コラム
公開 2021.05.19 更新 2022.03.14

代襲相続とは?相続人の範囲と相続割合はどうなる?

相続人が、被相続人より先に亡くなっている代襲相続の場合、相続人の範囲と相続割合はどうなるのでしょうか?
また、代襲相続における注意点などはあるのでしょうか?
相続に詳しい弁護士が、「代襲相続」について分かりやすく解説いたします。

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代襲相続とは?

代襲相続とは、本来相続人になるはずの人が、被相続人より先に亡くなっているなどの理由で相続できない場合に、その人の子が代わりに相続する制度のことです。
相続人が、被相続人より先に亡くなっている場合、相続人や相続割合はどうなるのでしょうか?
以下の例でみていきましょう。

被相続人:父 相続人:長男・二男・長女

被相続人:父
相続人:長男・二男・長女
※ただし、長男と長女は既に他界している。

上記の例のように、相続人が被相続人より先に亡くなっている場合、当該相続人は、相続人になることはできません。

代襲相続

そこで、民法は、相続人が被相続人より先に亡くなっていたりして相続権を有しない場合、当該相続人の直系卑属(子ども、子どもがいない場合は孫)が、その相続人の地位を承継する(これを「代襲相続」といいます。)こととしました。
代襲相続によって、相続人となる直系卑属のことを、「代襲相続人」といいます。
なお、相続人が相続権を有しない場合としては、

  • ①被相続人より先に亡くなっている場合
  • ②相続欠格・相続排除により相続権がはく奪されている場合

となります。
相続人が相続放棄をした場合は、はじめから相続人とならなかったものとみなされるため、代襲相続は生じません。

代襲相続人の範囲

代襲相続は、第1順位である子どもが相続人となる場合と第3順位である兄弟姉妹が相続人となる場合に生じることになります。
配偶者と第2順位である直系尊属には、代襲相続は認められませんのでご注意ください。

第1順位である子どもが、被相続人より先に亡くなっていたりして相続権を有しない場合、代襲相続人は、孫⇒孫が全員先に亡くなっていたらひ孫⇒孫・ひ孫が全員先に亡くなっていたら玄孫となっていきます。

第3順位である兄弟姉妹が、被相続人より先に亡くなっていたりして相続権を有しない場合、代襲相続は、甥・姪までとなります。
甥・姪が先に亡くなっている場合は、甥・姪の子どもまでは代襲相続は生じません。

代襲相続について、兄弟姉妹が相続人である場合は、甥・姪の1代限りということを覚えておきましょう。

代襲相続人の相続割合

代襲相続人の相続割合

それでは、代襲相続人の相続割合は、どう計算するのでしょうか。
以下の例で見ていきましょう。

被相続人:父 相続人:長男の子A、長男の子B、二男、長女の子C、長女の子D、長女の子E

被相続人:父
相続人:長男の子A、長男の子B、二男、長女の子C、長女の子D、長女の子E
※長男と長女は既に他界しており、長男には子どもA・Bの2名、長女には子どもC・D・Eの3名がいる。
相続人の数:6名

この場合、相続割合は、相続人で頭割りとはならず、元々の相続人の相続割合を代襲相続人の人数で頭割りすることになります。

A・Bの相続割合

①長男の相続割合3分の1
②長男の相続割合をA・Bの2名で頭割り
3分の1×2分の1=6分の1
⇒A・Bの相続割合は、それぞれ6分の1

C・D・Eの相続割合

①長女の相続割合3分の1
②長女の相続割合をC・D・Eの3名で頭割り
3分の1×3分の1=9分の1
⇒C・D・Eの相続割合は、それぞれ9分の1

以上のとおり、代襲相続人の相続割合は、元々相続人であった人の相続割合を代襲相続人の人数で頭割りすることになります。

代襲相続のときの注意点

代襲相続のときの注意点としては、養子(普通養子縁組の場合に限る。以下、同じ。)が相続人である場合です。

養子が相続人であり、被相続人より先に亡くなっている場合、養子の子どもが全員代襲相続人になるというわけではありません。
養子は、養子縁組時に養親と養子との親子関係を人為的に生じさせるものであり、養親と養子の血族との間に親族関係を生じさせるものではありません。

そのため、被相続人(養親)と養子縁組前に出生した養子の子どもとは、親族関係がありませんので、養親の直系卑属とはいえず、代襲相続人にはなりません。
被相続人(養親)と養子縁組後に出生した養子の子どもは、親族関係がありますので、養親の直系卑属であるといえ、代襲相続人となります。

このように養子の子どもの出生時期によって、養親の代襲相続人にあたるかがかわりますので、養子が先に亡くなっている代襲相続の場合は注意をしてください。

代襲相続になったら誰に相談すべきか

代襲相続になったら誰に相談すべきか

代襲相続は、通常の相続と比べ、もめる可能性が高いです。
というのも、相続人ではなく、代襲相続人となりますと、他の相続人との関係性も希薄となり、なかなか遺産の分け方の話がスムーズにいかないからです。

そのため、代襲相続の場合は、なるべくスムーズに遺産分割が進むよう、弁護士などの専門家に相談してみると良いでしょう。
被相続人の兄弟姉妹が多く、代襲相続が生じている場合などは、代襲相続人の数も多くなりますので、相続人が誰かを確定させるところから、弁護士などの専門家に依頼しても良いでしょう。

オーセンスの弁護士が、お役に立てること

代襲相続が生じている場合には、相続人確定のための戸籍の収集だけでも大変ですが、オーセンスの弁護士にご依頼いただければ、戸籍の収集から弊所にて進めることができます。
他の相続人との交渉等について、弁護士にご依頼いただくと、弁護士が代理人として対応することができるため、関係性が希薄な相続人がいる場合や、関係性が悪化している相続人がいる場合などは、当人同士で対応されるよりもスムーズに話を進められる可能性があります。

まとめ

代襲相続となる場合は、まず誰が相続人で、相続割合がどうなるのかを確認するようにしましょう。
また、相続人の人数が多いこともありますので、相続人が誰かを確定させるところから、弁護士などの専門家に依頼することも検討しましょう。
相続問題でお悩みの方は、オーセンスの弁護士がお力になりますので、お気軽にご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
早稲田大学法学部卒業、早稲田大学大学院法務研究科修了。相続に関する相談会や、労働問題のセミナーなどにも取り組んでいる。
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