コラム
公開 2022.08.15

弁護士、税理士、行政書士…相続の相談先はどこにすべき?専門家別の特徴を解説

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相続の相談先には弁護士や税理士、行政書士、銀行などの金融機関といった多くの選択肢があり、迷ってしまうことでしょう。どの専門家を選択すべきなのでしょうか?
今回は、相続の相談先ごとの特性や相談先の選び方、相続に関する弁護士の相談料などについてわかりやすく解説します。

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相続の相談先となる専門家の種類とできること

お身内の相続に関して何か困った事態が生じたり、手続きを依頼したいと考えたりした際に、どこに相談すべきか迷ってしまう人は少なくないかと思います。
なぜなら、一口に「相続」といっても困りごとの内容は多種多様であることに加え、その困りごとの解決手段はさまざまな専門家の専門領域にまたがっている場合が多いためです。

弁護士 税理士 行政書士 司法書士 銀行 Authense
財産目録の作成
遺言書作成
遺言書の検認
遺産分割協議書作成
争族対応
準確定申告
相続税申告
相続税対策
相続放棄
不動産の登記・名義変更
車などの登録・名義変更
金融機関の解約・名義変更
※☆印について:Authense法律事務所では、税理士・行政書士とも提携しており、多岐にわたる相続問題をワンストップでサポートすることが可能です。まずはお気軽にご相談ください。

はじめに、相続の相談先となり得る専門家の特性について解説していきましょう。

弁護士

弁護士は、社会で生活するうえで起きる事件や紛争について、法律の専門家として適切な予防方法や対処方法、解決策をアドバイスする専門家です。
日本弁護士連合会は、これを「社会生活上の医師」と表現しています。

弁護士は高度な法律専門職であり、紛争性のある法律事件の解決や紛争の仲裁などは、原則として弁護士以外が行うことはできません。
そのため、すでに相続争いが起きている相続の相談先は、原則として弁護士一択となります。

司法書士

司法書士は、登記や裁判事務の専門家です。
相続の場面では、故人名義の不動産の名義変更や相続放棄の手続きで関わることが多いでしょう。

これらの業務は司法書士と弁護士の独占業務であり、司法書士と弁護士以外の者が相続登記や相続放棄手続きなどを行うことはできません。
なお、資格上は可能であるとしても現実的には弁護士が相続登記を行うことはさほど多くはないため、相続登記は司法書士業務であると考えて差し支えないでしょう。

また、司法書士は認知能力が衰えた際に財産管理を行う成年後見業務にも力を入れています。

行政書士

行政書士は、書類作成の専門家です。

弁護士法や司法書士法、税理士法など他の法令で禁止されているものを除き、役所など官公庁に提出する書類の作成や権利義務に関する書類の作成などを専門としています。

相続の場面では、紛争性がない相続での遺産分割協議書の作成や自動車の名義変更などで関わる場合が多いでしょう。

税理士

税理士は、税務に関する専門家です。

ただし、税理士によって専門分野が異なる場合があり、すべての税理士が相続税に力を入れているわけではありません。

相続税の申告が必要となる相続では、相続税に強い税理士が非常に心強いパートナーとなってくれることでしょう。

金融機関

金融機関が相続の相談を受けている場合があります。

ただし、金融機関自体は相続の専門家ではなく、金融機関に持ち込んだ相続の相談は、内容に応じて提携先の弁護士や税理士などが対応することとなる場合が多いでしょう。

金融機関は、相談内容に応じて専門家を紹介したり、相続が起きた後の資産運用のアドバイスをしたりする役割を担っています。

相続の相談先はどの専門家にすべき?


では、どのような場合にどの専門家に相談すべきなのでしょうか?

ここでは、専門家の特性を踏まえ、それぞれの専門家に相談すべきケースを解説します。

弁護士に相談すべきケース

弁護士は、法律系資格の最高峰です。
また、税理士や司法書士など他の専門家と連携を取っていることが多いといえます。

このような理由から、相続に関して弁護士に相談して解決ができないケースはほとんどありません。

ただし、専門性の高さゆえ、他の専門家と比較して相談料や依頼した場合の報酬が高くなる傾向にあります。
そのため、紛争性がない相続において単に手続きや書類の作成を依頼したい場合においては、費用面も考慮して他の専門家と比較検討する方が多いです。

弁護士法の規定により弁護士でないと対応ができないケースについては、後ほど詳しく解説します。

司法書士に相談すべきケース

相続についての困りごとが主に不動産の名義変更手続きに関することである場合には、司法書士に相談するとよいでしょう。

代表的なケースとしては、争いがない相続において、故人が持っていた不動産の名義変更手続きのみを依頼したい場合です。
また、不動産がずっと前に亡くなった先代名義のままとなっている場合の対応についても、司法書士に相談をすべきケースであるといえます。

