コラム
公開 2023.04.10 更新 2024.01.10

複数1_テコ入れ_生前贈与とは?非課税にするやり方は?かかる税金や相続税との違いをわかりやすく解説

生前贈与とは、子どもや孫などに対して、生きている間に自分の財産を渡すことです。
亡くなった後で財産を渡す「相続」と、比較して語られることが多いでしょう。
生前贈与をすることで、相手にとって必要な時期に財産を渡すことが可能となります。

しかし、何ら対策をすることなく生前贈与をしてしまえば、多額の贈与税がかかる可能性があります。
では、できるだけ税金がかからないように子どもたちに生前贈与を行うには、どうすればよいのでしょうか?

今回は、生前贈与でかかる贈与税や、できるだけ非課税で生前贈与をする方法などについて、弁護士がくわしく解説します。

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生前贈与とは?

生前贈与とは、生きている間にご自身の財産の一部あるいは全部を、特定の誰かに贈与することを指します。

遺言はご自身単独で作成することができますが、贈与は契約です。
贈与は契約であるため、贈与を受ける側(法律上は「受贈者」といいます)の承諾が必要となります。

受贈者側は、贈与された分の利益を受けたことになるため、基本的には税金(贈与税)がかかります。
しかし、子や孫などの親族への贈与については、贈与税の非課税枠が設けられています。

非課税枠内であれば、贈与税がかからずに贈与できます。
こうして、生前贈与を非課税枠内で行っておくことで、相続税の対象となる遺産を減らし、相続税も減額させることができるのです。

生前贈与の非課税枠

遺産を相続する際には、相続税がかかります。
この相続税の対象となる遺産の額について、従前は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」によって算定される遺産額の範囲内については非課税とされてきました。
これを、相続税の基礎控除額といいます。

しかし、平成27年(2015年)に税制改革がなされ、上記の基礎控除額の算定式が、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」と変更されました。
このように相続税の基礎控除額が引き下げられたことで、相続税がかかる範囲が広くなりました。
これにより、相続の際に相続税が発生する世帯が増えることが懸念されるようになりました。

こうした相続税対策として、生前贈与は非常に有効です。
贈与の際には受贈者側に贈与税が発生しますが、この贈与税についても非課税となる枠が設けられています。

この贈与税の非課税枠内で生前贈与をすることによって、贈与税をかけることなく死亡時の遺産の額を減らして相続税も節税することができます。
つまり、贈与の際にも相続の際にも税金がなるべくかからないようにすることができるのです。

そもそも贈与税の「税率」や「計算方法」について確認したい方は、こちらの記事をご確認ください。

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暦年贈与

1月1日から12月31日までの1年間で、同じ人に対して110万円以下の贈与は非課税とされています。
こうした1年ごとの贈与のことを「暦年贈与」と呼びます。

この暦年贈与の非課税枠は、受贈者一人ごとにあります。
そのため、たとえば1年間に子や孫ら5人に110万円ずつを贈与すると、合計550万円を非課税で贈与することができます。

ただし、この暦年贈与には注意点があります。

まず、相続人に対する贈与については、相続開始時から3年以内のものはさかのぼって相続財産に持ち戻されてしまうため、相続税の課税対象になってしまいます。
したがって、贈与税の非課税枠内で相続人に対する贈与をしても、その贈与の3年以内に贈与者が亡くなった場合には、その贈与額が遺産に持ち戻され、相続税の算定基礎とされてしまいます。
この点を踏まえて考えると、子は法定相続人であるのに対し、孫はその親が存命の限りは法定相続人でないため、孫に贈与した方が相続税対策としては有効です。

また、送金先口座も、受贈者が自由に管理したり引き出したりすることのできる口座にしておくことをおすすめします。
たとえば、毎年同じ時期に同じ金額だけ入金されており、一度も出金された記録がないような受贈者名義の口座がある場合、税務署は、その口座に入金されている金額は受贈者に対する生前贈与とはみなさず、被相続人の「名義預金」とみなすことがあります。

このように名義預金と判断された場合は、相続税の算定基礎に算入されてしまうため、相続税の対策をしたことにはならないため注意が必要です。

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生前贈与で贈与税を減らすためにできること

生前贈与で贈与税を減らすためにできること

上記の暦年贈与が相続税、贈与税の節税方法として最も有効で、かつ実施しやすい方法として知られています。
ただし、贈与税を減らす方法としては、暦年贈与以外にも、税法上の特例を利用する方法があります。
ここでは、それらの方法について解説していきます。

