公開 2023.11.09 更新 2023.12.19BusinessTopics

非公開会社の定時株主総会の運営スケジュールは?詳しく解説

会社法

公開会社であっても非公開会社であっても、株式会社は株主総会を適切なスケジュールで開催しなければなりません。

この記事では、非公開会社における定時株主総会の運営スケジュールについて、会社法の根拠を確認しつつ、大会社と非大会社とに分けてそれぞれ解説します。

目次
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株主総会の役割

株主総会の役割は、取締役会設置会社とそれ以外の会社(以下「取締役会非設置会社」といいます)とで異なります。
それぞれの場合における株主総会の役割は次のとおりです。

取締役会設置非設置会社の場合

取締役会設置会社における株主総会の権限は、会社法に規定されている事項や株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項についての決議です(会社法295条1項)。

つまり、会社に関するすべての事項を株主総会が決定するということです。
これが、株主総会が会社の最高意思決定機関と称される所以です。

取締役会設置会社の場合

取締役会設置会社であれば、取締役は最低でも3人以上存在するはずであり(同法331条5項)、それなりの規模の会社であるといえるでしょう。

この取締役会設置会社では、株主総会は会社法に規定されている事項と定款で定めた事項に限って決議することができるとされています(同法295条2項)。
これは、業務の執行に関する事項を取締役会が決定することで、経営における意思決定の迅速化を図るためです。

株主総会の種類

株主総会には、定時株主総会と臨時株主総会とが存在します。
それぞれの概要は次のとおりです。

定時株主総会

定時株主総会とは、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないとされている株主総会です(同法296条1項)。
つまり、すべての株式会社は事業年度ごとに定時株主総会を行わなければならないということです。これに、例外はありません。

定時株主総会は、事業年度終了後3か月以内を目安として招集されることが多いでしょう。
ただし、定時株主総会の開催日に「3か月」という期間の指定があるわけではなく、3か月以内としなければこの規定に違反するわけではありません。

とはいえ、株主総会で決議できる株主を一定の基準日時点の株主であると定める場合には、この基準日から株主総会までの期間を3か月以内とする必要があります(同法124条2項)。
そして、この基準日は期末日とすることが一般的です。
この規定との関係で、多くの企業が定時株主総会を事業年度終了後3か月以内の開催としています。

定時株主総会における基本の決議事項は、計算書類の承認や事業報告です。
その他必要に応じて、剰余金の配当や役員の改選、定款変更などについての決議を行います。

臨時株主総会

会社法において、株主総会は、必要がある場合には、いつでも招集することができるとされています(同法296条2項)。
この規定に則って招集される株主総会が臨時株主総会です。

臨時株主総会は、文字通り「臨時」に開かれる株主総会であり、開催時期や開催周期などに決まりはありません。
実際には、定時株主総会を待たずに決議すべき事項が生じた場合に開催されることが一般的です。

定時株主総会の運営スケジュール:非公開・非大会社の場合

会社法上の大会社ではなく、非公開会社である場合における定時株主総会の運営スケジュールは次のとおりです。
なお、ここでは次の前提でのスケジュールを紹介します。

  • 取締役会設置会社
  • 監査役設置会社
  • 会計監査人非設置会社
  • 株主総会資料の提供なし
左右にスワイプできます
非公開・非大会社(取締役会設置会社・監査役設置会社・会計監査非設定会社・株主総会資料の提供なし)
スケジュール例 手続き 法定期間・期限
3/16 基準日公告 事業年度末日の2週間前まで
3/31 事業年度末日・基準日
4/1 新事業年度開始
4/27 取締役:計算書類等の作成・提出
 ①事業報告→監査役に提出
 ②計算書類→監査役に提出
4/30 議題提案権行使及び議案の通知請求の期限 総会開催日の8週間前まで
5/16 取締役:付属明細書の作成・提出
 ①事業報告の附属明細書→監査役に提出
 ②計算書類の附属明細書→監査役に提出
 監査役による監査報告の通知
 事業報告・計算書類及びこれらの附属明細書の監査報告の内容:特定取締役に通知
5/23 監査役による監査報告の通知 
事業報告・計算書類及びこれらの附属明細書の監査報告の内容を特定取締役に通知
事業報告の附属明細書・計算書類の附属明細書を受領して1週間以内もしくはその他規定の期日内
監査役による監査役選任議案に対する同意
5/24 取締役会
 ①監査の終了した計算書類、事業報告及びこちらの附属明細書の承認
 ②株主総会招集・議案等の決定
監査報告受領後速やかに
6/12 計算書類・事業報告等の備置き 総会開催日の2週間前の日から
6/18 招集通知、添付書類、参考書類等の発送 総会開催日の1週間前まで
6/22 議決権不統一行使通知期限 総会開催日の3日前まで
6/25 議決権行使書の提出等の期限 総会開催日直前の営業時間の終了時まで
6/26 定時株主総会の開催 事業年度終了後3ヶ月以内
取締役会・監査役の協議
責任限定契約の締結
決算公告
株主総会決議通知、配当全関係書類の発送
議事録、議決権行使書、委任状の備置き
7/10 登記(役員選任他) 総会終了日から2週間以内
9/26 議決権行使書、委任状の本店備置き期限 総会終了日から3か月以内
株主総会決議取消訴訟の提訴期限 総会終了日から3か月以内

