コラム
公開 2021.03.24 更新 2022.01.13

「生前贈与」を弁護士に相談するメリットとは?

相続対策の中で「生前贈与」を検討することは少なくないと思います。
しかしながら、「生前贈与」について、弁護士に相談せず、贈与をしてしまい、結果的に後々トラブルに発展しまうというケースは少なくありません。
そこで今回は「生前贈与」を検討する場合に、弁護士に相談するメリットについて、詳しく説明いたします。

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相続対策における「生前贈与」について

最近、「相続人が遺産分割で揉めないように」や「相続発生時の相続税の負担を軽減するため」などの理由で、相続対策を検討する方が増えてきました。
相続対策には、遺言や生命保険、家族信託などがありますが、生前に確実に相続人に財産を移転することができる「生前贈与」が活用されることも少なくありません。

しかし、この「生前贈与」については、法律の専門家である「弁護士」に相談される方は多いとはいえず、後々トラブルになってしまうケースもいくつか出てきています。

ここでは、「生前贈与」についての法的観点からの注意点と弁護士に相談するメリットを解説いたします。

「生前贈与」の注意点①~特別受益~

「生前贈与」の注意点①~特別受益~

「生前贈与」を行う際は、『特別受益』に注意しなければなりません。
『特別受益』とは、相続人間の公平を図るため、被相続人から生前贈与などの特別な利益を受けた相続人がいる場合、当該利益を遺産の前渡しとみなして、相続分の算定をする制度です。

そのため、「生前贈与」が『特別受益』に該当する場合は、相続発生時の相続分の計算に大きく影響してしまうので、

  • ①この「生前贈与」は、『特別受益』に該当するか、
  • ②『特別受益』に該当する場合、どのように評価されるか

について、「生前贈与」を行う前に検討しておかなければなりません。

生前贈与が『特別受益』に該当するかの判断については、遺産分割や遺留分案件の経験が豊富で、調停や審判の経験のある弁護士に確認すると良いでしょう。
そのような弁護士であれば、実際に裁判手続の中で、裁判官がどのような「生前贈与」を『特別受益』と判断しているかを熟知しているため、具体的なアドバイスをしてもらうことが可能です。

『特別受益』について、何も考えずに「生前贈与」を行うと、いざ相続が発生したときに揉めてしまう可能性もありますので、事前にしっかりと確認しておきましょう。

「生前贈与」の注意点②~契約書の作成~

「生前贈与」は、贈与をする人(以下「贈与者」といいます。)と贈与を受ける人(以下「受贈者」といいます。)の意思の合致により、成立します。
意思が合致していれば、契約書は必ずしも必要ではありませんが、贈与の内容(金額や対象財産)をめぐって争いが生じる可能性があります。
また、上述のとおり、「生前贈与」が、贈与者の相続発生時に『特別受益』に該当することもあり、後々、「生前贈与」の有無及び内容が問題となることも少なくありません。
そのため、「生前贈与」を行う場合は、契約書を作成することをお勧めいたします。

贈与契約書を作成したことがない、贈与の内容を後々争われたくないという場合は、弁護士などの専門家に契約書の作成を依頼すると良いでしょう。

なお、契約書を作成したら、金銭を贈与する場合は受贈者が保有する口座への振込み、株式や不動産を贈与する場合は受贈者に名義を変更するなど、贈与契約の実行も忘れずに行うようにしましょう。

「生前贈与」の注意点③~判断能力~

「生前贈与」の注意点③~判断能力~

「生前贈与」は、贈与契約であるため、贈与者・受贈者の双方が契約を締結するために必要な判断能力を有していなければなりません。

贈与者がご高齢で判断能力の有無が争われる可能性がある場合などは、贈与契約書を公正証書で作成したり、主治医に診断書を作成してもらうなど、贈与契約書作成時に贈与者に判断能力があったことを示す資料を残しておくと良いでしょう。
このような場合は、弁護士などの専門家に相談をして、資料の収集の方法などもアドバイスをもらうことをお勧めいたします。

弁護士に「生前贈与」を相談するメリット

相続対策として「生前贈与」を用いる場合は、相続財産は何か、相続人は誰か、将来どのように相続財産を分割するかなども考慮しながら、進めていく必要があります。

「生前贈与」には、相続税を節約できるという大きなメリットがありますが、相続開始後にこの贈与を巡って相続人同士で争いが起きる可能性もあります。

そのため、相続発生時に「生前贈与」がどのような影響を及ぼすか、事前にしっかりと検討しておく必要があります。
相続発生時の「生前贈与」の取扱いについては、相続案件を多く取り扱う弁護士であれば、立証の難易度や裁判所の考え方に精通しているため、より具体的に検討することができます。

また、契約書の有効性や判断能力などについても、訴訟などで取り扱った経験のある弁護士もいます。
そういった弁護士であれば、贈与契約が確実に有効になるためにどうすれば良いか、判断能力があることを証明するにはどのような資料を収集すれば良いかといったアドバイスも可能となります。

さらに、弁護士は、他の士業とは異なり、紛争案件も多く取り扱っているため、どのような「生前贈与」の方法が、相続人が揉める火種になるのかもよく見てきています。

そのため、相続案件の経験が豊富な弁護士に、「生前贈与」についても相談をすることで、将来相続が発生しても揉めず、円満な相続が実現できるようになります。

まとめ

相続対策として「生前贈与」を行う際には、『特別受益』や贈与者の判断能力の有無など、様々な点に注意しなければなりません。
また、「生前贈与」については、ついつい税金面を気にしてしまいがちですが、実際に相続が発生したら「生前贈与」が『特別受益』に該当するのか、「生前贈与」自体の有効性なども非常に重要な事項となります。

「生前贈与」を検討する場合は、相続全体について相談でき、かつ「特別受益」や判断能力の判定基準について詳しい弁護士に積極的に相談されることをお勧めします。

記事を監修した弁護士
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Authense法律事務所記事監修チーム
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