住宅取得資金

贈与税を非課税とする一つの方法に、「住宅取得資金の贈与の特例」というものがあります。
この特例は、子や孫が住宅を新築・取得・増改築したりするための資金、費用を贈与することで利用でき、住宅の新築・取得・増改築の時期や住宅の種類に応じて、500万円から最大1,500万円までが非課税額として設定されています。

ただ、この特例を使うためには、住宅の種類や、受贈者の属性などについて、さまざまな利用条件が細かく定められています。
そのため、実際に利用できるかどうかは、専門家のアドバイスのもと、事前に調査や確認が必要です。

また、この特例が適用されるためには、その贈与した資金が実際に住宅の新築・取得・増改築費用として支払いに充てられたことの証明(建築業者との契約書や領収書など)も必要となります。

教育費としての贈与

住宅取得資金と同様の特例として、30歳未満の子や孫の教育資金を贈与するというものがあります。
最大1,500万円までが非課税とされています。

ただし、この特例の適用を受けるためには、金融機関において専用の口座を新たに開設し、その金融機関を経由して税務署に届け出ることが必要になるほか、住宅取得資金と同様に、この口座から教育資金を支出するためには、実際に教育費として費消されたことの証明が必要となります。

また、受贈者が30歳に達する日など、教育資金口座の契約終了日までに、教育資金として費消されずに残った贈与額については、別途、贈与税の課税対象になるため、受贈者が贈与税の申告を行わなければならないことがあります。

また、贈与者が死亡した時点で、教育資金として消費されずに残った贈与額については、一部、相続税が課税されることがあります。

結婚・子育て資金

結婚、子育て資金として、20歳以上50歳未満の子や孫に贈与した資金についても、特例で非課税とされています。
一人につき最大1,000万円までが非課税とされています。

ただし、この特例の適用を受けるためには、金融機関において専用の口座を新たに開設し、その金融機関を経由して税務署に届け出ることが必要になるほか、こちらも他の特例と同様に、この口座から結婚・子育て資金を支出するためには、実際に結婚、子育て資金として費消されたことの証明が必要です。

また、教育費としての資金贈与の特例と同様、贈与者が亡くなったときに口座内に残額がある場合や、受贈者が50歳に達した時など結婚・子育て資金口座の契約終了日に残額がある場合には、相続税や贈与税の課税対象となることがあります。

夫婦間の居住用不動産の贈与の際の配偶者控除

夫婦としての婚姻関係が20年以上継続している場合、配偶者への居住用不動産の贈与や居住用不動産の購入資金の贈与について基礎控除枠が拡大されます。

20年以上婚姻関係にある夫婦について、配偶者に対して居住用不動産や居住用不動産を購入するための資金を贈与した場合、通常の110万円の基礎控除に加えて、最大2,000万円までの控除が受けられます。
つまり、不動産の価格が2,000万円以下であれば贈与税が非課税となり、2,000万円を超える場合でも、超えた部分についてのみ贈与税の課税対象となります。

この特例についても、税務署に申告をする必要があるほか、贈与後もその不動産に住み続ける見込みがあるかなどの適用条件がありますので、条件を満たすかについて事前に確認する必要があります。

相続時精算課税

相続時精算課税とは、将来遺産となる財産を先に子や孫ら相続人に渡しておき、相続発生時に精算するという制度です。
生前において最大2,500万円までが贈与税の非課税枠として認められています。

贈与額が2,500万円を超えた場合には、超えた分に対して一律20%の贈与税がかかりますが、その後の相続税の申告時に、相続時精算課税度により納めた贈与税が、相続税から控除されます。

ただし、この制度を利用するには税務署への毎年の申告が必要になるほか、この制度は暦年課税(毎年110万円の基礎控除)との併用はできず、一度、相続時精算課税の手続きをしてしまうと、暦年課税に戻すことはできません。

そのため、この制度を利用する場合には、慎重な見極めが必要です。

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生命保険

生命保険は、その内容によって課税される税金の種類が変わります。
受け取った保険金には相続税・贈与税が課せられることがありますが、その内容、計算方法は保険契約の内容によって異なります。

