相続税・贈与税対策

相続税・贈与税対策

相続財産から控除できる葬式費用は何が含まれますか?

葬式費用は、相続税の控除対象となりますが、項目によって控除対象になるものとならないものがあります。

葬式費用になる
・火葬、埋葬費用
・葬式に際して寺院に支払ったお布施など
・葬式にともなうものと認められた葬式前後に生じた出費
・死体の捜索または、死体や遺骨の運搬費用

葬式費用にならない
・香典返しの費用
・墓石や墓地の購入費など
・法要などの費用
・医学上または裁判上の特別措置にかかった費用

死亡保険金は、課税対象になりますか?

死亡保険金は、みなし相続財産として課税対象となります。しかし、死亡保険金には、遺族の生活を保障するという大事な側面がありますので、「500万円×法定相続人数」までは、非課税となります。ただし、この非課税措置は、保険金受取人が相続人の場合に限られます。

◆死亡保険金に課税される税金の種類

契約者(保険料の負担者)と被保険者が同じ場合
死亡保険金を受け取った場合、相続税が課税されます。ただし、保険金受取人が相続人の場合、非課税措置が適用され、「500万円×法定相続人数」までは非課税となります。

例)
契約者(保険料の負担者) 夫
被保険者 夫
受取人 妻

相続税が課税されます。

契約者(保険料の負担者)と保険金受取人が同じ場合
死亡保険金を受け取った場合、所得税が課税されます。
死亡保険金を一時金で受け取った場合には、一時所得になります。また、死亡保険金を年金で受け取った場合には、公的年金等以外の雑所得になります。

例)
契約者(保険料の負担者) 妻
被保険者 夫
受取人 妻

相続税が課税されます。

契約者(保険料の負担者)、被保険者、保険金受取人が全て異なる場合
生命保険金(死亡保険金)を受け取った場合、贈与税が課税されます。

例)
契約者(保険料の負担者) 母
被保険者 父
受取人 子

贈与税が課税されます。

◆相続放棄をした場合
契約者(保険料の負担者)と保険金受取人が同じ場合、死亡保険金は保険金受取人の固有の財産になるため、相続放棄をしても受け取ることができます。

ただし、この場合も死亡保険金は、みなし相続財産として相続税が課税されます。また、相続放棄をした人は相続人とはならないため、生命保険金の非課税金額の適用を受けることはできません。

本人が亡くなった場合、高額療養費は相続税の課税対象になりますか?

高額療養費は本人が申請しますが、本人が亡くなった場合は相続人が代理人として申請し、相続人が受け取ることになります。この場合、高額療養費は亡くなった本人の財産の一部として相続税の課税対象となります。

小規模宅地の特例が適用される要件について教えてください

小規模宅地の特例とは、被相続人の不動産財産のうち、自宅や事業用の土地の場合、大幅に減税されるというものです。自宅や事業用の土地に既定の相続税を課されてしまっては、そこに住み続けることやあるいは、事業展開ができなくなることを防ぐために設けられています。最大で居住用の場合は80%の減額が適用されます。

ただし、この特例は、居住用・事業用でそれぞれ適用条件が設けられています。
この条件に当てはまる場合のみ、小規模宅地の特例が受けられます。

良く見られる小規模宅地の特例適用要件は、以下のようなものです。

・配偶者が単独で住宅地として相続し、そこに住み続ける場合
・相続人が事業用宅地を相続し、事業を継続して営む場合
などです。

相続開始と法改正の前後関係で、適用される限度面積などに違いがありますので、注意が必要です。

1. 平成26年12月31日以前に開始した相続の場合

区分 減額割合 限度面積
特定居住用宅地等 80% 240㎡
特定事業用宅地等

特定同族会社事業用宅地等
80% 400㎡
貸付事業用宅地等 50% 200㎡

2. 平成27年1月1日以降に開始した相続の場合

区分 減額割合 限度面積
特定居住用宅地等 80% 240㎡
特定事業用宅地等

特定同族会社事業用宅地等
80% 400㎡
貸付事業用宅地等 50% 200㎡

また、平成30年4月1日以降の相続に関して適用要件が改正され、今まで適用対象であった宅地・相続人が適用されなくなる可能性もありますので、こちらも注意が必要です。

小規模宅地の特例を利用するためには、相続税申告の期限内に申告を行わなければなりません。
小規模宅地の特例を利用したいけれども、遺産分割協議が進まない…という方は、お早めにご相談ください。

