コラム
公開 2022.02.06

離婚に関する公正証書って何?作成手順や費用、必要書類について解説します

離婚に関する公正証書とは?作成手順や必要書類、費用

協議離婚するなら、公正証書を作成することをおすすめします。

養育費や財産分与などの支払いを滞納されたとき、すぐに強制執行手続きが可能になるからです。

離婚に関する公正証書はお近くの公証役場で作成してもらえます。

この記事では公正証書が必要な理由、作成手順、必要書類や費用について解説します。

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離婚に関する公正証書を作成すべき理由

離婚に関する公正証書とは、離婚条件を公正証書にまとめた書類です。
公正証書は公証人が作成する公文書です。

特徴は、民間人が作成する文書よりも強い法的効力が認められることです。

離婚協議書だけでは相手が養育費や財産分与などの支払いを滞納したとき、すぐに差し押さえ等の強制執行手続きができません。
まずは、裁判等を起こして、強制執行可能であることを証明する文書(債務名義)を取得する必要があります。

一方、強制執行認諾文言のある公正証書があれば、相手が養育費や財産分与、慰謝料などの支払いを滞納したときに、すぐに給料や預金、不動産などの資産を差し押さえられます。
そのため、不払いのリスクを大きく軽減できるといえるでしょう。

また、公正証書の原本は公証役場で保管されるので、離婚後長期間が経過しても紛失のおそれがありません。離婚協議書の改ざんなど、悪質なトラブルも防げます。
そのほか、年金分割の合意を公正証書で行っておくと、離婚後、請求者が年金事務所へ行って単独で年金分割の手続きができるというメリットもあります。

このように、公正証書を作成するといろいろなメリットを受けられるので、合意内容をより確実に実現するためにも、協議離婚の際には、公正証書を作成しましょう。

公正証書を作成する手順

公正証書は以下の手順で作成しましょう。

1.離婚条件を取り決める

まずは夫婦で話し合って離婚条件を取り決める必要があります。
公証役場では話し合いの仲介や離婚条件についてのアドバイスはしてもらえません。
事前に自分たちで条件を取り決めましょう。分からないことがあれば、弁護士に相談することをおすすめします。

2.離婚協議書を作成する

自分たちで取り決めた離婚条件を書面化しましょう。
書面があると、公証人へ離婚条件を伝えやすくなります。

3.公証役場へ申し込む

準備ができたら公証役場へ公正証書作成の申し込みを行います。
特に管轄は決まっておらず、どこの公証役場でもかまいません。
自宅や職場から近い公証役場を選ぶと便利です。

4.必要書類を用意する

公正証書を作成する際には必要書類を用意しなければなりません。
公証人から指示を受けて、書面作成日までに準備しましょう。

5.夫婦で公証役場へ行って署名押印する

公証人と日程調整を行い、公正証書を作成する日にちを決めます。
当日は夫婦が2人で公証役場へ行き、必要書類を提出して署名押印して公正証書を完成させます。
当事者には公正証書原本の写しである正本や謄本が交付されます。
相手と顔を合わせたくない場合などは、弁護士などの第三者に、公証役場への出席を委任することもできます。

公正証書の必要書類

公正証書の必要書類
公正証書を作成する際には、一般的に以下の書類が必要です。

  • 自分たちで作成した離婚協議書、離婚条件をわかりやすく記載したメモや書面
  • 顔写真つきの身分証明書(運転免許証やパスポート等)など、本人確認のための資料
  • 婚姻関係や親子関係を確認できる戸籍謄本
  • 財産分与対象に不動産が含まれている場合、不動産の登記簿謄本、固定資産評価証明書または納税通知書
  • 年金分割の合意をする場合、基礎年金番号のわかる年金手帳等

代理人に委任する場合

公証役場の出席を代理人に委任する場合、以下の書類も必要です。
なお、弁護士も公正証書作成時の代理人になれます。

  • 委任状(実印にて押印)
  • 印鑑登録証明書
  • 代理人の本人確認書類

公正証書にかかる費用

公正証書を作成するときには、公証人の手数料がかかります。
手数料について、まずは、財産分与、慰謝料、養育費等の金額から算定します。
       

正本や謄本の取得費用

公正証書の正本や謄本(写し)を取得する際には、1枚につき250円がかかります。

公正証書を作成するときの注意点

公正証書を作成するときの注意点

公正証書を作成するときには、以下の2点に注意してください。

離婚条件の相談はできない

公証役場では離婚条件の相談に乗ってくれませんので、事前に自分たちで合意しておく必要があります。
相手と話し合っても、離婚条件について折り合いがつかない場合は、離婚条件の定め方や、交渉の進め方について弁護士に相談しましょう。

差し押さえを行うための送達について

公正証書の約束通りに支払ってもらえない場合、すぐに相手の給料や預金を差し押さえすることができます。
ただし、その前提として、公正証書を相手に「送達」しておく必要があります。
公正証書作成時に送達しておかないと、後にあらためて送達申請しなければなりませんが、相手方が住所変更してしまい、送達先の調査に時間がかかる場合もあります。
そのため、できれば公正証書を作成する際に送達を完了しておくと、安心でしょう。

まとめ

協議離婚するなら、合意内容をまとめた公正証書を作成しましょう。
まずは自分たちで話し合って離婚条件を取り決めて、お近くの公証役場へ申し込みましょう。
相手と直接話し合っても、離婚条件について合意できない場合には、弁護士に相談して、離婚条件の決め方や、交渉の進め方についてアドバイスを受けるようおすすめします。
弁護士が、代理人として交渉することも可能です。
自分で公証役場に行きたくない場合、弁護士に委任すれば相手と顔を合わせずに公正証書を作成できます。

Authense法律事務所の弁護士が、お役に立てること

・離婚条件に関し、分からないことがあれば、一人で悩ますに弁護士に相談する事をおすすめします。
・財産分与の取り決め方や交渉の方法など、具体的に弁護士にご相談いただけます。
・弁護士に依頼すると、代理人として、相手と離婚条件に関する交渉をしてもらうことができます。
・離婚協議書の内容に不備があると、離婚後にトラブルになることがあります。弁護士にご相談いただくと、離婚協議書の具体的な文言について、アドバイスいたします。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
早稲田大学法学部卒業(3年次卒業)、東京大学大学院法学政治学研究科修了。離婚、相続問題を中心に、一般民事事件や刑事事件など幅広く取り扱う。
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