コラム
公開 2025.09.06

単体1262_新規_遺留分請求をされた側の弁護士費用の目安は?弁護士がわかりやすく解説

遺留分侵害額請求をされた場合、無理に自分だけで対応しようとせず、弁護士にご相談ください。
弁護士へ相談することで、請求に対する具体的な対応の見通しが立てやすくなります。

では、遺留分侵害額請求をされた側が弁護士に対応を依頼する場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?
また、遺留分侵害額請求をされた側が費用をかけて弁護士に依頼することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?
今回は、遺留分侵害額請求をされた側の弁護士費用の目安や、弁護士に依頼するメリットなどについてくわしく解説します。

なお、当事務所(Authense法律事務所)は遺産相続に特化した専門チームを設けており、遺留分侵害額請求をされた側からの相談実績も豊富に有しています。
遺留分侵害額請求をされてお困りの際は、Authense法律事務所までお早めにご相談ください。

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ご相談日程を調整いたします。

遺留分侵害額請求とは?

遺留分侵害額請求とは、遺留分を侵害された人(「遺留分権利者」といいます)が、遺言や生前贈与などで遺産を多く受け取った人に対し、侵害額相当の金銭の支払いを求めるものです。

亡くなった人(「被相続人」といいます)の配偶者や子どもなど一定の相続人には、遺留分があります。
遺留分とは、遺言によっても剥奪できない、相続での最低限の権利です。

とはいえ、遺留分を侵害する内容の遺言や、生前贈与が無効になるわけではありません。
たとえば、相続人が長男と長女の2人である場合において、「長男に全財産を相続させる」という内容の遺言書も有効です。

しかし、このような遺言は、長女の遺留分を侵害しています。
この場合、被相続人の死後、長女から長男に対して遺留分侵害額請求がされる可能性があります。
遺留分侵害額請求の内容が正当であれば、長男は請求者である長女に対し、遺留分侵害額相当の金銭を支払わなければなりません。

なお、民法が改正されて2019年7月1日に施行されるまでは、遺留分の請求は「遺留分減殺請求」と呼ばれていました。
遺留分減殺請求は「遺産の取り戻し権」であり、遺留分減殺請求をすることで、原則として土地や建物などの遺産が遺留分権利者と遺留分を請求された側との共有となります。

これに対し、改正後は「遺留分侵害額請求」となり、遺留分の請求権は金銭債権(お金での支払いを求めるもの)となっています。
これにより、意図しない不動産の共有を避けられることとなりました。

遺留分侵害額請求をされた場合に確認すべき3つのポイント

遺留分侵害額請求をされた場合、慌てて請求に応じることはおすすめできません。
ここでは、遺留分侵害額請求をされた場合にまず確認すべきポイントを3つ解説します。

  • 相手は遺留分権利者であるか
  • 時効を過ぎていないか
  • 請求先は合っているか

相手は遺留分権利者であるか

1つ目は、相手が遺留分権利者であるか否かです。

遺留分を持つのは、相続人だけです。
相続人ではない人や、相続放棄や相続欠格、相続人からの廃除などにより相続権を失った人などには、遺留分はありません。
また、相続人であっても、兄弟姉妹や甥姪には遺留分はないこととされています(民法1042条)。

遺留分制度に対する「勘違い」などから、遺留分権利者ではない人から遺留分を請求される場合もあるため、まずは相手が権利者か否かを確認すべきでしょう。
相手がそもそも遺留分権利者でなければ、請求に応じる必要はありません。

時効を過ぎていないか

2つ目は、時効が過ぎていないか否かです。

遺留分侵害額請求の時効は、原則として、遺留分権利者が被相続人の死亡と遺留分侵害の事実(遺言の存在など)を知ってから1年です。
また、遺留分権利者がこれらを知らないままであったとしても、相続開始から10年が経つと、遺留分侵害額請求はできなくなります。

遺留分侵害額請求をされたものの、請求時点ですでに時効が成立している場合には、請求に応じる必要はありません。
そのため、請求時点で時効が到来していないか否かを確認したうえで対応に臨むべきでしょう。

請求先は合っているか

3つ目は、請求先が合っているか否かです。

先ほど紹介した例のように、相続人が長男と長女の2人のみで「長男に全財産を相続させる」という内容の遺言書があった場合などには、請求先を誤ることはないでしょう。
しかし、被相続人が遺言や生前贈与を複数の相手にしていた場合、請求先を正確に判断するには専門的な知識が必要です。

