コラム
公開 2024.01.30

単体1868_新規_離婚慰謝料の相場は相手の年収が2,000万の場合いくら?弁護士がわかりやすく解説

夫婦の一方の非によって離婚することとなった場合は、慰謝料の支払いが発生します。

年収が2,000万円の場合、離婚慰謝料の相場はいくらなのでしょうか?
また、慰謝料以外に必要となる給付には、どのようなものがあるでしょうか?

今回は、年収2,000万円である者が離婚する場合の慰謝料相場の考え方や、その他の給付などについて弁護士が詳しく解説します。

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離婚時に行う主な給付

離婚時には、さまざまな金銭のやり取りや請求が発生します。
はじめに、離婚に伴って発生することの多い主な給付を3つ紹介します。

慰謝料

1つ目は、慰謝料です。

慰謝料とは、夫婦の一方が不法行為によって離婚原因を作った場合に、相手が被った精神的な苦痛を慰謝するために支払う金銭です。
たとえば、一方の不貞行為(性的関係を伴う不倫)やDV(ドメスティックバイオレンス)が原因で離婚に至った場合は、慰謝料の請求権が発生する可能性が高いといえます。

一方で、たとえ離婚に至っても不法行為がない場合は、慰謝料請求権は発生しません。
慰謝料が発生しない典型例は、性格の不一致による離婚です。

また、双方に非がある場合にも、慰謝料が減額されたり請求権がなくなったりします。
たとえば、夫婦がともに不貞行為に及んでいた場合は、お互いに慰謝料を請求することはできない可能性が高いでしょう。

養育費

2つ目は、養育費です。

養育費とは、子どもの教育や監護に要する費用です。
婚姻期間中であっても養育費は発生しますが、婚姻期間中は家族の生活費の中に養育費が混じっていることが多いため、養育費だけを抜き出して意識することは少ないでしょう。
一方、子どもの親である夫婦が離婚をするとその後は家族の財布が分かれるため、以後は「養育費」を抜き出して考える必要が生じます。

養育費は、親権を持たなかった側の親から親権を持った側の親に、毎月定額を支払う形をとることが一般的です。
夫婦の離婚後も、子どもにとっては双方が親であることに変わりありません。

そのため、親権者でない側の親も引き続き子どもを養育する義務を負います。
養育費は、この義務を金銭の支払いによって果たすものです。

なお、養育費は親権を持たなかった側だけが負担するのではなく、子どもに親と同等の生活を送らせるために必要となる費用を、親権者である親ともう一方の親とが分担して負担するものです。

ただし、親権者である親が負担する分の養育費は自身の生活費と混じっていることが多いうえ、学校や塾、病院などに必要な都度支払うものであるため、非親権者のように「養育費」としてあえて意識することは少ないかもしれません。

財産分与

3つ目は、財産分与です。

財産分与とは、離婚に伴って夫婦の財産を原則として2分の1ずつに分けることです。
これは、たとえ家の財産の大半が夫婦の一方の名義になっていたとしても、もう一方による内助の功があったとの考えによるものです。
そのため、年収が高く多くの資産を有している者が離婚する場合には、財産分与が高額となる可能性があります。

なお、財産分与の対象となるのはあくまでも婚姻期間中に夫婦の協力で築いたとされる財産のみであり、次のものは対象となりません。

  • 夫婦がそれぞれ婚姻前から有していた財産(婚姻前に買ったマンションなど)
  • 夫婦がそれぞれ自己の名義で取得した財産(親から相続した財産など)

年収が2,000万円の場合の離婚慰謝料はいくら?

