コラム
公開 2025.08.23 更新 2025.08.24

単体1255_新規_遺産の使い込みの調査方法は?主な調査内容を弁護士がわかりやすく解説

遺産の使い込みが疑われる場合、相手を追及する前に、まずは調査をして使い込みの事実を証明すべきでしょう。
調査をせず、単に「疑わしい」というだけで相手を追及した場合、相手に証拠隠滅や言い逃れの機会を与えるおそれなどがあるためです。

では、遺産の使い込みはどのように調査すればよいのでしょうか?
また、遺産の使い込み調査を弁護士に依頼することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?

今回は、遺産の使い込みの主要なパターンを紹介するとともに、使い込まれた遺産を取り戻すために必要な条件や遺産使い込みの調査方法、調査を弁護士に依頼するメリットなどについてくわしく解説します。

なお、当事務所(Authense法律事務所)は遺産の使い込みの調査について豊富な実績を有しており、状況に応じた的確な調査が実現できます。
遺産の使い込みについて調査をご希望の際は、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。

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遺産の使い込みのよくあるパターン

遺産の使い込みには、さまざまな方法があります。
はじめに、遺産の使い込みのよくあるパターンを4つ紹介します。

  • 預貯金の費消
  • 収入の横領
  • 不動産や有価証券の無断売却
  • 生命保険の解約金の着服

相続が発生し、このような使い込みがなされてお困りの際は、Authense法律事務所までお早めにご相談ください。
ご相談いただくことで、そのケースにおいて必要な調査などの見通しを立てることが可能となります。

預貯金の費消

遺産の使い込みの代表的な手法は、預貯金の費消です。
亡くなった人(「被相続人」といいます)のキャッシュカードなどを使用して預金を引き出し、これを自分のためなどに使うことがこれに該当します。

収入の横領

被相続人が家賃収入など定期的な収入を得ていた場合、これを横領する形で使い込まれる場合があります。
たとえば、賃料の振込先口座を無断で変更し、これを自己のために費消する場合などがこれに該当します。

不動産や有価証券の無断売却

被相続人が不動産や有価証券を所有していた場合、これを無断で売却し、売却の対価を使い込まれる場合があります。
この場合には、使い込みの額が非常に高額となる可能性が高いでしょう。

なお、不動産を第三者に売却する場合には、司法書士による厳格な本人確認がなされるため、無断での売却は容易ではありません。
そのため、不動産の売却による使い込みがなされた場合、使い込みを企図して入念に策が練られている可能性があります。

生命保険の解約金の着服

被相続人が生命保険をかけていた場合、これを無断で解約して解約金が着服される場合があります。
この場合には、着服者以外の人が受取人に指定されている契約が解約対象となることが多いでしょう。

遺産の使い込みを取り戻すための条件

遺産が使い込まれた場合、これを取り戻せる可能性があります。
ここでは、遺産の使い込みを取り戻すために満たすべき主な条件を解説します。

  • 被相続人に無断で財産を持ち出したこと
  • 自分や自分の家族など、被相続人以外のために使い込んだこと
  • これらの証拠があること

なお、これらの条件を満たすか否か、自身で的確な調査をすることは容易ではありません。
遺産の使い込みでお困りの際は、1人で悩まずAuthense法律事務所までお早めにご相談ください。

被相続人に無断で財産を持ち出したこと

1つ目は、被相続人に無断で財産を持ち出したことです。

被相続人が高齢であるなどの事情から、自分で金融機関などへ出向くことが難しい場合、預金の引き出しや有価証券の売却を頼まれることなどは珍しいことではないでしょう。
また、被相続人から「いつもお世話になっているから」などとして、財産を贈与される場合もあります。

被相続人の預貯金を引き出したり有価証券を売却したりしたのだとしても、このように被相続人の同意のもとで行った場合は、遺産の使い込みには該当しません。
使い込みであるというためには、被相続人に無断で財産を持ち出したことが必要です。

自分や自分の家族など、被相続人以外のために使い込んだこと

2つ目は、被相続人の財産を、被相続人以外のために使ったことです。
介護をしている場合、被相続人の預貯金の引き出しや不動産の売却などが、被相続人のためであることも少なくありません。