相続税課税時の、農地・生産緑地・山林の評価の考え方について教えてください

3つの項目のうち、生産緑地だけは、聞きなれない言葉かと思います。これは、市街化区域内にある農地のことです。市街化区域内にあっても農地という地目の場合もあります。これは、宅地に転用可能なものです。一方、生産緑地の場合は、農業を継続しなければならないという制約を受けます。しかし、そのような不利益がある分、生産緑地は固定資産税が安くなります。

では、下記より農地・生産緑地・山林がそれぞれどのように評価されるのか見ていきましょう。

◆農地の評価
農地には純農地・中間農地・市街地農地・市街地周辺農地があり、それぞれ次のように評価します。

1)純農地・中間農地
固定資産税評価額×国税局長が定める一定の倍率

2)市街地農地
(農地が宅地であるとした場合の価額-農地を宅地に転用する場合にかかる造成費)

3)市街地周辺農地
市街地農地×80/100
貸し付けられている農地の評価
貸し付けられている農地の評価は、その権利によって評価が異なります。下記をご覧ください。

耕作権
1)純農地・中間農地の耕作権
農地の価額×耕作権割合(50%)

2)市街地周辺農地・市街地農地の耕作権
農地の価額×耕作権割合
※離作料の額、借地権の価額等を参酌して求めた価額により評価します。

3)貸している側の評価
農地の自用地としての価額-1)又は2)により計算された価額

永小作権の目的となっている農地
農地の自用地としての価額-永小作権の価額

区分地上権の目的となっている農地
農地の自用地としての価額-区分地上権の価額

◆生産緑地の評価
生産緑地の場合、2つの条件により4評価のしかたが変わります。以下よりご確認ください。

1)課税時期において市町村に対し買取りの申立をすることができない生産緑地
生産緑地でないとした価額×(1-控除割合)

※控除割合

課税時期から買取りの申出をすることが
できることとなる日までの期間 控除割合
5年以下のもの 10%
5年を超え10年以下のもの 15%
10年を超え15年以下のもの 20%
5年を超え20年以下のもの 25%
20年を超え25年以下のもの 30%
25年を超え30年以下のもの 35%

2)買取りの申出が行われていた生産緑地又は買取りの申立をすることが出来る生産緑地
生産緑地でないとした価額×95%

◆山林の評価
山林の場合は、評価方法が様々です。山林をお持ちの方は、どれに該当するのかよく調べる必要があります。

1)純山林
固定資産評価額×国税局長が定める一定の倍率

2)中間山林(市街地付近又は別荘地帯にある山林)
固定資産評価額×国税局長が定める一定の倍率

市街地山林
・宅地比準方式
その山林が宅地であるとした場合の価額-山林を宅地に転用した場合にかかる造成費
※造成費とは整地費・土盛費・土止費の合計額をいい、おおむね同一の地域ごとに国税庁において定められています。
・倍率方式(市街化区域内にある山林であらかじめ倍率が定められている場合)
固定資産税評価額×倍率

4)広大な市街地山林
市街地山林が宅地であるとした場合に広大地に該当するときは、広大地の評価方法に準じて評価することができます。

5)保安林等の評価
森林法その他の法令の規定に基づき、土地の利用又は立木の伐採について制限を受けている保安林等の価額は、山林の自用地としての評価額に、伐採制限に応ずる一定の金額を控除した金額により評価します。

◆特定計画山林についての相続税の課税価格の計算についての特例
特定計画山林を相続することになった場合、特例が適用されます。

特定計画山林相続人等が、相続、遺贈又は相続時精算課税贈与により取得した特定計画山林で当規定の適用を受ける選択をし、かつ、相続、遺贈、贈与に係る申告期限までその山林を引き続き所有している場合は、相続税の課税価額に算入すべき金額の計算上、5%が減税されます。

