被相続人が亡くなり不動産の相続が発生した場合、どのような手順で、どのような手続きを行えば良いのか分からない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、不動産の相続が発生した際の対処法を具体的に解説します。
相続の手続きについては、財産を分割する手続きだけではなく、登記についての手続きも必要になります。また、手続きに必要な書類も多くあるので、万が一に備えて事前に確認しておきましょう。
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不動産の相続が発生した場合にはまず何をすればいい?
相続が発生した場合には、まず事務手続きとして死亡届を出す他、遺言書の確認をしなければなりません。相続が発生したら、相続開始後7日以内に、故人が住んでいた市区町村役場へ死亡届を提出します。さらに、遺言書が残されていた場合には、書かれている内容を確認しなればいけません。もっとも、被相続人が自筆で作成した遺言書(公正証書による遺言書以外)は、家庭裁判所において、検認という手続を採る必要があります。仮に、封印のある(封のされている)遺言書をこの検認という手続を採らずに勝手に開けた場合、法律上は5万円以下の過料に処せられることになっておりますので、ご注意下さい。
次に、相続財産を確認し、放棄するもしくは承継するかを決めます。相続税については、相続の発生の日の翌日から10ヶ月以内に申告をしなければならないため、可能な限り早く手続きを進めることが重要です。
不動産の相続登記の必要書類と流れ
不動産を相続する際には、名義変更の手続きである「相続登記」を行わなければなりません。そこで、相続登記の流れと、相続登記に必要な書類を解説します。以下は、不動産の分け方に関する遺言が残されていない場合を想定して解説していきます。
相続登記の流れ
最初に、不動産の分割方法を決める必要があります。相続人のうち「誰が」「どれだけの不動産を相続するか」を、相続人全員で話し合って決める工程です。なお、相続人の中に未成年者がいて、その法定代理人(親権者等)も相続人である場合等には特別代理人、行方が分からない人がいる場合は、相続財産管理人を選ばなければならないケースもあります。
次に、相続登記に必要な書類を準備します。相続人同士で話し合った内容を改めて明らかにし、後々トラブルにならないようにします。また、相続登記や名義変更手続き、相続税の申告のために、遺産分割協議書を作る必要があります。
遺産分割協議書には、相続人全員の署名と捺印が必要になり、その他必要書類と合わせて法務局に提出します。法務局が確認を行い、問題がなければ新しい不動産の権利証を受け取るという流れです。
相続登記に必要な書類
相続登記を申請する際には、指定された書類を準備する必要があります。最初に、故人の出生から死亡までの戸籍を取得しましょう。また、法定相続人の現在の戸籍謄本も取得します。戸籍謄本を提出することで、法定相続人であると証明できます。
さらに、相続登記をする人が実在する人物であることを証明するために、住民票を取得します。相続登記の申請には登録免許税の納付が義務付けられているため、税金を算出するための情報を確認できる固定資産評価証明書も準備しなければなりません。
加えて、相続人の間で遺産分割協議をした際に作成した遺産分割協議書と、それぞれの相続人の印鑑証明書も必要書類に含まれます。
- 〇 故人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 〇 法定相続人の戸籍謄本
- 〇 相続人の住民票
- 〇 固定資産評価証明書
- 〇 遺産分割協議書
- 〇 相続人の印鑑証明書、
- 〇 代理人に依頼する場合は委任状
ただし、状況によって他にも書類を用意しなければならないケースがあります。
相続登記をしない場合
相続登記は期限が決められておらず、相続登記をしない場合でも罰則規定があるわけではないことが特徴です。(ただし、現在、法務省の法制審議会において、罰則規定を設けて不動産の相続登記を義務化する法改正が検討されております。)しかし、相続登記をしないと「不動産を売却できない」「手続きが複雑になる可能性」といったデメリットがあるため、可能な限り早めに相続登記を行いましょう。
不動産を分割相続する4つの方法
現金とは異なり、不動産は相続人間で分割することが難しいものです。しかし、不動産を分ける方法には4つの種類があります。それぞれの方法について、詳しく紹介します。
