父親が亡くなり、母と兄弟とで遺産を分配して、ようやく相続の手続きを済ませた。と思っていたら、後になって遺言書が見つかった…
こんなときは、どのような対応をすれば良いのでしょう?
あらためて遺言書どおり遺産分配を行わなくてはならないのでしょうか?また、故人の死後何年も経ってから遺言状が見つかったような場合はどうでしょう?
遺言書には「時効」や「期限」はあるのでしょうか?
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遺言書には時効がない
結論から言うと、遺言書には時効がありません。
遺言書はそれを書いた時点での「故人の意思表示」ですから、作成されてから何年経とうと、その効力が消滅するものではないと考えられています。そのため遺産分配を済ませたあとで遺言書が見つかった場合でも、その遺言の内容は有効であると考えられます。
それでは、すでに完了した遺産分配を無効として白紙に戻し、あらためて遺言に従って再分配を行わなくてはならないのでしょうか?
基本的には、その通りです。遺産分配が遺言の内容と食い違っているなら、遺言に沿うように遺産を再分配するのが本来です。
とはいえ、それはあくまでも原則であって、鉄則ではありません。相続人全員の同意が得られれば、遺言の内容に沿っていなくても、すでに完了した遺産分配を有効とすることもあります。
遺産分配が終わってすでに何年も経っているような状況であれば、相続人としても「今さら再分配なんて、しなくてもいいよ」というのが本音でしょう。
ですが相続人のうちたとえ一人でも同意しない者がいる場合には、遺言の内容を踏まえ、あらためて遺産分割協議からやり直さなくてはならないのです。
遺産相続では「相続人全員の同意」が原則
遺産相続においては相続人全員が同意できるものであることが重要であり、また原則でもあります。
たとえば亡き父の遺言によって、息子は土地と家屋を相続し、娘は有価証券を相続し、妻は預貯金を相続した。
それぞれの相続額が法定相続分に照らして多かったり少なかったりしたとしても、相続人全員がその分配に納得し、同意するならばそれで良いのです。何の問題もありません。
しかし、誰か一人でもその分配に不満を持ったらどうでしょう。それは後々まで尾を引くトラブルの元にもなってしまいます。
遺産分割協議を行う過程で相続人の誰か一人でも同意できない場合には、その溝を埋めるための話し合いが何度も持たれることになります。
家庭裁判所に用意されている調停や審判などの手続は、当事者同士の話し合いに加えて裁判所からの提案や判断を出すことで、全員が同意できる結論を導き出そうとするものです。
遺言がある場合もない場合も、分配のあとで見つかったという場合でも、この原則に変わりはありません。
場合によっては再分配ができないことも
「遺言には時効がない」とは言うものの、その遺言に従って遺産の再分配を行うのが現実的に不可能だというケースもあります。それは、遺産分配からかなり長い時間…たとえば10年後、20年後になって遺言が発見されたというようなケースです。
近年では元気なうちに資産を整理して遺言を残しておくという人が増えていますが、実際に遺言を書いたとしても、それを家族に知らせるかどうかは、やはり人それぞれです。そのためせっかく遺言を作っても、その存在を家族が知らず、長い間放置されるということも少なくないようです。
あまりに長い時間が経ってしまうと、遺言どおりの遺産の再分配ができない場合も出てきます。
たとえば相続した土地や不動産は長い年月の間に資産価値が変化していきます。手放してしまうこともあれば、抵当権を設定して融資を受ける、ということもあるでしょう。
株券をはじめとする有価証券は常にその価値が変動していますし、現金ですら数十年という時間が経てば、その価値は変化していきます。
こうした状況であらためて遺産の再分配を行うためには、遺言書が書かれた当時の資産状況と現在の資産状況を洗い出すなどの作業が欠かせません。
いずれにせよ、遺産の再分配は煩雑な作業と手続きが必要で、決して簡単にできるものではありません。再分配を行うかどうかを判断するところから、専門家である弁護士に相談しながら検討することをおすすめします。
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