民法では、遺留分の負担先が次のように規定されています(同1047条1項)。

  1. 遺言で財産を受け取った人(「受遺者」といいます)と贈与で財産を受け取った人(「受贈者」といいます)がいる場合:受遺者が先に負担
  2. 受遺者が複数いる場合・複数の受贈者に同時に贈与された場合:受遺者・受贈者が、受け取った財産の価額の割合に応じて(按分して)負担。遺言で別段の定めがあれば、それに従って負担
  3. 時期の異なる贈与が複数ある場合:後の贈与の受贈者から順に負担

とはいえ、自身への遺留分侵害額請求が適正であるか否か、自身で判断するのは容易ではありません。
遺留分侵害額請求をされてお困りの際は、Authense法律事務所へご相談ください。

遺留分侵害額請求をされた場合にかかる弁護士費用の目安

遺留分侵害額請求をされた側が弁護士に対応を依頼する場合、どの程度の費用が掛かるのでしょうか?
ここでは、主にかかる費用と費用の目安を紹介します。

  • 相談料
  • 着手金
  • 成功報酬
  • 日当
  • 事務手数料
  • 実費

なお、弁護士報酬は自由化されているため、具体的な費用は依頼する事務所によって異なります。
そのため、ここで紹介する費用は目安として参考にするに留め、依頼しようとする際はその事務所から個別に見積もりをとることをおすすめします。

相談料

遺留分侵害額請求をされた側が弁護士に対応を依頼する場合、まずは相談をすることが一般的です。

初回の相談料はリーズナブルに設定されていることが多く、1時間1万円程度が目安となるでしょう。
Authense法律事務所のように、初回の相談を無料としている事務所もあります。

着手金

遺留分侵害額請求をされた側が弁護士に正式に対応を依頼する時点で、着手金の支払いが必要となります。
着手金の額は固定であり、20万円から50万円程度であることが多いでしょう。

成功報酬

支払うべき遺留分が最終的に決まった段階で、成功報酬の支払いが必要となります。
遺留分侵害額請求をされた側の成功報酬は、「当初の請求から減額できた額」に一定割合を乗じて算定することが多いものの、「遺留分を支払った結果残った遺産の額」に一定割合を乗じて算定されることもあります。

乗じる割合は、「当初の請求から減額できた額」を基礎とする場合は10%から20%程度、「遺留分を支払った結果残った遺産の額」を基礎とする場合は数%程度とされることが一般的です。

日当

弁護士が事務所を離れて業務をする必要がある場合、その日数に応じて日当が発生する場合があります。
日当は1日あたり3万円から10万円程度が目安であるものの、日当が発生しない事務所もあります。

事務手数料

事務手数料とは、各種書類の申請や取得手続き、印刷・コピーなどに対して別途発生する報酬です。
事務手数料は定額であることが多く、数万円から10万円程度が目安となります。

実費

実費とは、交通費や書類取得の手数料、郵便料金など、弁護士が案件を処理するにあたって実際に発生する費用です。
実費の額は状況によって異なるものの、遺留分侵害額請求をされた側の実費は数万円程度であることが多いでしょう。

遺留分請求をされた側の弁護士費用は誰が払う?

誤解も散見されるものの、遺留分侵害額請求をされた側の弁護士費用は、依頼者である遺留分侵害額請求をされた側が負担すべきものです。
遺留分侵害額請求をした側に負担させることはできません。

相手方の不法行為による場合などとは異なり、原則として相手方に負担させることはできません。
誤解のないよう注意してください。

遺留分侵害額請求をされた側が弁護士に依頼するメリット

遺留分侵害額請求をされた側が費用をかけて弁護士に依頼することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは、弁護士に依頼する主なメリットを3つ解説します。

  • 遺留分侵害額の支払いを適正額に抑えられる
  • 相手と直接対峙する必要性から解放される
  • 調停や訴訟に移行しても弁護士に対応を任せられる

なお、Authense法律事務所は遺産相続事件の解決実績が豊富であり、遺留分侵害額請求をされた側からのご依頼も数多くお受けしています。
遺留分侵害額請求をされてお困りの際は、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。