現物分割
現物分割は、不動産をそのままの状態で特定の相続人が相続することを指します。例えば、故人の財産として不動産2,000万円分と現金800万円がある場合、故人の配偶者に不動産、子どもに800万円を相続させるというケースです。不動産の遺産分割として、最も明瞭でありスムーズに解決できる方法だといえるでしょう。
代償分割
代償分割は、不動産を相続する代わりとして、他の相続人に金銭(代償金)を渡す方法で財産を分割する方法です。例えば、故人の相続財産が2,000万円分の不動産のみであった場合、配偶者が不動産を相続して、他の相続人には当該配偶者が代償金を払うことによって、相続した財産を分割するといったケースが挙げられます。
相続できる財産が不動産しかないといった場合には、代償分割が有効な手段ではあるものの、不動産を取得する相続人が代償金を払えるかどうかが重要です。
換価分割
換価分割は、相続財産の不動産を売ることで金銭を得て、相続人同士で当該金銭を分割する方法です。例えば、2,000万円分の価値の不動産を売り、2人で1,000万円ずつ金銭を取得するといった方法です。
共有分割
共有分割は、相続財産の不動産を相続人が共有する方法で相続します。例えば、相続人である配偶者と子どもが、故人の不動産の名義を共有する方法で分割するといったケースです。しかし、不動産を共有名義にすることで、将来的に不動産の権利を移すことが困難になる点に注意しなければなりません。
相続税の仕組みや手続きの際に必要になる費用とは?
相続税の仕組みや、不動産の相続の手続きにはどの程度の費用がかかるのか、計算方法を合わせて解説します。
相続税はいくらから発生する?
不動産を相続すると色々な税金を支払うことになりますが、主に3つの税金が挙げられます。
1つ目が、不動産を相続した時です。
不動産を相続したときに、考えなければならないのは、まずは相続税です。遺産の相続税評価額が基礎控除額以上である場合は、相続税がかかることがあります。相続税の基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算します。
もっとも、相続人が配偶者である場合は、1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額のどちらか高い方の額が相続税額から控除されます(相続税の申告自体は必要です。)ので、遺産がよほど多額となる場合以外、配偶者に相続税が発生するケースは少ないといえるでしょう。ただし、その後、配偶者に相続が発生した場合の相続税も念頭に置く必要があります。
なお、相続の場合は不動産取得税に関しては非課税になります。
2つ目が不動産を所有している期間中であり、固定資産税と、都市計画施行区域の場合は都市計画税がかかります。
3つ目が、不動産を譲渡する場合です。不動産を売って利益を得た際に譲渡所得税がかかります。
相続手続きの際にかかる主な費用
不動産の相続手続きの際にかかる費用の内訳は、登録免許税、戸籍謄本といった書類を取得するための費用、専門家(弁護士や司法書士)に手続きを依頼した場合の報酬の3つです。弁護士費用についてはそれぞれの法律事務所によって若干の差がありますが、一般的に取得する財産が多くなれば多くなるほど、弁護士費用も高くなります。
不動産の相続後に気をつけなければならないポイント
不動産の相続後に想定される注意点、対処方法を解説します。
相続した後も税金がかかる!
不動産をそのままの形で相続した場合、相続税や登記費用以外にも支払いが生じます。例えば、相続した翌年からは固定資産税が発生し、相続した不動産を売却して譲渡益を得ると、売却の翌年には譲渡所得税も発生するのです。
不動産の価格は変動する
不動産の価格は、想像以上に大きく変動します。代償分割で均等に分割しても、後に不動産が値上がりし、他の相続人が納得できずトラブルに発展することも少なくありません。そのため、事前に相続人同士でしっかりと合意を交わしておくことが非常に重要になるのです。
まとめ
不動産は分割することが難しいうえに、複数人の相続人がいる場合はトラブルが起こりやすい問題です。しっかりと相続方法を理解せずに相続を進めると、将来的に大きなトラブルに発展する可能性が高いため注意しなければなりません。
事後的にトラブルが生じないように相続手続を行いたい方は、相続問題のトラブル解決実績が豊富なオーセンスの弁護士に相談しましょう。
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