公開 2023.12.27Professional Voice

パブリックアフェアーズのきっかけは気軽な相談から
平沼 夏樹弁護士の「バランス力」が日本を変える

インタビュー

一般民事事件から労働分野の案件、ベンチャー法務など幅広い実績を持つ平沼 夏樹弁護士。

2021年に国会議員政策担当秘書の資格を取得し、現在はパブリックアフェアーズ部門の責任者も務めている。

まだ一般的とは言えないパブリックアフェアーズについて「固く考えずに気軽に相談してほしい」と語った。

これからの日本をパブリックアフェアーズはどう変えるのか、平沼弁護士に聞いた。

目次
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1.

弁護士としての業務とパブリックアフェアーズを両立

まずはAuthense法律事務所での役割から教えてください。

民事・刑事・企業法務の案件に加えて、パブリックアフェアーズ部門の責任者をしています。いわゆる弁護士としての業務とロビー活動に関する業務が半々くらいの割合です。

パブリックアフェアーズの文脈で、議員の方から紹介を受けたり、ロビー活動をしている中で生じた法律問題のご相談を受けています。

結果的に、特定の分野に偏ることなく様々な案件を担当しています。

パブリックアフェアーズとはどういうことをされているのでしょうか?

一言では申し上げにくいのですが、行政機関と国会議員に対する働きかけに大別されます。

許認可や助成金の支給をはじめとした一般的な行政活動に対し「最新の情報がほしい」「手続きがうまく進まないので何とかしてほしい」というクライアントからの相談を受け、直接行政の担当者とお話をし、最適化する活動が行政機関への働きかけです。

国会議員に対しては、民間からの要望という形で直接働きかけます。議員が所属する委員会や議連で質疑をしていただき、より良いルール作りのお手伝いをしています。

インタビュー_平沼 夏樹(第二東京弁護士会所属)

ご相談は法人から寄せられることが多いのですか?

法人の方が多いですね。1日も早く認可がほしいとか、このタイミングまでに認可をもらわないと事業が進まないなど、企業にとっては利益に直結する問題を契機としてご相談いただきます。

弁護士の枠を超えて活動されていますね。2021年には国会議員の政策担当秘書の資格を取得されています。

弊所代表の元榮が2016年に参議院議員に当選しました。

元榮の任期中に政策担当秘書のポストが空席になったことから、元榮から直接やってみないかと声をかけられたことがきっかけです。

漠然とではありますが、政治の世界に興味関心があったことから、新しいチャレンジで面白そうだなと思い、資格を取得しました。弁護士資格を保有していると口頭試験、面接だけで付与されます。

政治の世界に興味を持っていたのですね。

弁護士一筋、という志向でもなく、外交官を志望していて政治の世界にも興味はありました。松下政経塾出身の友人もいたので、プライベートでも政治は身近でした。

政治の世界に触れてみていかがでしたか?

正直なところ、政治家は大変だなと思いますね。

世の中的には批判されがちですが、中に入るとそうは思いません。手弁当で活動している方も多いです。私では務まらないな・・・と感じます。

2.

気軽な相談によって可能性が広がる

パブリックアフェアーズやロビー活動もまだ一般的ではないように感じています。企業の方はどのようなきっかけでご相談にくるのでしょうか?

企業の方がやりたいことの前に規制があって、その規制をクリアしたいというきっかけでご相談に至るケースが多いですね。

ご相談をいただいたら「それできますよ」「やってみましょうか」と進んでいくことが多いので気軽にご相談してほしいと思います。

お酒の席で話している流れで動き出すこともありますね。

直接的な解決が難しい場合でも、異なる方法で得たい結果に近づくこともあります。

固く考えてしまうとできる範囲を狭めてしまうので、私たちを相談相手、壁打ち相手と考えていただければ色々なアプローチが出てくる可能性が高まります。

インタビュー_平沼 夏樹(第二東京弁護士会所属)

実際にご支援された事例にはどのようなものがありますか?