他にも、相続放棄に関する手続きや認知症などで判断能力が衰えてしまった家族の成年後見に関する手続きも、司法書士が得意とするところです。

また、法人の役員が亡くなった場合の役員変更などの手続きも、司法書士に依頼することができます。

行政書士に相談すべきケース

争いのない相続において遺産分割協議書の作成を依頼したい場合には、行政書士に相談をするとよいでしょう。

また、多くの相続手続きで必要となる除籍謄本などの取り寄せや相続関係説明図を作成して欲しい場合にも、行政書士に依頼することが可能です。

他にも、故人名義の自動車の名義変更手続きや金融機関口座の解約手続きなど、こまごまとした相続手続きの代行を受けている事務所もあります。

税理士に相談すべきケース

相続についてのメインの困りごとが相続税に関することである場合には、税理士に相談するとよいでしょう。

相続税は、すべての相続にかかる税金ではありません。
遺産総額に一定の生前贈与などを合計した金額が次の計算式で算定される「基礎控除額」を超える場合に、相続税の対象となります。

  • 基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

相続税の申告には期限があります。
相続税がかかりそうな場合には、早めに税理士に相談しましょう。

金融機関に相談すべきケース

金融機関とのお付き合いを特に大切にしたい場合や、自分で専門家を探すことが難しい場合には、金融機関への相談が選択肢の一つとなります。

ただし、金融機関へ相談した場合、金融機関から紹介を受けた弁護士や税理士などの専門家報酬に加え、金融機関へのコンサルティング報酬がかかることもあります。

そのため、実際の依頼は金額やサービス内容をよく確認してから行うことをおすすめします。

弁護士でないと対応できない相続の相談例


弁護士の業務は、弁護士法という法律で規定されています。
この法律により、弁護士以外の者は、原則として紛争性のある法律事務を行うことができません。

そのため、相続に関して紛争性が生じている場合の相談先は、弁護士一択になります。
弁護士に相談すべき具体的なケースは次のとおりです。

他の相続人から到底納得できない遺産分割協議案を提示されている

たとえば、長男が「すべての遺産は自分がもらいたい」と主張しているなど、他の相続人から到底納得できないような遺産分割協議案を提示されていて困っている場合には、弁護士へ相談しましょう。

例のケースで長男が強引な性格である場合には、長男側が用意した書面に印を押すよう強要してくるような場合もあるかと思います。
このような場合であっても、印を押してしまう前に、弁護士へ相談することが推奨されます。

他の相続人が勝手に遺産を使い込んだ

相続人の一部などが遺産を勝手に使い込んでいるなどの場合には、弁護士へ相談しましょう。

使い込みの最も代表的なケースとしては、故人名義の預金の引き出しが挙げられます。

キャッシュカードは本来、その名義人しか使うことができません。
しかし、故人が高齢であった場合などには、同居していた相続人などが故人から暗証番号を教えられ、預金の出し入れを事実上代行している場合もあることでしょう。

こうした状況をいいことに、相続が起きる前や相続が起きた後で、勝手に故人の預金を引き出し使い込んでしまうケースはゼロではありません。
さらにひどいケースでは、故人の実印などを持ち出して故人名義の不動産を勝手に売却してしまうことなども考えられます。

遺産を費消してしまった場合には取り戻すことが困難となるケースもありますので、早期に弁護士へ相談してください。

故人の遺言書が見つかったが納得がいかない

故人が遺言書を遺していたものの、その遺言書の偽造が疑われるなど内容に納得がいかない場合の相談先は弁護士となります。

また、子や配偶者など一部の相続人には「遺留分」があります。
侵害された遺留分を請求したい場合にも、弁護士へ相談しましょう。

遺留分を侵害した遺言書も有効ではあるものの、侵害された遺留分相当額の金銭を、遺言書で遺産を多く受け取った相手などに対して請求することが可能です。
この請求のことを、「遺留分侵害額請求」といいます。

たとえ偽造された遺言書であっても、その遺言書にしたがって名義変更などの手続きがなされて遺産が費消されてしまった後では、遺産を取り戻すことは容易ではありません。
また、遺留分侵害額請求には期限があります。

そのため、故人の遺言書に納得がいかない場合などには、早期に弁護士へ相談してください。

遺留分侵害額請求をされて困っている

他の相続人から遺留分侵害額請求をされて困っている場合には、弁護士へ相談しましょう。

遺留分は子や配偶者など一定の相続人に保証された権利ですので、原則として剥奪することはできません。
しかし、故人がその子や配偶者を相続人から廃除したなど一定の事情が認められるなどすれば、例外的に遺留分を剥奪することが可能となります。

また、請求している遺留分侵害額が過大である場合には、交渉をすることで適切な金額へと減額することが可能です。

他の相続人が調停の申し立てをした

調停とは、裁判所で行う話し合いのことです。
一般的には、当人同士での話し合いがまとまらない場合に、調停の申し立てがなされることが多いでしょう。

つまり、調停の申し立てがなされた時点で、紛争の可能性がかなり高まっているといえます。

そのため、相手方から調停を申し立てられた場合には、早期に弁護士へご相談ください。

なお、調停をもってしても話し合いがまとまらない場合には、裁判所が決断を下す審判手続きなどへと移行することになります。

相続の相談先とする専門家の選び方

相続の相談先とする専門家は、どのように選べばよいのでしょうか?
ここでは、相続の相談先を選ぶ際の基準を4つ紹介します。

それぞれの専門家の特性

まずは、上で解説をした専門家の資格による特性から相談先を絞り込みましょう。

たとえば、納得のいかない故人の遺言書を無効にしたいという相談を行政書士や税理士に持ち込んだとしても、弁護士法のルールがあるため対応してもらうことはできません。
何かしてもらえるとすれば、付き合いのある弁護士事務所を紹介してもらうことができる程度です。