基準日公告

株式会社は、一定の日を定め、その日において株主名簿に記載(または記録)されている株主をその権利を行使することができる者と定めることができます(同法124条1項)。
この一定の日のことを「基準日」といい、基準日における株主を「基準日株主」といいます。

仮に基準日を定めなければ、定時株主総会の開催日における株主が、株主総会で決議できることとなります。
この場合には、株主総会の直前に株主に変更が生じた際、手続きが煩雑となりかねません。
そのため、期末日などを基準日と定めることが一般的です。

この基準日を定めた場合には、基準日の2週間前までにその基準日や基準日株主が行使することのできる権利について公告をする必要があります(同条3項)。
ただし、定款にこれらの事項を定めている場合には、改めて公告する必要はありません(同項ただし書き)。
定時株主総会の基準日については定款で定めている場合が多く、実際には公告が不要となるケースが多いでしょう。

計算書類と附属明細書等の作成・提出

事業年度の終了後には、次の書類の作成と監査役への提出をして、監査役の監査を受けなければなりません(同法435条2項、436条)。

  • 計算書類(貸借対照表、損益計算書その他法務省令で定める書類)とその附属明細書
  • 事業報告とその附属明細書

これらの作成自体に法令上の期限は設けられていないものの、株主総会のスケジュールや法人税申告などのスケジュールを踏まえれば、事業年度終了後速やかに作成する必要があります。

議題提案権行使と議案の通知請求の期限到来

株主は会社に対して、一定の事項を株主総会の目的(議題)とするよう請求することが可能です(同303条1項)。これは議題提案権と呼ばれています。
また、株主は株主総会の場において、議題について議案を提出することが可能です(同法304条)。これは議案提案権と呼ばれています。
そして、株主である自身が提案しようとする議案の要領を株主に通知するよう請求することができます(同法305条1項)。これは議案通知請求権と呼ばれています。
これらの議題提案権、議案提出権および議案通知請求権を全てあわせて「株主提案権」と呼びます。

ただし、取締役会設置会社は定款の定めにより、議題提案権および議案通知請求権ができる株主を次の株主に限定することが可能です。

  • 総株主の議決権の100分の1(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主
  • 300個(これを下回る数を定款で定めた場合にあっては、その個数)以上の議決権を有する株主

議題提案権行使および議案通知請求権行使の期限はいずれも、株主総会の日の8週間前までです(同法303条2項、305条1項)。
ただし、定款でこれを下回る期間を定めた場合には、その定めに従います。

監査役による監査報告の通知

監査役が事業報告や計算書類、その附属明細書を受領したときは、所定の事項を記載した監査報告を作成しなければなりません(会社法施行規則129条、会社計算規則122条)。

またその監査報告を、通知先となる所定の取締役(「特定取締役」といいます)へ通知する必要があります(会社法施行規則132条1項、会社計算規則124条1項)。
通知の期限は、次のうちいずれか遅い日です。

  1. 事業報告(計算書類の場合は計算書類の全部)を受領した日から4週間を経過した日
  2. 附属明細書を受領した日から1週間を経過した日
  3. 特定取締役と特定監査役(通知の義務を負う所定の監査役を指します)が合意した日

監査役選任議案に対する監査役の同意

株主総会に監査役の選任に関する議案を提出するには、監査役(監査役が2人以上ある場合にあっては、その過半数)の同意をあらかじめ得なければなりません(会社法343条1項)。
また、監査役は取締役に対して、監査役の選任を株主総会の目的とすることや監査役の選任に関する議案を株主総会に提出することを請求することができます(同条2項)。

