コラム
公開 2022.07.26

相続が発生したら、所得税申告は必要?申告が必要なケースとは?

相続_アイキャッチ_204

相続が発生した場合、相続税の申告以外に、所得税の申告も必要となるのでしょうか?
所得税の申告が必要となる場合は、どのような場合なのかなどについて、詳しく解説いたします。

オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。

記事を監修した税理士
黒瀧 泰介

 

代表社員税理士 公認会計士

黒瀧 泰介
私たちグランサーズは、高品質の税務サービスを土台に、グランサーズグループ、士業提携先とワンチームになって、今の課題も、将来起きるだろう課題も一緒に解決策を考え抜いていきます。
私たちは、ご家族様が築き上げた財産が少しでも保全できるように、お客様の財産保全パートナーを目指し貢献していきます。
チャンネル登録7万人超の公式YouTubeチャンネルでは、節税でキャッシュを最大限残したり、運用で効率よく増やしていく方法をお届けしています。ぜひこちらもご覧ください。
社長の資産防衛チャンネル【税理士&経営者】

相続が発生した場合の税金の申告について

相続が発生した場合、どのような税金の申告が必要となるのでしょうか。

まず、相続税の申告が必要となります。
これは、相続が発生し、相続財産が一定の金額以上である場合に必要な申告となります。
基本的には、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に申告が必要となります。

次に、被相続人の準確定申告が必要となります。
被相続人の準確定申告は、被相続人の確定申告のことで、1月1日から亡くなるまでに確定した所得金額及び税額を計算して申告致します。
準確定申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内に申告が必要となります。
そのため、相続後の葬儀の手続きや片づけ、市区町村役場の手続きなどをしているうちに、申告期限が目前に迫っているということも少なくありません。

また、相続人も確定申告が必要となる場合があります。
相続した財産を売却した場合や相続した収益物件から賃料収入を得ている場合は、相続人に所得が発生しますので、相続発生以前は確定申告が必要なかった相続人も確定申告が必要となります。
相続人が生命保険を受け取った場合も、契約者や保険料負担者等によっては、確定申告が必要となりますので、注意しましょう。

以下では、被相続人の準確定申告と相続人の確定申告について、詳しく解説していきます。

被相続人の準確定申告について

書類 相談
確定申告をするべき人が、年の途中で亡くなった場合や年が明けて確定申告をする前に亡くなった場合、確定申告が未了で、所得税等を納付していない状況となります。
そのため、相続人が、確定申告をすべき人の代わりに、確定申告をし、所得税等の納付(又は還付)をすることとなります。
この確定申告を「準確定申告」といいます。

準確定申告は、相続人や遺言で指定を受けた包括受遺者が行います。
ただし、全ての被相続人に準確定申告が必要というわけではありません。
生前に、確定申告をする必要があった人についてのみ、準確定申告が必要となります。

準確定申告が必要な人は、以下のようなケースです。

  • 事業所得や不動産所得がある
  • 給与収入が2000万円を超える
  • 2箇所以上から給与収入を得ている
  • 給与所得、退職所得以外に20万円を超える所得がある
  • 不動産の売却や生命保険の満期の受取りがある
  • 公的年金等による収入が400万円を超える

詳しくは、国税庁のHPを参考にしてください。(参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/a/01/1_06.htm

なお、生前に多額の医療費がかかっていた場合など、確定申告をする必要がないけれども、行うと還付金が戻るケースもありますので、還付金について確認されたい場合は税理士に相談してみるとよいでしょう。

準確定申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内に申告・納税が必要となります。
相続発生後の諸手続き等で失念しがちなので、早めに税理士に相談をして準確定申告の準備をしましょう。

相続人の確定申告~生命保険~

相続が発生し、相続財産を承継した場合、相続税申告をすれば足りることも多いです。
しかし、被相続人が被保険者の生命保険金を受領した場合において、契約者等によっては相続人に所得税納税義務が生じ、確定申告をしなければならなくなります。

①契約者(保険料負担者)と被保険者が被相続人、受取人が相続人の場合

→相続税の申告

②契約者(保険料負担者)が相続人、被保険者が被相続人、受取人が相続人(契約者と同一)の場合

→所得税の申告
(住民税の課税対象にもなります。)

③契約者(保険料負担者)が相続人、被保険者が被相続人、受取人が相続人の子ども(契約者と異なる)の場合

→贈与税の申告

①の場合、相続財産が多額となる場合、相続税の税率が高くなります。
例えば、相続税の最高税率は55%となりますので、仮に1億5000万円の生命保険金を受領する場合に、最高で8250万円の税金がかかることとなります。

そこで、税額(税率)を低くするために、②を活用し、保険料贈与プランを検討する場合があります。
保険料相当額を被相続人から相続人に贈与し、相続人が保険に加入して贈与された金銭を保険料として支払うプランになります。
このようにすることで、相続発生時の生命保険にかかる税金は所得税・住民税となります。
所得税・住民税の最高税率も、相続税と同じく55%ではありますが、相続人が受け取る生命保険金は一時所得となりますので、税金がかなり低くなります。

  • 一時所得=(受け取る生命保険金-支払った保険料-50万円)×1/2

が課税対象となります。

例えば、5000万円の保険料を受け取るのに、3000万円の保険料を支払った場合は、
一時所得=(5000万円-3000万円-50万円)×1/2=975万円
が課税対象となります。

相続税の場合は、受け取った生命保険金5000万円が課税対象となりますので、課税対象が低く抑えられます。
ただし、相続税の税率や相続人の収入によっては、節税にならない場合もありますので、事前にシミュレーションをした上で、検討されることをお勧めします。

相続人の確定申告~相続財産から所得が生じる場合~


相続した不動産を売却した場合や収益物件を相続した場合などは、所得税が生じますので、確定申告が必要となります。
相続が発生した後は、相続税の申告にスポットがあてられますが、今まで確定申告が不要だった相続人が相続財産を承継したことにより、確定申告が必要となる場合もありますので、事前に税理士に確定申告に必要な書類等の確認をしておくとよいでしょう。

まとめ

相続発生後に、税務署に申告するのは、相続税のみではありません。
被相続人の準確定申告や相続人自身の確定申告が必要となる場合もあります。
相続が生じた後は、葬儀や市区町村役場への届出等で忙しく、なかなか税金面まで手が回らないこともあるかと思いますので、早めに税理士に相談をして、どの申告が必要となるか確認するようにしましょう。
申告期限を過ぎると延滞税等のペナルティが課されることとなりますので、申告の種類及び申告期限を確認した上で、手続きを進めるようにしましょう。

記事を監修した弁護士
authense
Authense法律事務所記事監修チーム
Authense法律事務所の弁護士が監修、法律問題や事例についてわかりやすく解説しています。Authense法律事務所は、「すべての依頼者に最良のサービスを」をミッションとして、ご依頼者の期待を超える弁護士サービスを追求いたします。どうぞお気軽にご相談ください。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問合せはこちら

オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。

こんな記事も読まれています

コンテンツ

オペレーターが弁護士との
ご相談日程を調整いたします。