相続が起きた後は何かと多忙であり、時間のロスは避けたいところかと思います。
そのため、まずはメインの相談内容を整理のうえ、その問題に対処できる資格者へ相談することが必要です。

その専門家に相談できる内容かどうかの判断がつかない場合には、相談の予約電話などで相談内容の概要を伝え、その事務所で対応可能な内容かどうかを確認してから相談に出向くとよいでしょう。

相続業務を専門に取り扱っている事務所

相続の相談先を選ぶ際には、その事務所が相続業務を取り扱っているかどうかをよく確認しましょう。

特に、行政書士の専門分野はとても広く、相続業務を一切取り扱っていない事務所は珍しくありません。
同様に、税理士であっても法人税や所得税がメインであり、相続税の取り扱いがほとんどない事務所も存在します。

弁護士や司法書士で相続業務の取り扱いがないことは稀ですが、それでも中には相続業務を取り扱っていない場合もあることでしょう。

そのため、相続の相談先は、その事務所が相続業務を行っているかどうか、そして相続業務にどれだけ力を入れているかどうかを確認してから選択することをおすすめします。

他の資格者などとの連携がある専門家

相続業務が一つの資格者のみで完結することは、さほど多くはありません。

たとえば、紛争が生じている相続案件を弁護士に相談したとしても、相続税の申告があれば税理士の関与も必要となります。
また、紛争解決後に遺産である不動産の名義変更をする際には、司法書士の協力が必要となるでしょう。

こうした必要性が生じた際に、自分で一から他の専門家を探して依頼をすることには手間が掛かる上、各業務間の整合性に不安が残ります。

そのため、相続の相談先を選ぶ際には、他の資格者との連携のある事務所を選択するとスムーズです。

専門家との相性

相続の相談においては、日頃あまり他者に話すことのないようなプライベートな話をすべき場面が少なくありません。
また、ただでさえ大きなストレスを抱えがちな時期に、専門家とのやり取りがさらなるストレスとなってしまう事態は避けたいことでしょう。

そのため、相続の相談先を選ぶ際には、専門家との相性も一つの基準とすることをおすすめします。
初回相談は無料や安価である場合が少なくありませんので、正式な依頼前の相談で判断するとよいでしょう。

弁護士への相続の相談料はどのくらい?


弁護士を相続の相談先に選んだ場合、その相談料はどの程度になるのでしょうか?
最後に、相談料と弁護士報酬について解説します。

初回相談料は無料から10,000円程度

平成16年4月以降、弁護士報酬は自由化されています。
そのため、相談料は事務所ごとに異なりますので、相談先の事務所へあらかじめ確認するとよいでしょう。

一般的に、相続に関する初回相談は無料または1万円程度の安価としていることが多いです。

なお、Authense法律事務所ではお気軽にご相談いただけるよう、初回のご相談は60分まで原則無料としています。
60分を超えた場合には30分あたり5,500円(税込)です。

依頼時の報酬は着手金+成功報酬が基本

相談後、実際に依頼した場合の報酬は、事務所や依頼内容によって異なります。
初回相談時に料金体系を確認しておくとよいでしょう。

一般的に、依頼時に支払う「着手金」と、業務終了時に支払う「成功報酬」の二段階に設定されていることが多いといえます。

なお、Authense法律事務所の相続業務では、原則として着手金として330,000円(税込)、成功報酬として得られた経済的利益の11%(税込)をいただくシンプルな料金体系となっています。但し、最低報酬金の設定もございますので、詳しくは料金ページをご覧ください。

まとめ

相続が起きた際の相談先は、それぞれの資格や事務所の特性などを確認のうえで、慎重に選択しましょう。
適切な専門家へ相談をしないと、貴重な時間や相談料が無駄になってしまうためです。

Authense法律事務所には相続業務に強い弁護士が多数在籍しており、相続業務に特に力を入れています。
相続の相談先に迷ったら、ぜひAuthense法律事務所までお気軽にご相談ください。

Authense法律事務所の弁護士が、お役に立てること

・無料相談も多くありますので、まずは、多くの事項を取り扱うことができる弁護士に相談するとよいかもしれません。
・話しやすい、信頼できると感じるといった点もポイントです。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(千葉県弁護士会)
早稲田大学法学部卒業。早稲田大学大学院法務研究科修了。企業法務を中心に活動。離婚・相続問題、刑事事件、交通事故被害などの一般民事案件の実績も数多く有し、インターネット上の誹謗中傷問題にも積極的に取り組んでいる。
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