離婚慰謝料を支払うべき者の年収が2,000万円である場合、慰謝料の相場はどの程度になるのでしょうか?
ここでは、順を追って解説します。

離婚慰謝料の額は年収で決まるわけではない

離婚慰謝料の額は支払い義務者の年収に比例するものではなく、「年収が2,000万円である場合の慰謝料相場」などは存在しません。
離婚慰謝料は、次の要素などによって決まります。

  • 離婚原因
  • 有責性の高さ
  • 婚姻期間の長さ
  • 子どもの有無

なお、一般的に不貞行為が離婚原因である場合の慰謝料の目安は100万円から300万円程度、DVの場合の慰謝料の目安は50万円から300万円程度といわれています。
ただし、実際の慰謝料額は具体的な状況によって大きく異なるため、相手の提示した額で合意をしてしまう前に離婚問題に詳しい弁護士へご相談ください。

年収が高いと高額な慰謝料を請求される可能性がある

先ほど解説したように、離婚慰謝料の額は年収に比例するわけではありません。

しかし、実際には年収が高い場合は相手から高額な慰謝料を請求される可能性があります。
なぜなら、年収が高い場合は支払い能力があることから、多少高めの慰謝料を請求しても請求を飲むだろうと相手方が考える可能性が高いためです。

これは、離婚慰謝料の決まり方に関係します。

離婚慰謝料は、はじめから裁判所が関与して決めるのではなく、まずは当事者間での合意を図ります。
つまり、「いくらの慰謝料を請求するか」は請求する側の自由であり、「請求された慰謝料の額を飲むかどうか」は請求を受けた側の自由であるということです。

相手の提示する慰謝料額が高すぎると考える場合は、裁判所で行う話し合いである「調停」や、裁判所に慰謝料の額を決めてもらう「裁判」などへと移行します。
しかし、調停や裁判となると、平日の日中に何度も裁判所へ出向く負担が生じるほか、解決までに数か月から数年の期間を要することも少なくありません。
心理的に負担を感じることも多いでしょう。

そのため、高額な慰謝料を請求された側としては、事実上次の2択を迫られることとなります。

  1. 提示された額が多少高くても、相手の請求に応じる
  2. そのケースにおける適正額まで慰謝料を引き下げることを目指し、調停や裁判をする

支払い能力がない場合は高額な請求に応じようがないため、事実上「2」を選択せざるを得ないでしょう。
一方、年収が2,000万円であるなど支払い能力が高い場合は、かかる時間や手間を考えると、「1」も有力な選択肢となります。
このような背景から相手に足元を見られ、高額な慰謝料を請求される可能性が否定できません。

相手から高額な慰謝料を請求されてお困りの際は、離婚問題に詳しい弁護士までご相談ください。
弁護士が代理で交渉することで、相手が適正額相当にまで請求額を引き下げる可能性が高くなるほか、調停や裁判に移行した場合にサポートを受けることが可能となります。

年収が2,000万円の場合の養育費はいくら?

年収が2,000万円である人が養育費を支払うこととなった場合、その適正額はいくらなのでしょうか?
ここでは、養育費の考え方を紹介します。

養育費算定表をベースとするのが基本

養育費については、裁判所が算定表を公表しています。
養育費は、この算定表をベースに算定することが一般的です。※1

たとえば、養育費を支払う者(義務者)年収が2,000万円、15歳未満の子どもが2人、義務者と養育費を受け取る者(権利者)がいずれも自営業ではなく給与所得者であると仮定すると、算定表による月々の養育費の目安はそれぞれ次のとおりです。

  • 権利者の年収が200万円の場合:30~32万円
  • 権利者の年収が500万円の場合:26~28万円
  • 権利者の年収が1,000万円の場合:22~24万円

これはあくまでも目安であり、子どもの状況などによってはこれとは異なる額が適当とされることもあります。
具体的な金額については、弁護士へご相談ください。

年収2,000万円を超えると養育費算定表は使えない

養育費算定表は非常に便利であるものの、万能ではありません。
あくまでも目安であり、必ずしもこの金額が適当であるとは限らないことに注意が必要です。

また、養育費算定は義務者の年収は給与の場合で2,000万円まで、権利者の年収は給与の場合で1,000万円までしか設けられておらず、これを超える場合には算定表は使えません。
そして、子どもが4人以上いる場合は、参照する表自体が設けられていません。

そのため、実際に養育費の目安を知りたい場合は、弁護士へご相談ください。

年収2,000万円の場合の財産分与の考え方

一方の年収が2,000万円である場合、離婚に伴う財産分与はどのように考えればよいのでしょうか?
ここでは、年収が高い場合の財産分与の考え方を解説します。

財産分与の割合は原則として2分の1

先ほど解説したように、財産分与の割合は原則として2分の1ずつです。
これは、夫婦が共働きであった場合も、一方が専業主婦(主夫)やパートであった場合であっても同様です。

