遺産分割

遺産分割

誰がどのくらいの割合で相続できますか?

法定相続人とは、民法で定められた「相続する権利がある方」のことです。民法は誰がどのような割合で相続できるかを定めていますので、基本的にはこの割合に沿って相続手続きを進めていきます。

第一順位 配偶者と被相続人の子(直系卑属)の場合

配偶者が2分の1、子が2分の1。
子が2人以上の場合は2分の1から均等に分けます。
つまり、子が2人いたなら、子の法定相続分はそれぞれ全体の4分の1。子が3人いたなら、子の法定相続分はそれぞれ全体の6分の1ずつとなります。
なお、配偶者がすでに死亡している場合は、子が全部相続します。

第二順位 配偶者と被相続人の父母(直系 尊属)の場合

配偶者が3分の2、父母が3分の1。
父母ともにいる場合は3分の1から均等に分けます。つまり、父母の法定相続分はそれぞれ全体の6分の1ずつとなります。
なお、配偶者がすでに死亡している場合は、父母が全部相続します。

第三順位 配偶者と被相続人の兄弟姉妹(傍系血族)の場合

配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1。
兄弟姉妹が2人以上の場合は、4分の1から均等に分けます。つまり、兄弟姉妹が2人いたなら、子の法定相続分はそれぞれ全体の8分の1となります。
なお、配偶者がすでに死亡している場合は、兄弟姉妹が全部相続します。

遺産分割協議書の書き方(サンプル)を知りたいです

遺産分割協議書には、明確に決められた書式・形式がありません。そこで、一般的な遺産分割協議書のサンプルをご紹介します。

本   籍 東京都 港区 ○町○丁目○番○号
最後の住所 東京都 港区 ○町○丁目○番○号
被相続人 港 太郎 ( 平成○年○月○日死亡 )
上記の者の相続人 港 A男、六本木 B子、麻布C美 の全員は、被相続人の遺産について協議を行った結果、次の通り分割することに同意した。

1.相続人 港 A男 は次の遺産を取得する。

<土地>
所  在 神奈川県横浜市○町○丁目
地  番 ○番○
地  目 宅地
地  積 180.00m²
<建物>
所  在 神奈川県横須賀市○町○丁目
家屋番号 ○番○
種  類 木造
構  造 瓦葺2階建
床面積 1階  60.11m²
2階  60.00m²
2.相続人 六本木 B子は次の遺産を取得する。

<現金> 金3,000,000円
<預貯金> ○○銀行○支店 普通預金 口座番号00000000
○○銀行○支店 定期預金 口座番号00000000
○○信用金庫○支店 普通預金 口座番号00000000
3.港 A男は、第1項記載の遺産を取得する代償として、麻布 C美に平成○年○月○日までに、金8,000,000円を支払う。

4.本協議書に記載のない遺産及び後日判明した遺産については、相続人 麻布 C美がこれを取得する。

以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、本協議書を3通作成し、署名押印のうえ、各自1通ずつ所持する。

平成○年○月○日
<相続人 港 A男 の署名押印>
住所
氏名             (印)
<相続人 六本木 B子 の署名押印>
住所
氏名             (印)
<相続人 麻布 C美 の署名押印>
住所
氏名             (印)
遺産分割協議書は、相続人の数だけ作成し、相続人全員の署名・捺印をして各自1通ずつ保管します。遺産分割協議書が複数枚にわたる場合は、相続人全員の実印で契印(割り印)します。

遺産分割協議書作成に関するサポートもしておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

遺産分割協議書が有効か、確認したいです

遺産分割協議書は、法律上、必ず作成しなければならないというものではありません。

口頭による協議だけでも有効ですが、相続財産に不動産が含まれる場合は、不動産の名義変更(登記手続)や、相続税の申告の際に、遺産分割協議書(印鑑証明書付)の提出を求められるので、遺産分割協議書を書面で作成しておく必要があります。

しかし、せっかく作成した遺産分割協議書の有効性を巡って争いに転じてしまっては本末転倒です。どのような場合に遺産分割協議書の有効性が失われてしまうのかを確認しておきましょう。

遺産分割が無効になる場合
戸籍上相続人であると判明しているのに、一部の相続人を除いて遺産分割協議書が作成された場合
相続人ではない者を加えて作成した場合
遺産分割に大きくかかわるような相続財産を脱漏して作成したため、相続財産に関する事項について相続人に錯誤がある場合
遺産分割協議書作成後に遺言が見つかり、遺言があることが分かっていれば、協議書のようにはならなかったと考えられる場合

このように、遺産分割協議において財産や相続人の不備があった場合、せっかく作成した遺産分割協議書も無効になってしまう可能性があります。

認知症の相続人がいる場合、どうしたらいいですか?