たとえば、相続税のかかる契約形態の死亡保険金の場合には、法定相続人が死亡保険金を受け取るとすると、「500万円×法定相続人の数」までの控除を受けることができます。
配偶者と子1人の合計2人が相続人の場合には、1,000万円まで税金がかかりません。

このように、生命保険には相続税の控除額があるため、相続税対策としては有効です。

相続と生命保険の関係性について、詳しく知りたい方は以下の記事が参考になります。

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ジュニアNISA

ジュニアNISAは、0歳から19歳までの未成年者を対象としたNISAです。
年間80万円までの資金を5年間非課税で運用(NISA枠での株式売買)できます。
資産運用したことによる収益に対して非課税となる点で有効な制度といえます。

たとえば、このジュニアNISAを利用し、祖父母から孫に対し、ジュニアNISAの上限額である80万円(年間)を毎年5年間継続して贈与し続ければ、贈与税の非課税枠の範囲内の贈与です。
そのため、結果として贈与税をかけることなく、総額400万円を生前贈与することができます。

また、ジュニアNISAを利用した収益も非課税となるため、この点でも節税効果があります。

「夫婦間の居住用不動産の贈与の際の配偶者控除」と「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」の組み合わせ

「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」とは、自宅などの居住用財産を売却して譲渡所得(購入金額と売却金額との差額分の利益)益を得た場合でも、3,000万円までは譲渡所得税が非課税になるという制度です。

上記の「夫婦間の居住用不動産の贈与の際の配偶者控除」とは、配偶者に居住用不動産または居住用不動産の取得資金を贈与した場合に、贈与税を2,000万円まで非課税とする制度ですが、この「配偶者控除」と「3,000万円の特例」とを組み合わせることで、譲渡所得税の計算の際に控除できる金額(3,000万円)を2倍(2人分)にして、大幅に節税することができます。

たとえば、次のようなケースです。

  1. 自宅不動産のうち2,000万円に相当する持分を、配偶者に贈与します。上記の「配偶者控除」を利用すれば、贈与税はかかりません。
  2. 贈与してから一定の時期が来たら、この自宅を売却します。この自宅売却時に「居住用財産の特例」が適用され、譲渡所得税の計算にあたって3,000万円の基礎控除が受けられます。3,000万円の控除は、夫婦それぞれが受けることができるため、2人分の6,000万円が基礎控除の対象となります。

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生前贈与のメリット

相続ではなく生前贈与で財産を渡すことには、どのようなメリットがあるのでしょう?
主なメリットは、次のとおりです。

上手に行えば相続税の節税ができる

相続税は、亡くなった時点で被相続人が持っていた財産などに対してかかります。
裏返せば、亡くなった時点までに財産を減らしておけば、その分だけ相続税が安くなるということです。
そのため、コツコツと生前贈与をして財産を減らすことで、相続税の節税につながる可能性があります。

ただし、亡くなる直前にした一定の贈与は相続税の計算に加算されるほか、先ほど解説した「名義預金」に該当すると相続税の対象となる可能性があるため、行う方法や時期には十分に注意しましょう。

渡したい相手に確実に財産を渡しやすい

相続で遺産を渡す場合であっても、遺言書を遺しておくことで、渡したい相手に財産を渡すことは可能です。
しかし、遺言書で遺産を渡す場合には、確実に遺産が相手に渡ったのかどうか、自分の目で確かめることはできません。

一方、生前贈与であれば自分の目の黒いうちに、確実に財産を渡しやすくなります。

相手から直接感謝の言葉をもらいやすい

相続で財産を渡した場合には、せっかく相手のことを思って財産を渡したとしても、相手の反応を直接見ることはできません。
一方、生前贈与であれば相手に直接財産を渡すことができるため、感謝の言葉も直接もらうことが可能となります。

時期を選んで財産を渡すことができる

相続がいつ起きるのかは、誰にもわかりません。
そのため、相続で財産を渡す場合には、渡す時期を選ぶことは困難です。

一方、生前贈与であれば、相手が必要としている時期に合わせて財産を渡すことができます。
たとえば、子どもが家を建てるタイミングや孫が入学するタイミングなど、より資金が必要となる時期に合わせて財産を渡すことが可能となるでしょう。