なお、この特例を受けるためには、原則として申告期限までに分割されている必要があります。

小規模宅地の特例との併用
小規模宅地の特例の適用を受けている宅地について限度面積に満たない部分があるときは、一定の算式に基づき計算した金額を限度に、当該特例または「特定事業用資産の特例」の適用を受けることができます。

相続税課税時の、定期借地権のある土地の評価の考え方について教えてください

土地を評価するにあたって、大きく分けて二つの方法があります。
路線価方式と倍率方式の2つです。

市街地が形成されている場合、どのような道に面しているかによって土地の価格は大きく左右されます。それを考慮して、概ね市街地に該当する土地に関しては路線価方式という評価方法が採られます。

一方、それ以外の土地に関しては倍率方式という方法で評価されます。
それぞれの評価方法について詳しく見ていきましょう。

◆路線価方式
道路に沿って同じ地価水準にある地域ごとに1平方メートルあたりの評価額(路線価)が決められています。この路線価を基準にして、その土地がどのように面しているのか(奥行、土地の形状、間口の大きさなど)をさらに考慮したうえで、評価されます。

◆倍率方式
地価水準が似ている地域ごとに、固定資産税評価額に対する一定の倍率が定められています。 該当の土地に対する固定資産評価額に定められた倍率を乗じることで評価額が算出されます。

相続税課税時の、土地の評価の考え方について教えてください

土地を評価するにあたって、大きく分けて二つの方法があります。
路線価方式と倍率方式の2つです。

市街地が形成されている場合、どのような道に面しているかによって土地の価格は大きく左右されます。それを考慮して、概ね市街地に該当する土地に関しては路線価方式という評価方法が採られます。

一方、それ以外の土地に関しては倍率方式という方法で評価されます。
それぞれの評価方法について詳しく見ていきましょう。

◆路線価方式
道路に沿って同じ地価水準にある地域ごとに1平方メートルあたりの評価額(路線価)が決められています。この路線価を基準にして、その土地がどのように面しているのか(奥行、土地の形状、間口の大きさなど)をさらに考慮したうえで、評価されます。

◆倍率方式
地価水準が似ている地域ごとに、固定資産税評価額に対する一定の倍率が定められています。 該当の土地に対する固定資産評価額に定められた倍率を乗じることで評価額が算出されます。

相続税課税時の、がけ地を有する宅地の評価の考え方について教えてください

がけ地が宅地の一部にあり、その部分は通常の用途に供することができない場合には、がけ地補正率によって評価額を算出します。

計算方法は、一度がけ地をがけ地でないとした場合の評価額にがけ地補正率を乗じます。

がけ地補正率は、がけ地の総地積に対する割合とそのがけ地のある方位によって決まります。
がけ地補正率には方位が重要となるのは、採光や眺望、日照り、通風等の環境状況を加味するためです。

同じ割合であっても、方角が違えば補正率は変わってきます。
北向きにある場合がもっとも高い補正率になります。

相続税課税時の、私道の評価の考え方について教えてください

道路には、国道や市道など公共機関が管理しているものと、個人が所有・管理しているものがあります。

個人が所有・管理している道路のことを私道といいます。
私道を故人が所有していた場合には、相続財産に含まれます。したがって、評価額を出さなければなりません。

私道は、大きく分けて2つに区分されます。

① 不特定多数の通行者が使用している(公道へ通り抜けることができる)
② 特定の人のみが通行に利用している(袋小路のようになっていて行き止まりがある場合など)
上記①の場合、私道の評価は行いません。

一方、②に当てはまる場合は、評価額の算出を行う必要があります。
評価額は、私道を自用地と見なした際の評価額×0.3です。

相続税課税時の、雑種地の評価の考え方について教えてください

雑種地とは、資材置き場や駐車場、運動用地(テニスコートやゴルフ場など)に使用されている土地のことを指します。このような土地の評価は、以下のようになります。

①自用に供する雑種地
雑種地の価額は、その雑種地と状況が類似する付近の土地について評価した1㎡当たりの価額を基にして評価します。

・比準方式
当該雑種地と状況が類似する付近の土地の価額を基準にその他の条件を考慮して評価します。
なお、倍率が定められている地域にある場合は以下の方法により評価します。

