親が亡くなると、様々な手続きを行わなければなりません。
では、もし親が利用していたサービスの解約を忘れてしまっていた場合どうなるのでしょうか?
解約手続きを忘れた場合に取るべき対応や、発生してしまった会費や遅延金は支払うべきなのかという点についてわかりやすく解説します。
目次
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死亡後に解約手続きをすべき契約は?
親が亡くなると、多くの手続きを行わなければなりません。
相続手続きには役所関係の手続き、財産の名義変更などの手続きの他、亡くなった親が利用していたサービスの解約手続きなどがあります。
死亡後に解約を検討すべき主な契約は、次のとおりです。
- インターネットのプロバイダ
- 携帯電話
- クレジットカード
- オンラインサービスなどの有料会員登録
- スポーツジム
- 新聞や雑誌の定期購読
- 百貨店などのいわゆる「友の会」
- ゴルフクラブの会員権
- 電気や水道、ガスなどの生活インフラ
- 定期購入などのサブスク契約
- 動画配信サービス
- インターネット上の会員サービス
- 駐車場の賃借契約
- 建物の賃借契約
亡くなった親がどのようなサービスを使っていたのかを早い段階で確認し、順次解約を進めるようにしましょう。
特に、インターネット上で完結する契約は気づきにくいため、できれば親の生前に一覧表などにまとめておいてもらうと安心です。
死亡後の解約手続きはどう進める?
親の死亡後にサービスなどを解約する手順は、主に次のとおりです。
解約すべき契約を確認する
まずは、解約すべきサービスを確認して、一覧表にまとめます。
解約したものからチェックをつけるなどして、漏れのないように注意しましょう。
併せて、解約のタイミイングも検討します。
例えば、一人暮らしの親が亡くなった場合、電気や水道などを早期に止めてしまうと、その後の片づけなどに支障が出る可能性もあるためです。
解約すべきサービスの調べ方は、後ほど解説します。
解約手続き方法と未払いの料金を確認する
解約手続きや未払い料金の確認方法は、そのサービスによって異なります。
まずはサポートセンターやヘルプデスクなどに問い合わせて確認しましょう。
電話で確認ができる場合もあれば、オンラインのフォームから問い合わせる必要がある場合もあります。
その際、本人確認情報が必要となる場合が多いため、氏名や住所、生年月日や死亡日などをすぐに回答できるようにしておく他、そのサービスの会員番号などがわかる資料があれば手元においた状態で連絡をするとスムーズです。
電話のみで解約できる場合には、この時点で解約手続きが完了します。
必要書類を準備する
解約をするために書類の提出が必要な場合には、必要書類を準備します。
必要な書類はそのサービスによって異なりますが、一般的には次の書類が求められることが多いでしょう。
- 所定の解約届や死亡届など
- 契約者が亡くなったことのわかる戸籍謄本や除籍謄本のコピー
- 解約手続きをする人の本人確認書類
さらに多くの書類が必要となる場合もありますので、どのような書類が必要なのか解約するサービスごとに確認して準備しましょう。
解約する
必要書類の準備ができたら、書類を提出して解約します。
提出方法についてもあらかじめ確認しておくと良いでしょう。
郵送で解約が完了することも少なくありません。
死亡後に解約手続きを忘れた場合のデメリット
親の死亡後にプロバイダや携帯電話、スポーツジムなどの解約手続きを忘れてしまった場合には、どのようなデメリットがあるでしょうか?