遺留分侵害額の支払いを適正額に抑えられる

1つ目は、遺留分侵害額請求による支払い額を、適正額に抑えられることです。

遺留分侵害額を適正に算定することは、容易ではありません。
さらに、遺留分権利者と請求を受ける側とで、遺留分計算の基礎となる財産の範囲や、評価方法などについて齟齬が生じることもあります。

そのため、遺留分請求をされた側は請求された額を鵜呑みにして支払うのではなく、自身でも正当な遺留分侵害額を算定したうえで、納得した場合に支払いに応じるべきでしょう。

とはいえ、自身で遺留分侵害額を適正に算定することは容易ではありません。
弁護士にサポートを依頼することで適正な遺留分侵害額の算定が可能となり、知らずに過大な金額を支払う事態を回避できます。

相手と直接対峙する必要性から解放される

2つ目は、相手と直接対峙する必要性から解放されることです。

遺留分侵害額をされた場合に自分で対応しようとすると、請求者である相手方と直接交渉をしたりやり取りをしたりする必要が生じます。
これに、不安やストレスを感じることも少なくないでしょう。

弁護士に依頼する場合には、弁護士が代理人として交渉ややり取りを行うため、自身で直接相手方と対峙する必要がなくなります。

調停や訴訟に移行しても弁護士に対応を任せられる

3つ目は、調停や訴訟に移行しても、弁護士に対応を任せられることです。

遺留分侵害額などの交渉がまとまらない場合、裁判所で行う話し合いである「調停」や、裁判所に結論を下してもらう「訴訟」などに移行することとなります。
弁護士に依頼する場合には、調停や訴訟などの対応も弁護士に任せられるため、時間や労力、精神面などでの負担を大きく軽減できます。

遺留分請求をされた側からのよくある質問

最後に、遺留分侵害額請求をされた側からのよくある質問とその回答を2つ紹介します。

遺留分侵害額請求をされない方法はある?

遺留分侵害額請求をされないようにする方法はあるものの、そのハードルは低くありません。
主な方法としては、次のものが挙げられます。

  • 遺留分放棄:被相続人の生前に、一定の財産を渡すことと引き換えに遺留分権利者本人が家庭裁判所に申し立て、遺留分放棄の許可を受ける
  • 相続欠格:遺留分権利者が被相続人を殺害した・被相続人の遺言書を偽造したなどの事実を証明し、相続権を剥奪する
  • 相続人からの廃除:遺留分権利者が被相続人を虐待したなどの事情がある場合に家庭裁判所に申立て、相続権を剥奪する

遺留分は非常に強い権利であり、被相続人や他の相続人が、理由もなく簡単に剥奪できるものではありません。

遺留分侵害額請求をされた側が避けるべき対応は?

遺留分侵害額請求をされた側が避けるべき対応としては、請求を無視することと、相手の「言い値」で請求に応じることが挙げられます。

遺留分侵害額請求を放置すれば、調停や訴訟にもつれ込む可能性が高いでしょう。
トラブルの長期化を避けるため、請求を無視することはおすすめできません。

一方で、相手の「言い値」で支払うことも避けるべきです。
相手の主張する遺留分侵害額が、必ずしも適正であるとは限らないためです。

遺留分侵害額請求をされたら、無理に自分で対応しようとせず、Authense法律事務所へご相談ください。

まとめ

遺留分侵害額請求がされた側が対応にあたって必要となる費用や、遺留分侵害額請求をされた側の対応のポイント、弁護士に依頼するメリットなどを解説しました。

遺留分侵害額請求をされたら、まずは弁護士にご相談ください。
弁護士に相談することで、遺留分侵害額請求が適正であるか否かなどが判断でき、その後の見通しを立てやすくなるためです。

遺留分侵害額請求をされた側が弁護士に対応を依頼した場合、着手金と成功報酬などの費用がかかります。
弁護士に依頼した場合の費用は事務所ごとに異なるため、まずは初回相談を活用し、そのケースにおいてかかる費用などを確認したうえで依頼を検討するとよいでしょう。

Authense法律事務所は遺産相続に特化した専門チームを設けており、遺留分侵害額請求をされた側の対応についても豊富な実績を有しています。
遺留分侵害額請求をされてお悩みの際は、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。

記事を監修した弁護士
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