生前贈与のデメリット

生前贈与のデメリット

ここまで、生前贈与を活用した税制面でのメリットについて解説しました。
しかし、生前贈与はメリットだけではありません。

ここでは、生前贈与のデメリットについて解説しましょう。

贈与したことで生活資金が枯渇することも起こりうる

自分が思っていた以上に長生きするということは幸せなことですが、生前贈与を行いすぎて、手元にお金がないという事態が起こりえます。

特に、老後は体が衰え、施設に入所しなければならないということもあります。
そのときに必要な資金が残っていないということもありえるのです。

そのため、生前贈与は計画的に行う必要があります。

贈与してしまったものは返してもらえない

贈与してから受贈者と揉め事が起きてしまったとしても、法律上は、贈与してしまったものについて、返してもらうことはできません。
生前贈与を行う際には、こうしたデメリットも考えておく必要があります。

なお、Authense法律事務所では、相続の発生を見越した生前対策や、その他多様な相続トラブルに対応すべく、遺産相続のさまざまなニーズに対応する料金プランを用意しています。
ぜひ一度ご覧ください。

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贈与税の計算方法

そもそも贈与税は、どのように計算されるのでしょうか?
贈与税の計算の流れは、次のとおりです。

なお、ここでは相続時精算課税制度ではなく、通常の暦年贈与の前提で解説します。

1年間に受けた贈与を合計する

贈与税は、贈与を受けた人(「受贈者」といいます)が、1月1日から12月31日の1年間に受けた贈与を合算して計算します。

そのため、まずは、受贈者が1年間に受けた贈与の合計額を算定しましょう。
たとえば、その年に母から100万円、父から200万円の贈与を受けた場合には、300万円となります。

基礎控除額を差し引く

贈与税の基礎控除額は、年間110万円です。
そのため、1年間に受けた贈与の合計額から、110万円を控除します。

先ほど挙げた例の場合には、次のとおりです。

  • 基礎控除後の課税価格=300万円-110万円=190万円

税率表に当てはめて税額を算出する

上で算定した金額を速算表にあてはめて、贈与税額を算定します。
なお、速算表には18歳以上の者が親や祖父母から受けた贈与に対して使用する「特例贈与財産用」と、それ以外の「一般贈与財産用」がありますので、使う表を間違えないように注意しましょう。

例の場合において、受贈者が18歳以上である場合には、次の特例贈与財産用を用います。※1

基礎控除後の課税価格 200万円以下 400万円以下 600万円以下 1,000万円以下 1,500万円以下 3,000万円以下 4,500万円以下 4,500万円超
税 率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円

これに当てはめると、例の場合の贈与税額は、次のとおりとなります。

  • 贈与税額=190万円×10%=19万円

贈与税と相続税の比較

贈与税と相続税は、どのような点で異なるのでしょうか?
これらは計算の基礎となる考え方が大きく異なるため、単純に比較することはできません。

両者の主な違いは、次のとおりです。
なお、贈与税は、暦年贈与の前提で解説します。

基礎控除額が違う

贈与税と相続税では、基礎控除額が異なります。
それぞれ、次のとおりです。

  • 贈与税:年110万円
  • 相続税:3,000万円+600万円×法定相続人の数

計算単位が違う

贈与税と相続税では、計算する単位が異なります。
それぞれ、次のとおりです。

  • 贈与税:受贈者単位
  • 相続税:相続単位(まずその相続全体で相続税の総額を計算し、算出した総額を、相続した人が相続した価額によって按分する)

なお、これが贈与税と相続税とを単純に比較することができない最大の理由です。

使える特例が違う

贈与税と相続税では、使用できる特例が大きく異なります。

たとえば、土地の評価額が最大8割減となる「小規模宅地等の特例」は相続税のみで使用できる特例であり、土地を贈与した場合には使うことができません。

生前贈与以外での相続税の節税方法

生前贈与以外に相続税を節税する方法には、どのようなものがあるのでしょうか?
主な方法は、次のとおりです。

生命保険への加入

生命保険へ加入することで、相続税の節税が可能となります。
なぜなら、相続税の計算上、次の金額までの生命保険金は、非課税とされるためです。

  • 生命保険の非課税限度額=500万円×法定相続人の数

たとえば、配偶者と2名の子の合計3名が法定相続人なのであれば、1,500万円(=500万円×3名)までは非課税となります。

ただし、非課税の対象となるのは、相続人が受取人であるもののみです。
たとえば、子どもが存命であるにもかかわらず、その子どもの子である孫を受取人にした生命保険金は非課税の対象外であるため注意しましょう。

