建物の老朽化などの理由で、賃借人に退去していただかなければいけない際の交渉について、弁護士がお役立ちいたします。
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建て替えの前提となる立ち退きとは
立退きとは、賃貸借契約を解除できる法律上の原因がないので、賃借人と話し合い、必要に応じて立退料を支払って賃借人に建物から退去してもらうことをいいます。
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立ち退きのメリットと具体例
賃借人全員に建物から退去してもらうことにより、老朽化した建物を取り壊し、新たな建物を建てることができます。新たな建物を建てることにより建物の経済的効用が増し、結果として立退料を支払ってでも退去してもらったほうがよいケースがあります。
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建物老朽化に伴う、建て替え
建物老朽化に伴う、建て替えが奏功したものとして、以下の事例が挙げられます。
依頼者が相続財産を、他の相続人から適正価格で買い取ることになった。依頼者は健康上の理由で収入源がなく相続した不動産の賃料収入に頼らざるを得ないが、相続した不動産は老朽化が進み1階部分が荒廃しきっており貸せる状態になく、2階部分も相場よりかなり安い賃料で貸しており、不動産を取得しても経済的には苦しくなることが予測された。そこで、建て替えを行った場合のシミュレーションをしたところ、賃借人に立退料を支払っても、建て替えを行うことにより、依頼者が余裕をもって生活できる程度の収入が見込まれることが判明した。 -
立ち退き交渉の手順と注意点
立退きはあくまで賃借人の任意の下行われるので、各賃借人に賃貸借契約の解約又は更新拒絶の文書を送ること、各賃借人と退去の条件について交渉、明渡合意書の締結をする必要があります。退去までにかかる日数としては、居住用で3か月、事業用で6か月が目安となり、かかる費用は、居住用では転居先の初期費用及び引っ越し費用の実費、事業用では事業形態により異なりますが、数十か月分から100か月分といわれています。