・倍率方式
固定資産税評価額×国税局長が定める倍率

②貸付けられている雑種地
貸し付けられている場合には、貸借権を差し引きます。
①の評価額-賃借権の価額

③ゴルフ場の用に供する土地の評価
・市街化区域及びそれに近隣する地域にあるゴルフ場用地
(1㎡当たりの宅地比準価額×地積×60/100)-(1㎡当たりの宅地に転用する場合にかかる造成費×地積)
・上記以外の地域にあるゴルフ場用地
固定資産税評価額×国税局長が決める倍率

相続税を納付する際に、物納による納税はできますか?

相続税には、建物や土地等不動産など現金そのものではないものも含まれるため、金銭で納付することが困難な方に物で納税する物納が認められています。

実際、どのようなものを物納に充てることができるのか、また、その手続き方法について説明いたします。

1.物納に充てることができる財産
(1)国債及び地方債、不動産及び船舶
(2)社債及び株式並びに証券投資信託又は貸付信託の受益証券
(3)動産
※管理処分不適格財産となるものは物納に充てることができません。

2.物納申請期限
物納の許可を受けようとする場合には、相続税の申告期限(相続が開始されたことが分かった日から10か月以内)までに物納申請書、その他関係書類を提出しなければなりません。

◆相続税の延納
納税義務者について、相続税額が10万円を超え、かつ、納付期限までに金銭で一括納付をすることが困難である場合には、税務署に申請することにより、年賦延納をすることができます。

1.適用要件
延納の許可を受けようとする場合には、相続税の申告期限(相続が開始されることが分かった日から10か月以内)までに税務署に延納申請書、担保提供書類を提出しなければなりません。
また、原則として延納税額及び利子税の額に相当する担保を税務署に提供しなければなりません。

2.延滞期間
延納期間は相続した財産のうち不動産の占める割合によって異なります。

【不動産の占める割合が50%未満の場合】
延納期間は5年以内となります。

【不動産の占める割合が50%以上75%未満の場合】
a動産に係る税額・・・10年以内
b不動産に係る税額・・・15年以内

【不動産の占める割合が75%以上の場合】
a動産に係る税額・・・10年以内
b不動産に係る税額・・・20年以内

3.利子税
延納の許可を受けた納税義務者は、相続税の申告期限の翌日から分納税額の納期限までの期間に応じ、一定の割合を乗じて計算した利子税も支払わなければなりません。

相続税における延滞税・加算税について教えてください

申告した税額に誤りがあったり、そもそも相続税の申告を行わなければならないのに申告をしていなかった場合などには、延滞税や加算税などが課されます。

相続税の申告には、相続が開始された日から10か月以内という厳しい期限が設けられていますので、税額の算出にお困りの方は、早期段階で相続に精通した法律家に相談しましょう。

◆延滞税
納付期限までに納付をしなかった場合に課されます。
金額は、納付期限から納付した日までの日数に本税の年14.6%(納付期限から2ヶ月以内は年7.3%)を乗じて計算します。

◆過少申告加算税
申告した税額が本来の税額より過少であった場合に課されます。

・自主的に修正申告書を提出した場合
過少申告加算税は課されません。

・税務調査により発覚した場合
追加で納めることとなった税金に10%(期限内申告の税額と50万円のいずれか大きい金額を超える場合の、その超える部分については15%)を乗じて計算した金額を支払わなければなりません。

◆無申告加算税
納付すべき相続税があるにもかかわらず、申告書を提出していなかった場合に課されます。

・自主的に申告書を提出した場合
納付すべき税額の5%を乗じて計算した金額。

・税務調査により発覚した場合
納付すべき税額の15%を乗じて計算した金額。

◆重加算税
財産を仮装・隠蔽等した場合に課されます。

・過少申告をした場合
納付すべき税額に35%を乗じて計算した金額。

・無申告だった場合
納付すべき税額に40%を乗じて計算した金額。

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