解約までの会費がかかる
デメリットの1つ目は、解約までの会費が発生し続けてしまうことです。
必要なものであればともかく、誰も使っていないサービスに対して料金を支払い続けるのは非常にもったいないといえるでしょう。
未払いが続けば遅延金などが請求される可能性がある
死亡後に解約することを忘れていても、次の2つの条件を満たしていたのであれば、遅延金などは発生しません。
亡くなった親の口座からそのまま料金が支払われ続けるためです。
- 会費の支払いが口座引き落としになっていた
- 会費引き落とし口座が凍結されておらず、残高も残っていた
一方、毎月会費を振り込んでいた場合やすでに口座が凍結されてしまっていた場合、凍結はされていないものの残高不足の状態となっていて引き落としができなかった場合には、会費が滞納状態となります。
滞納となれば、亡くなった親が元々結んでいた契約の内容によっては、遅延金などが発生する可能性があるため注意しましょう。
クレジットカードは不正使用の原因となる
解約手続きを忘れてしまったものがクレジットカードであった場合には、カードが不正使用されるリスクが高くなります。
近年では、カードの明細書をオンライン上でのみ確認し、郵送をしない選択をしている方も増えていますので、不正使用に気づかず被害が拡大してしまうことも懸念されます。
支払いについて争いの原因となる可能性がある
死亡後に解約を忘れてしまったことで支払うべきことなった会費や滞納金などがかさめば、相続人間でそのお金を誰が支払うのかについて争いとなってしまう可能性もあります。
亡くなった方が申し込んでいたサービスは、相続人全員が承継することが原則です。
そのため、解約を忘れたサービスについて亡くなった後で発生した費用は、原則として相続人全員が法定相続分に従って負担をすることになります。
しかし、例えば亡くなった方と同居していた相続人や相続手続きを取り仕切っていた相続人が解約忘れを責められ、その相続人がすべて支払うべきだと主張されるかもしれません。
解約を忘れたことで高額な費用が余分にかかってしまえば、このような無用な争いの原因となる可能性があります。
相続税の債務控除にならない
亡くなった方の生前に発生した費用が亡くなった時点で未払いとなっており、その費用を相続人等が支払った場合には、この支払った費用は相続税の計算において債務控除の対象となります。
つまり、相続税の対象となる財産から引いてもらえるということです。
一方で、解約を忘れたことで死亡日以降に発生した会費や遅延金などは亡くなった方の債務ではないため、相続税の計算上債務控除の対象とはなりません。
解約手続きを忘れて発生した会費や遅延金は支払う必要がある?
では、死亡後に解約手続きを忘れてしまったことで発生した会費や遅延金などは、相続人が支払う必要があるのでしょうか?
原則として支払い義務がある
解約を忘れてしまったことで死亡後に発生した会費や滞納に伴う延滞金などは、原則として相続人に支払い義務があります。
亡くなった方の権利義務は、原則としてすべて相続人が承継するものとされているためです。
相談により免除してもらえる可能性もゼロではない
会員規約に契約の地位は相続できず、死亡に伴い自動的に退会するとされている旨が定められているケースは少なくありません。
このような規約がある場合でも、相続人からの解約の連絡まではしっかりと会費を請求される場合もありますが、亡くなった日以後の会費の支払いは必要ないとされる可能性も考えられます。
そのため、死亡後長期にわたり解約手続きを忘れてしまっていた場合には、まずはそのサービス提供先に相談してみると良いでしょう。
相続放棄を検討する
死亡後の解約を忘れてしまうケースの中には、そもそも亡くなった方が生前から会費などを滞納していたため、亡くなった方の銀行口座などから支払いが確認できず、手続きが漏れてしまったという場合もあるでしょう。
このような事情で生前からの滞納額が多額となっていた場合には、相続放棄を検討することも一つの手です。
相続放棄をすれば、はじめから相続人ではなかったこととなりますので、被相続人の権利義務を一切引き継がずに済みます。
ただし、債務のみを放棄することはできず、プラスの財産についても一切相続の権利がなくなりますので注意しましょう。
死亡後の解約手続きを忘れないための確認方法
死亡後に解約手続きを忘れてしまうと、多くの不利益が生じる可能性があります。
では、解約手続きを忘れずに行うためにはどうすれば良いのでしょうか?
郵便物をこまめに確認する
口座振替となっていた料金の引き落としができなかったり、何かの料金を滞納したりした場合には、まず郵送で請求されることが一般的です。
この郵便物を見つけることで、解約できていない会員契約などに早期に気づくことが可能です。
そのため、亡くなった親の郵便物はこまめに確認すると良いでしょう。
通帳の履歴を確認する
亡くなった方の通帳の履歴を見ることで、銀行口座から定期的に支払いをしていた先がわかります。
そのため、死亡後の解約手続きを進める際には、亡くなった方の通帳と解約済みのサービスとを突合していくと解約が漏れにくくなるでしょう。
毎月支払うものもあれば、年に1回などの周期で支払うものなどもありますので、少なくとも2年分程度はさかのぼって確認することをおすすめします。
なお、通帳を紛失してしまっている場合や最近通帳が更新されて古い通帳を破棄してしまっていたような場合には、所定の手続きを踏むことで金融機関から取引履歴を取り寄せることも可能です。
クレジットカードの明細を確認する
亡くなった方のクレジットカード明細を見ることで、クレジットカードから定期的に支払いをしていた先がわかります。
銀行口座との突合と同様、クレジットカードの明細も確認をすることで解約漏れを防ぐことにつながります。
まとめ
死亡後に解約手続きを忘れてしまうと、費用がかさんだりクレジットカードの不正使用に巻き込まれたりといった不利益を被る可能性が高くなってしまいます。
解約を忘れてしまわないよう、一つひとつリストアップした上で解約を進め、漏れのないように注意しましょう。
解約を忘れて高額な請求にお困りの際には、弁護士へご相談ください。
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