たとえば、高齢となった被相続人のために被相続人の自宅をリフォームするために預金を引き出す場合や、被相続人の施設への入所費用を捻出するために有価証券を売却する場合などがこれに該当します。
また、被相続人の生活費などのために、預金を引き出す場合もあるでしょう。

このように、被相続人の財産を被相続人のために使った場合は、それは使い込みではありません。
使い込みであるというためには、持ち出した財産を被相続人以外のために費消した事実が必要です。

これらの証拠があること

3つ目は、被相続人に無断で財産を持ち出したことや、被相続人以外のために財産を費消した旨の証拠があることです。

遺産の使い込みが疑わしかったとしても、これらを立証できる明確な証拠がなければ、遺産の返還を求めることは困難です。
そのため、「怪しい」というだけで勇み足で使い込みを追及することは避け、まずは調査をして証拠を集める必要があります。

遺産の使い込みの3つの調査方法

遺産の使い込みが疑われる場合、どのような方法で調査をすればよいのでしょうか?
ここでは、調査方法を3パターン紹介します。

  • 自分で調査する
  • 弁護士に調査を依頼する
  • 裁判所を利用して調査する

なお、これらはいずれか1つを選択するのではなく、併用することも少なくありません。
具体的な調査の進め方は、弁護士へ相談したうえで検討するとよいでしょう。

自分で調査する

1つ目は、自分で調査をする方法です。
もっとも費用がかかりにくい方法であるものの、そのケースに応じて調査すべき事項を的確に判断するのは容易ではありません。

また、医療機関などの調査先から「個人情報」を盾に情報の開示を断られ、思うように調査が進まない場合もあるでしょう。

ただし、相続人であれば単独で、被相続人の預金口座の入出金履歴は請求できるのが原則です。
そのため、まずは入出金履歴を入手したうえで、使い込みの可能性を検証するのも1つの方法です。

弁護士に調査を依頼する

2つ目は、弁護士に調査を依頼する方法です。
弁護士に調査を依頼する場合、裁判を見据えた的確な調査が実現できます。

また、弁護士に依頼する場合には「弁護士照会(弁護士法23条の2)」が活用できることも大きなメリットでしょう。
弁護士照会とは、弁護士からの依頼を通じ、弁護士会が金融機関などの各機関に情報の照会をかける制度です。

弁護士照会制度を活用することで自分だけでは難しい調査も可能となり、使い込みの調査がスムーズに進みやすくなります。
遺産の使い込みの調査でお困りの際は、Authense法律事務所までお早めにご相談ください。

裁判所を利用して調査する

3つ目は、裁判所を利用して調査することです。
すでに訴訟を提起していることが前提とはなるものの、裁判所に調査を嘱託できます。

裁判所に調査嘱託を申し立てることで、弁護士照会によっても難しい調査が実現しやすくなります。
たとえば、相手方(遺産を使い込んだ可能性がある人)の預貯金口座の入出金履歴の調査などがあります。

遺産の使い込みの主な調査内容

遺産の使い込みでは、どのような調査を行うのでしょうか?
ここでは、遺産の使い込みを証明するための主な調査内容を紹介します。

  • 預貯金や有価証券の取引履歴
  • 振込伝票や委任状
  • 医師の診断書・カルテ
  • 介護記録

ただし、実際に調査すべき内容は、事案の内容や状況によって異なります。
そのため、遺産の使い込みが疑われる実際のケースでは、まず弁護士へ相談したうえで、そのケースにおいて調査すべき事項を把握することから始めるとよいでしょう。

遺産の使い込み調査でお困りの際は、Authense法律事務所へご相談ください。

預貯金や有価証券の取引履歴

遺産の使い込み調査では、まずは使い込みが疑われる預貯金口座の入出金履歴や、有価証券の取引履歴などを取り寄せるのが第一歩です。
この履歴などで不審な引き出しや換金などに目星をつけ、「誰が何のためにその引き出し(売却)をしたのか」を調査していくことになるためです。

