特別受益や経済状況を考慮すべきと他の相続人が主張している。
- ご相談者Xさん
- 年齢:40代
- 性別:女性
- 続柄:次女
-
ご相談までの経緯・背景
-
Xさんの父であるAさん(80代)が亡くなり、母親もすでに他界していることから、長女のBさん(50代)と次女のXさん(40代)の2人がお父さんの遺産を相続することとなりました。
Xさんは法定相続分を前提とした相続を考えています。しかしBさんが、Xさんには特別受益があること、Bさんの体調や経済状況が思わしくないこと等を考慮して多めに相続させてほしいと主張しているため、両者では話がまとまりませんでした。
そこで、XさんはBさんとの円満な遺産分割を希望されて当法律事務所にご相談にいらっしゃいました。
-
被相続人であるAさんの遺産は、不動産(土地、マンション)、預貯金、株式、投資信託等でした。
相談者であるXさんは、法定相続分を前提として、土地と株式の一部の相続を希望しています。
しかし、Bさんは、Xさんの高等教育費が高額であり、家賃の支払いが一定期間免除されていたという特別受益があること、Bさんの経済状況や体調が良くないことを考慮して遺産分割をしてほしいと主張しています。
-
解決までの流れ
-
弁護士は、Bさんの主張するようなXさんの特別受益はないと主張し、遺産分割を法定相続分に従って行うよう交渉を続けました。
特別受益とは、共同相続人の中に、被相続人から、遺贈を受け、または婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者がある場合、その利益のことをいいます。
今回の場合、高等教育費の差については、XさんもBさんと同等の大学で教育を受けており、両者の教育にそれほど差はないことから特別受益にはあたりません。
次に家賃の支払い免除についてですが、両者の間に一定期間における負担額の差があることをもって生活資本や遺産の前払いといえるほどの利益があったということはできません。
さらに、遺産額から考えて、法定相続分でも十分な遺産が分配されるので、Bさんの経済的窮状などを考慮する必要性はないといえます。
-
結果・解決ポイント
-
協議の結果、Bさんの主張するXさんの特別受益が認められないこと、法定相続を前提としても十分な遺産が分配されるので、Bさんの経済的窮状などを考慮する必要性はないことから、XさんとBさんは法定相続分に従って各2分の1ずつ相続することとなりました。
以上より、Xさんの希望どおりに無事に遺産分割をすることで、お姉さんとの遺産問題を解決することができました。
本件のように相続に関しては当事者間で話がまとまらず、揉め事になるケースが少なくありません。お困りの際にはぜひ弁護士に相談してみてください。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問合せはこちら