Authense弁理士法人の前身である「はつな弁理士法人」は商標出願件数2年連続日本一という実績を誇っていた。
弁理士法人として急成長を続ける中、2022年にAuthense Professional Groupに参画した。その背景には一体どのような思いがあったのだろうか。
代表弁理士の五味 和泰氏に聞いた。
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日本一の商標出願件数を支えるテクノロジー
Authense弁理士法人の活動内容について教えてください。
現在9名の弁理士が在籍しており、特許、実用新案、意匠、商標の手続、権利化を行っています。特に商標に注力しています。
なぜ商標に注力されているのでしょうか?
私は「Cotobox」というオンライン商標登録サービスを展開している会社も経営しています。商標出願の分野でAuthense弁理士法人とのシナジーを生み出しています。
両社にシナジーがあるのですね。
はい。Authense弁理士法人の前身である、はつな弁理士法人の2021年と2022年の商標出願件数は日本一でした。これはCotoboxによって実現できた成果です。
Cotoboxはどういうサービスなのでしょうか?
オンラインで簡単に商標登録ができるサービスです。
国内には約400万社の企業がありますが、ほとんどが中小企業です。商標を取得する中小企業は全体の1%未満 という結果も出ていて、商標を取ろうという発想に至りません。※1
オンラインで商標登録ができるサービスを提供することで、本来は商標の出願をしないような企業の方にも興味を持っていただけました。
商標登録の裾野が広がったのですね。
そうですね。Cotoboxをきっかけに弁理士に相談いただき、商標の重要性や意外と簡単に取得できることが認知されるようになりました。初めて商標を登録した企業の方もリピートしてくれるんですよね。
商標侵害のリスクや、ネーミングが他社に取られてしまうといったリスクの感覚も近年は高まっているのでしょうか?
高まっています。中小企業でもWebサイトを自社で持ったり、eコマース等のプラットフォームに商品を掲載したりしています。小さい飲食店でも予約サイトなどに掲載しますよね。
すると同じ商品名や同じ店の名前を目にする機会が増えます。
自社が商標権を持っていなくても、他の会社が商標権を持っている可能性があります。商標権の侵害が身近になっていることを実感するのです。
リスクが身近なものになっているのですね。Cotoboxのようなテクノロジーによって、クライアントの方がお支払いする費用はリーズナブルになるのでしょうか?
システムを使うことによって事務所全体の生産性は高まります。高まった生産性をクライアントの方に還元できるので、一般的な弁理士事務所よりもリーズナブルに提供することはできますね。
Authense弁理士法人の先生方は、そういったテクノロジーに明るかったり、活用する素養があるのでしょうか?
入所のタイミングでテクノロジーの活用状況を伝えているので、興味があるメンバーが入ってくれていますね。
Authenseグループ参画のねらい
Authenseグループ参画のねらいについて伺えますか。
元榮さんとご一緒できるワクワクが大きかったです。
一般的に、弁理士含め士業の成功パターンは設立10年で所員が10名、売上1億円程度と言われています。
はつな弁理士法人はそれよりもハイスピードで成長していたのですが、Authenseグループに参画することで、自分たちだけでやるよりも多くのことが短時間で実現できると感じたのです。
日本のリーガルテックを代表する起業家である元榮さんが、士業の領域をどう変えるのか。ワクワクしますよね。
お話をしていて、Authenseは日本で唯一の士業グループになると感じました。
元榮さんが描くビジョンに僕も起業家として共感しましたし、荒唐無稽な話ではない現実感もありました。
「非連続な成長」ってスタートアップの人間にとって魅力的な言葉なんですよね。
具体的にはどのような変革を起こせそう、と考えたのでしょうか。
テクノロジーと組み合わせたコンサル的な領域です。
弁理士の仕事の中心は特許庁に対する手続を代理して行うことです。一般の企業の方にとっては専門性が高く、難しい手続もあるので専門家が企業の代理人として介在しています。
ただ、基本的にその手続は、ほぼ法律や規則などのルールに基づいています。
ルールをいかに多く知っているか。あるいは組織として運用できるか、という点に弁理士の価値があります。
これは、AIをはじめとしたテクノロジーと非常に相性が良い領域です。
そう考えると弁理士が行う手続に関するマーケット自体はそんなに大きくならないかな、と思うんですよね。
そこでコンサル領域に広がるのでしょうか。
その通りです。クライアントは非常に複雑な問題を抱え、課題が絡み合っているケースが多いです。抽象度が高くなればなるほど、課題解決の紐解きが複雑になっていきます。
そこを解決できるのがコンサルです。
この手続をやってほしい、と言われて代行することは作業なんですよね。作業ではない、より抽象度の高い課題について解像度を高めていき、タスクに落としていくイメージです。
コンサル領域に広げる構想はAuthenseグループに参画される前から抱いていたのですか?