被相続人の死亡後であれば、原則として、これらの書類は一部の相続人が単独で請求できます。

振込伝票や委任状

遺産の使い込みの調査では、金融機関に提出した振込伝票(出金伝票)や委任状などを確認することがあります。
これらの筆跡を確認することで、出金者の特定につながるためです。

なかでも、被相続人が委任者として表示された委任状があるにもかかわらず、その筆跡が被相続人のものとは異なる場合には、虚偽の委任状を提出して不正に預金を引き出した可能性が高くなります。

医師の診断書・カルテ

遺産の使い込みの調査では、医師の診断書やカルテなども調査対象となります。

診断書やカルテから被相続人の出金日前後の状態がわかれば、「手術の直後であり、自分で金融機関に出向くことは難しかった」「すでに認知症が進行しており、贈与の意思表示などは難しかった」などの事情が見えてくるためです。

また、かかった入院費などを調べておくことによって、相手方から「入院費用のために引き出した」などと主張された際の反証の材料ともなります。

介護記録

介護記録や介護等級の認定資料なども、遺産の使い込みの調査にあたっては入手しておくべきでしょう。
医師の診断書やカルテと同じく、これらを確認することで出金日付近における被相続人の状態が明確になり、相手の主張の矛盾をつきやすくなるためです。

遺産の使い込み調査を弁護士に依頼するメリット

遺産の使い込み調査は、弁護士に依頼して行うのがおすすめです。
最後に、遺産の使い込みについて弁護士にサポートを依頼する主なメリットを4つ解説します。

遺産の使い込みトラブルについて相談できる弁護士をお探しの際は、Authense法律事務所までお気軽にご連絡ください。

裁判に必要な資料の的確な調査が実現できる

遺産の使い込みを追及するにあたって、的確な調査をすることは容易ではありません。
調査に不足があれば使い込みとまでは断定できず、追及が困難となるおそれが生じます。

弁護士に依頼することで、裁判を見据えた的確な調査が実現できます。

弁護士照会制度が活用できる

先ほど解説したように、弁護士に依頼した場合には「弁護士照会制度」の活用が可能となります。
弁護士照会制度を活用することで自身だけでは難しい調査が実現でき、遺産の使い込み調査を効果的に進めやすくなります。

相手との交渉を任せられる

遺産の使い込みを追及する場合、調査はスタート地点に過ぎません。
その後は、調査の結果をもとに相手に対して使い込みを追及し、返済について交渉するステップが必要です。

しかし、遺産の使い込みについて自身で交渉をまとめることは、容易ではないでしょう。

弁護士に依頼する場合には、相手との交渉を弁護士に任せることが可能となります。
これにより、相手と直接対峙する必要がなくなるほか、事案に応じた妥当な解決策へと落とし込みやすくなります。

相手が交渉に応じない場合の訴訟も任せられる

直接交渉をしても、相手が使い込みを認めなかったり話し合い自体を拒絶したりして、埒が明かない場合もあるでしょう。
その場合には、状況に応じて不当利得返還請求や不法行為に基づく損害賠償請求などの訴訟を提起して、解決をはかることとなります。

弁護士へは訴訟対応なども任せられるため安心です。

まとめ

遺産の使い込みのよくあるパターンを紹介するとともに、使い込まれた遺産を取り戻すために満たすべき条件や遺産の使い込みの調査方法などについて解説しました。

遺産が使い込まれた場合、まずは事実関係の調査をすべきです。
調査では、預貯金の入出金履歴や振込伝票の筆跡、医療記録などを入手し、「遺産を誰が引き出したのか」「遺産がどのように使われたのか」などを調べていきます。

遺産の使い込みを立証することは容易ではなく、調査も困難を極めることが多いでしょう。
そのため、遺産の使い込みの調査は無理に自分で行うのではなく、実績豊富な弁護士のサポートを受けるようにしてください。

Authense法律事務所は、遺産相続トラブルについて豊富な解決実績を有しており、遺産使い込みの調査に関するサポートも可能です。
遺産の使い込みの調査でお困りの際は、Authense法律事務所までお早めにご相談ください。
相続問題に関するご相談は、初回60分間無料です。

記事を監修した弁護士
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Authense法律事務所記事監修チーム
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