コラム
公開 2021.05.13 更新 2021.10.08

国内外における企業のSDGs・ESGへの取り組み事例

国内外における企業のSDGs・ESGへの取り組み事例

SDGsやESGについて、国内・海外の企業の取り組み事例を中心に紹介していきます。
近年注目度を高めているSDGsやESG。多くの企業が積極的に取り組む時代に突入しており、世界規模で課題の解決に向けた取り組みが展開されています。
ESG投資という言葉があるほど、企業にとってはSDGsやESGは今や重要な指標となっています。

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「SDGs」「ESG」とは?

まずは、「SDGs」と「ESG」それぞれの用語について解説しましょう。

SDGsとは

「SDGs」とは、Sustainable Development Goalsの略称で、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」です。
SDGsは、2015年9月に開催された国連でのサミットにおいて全会一致で採択された国際社会の共通指標です。

SDGsは、17の目標と、それを達成するための169のターゲットで構成されています。
ここで規定されている目標は、「貧困をなくそう」「質の高い教育をみんなに」といった、主に発展途上国に対する支援をテーマにしたものや、「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」「気候変動に具体的な対策を」といったグローバルなものも含まれています。

ESGとは

「ESG」とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取った言葉です。
環境問題や企業の社会的責任が注目されるようになった現代においては、企業が中長期的に成長していくためにはESGが示す3つの観点が不可欠であると考えられています。

最近では投資の際にその企業がESGに注力しているか否かを指標とする「ESG投資」という手法もあります。ESGは企業の成長はもちろん、投資の側面においても重要な要素となっています。

国内企業の取り組み事例

ぞれでは、国内企業のSDGsやEGSに対する取り組み事例を紹介していきましょう。

株式会社リクルートホールディングス

株式会社リクルートホールディングスでは、リクルートグループ全体としてSDGsに取り組んでいます。
17のSDGsの目標のうち、自社の強みを活かし、特に取り組むべき目標として6つの目標をピックアップしています。

リクルートグループでは、「人や国の不平等をなくそう」という目標を中心に据え、情報の非対称性をなくし、選択肢を広げる「リボンモデル」という独自のスキームを構築することで、より大きなインパクトを生み出そうとしています。

このリボンモデルは、就職・進学・住宅など、必要な情報を求める個人ユーザーと企業が交流する場(プラットフォーム)を提供し、最適なマッチングを実現することで、双方の満足度を高めようとするものです。

リクルートグループが結び目となり、個人ユーザーと企業を結びつける形となることから、リボンモデルと銘打たれています。
テクノロジーを取り入れリボンモデルを進化させ続けることで、「まだ、ここにない、出会い」の創出し豊かな世界の実現に貢献しています。
https://recruit-holdings.co.jp/who/reports/2019/ar19-sdgsdomino.html

三井不動産株式会社

三井不動産株式会社は、持続可能な社会の実現を目指し、ESGに積極的に取り組んでいます。
同社グループは、「環境負荷の低減」「安心・安全、快適性の向上および持続可能性の確保」「様々な主体との多様な連携・協力」の3つの分野を一体的に推進することを、環境活動に対する取り組みの基本的な方針として定めています。

雨水・中水の有効利用や国立公園内での事業活動、グループとして森林を保有するなど、環境問題に対する取り組みを行い、成果や具体的な取り組み内容をレポートとして公開しています。

また、三井不動産グループはSDGsにも取り組んでおり、17の目標それぞれにおいて、グループ全体としてさまざまな取り組みを行っています。
感染症防止対策や水源林の保全、ワークスタイリングによる企業の働き方改革支援、国連グローバルコンタクトへの参加など、その取り組みは多岐に渡ります。

17の目標とそれに対応する169のターゲットの中から、自社グループの強みを生かしそれぞれのターゲットに即した具体的な取り組みを行うことで、SDGsを促進しています。
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/index.html

豊田合成株式会社

豊田合成株式会社は、「限りない創造 社会への奉仕」を社是とし、持続可能な社会の実現への貢献を目指しています。
ガバナンス体制を構築し、SDGsやESGの領域に率先して取り組み、世界中のステークホルダーからの期待に応えようとしています。

前述の社是の中には、さらに具体的なテーマとして「社会への貢献」、「適正な事業活動」「持続的な成長」「お客様の満足度」「地球環境・資源の保全」「人間性の尊重」が設定されています。

SDGsの中からは、「すべての人に健康と福祉を」、「産業と技術革新の基礎をつくろう」を始めとした8つの目標を同社の最重要課題としてピックアップし、生産工程での廃棄物極小化、自動運転に対応した先進安全技術の開発など、SDGsに精力的に取り組んでいます。
https://www.toyoda-gosei.co.jp/csr/think/