財産の組み換え

資産を組み替えることで、相続税の節税となる場合があります。
これは、相続税を計算する際の、資産の評価方法を活用したものです。

たとえば、1億円の預貯金は、相続税の計算上も1憶円の評価となります。
一方、この1億円を使ってアパートを建築した場合、このアパートが1億円と評価されることは稀であり、これよりも低い評価となることが多いでしょう。
この評価額の差によって、節税をすることが可能です。

ただし、あまり極端なことをすれば税務署から否認され、節税が認められない可能性があります。
そのため、資産の組み換えによる節税を行う際には、税理士などの専門家へよく相談をしたうえで行うようにしましょう。

養子縁組

上で解説をしたとおり、相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除があります。
養子縁組をして法定相続人の数を増やすことで、この基礎控除額を増やし、節税することが可能です。

ただし、基礎控除額の計算に算入できる普通養子の数は、次のとおり制限されています。

  • 実子がいる場合:1人まで
  • 実子がいない場合:2人まで

これ以上の養子をとっても基礎控除額を増やすことはできないため注意しましょう。

生前贈与をした方が良い人

特に生前贈与をした方がよいのは、どのような人なのでしょうか?
生前贈与を積極的に検討するべきなのは、次の人などです。

相続税の対象となる人

相続税の対象となる人は、生前贈与を検討するとよいでしょう。
上手に生前贈与を活用することで、相続税の節税につながる可能性があるためです。

ただし、むやみに生前贈与をしてしまえば、むしろ高額な贈与税の対象となってしまいかねません。
そのため、生前贈与は専門家に相談しつつ、贈与税が非課税となる特例などを活用しながら、慎重に行うことをおすすめします。

金融資産に余裕がある人

金融資産に余裕がある人は、生前贈与を検討するとよいでしょう。
子どもや孫にとって必要な時期に生前贈与をすることで喜んでもらえるほか、経済を回すことへ貢献することにもつながります。

ある程度平等に生前贈与ができる人

たとえば、長男と二男がいるにもかかわらず、長男の子どもに対してだけ贈与するなど不平等な生前贈与をしてしまうと、禍根をのこしてしまいかねません。
このような禍根は、相続争いにつながる可能性があります。

そのため、生前贈与をするのであれば、ある程度平等に行った方がよいでしょう。
平等に行うことが難しいのであれば、生前贈与自体を見送ることも一つの手です。

生前贈与をしない方が良い人

生前贈与は、すべての人にとってメリットがあるわけではありません。
次の人は、何か特別な理由がない限り、積極的には生前贈与をしない方がよいでしょう。

相続税の対象ではない人

そもそも相続税の対象とならないのであれば、生前贈与による節税効果は期待できません。
生前贈与をすることで、むしろ余分に税金がかかってしまう可能性があるでしょう。

金融資産が十分ではない人

金融資産が十分でない場合には、生前贈与をするかどうか、慎重に検討した方がよいでしょう。
なぜなら、金融資産が不十分であるにもかかわらず生前贈与をしてしまえば、自分の老後資金が不足する可能性があるためです。

厚生労働省の調査によると、2022年における平均寿命は、女性で87.57歳、男性で81.47歳です。※2
また、これはあくまでも「平均」であり、これより長く生きる可能性も低くありません。

そのため、金融資産が不十分である場合には今後の自分の生活に必要となる資金を十分に計算したうえで、生前贈与は慎重に行った方がよいでしょう。

まとめ

できる限り多くの財産を家族に残してあげたいというのは、誰しも思うことでしょう。
しかし、相続対策を何もしないまま亡くなってしまうと、遺された相続人が大きな相続税を負担させられ、生活に困窮してしまうような事態も起こりえます。

そういった事態を回避するため、贈与税の基礎控除や特例を利用して生前贈与を行っておくことは非常に有効な方法です。
ただし、贈与した後で相手とトラブルになってしまったり、贈与しすぎて手元にお金がなくなってしまったりするなどの不測の事態もありえます。

こうしたメリット、デメリットを十分に検討したうえで、生前贈与を活用していくようにしましょう。

Authense法律事務所では相続問題にくわしい弁護士が多数在籍しています。
また、グループ内に税理士法人を併設しているため、相続に関する問題への総合的なサポートが可能です。
生前贈与や相続についてお困りの際には、ぜひAuthense法律事務所までご相談ください。

記事を監修した弁護士
authense
Authense法律事務所記事監修チーム
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