実は明確なイメージはありませんでした。
ただ、自分自身も経営者として色々な課題を感じていたのですが、作業レベルにまで分解して、これは弁護士に依頼しよう、これを社労士に依頼しようと切り分けるのは面倒でした。
抽象度の高い問題をまるっと解決してくれる方法は自分としても求めていたし、他にはない強みになると感じています。
経営課題の先に感じたコンサルティングの価値
ご自身ではどのような課題を抱えていたのですか?
組織作りは大きな課題でした。事務所の人数が急拡大した際、人事制度がない状態だったので綻びが出てきました。
Authense弁護士法人の森田さんや西尾さんとは元々面識があって、組織作りの話をしている中で、Authense社会保険労務士法人の桐生さんにも相談に乗ってもらいました。
どのようなアドバイスを受けたのですか?
桐生さんに主要なメンバーとの1on1をしてもらって、第三者的な立場から本音を引き出していただきました。メンバーからは不満や将来への不安、希望的な意見も出てきました。
当時はリモートワーク中心でコミュニケーションが不足していたんですよね。
全部解決したわけではないですが、課題が明確になって共通の認識が持てるようになったのは大きかったです。
そういった経営課題に対するアドバイスが、Authenseグループに参画されてコンサルティングに価値を見出す原体験になったのでしょうか?
おっしゃるとおりですね。当時抱えていた課題ってすごく抽象度が高くて、規模を大きくしたいけど多分崩壊してしまうという不安感がずっとあったんです。
桐生さんに相談をしているうちに課題が明確になる経験をしました。
Authentic senseは海を超える
Authense弁理士法人はこれからどういう姿を目指していきますか?
今のメンバーも若い方が多いのですが、さらに若い方々に加入していただきたいですね。
経験豊富な方は深みのある解釈、アウトプットのできる方が多いです。当然素晴らしい価値なのですが、私たちは新しいやり方を取り入れることができる事務所にしていきたいです。
また、失敗を許容して、事務所のバリューである「Authentic sense」=「本物の感覚」を持って実践できる事務所にしたいと考えています。
人数規模はどのくらいのイメージですか?
職員を含めて100名規模にするイメージです。おそらく5年から7年の間で実現すると思います。
元々設立した事務所名の「はつな」には「先駆性がある」という意味合いを込めていました。
業界に新しい風を吹き込む、あるいは業界外に飛び出してもいいんじゃないか、と考えている人たちの集まりにしたいですね。
Authenseグループとしてはいかがでしょうか?
管理部門やコーポレート部門で課題を感じた方が相談する先として思い浮かぶようなグループでありたいです。
これは日本だけに留まりません。
日本に進出したい企業や、日本から海外に進出する企業がAuthenseに頼めばがワンストップで解決できるような存在になれたらいいですね。
この目標に事務所の代表としてコミットしています。何も疑わず、心を込めて進むだけです。
参考文献
Professional Voice
五味 和泰
Authense弁理士法人代表弁理士。早稲田大学理工学部卒、米国南カリフォルニア大学法学修士。大手建設会社エンジニアを経て、大手特許事務所に入所し弁理士資格取得。10年間、特許の権利化業務に従事した後、2015年にはつな知財事務所を設立、2016年にcotobox株式会社を設立。オンライン商標プラットフォーム「Cotobox」は、2018年経済産業省のグレーゾーン解消制度を利用し、知財DXビジネスモデルの先駆けとなりました。
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