海外企業の取り組み事例

続いて、海外企業のSDGsやESGに対する取り組み事例を紹介していきます。

BMW

ドイツの自動車メーカー、BMWは、SDGsの目標の中から「住み続けられるまちづくりを」を重要目標と位置づけ、「クルマ」に合わせた環境ではなく、「ヒト」に合わせた環境を実現するための取り組みを展開しています。

電気自動車を開発に精力的に取り組んだり、バッテリーのライフサイクルの改善に取り組んだりと、自動車産業を中心にさまざまな取り組みを行っています。

カーシェアの分野では、電気自動車をシェアする「ドライブナウ」や「リーチナウ」のサービスを展開し、電動スクーターの設置も進めています。
グループ会社を通じて、電気自動車の充電ステーションを運営する、ライドシェアの会社に投資するなど、未来の都市を支える取り組みを行っています。
https://www.bmw.com/ja/innovation.html

ユニリーバ

世界190ヶ国で400を超えるブランドを展開し、食品・洗剤などの家庭用品を製造・販売する多国籍企業であるユニリーバは、「サステナビリティを暮らしの“あたりまえに”」という目的のもと、2010年には「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン」を発表し、SDGsやEGSに積極的に取り組んでいます。

開発途上国、主にバングラデシュに対し、家庭用浄水器「ピュアイット」を普及させ、安全な飲み水を提供。
SDGsの目標の一つである「安全な水とトイレ」の達成に貢献しています。

また、自社が「ユニバーサル・サステナブル・リビング・プラン」を達成しつつある中、他企業にSDGsへの参加を呼びかけるなど、SDGsの輪を世界中に広める役割も担っています。
衛星・栄養・気候変動といった課題に対し、ユニリーバが有する知見やリソースを活用し、ステークホルダーや社会に利益をもたらそうとしています。
https://www.unilever.co.jp/planet-and-society/sdgs/

H&M

スウェーデンのファッションブランドであるH&Mは、世界中で社会問題となっている「衣服ロス」の解決に取り組んでいます。

年間10万トン以上の衣服が廃棄処分されている状況を改善し、衣服ロス問題に取り組むため、「Global Change Award」を主催。
廃棄物を出さない、循環型のファッション業界への移行を促進するようなアイデアを募集し、受賞者に資金提供やスウェーデン王立工科大学と共同でイノベーション促進プログラムの提供を行うなど、イノベーションを起こそうとする人への支援も手厚く行っています。

クラウドファンディングのプラットフォームも構築し、一般の人が受賞されてアイデアに直接投資できる環境も整えています。

H&Mは自社だけでなく、他社も巻き込んでサステナブルな社会の実現に貢献しようとしています。
イノベーションに溢れるアイデアを他者から求め、自社のノウハウや資金、ネットワークを駆使してそのアイデアを実現しようとするこの手法は、今後広がりを見せていくかもしれません。
https://globalchangeaward.com/

「SDGs」や「ESG」に関連する資金調達の例

ここでは、SDGsやEDGに取り組む企業が利用できる資金調達を紹介します。

SDGs債

SDGs債とは、調達した資金が、SDGsに取り組むための事業に充てられる債券を指します。
環境系のグリーンボンド、社会系のソーシャルボンド、両者を対象とするサステナビリティボンドなどをまとめてSDGs債と呼びます。
日本でも、独立行政法人や民間企業からソーシャルボンドが発行されています。

ESG債

SDGsだけでなく、ESGにおいても「ESG債」の発行が増えています。「ESG債」とは、環境事業や社会貢献事業などに資金使途を絞った債券を指します。

このようにESGに積極的に取り組むことで、企業の魅力度が高まり、結果として資金が集まりやすくなっているのです。

そして、ESGの要素として、社会(Social)と企業統治(Governance)が含まれている以上、社会に対する責任や法令遵守など、コンプライアンスの面も要求されます。

まとめ

近年急激に注目度を高めている「SDGs」や「ESG」について、国内外の企業の取り組み事例や資金調達の方法について紹介しました。
今や企業は利益のみを追求していれば良いものではなく、世界基準でSDGsやESGに取り組むことが要求される時代です。

さらに言えば、SDGsやESGに取り組まなければ資金調達もままならなくなり、企業の長期的な成長も望めません。
結果として、利益をあげることができなくなってしまうのです。

そして、SDGsやESGには、その一環としてコンプライアンスの観点が不可欠です。
これからSDGsやESGに対する取り組みを始めたいと考えている場合は、専門家のサポートを受けてみてはいかがでしょうか?

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