認知症の相続人がいる場合、判断能力に欠けてしまう可能性があるとして、代理人を立てる必要があります。
この代理人は、認知症の程度に応じて、成年後見人、保佐人、補助人と分かれており、それぞれ代理人が行うことのできる範囲も変わってきます。

成年後見人が選任されるまで
1 家庭裁判所に成年後見人の選任申立てを行います。医師の診断書が必要です。
2 家庭裁判所が本人との面接・医師からの鑑定などをもとに、審理を行います。
3 家庭裁判所によって後見開始の決定・選任者が確定されます。
4 後見人を含めた相続人全員で遺産分割協議を行います。
※申立から後見の審判がされるまで、通常1~2ヶ月程かかります。

未成年者の相続人がいる場合、どうしたらいいですか?

遺産分割協議は、相続人全員の参加と同意が必要です。しかし、未成年の相続人は、遺産分割協議に参加することが出来ません。
相続人の中に未成年がいる場合、下記のいずれかの方法で遺産分割を進めていかなければなりません。

未成年者が成年に達するまで待ってから遺産分割協議をする
未成年者に代理人を立てる
特別代理人の選任

通常は、親権者である父もしくは母、または後見人が「法定代理人」となります。もっとも、親も相続人の一人である場合には、子との間でお互いに利益が相反(利益相反)するおそれがあるため、親が未成年の子の代理人になることはできません。
そこで、子のための特別代理人の選任を家庭裁判所に請求する必要があります。また、複数の未成年者に対しては、それぞれ違う代理人を選任することになります。
遺産分割協議は、この特別代理人とその他の相続人とで行います。

生命保険金(死亡保険金)は相続財産として遺産分割の対象になりますか?

生命保険金(死亡保険金)は、保険金請求権に基づき、受取人の固有の権利として取得されるものです。原則として、被相続人の相続財産にはあたりません(被保険者が保険金受取人の場合を除く)。ただし、他の相続人と著しい不公平がある場合には特別受益に準ずる場合もあります。

相続に関する調停とは、どんなものがありますか?

相続に関する調停は、主に以下の調停があります。

遺産分割調停
寄与分を定める処分調停
遺留分の調停
特別寄与料の調停、
遺産に関する紛争調停

相続に関する審判とは、どんなものがありますか?

相続に関する審判は、主に以下の調停があります。

相続放棄の申述 
限定承認の申述
相続承認、または放棄の期間伸長
相続財産管理人の選任
特別縁故者に対する相続財産分与
遺言書の検認
遺言執行者の選任
遺留分放棄の許可 
遺留分の算定に係る合意の許可

といった、対立当事者がいるわけではなく、裁判所に決定を求める必要がある手続です。

共同相続人の一部を除外してなされた遺産分割協議は有効なのでしょうか?

共同相続人の一部を除外してなされた遺産分割協議は無効となります。遺産分割協議の無効を訴える方法として、遺産分割協議無効確認訴訟の提起等があります。

勘当され家を出て行ったきり連絡が取れない兄は遺産分割協議に含めなくてもいいでしょうか?

相続人に行方不明者がいる場合、戸籍調査を行うなど、まずは所在確認に努めます。それでも所在確認が取れない場合は、失踪宣告や不在者財産管理人選任の申立てなどの法的手続を経たうえで遺産分割協議を行います。

マンションの名義を変更をしたいのですが、相続人から返答がありません。どうしたらいいでしょうか?

遺言書にマンションを相続する旨の記載があれば、遺産分割協議の必要はありません。マンションの名義を変更することもできます。
遺言書がない場合には、相続人との話し合い(遺産分割協議)になりますが、話し合いが難しい場合には、遺産分割調停の申立て等をする必要があります。

自宅と土地くらいしか相続財産と言えるものがありません。どのように分ければいいのでしょうか?

分割しにくい財産の分割方法として、「現物分割」「換価分割」「代償分割」「共有分割」の4つの方法があります。
詳細はこちらで説明しています。

事実婚や内縁の配偶者は相続人になれますか?

事実婚や内縁の配偶者は法定相続人になることはできません。ただし、遺贈をすることは可能です。

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