特殊な能力により資産が積み上がった場合などは2分の1以外となることもある

財産分与の割合は必ず2分の1となるわけではなく、2分の1ではない割合とされることもあります。
たとえば、多くの財産を有している側が経営者やスポーツ選手など特殊な能力で財産を築いてきた場合は、財産分与の割合が2分の1以外とされる可能性が高いでしょう。

また、夫婦が長年別居していた場合や、専業主婦(主夫)であった側が家事をほとんどしてこなかった場合、財産を浪費していた場合などには内助の功がないとされ、財産分与が認められないこともあります。

年収2,000万円の人が離婚をする際の注意点

年収2,000万円の人が離婚する際は、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?
最後に、年収が高い場合に特に注意すべき主なポイントを3つ解説します。

相手の言い値で合意しない

1つ目は、相手の言い値で合意しないことです。

相手に離婚や慰謝料を切り出された際、気が動転するあまり、相手の言い値を飲んでしまいそうになるかもしれません。
しかし、相手がそのケースによる目安額よりも高額な金額を提示している可能性もあるため、相手の言い値をそのまま飲むことは避けるべきです。

特に、年収が高い場合は相手が高額な慰謝料がもらえるだろうと考え、一般的な目安とはかけ離れた額の請求をされるかもしれません。
しかし、いったん合意してしまうと、いくら「その場を収めるためだった」などと主張しても、後から減額することは困難となります。
そのため、冷静になって考えることなく相手の言い値での合意することは、避けた方がよいでしょう。

なお、口頭であればよいと考えるかもしれませんが、口頭であっても合意は成立します。
また、相手が離婚を切り出している時点で、会話を録音されている可能性が低くないことにも注意が必要です。

相手の差し出した書面に不用意に署名や押印をしない

2つ目は、相手が差し出した書面に不用意に署名や押印をしないことです。

自身にとっては初めて目にする書類であっても、相手は以前から弁護士へ相談し、書面の草案を練り込んでいるかもしれません。
不用意に署名や押印をしてしまえば、たとえ内容をよく理解できていなかったとしても、その後書面に記載された内容を覆すことは困難となります。

いくらその場で署名などをするよう促されても、その場はいったん持ち帰り、弁護士に内容を確認してもらったうえで署名するかどうかを十分検討することをおすすめします。

弁護士に相談する

3つ目は、早期に弁護士へ相談することです。

弁護士へ相談することで、そのケースにおける慰謝料や養育費などの適正額が把握しやすくなり、相手の提示する離婚条件を飲むべきかどうかの判断がしやすくなります。

また、相手が高額な慰謝料を提示している場合であっても、弁護士へ依頼して代理で交渉してもらうことで、相手が減額に応じる可能性が高くなります。
調停や裁判に移行した場合であっても、弁護士にサポートを受けたり対応を任せたりすることができることから、落ち着いて対応しやすくなるでしょう。

まとめ

年収2,000万円の人が離婚する場合の慰謝料や養育費、財産分与の考え方について解説しました。

慰謝料は、年収と比例して高くなるわけではありません。
ただし、年収が2,000万円であるなど支払い能力が高い場合は、相手から高額な慰謝料を請求される可能性もあります。

相手に提示された慰謝料額に納得ができない場合や減額したい場合には、早期に弁護士へご相談ください。
弁護士が代理して交渉することで相手が減額に応じる可能性が生じるほか、調停や裁判に移行しても弁護士に対応を任せたりサポートを受けたりすることが可能となります。

Authense法律事務所は離婚問題の解決に力を入れており、慰謝料を請求されている側からのご相談についても数多くの対応実績があります。
年収2,000万円の人が離婚したい場合や、相手から高額な慰謝料を請求されてお困りの際、離婚をできるだけ有利に進めたい場合などには、Authense法律事務所までまずはお気軽にご相談ください。

離婚に関するご相談は、初回60分間無料でお受けしています。

記事を監修した弁護士
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