談することで理解が深まるでしょう。

④配偶者からの悪意で遺棄された場合

配偶者からの悪意の遺棄があれば、それが離婚条件になる可能性があります。
具体的な悪意の遺棄の例を挙げてみましょう。

悪意の遺棄の一例

  • ・妻が専業主婦であるのに生活費を渡さない
  • ・収入があるのに生活費を支払わない
  • ・理由なく家出をする(繰り返す)
  • ・家から閉め出して帰宅できないようにする
  • ・配偶者が病気で働けないのに医療費を支払わない

病気で配偶者が働けない・単身赴任で別居せざるを得ないケースでは、悪意の遺棄には該当しません。
悪意の遺棄に当てはまりそうな場合は、まず弁護士に相談して確認を取りましょう。

⑤婚姻を継続し難い理由がそのほかにある場合

婚姻を継続し難い理由で離婚したい方は、それらの原因をピックアップする必要があります。
夫婦関係が壊れ、修復できずに悩む方が多い中、婚姻が継続できない環境へと変化するケースは多いです。
裁判所では、婚姻を継続し難いかどうかの判断をします。
性格や生活での不一致もありますが、「重大」な理由かどうかがポイントです。
婚姻が継続し難い状況について自分では分からない場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。

離婚成立の条件はまだある?婚姻を継続し難い事情は考慮される!

離婚に必要な条件の①から④に当てはまらない場合でも、ほかのさまざまな条件により上の⑤に当たるとして離婚が認められることがあります。
配偶者の行動によって条件が揃うケースもありますよ。

「モラハラ」「DV」なども条件になる!

配偶者からの精神的・肉体的な虐待は、モラハラ・DVとして扱われます。
暴力を振るわれるDV、態度や言葉で配偶者を精神的に崩壊させるモラハラは、婚姻を継続し難い理由に結びつきます。
また、性格の不一致や性行為の強要など、婚姻上ストレスになるような条件でも、直ちに離婚条件に該当すると一概に言えるわけではないですが、その他の事情を含めて、離婚が成立するパターンも少なくありません。
特にモラハラやDVは、その程度によって有利な条件になる・ならないがありますので、一度弁護士に相談するとよいでしょう。

「有利」な離婚条件をチェック!離婚協議で整理したい5つのこと

離婚の話し合いのポイント

離婚条件は、夫婦によってその項目が異なります。
特に未成年の子供を持つ夫婦の場合、親権や監護権、面会交流が条件項目に含まれるので、有利な条件になるような話し合いが必要です。
有利にさせたい代表的な条件を、下記でチェックしましょう。

代表的な5つの離婚条件がこちら

  • ①養育費
  • ②親権・監護権
  • ③財産分与
  • ④面会交流
  • ⑤離婚の慰謝料

この5つの離婚条件のほかに、債務の清算や婚姻費用未払い分の清算などがあります。
では、一つひとつの離婚条件を詳細にチェックしましょう。

①養育費の支払い有無は将来までを考えて!

未成年の子供がいる場合には、子供の将来を見越した養育費の確保が大事です。
この養育費は、父母の収入から話し合いによって決定します。
話し合いでトラブルになった場合は、調停や審判制度でその養育費が決められます。
養育費の代わりに、住宅の譲渡を受けるなどの財産分与の中で十分な支払いを受けることで養育費の支払いを受けないという選択をするケースもあります。
どの選択肢でも、将来子供が困らないことを第一に考えることがポイントです。
養育費に関しては、弁護士に相談するとより分かりやすいですよ。

②親権・監護権の決定は子供の福祉が優先!

離婚時、親権・監護権を得る場合には、裁判所でその判断がなされます。
裁判所では、子供の福祉を優先して親権・監護権を決めます。
場合によっては、親権者と監護者が別になることもあるのです。
夫婦間での協議で、親権を決めることは大きなポイントとなるので、親権が欲しい方は自身の考えを明確にしておきましょう。
親権・監護権については弁護士に相談してもよいでしょう。

③財産分与は自由に定められる!

離婚時、財産を分ける財産分与は、夫婦が自由に定められる条件です。
原則として夫婦は平等であるため、2分の1に分けるというルールがあります。
このルールに従い、配分する割合を調整します。
まずは財産の全体を把握した後に、条件よく分けるのがベストです。
財産分与が複雑な場合には、弁護士に相談しましょう。

④面会交流は子供を中心に考えよう

離婚後に子供と定期的に交流する面会交流では、離婚しても子供との時間を共有できる条件です。
この面会交流は父母間で決めますが、子供の精神面を考慮しながら具体的な面会場所・時間・頻度を決めましょう。
面会交流は子供の福祉が優先です。
子供にとってよい条件になるよう調節しましょう。

⑤離婚の慰謝料は婚姻を総合して考える!

夫婦の一方に離婚の原因がある場合、離婚の慰謝料が支払われます。
この場合、離婚原因の大きさや子供の有無、婚姻期間を総合的にまとめて、そこから慰謝料を決定します。
慰謝料は基本に夫婦の話し合いで決定しますが、決定できない場合は裁判所で決まります。
原則として数十万~数百万円の範囲内で支払条件をまとめていくことが多いですが、事案によって適切な金額が異なるため、慰謝料に関しては弁護士に相談するとよいでしょう。

まとめ

離婚に必要な条件、有利な条件と、離婚ではさまざまな条件を整理する必要があります。
条件や離婚理由に不安がある方・有利な条件で離婚したい方は、弁護士に相談するとよいです。
離婚問題のエキスパートなら、不安な問題をスッキリ解消してくれるでしょう。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
中央大学法学部法律学科卒業、中央大学大学院法務研究科修了。離婚、交通事故、相続問題などの一般民事事件を中心に、幅広い分野に積極的に取り組む。
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