行政からの助成金の支給について、将来の支給見込みがわからず、事業計画が立てにくいというご相談がありました。担当部署に確認して、具体的な省庁における検討状況を把握し、クライアントが事業計画を立てられたケースがあります。

また、認可手続きを申請したクライアントから、行政の対応が遅いとのご相談を受け、地方議員経由で状況を確認したところ、速やかに認可されたケースや省庁の特定のプロジェクトに関して、自社とコラボレーションができるのではないかとクライアントからアイデアをいただき、プロジェクト担当者とクライアントの面談の機会を設け、省庁とクライアントとの連携が実現したケースもあります。

非常に幅広いですね。クライアントとしてはまず相談してみることが大切ですね。

そうですね。明確にやり方が決まっているものではないので、対話をしながら進めていきます。

パブリックアフェアーズの案件を進めるうえで、特に先生が大切にされていることはありますか?

相談に基づいて最適な手段を考え、提示して進めていくことは弁護士業務と似ています。

いずれもバランスを取って最適化することを心がけています。

先生が弁護士として経験を積まれてきたことも通じているのですね。

訴訟では自分の意見を伝えて裁判所に判断してもらうことだけが解決方法ではないんですよね。

クライアントと相手方の立場を考えながら和解に持っていく。話し合いで解決することも可能です。

調整をしながら速やかに解決、合意に至るプロセスを導くことも弁護士として大切な手段だと考えています。そのためには、相手方に協力してもらったり、情報を引き出したりして、相手にも花を持たせないと成立しません。このあたりの経験は役に立っています。

なるほど。一方で弁護士業務とパブリックアフェアーズで異なる点はありますか?

省庁の方は公務員という立場もあり、良くも悪くも自分の役割を明確に認識されています。権限の中でできること・できないことや言えること・言えないことを明確にしています。

組織の中で持っている裁量は部分的という自覚が皆様にあります。なので、私たちから働きかけをしても断片的な情報をもらうことになり、一気通貫で進めにくいのです。この辺りは訴訟や一般的な弁護士としての業務と異なる点です。

バランス感覚が共通して重要なのはこのような背景もありますね。

インタビュー_平沼 夏樹(第二東京弁護士会所属)

3.

パブリックアフェアーズによって社会はより良くなる

少し目線を上げた質問になるのですが、パブリックアフェアーズはこれからの日本にとって必要なものでしょうか?

必要だと思います。

国会議員は国会で代表質問をする際に、現場の問題を実際に体験したり、詳しく理解していないと生き生きとした質問ができません。そのため、現場の声を聞く機会がほしいと考えています。

そういう意味でも我々のように国会議員と企業の間に入る立場があることで全体的に社会は良くなると思います。

パブリックアフェアーズに興味がある弁護士の方にとってもAuthenseは適した環境でしょうか。

そう思います。弁護士の活動領域を広げたいと考えている、フロンティアスピリッツのある方とご一緒できると心強いですね。

今後の展望について教えてください。

日本のロビー活動は諸外国と比べると成熟していません。弁護士として未開拓な分野を開拓する、という気概をもって取り組んでいきたいですね。

また、弁護士としての素養がプラスに作用する領域はまだまだあると思います。

Authenseは色々な可能性を事務所でもサポートしながら実現していけるので、他にも新しい領域があれば取り組んで行きたいですね。

事務所としてはクライアントから信頼されること、Authenseに任せれば大丈夫だと思ってもらえること、同業の弁護士からも一緒に仕事をしたいと思ってもらえるような事務所でありたいです。

ロビー活動が事務所全体のブランド力向上の一助になれば嬉しいですね。

インタビュー_平沼 夏樹(第二東京弁護士会所属)

Professional Voice

Authense法律事務所
弁護士

平沼 夏樹

(第二東京弁護士会)

京都大学総合人間学部卒業、立教大学大学院法務研究科修了。一般民事(主に離婚事件)に関する解決実績を数多く有する。また、企業法務についても幅広い業務実績を持つ。

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