これらは、取締役会で議案を決定する前に行うことが必要です。

取締役会の開催

次に、取締役会を開催します。
この取締役会で決議すべき主な事項は次のとおりです。

  • 監査役が監査をした計算書類や事業報告、これらの附属明細書の承認(同法436条3項)
  • 剰余金配当(議案)の承認
  • 株主総会を招集する旨や、株主総会の日時、場所、議題などの決定(同法298条1項)

計算書類等の据置開始

取締役会株式会社は、各事業年度に係る計算書類や事業報告、これらの附属明細書を、定時株主総会の日の2週間前の日から5年間、その本店に備え置かなければなりません(同法442条1項)。
また、支店にもこれらの書類の写しを、定時株主総会の日の2週間前の日から3年間の据置くことが必要です(同条2項)

招集通知等の発送

取締役会で株主総会の詳細が決まったら、招集通知や添付書類を作成し発送します。
公開会社でない場合、株主総会の招集通知は、原則として株主総会の1週間前までに発送すれば構いません(同法299条1項)。

なお、取締役会設置会社では、招集通知は原則として書面で行うこととされているものの、株主の承諾を得た場合には電磁的記録による通知も可能です(同条2項、3項)。
また、株主全員の承諾がある場合には、招集通知の手続きを省略することもできます(同法300条)。

議決権不統一行使の通知期限到来

複数の議決権を有する株主は、その議決権を統一しないで行使することが可能です(同法313条1項)。
ただし、取締役会設置会社において議決権の不統一行使を使用とする場合には、株主総会の3日前までに株式会社に不統一行使をする旨とその理由を通知しなければなりません(同条2項)。

なお、株式会社はこの通知がなされた場合、この株主が他人のために株式を有する者でないときは、不統一行使を拒むことが可能です(同条3項)。

議決権行使書の提出等期限到来

株主は、議決権行使書面に必要な事項を記載することで、書面による議決権行使をすることが可能です(同法311条1項)。
書面による議決権行使の期限は株主総会の日時の直前の営業時間の終了時とされています(会社法施行規則69条)。

ただし、締切時間をより明確としたり事務負担を軽減したりする目的で、定款や株主総会の招集を決定する際の取締役会などで別途期限を定める場合もあります。
この期限は、株主総会の日時以前の時であって、招集通知の発送をした日から2週間を経過した日以後の時としなければなりません(同63条1項3号ロ)。

また、株主は会社の承諾を得て電磁的方法によって議決権行使をすることも可能です(会社法312条1項)。
この場合における期限も、書面行使の場合と同様です(会社法施行規則70条、63条1項3号ハ)。

定時株主総会の開催

あらかじめ定めた日時に、定時株主総会を開催します。
複数の株主が参加する定時株主総会では前日にリハーサルを行うなど、あらかじめ準備を整えておきましょう。

定時株主総会の運営スケジュール:大会社の場合

会社法上の大会社であり、非公開会社である場合における定時株主総会の運営スケジュールは次のとおりです。
なお、ここでは次の前提でのスケジュールを紹介します。

  • 取締役会設置会社
  • 監査役会設置会社
  • 会計監査人設置会社
  • 株主総会資料の電子提供なし
左右にスワイプできます
大会社(取締役会設置会社・監査役会設置会社・会計監査人設置会社・株主総会資料の電子提供なし)
スケジュール例 手続き 法定期間・期限
3/16 株主の基準日公告 事業年度末日の2週間前まで
3/31 事業年度末日・基準日
4/1 新事業年度開始
4/27 取締役:計算書類等の作成・提出
 ①事業報告→監査役に提出
 ②計算書類→監査役と会計監査人に提出
 ③連結計算書類→監査役と会計監査人に提出
4/27 決算発表内容、剰余金の配当見通しの承認及び公表
4/30 議題提案権行使及び議案の通知議求の期限 総会開催日の8週間前まで
5/9 取締役:附属明細書の作成・提出
 ①事業報告の附属明細書→監査役に提出
 ②計算書類の附属明細書→監査役と会計監査人に提出
5/16 会計監査人による会計監査報告の通知 事業報告の附属明細書・計算書類の附属明細書を受領して1週間以内もしくはその他規定の期日内
5/23 監査役会による監査役会監査報告の通知
 ①事業報告及びその附属明細書の監査報告:特定取締役に通知
事業報告の附属明細書を受領して1週間以内もしくはその他規定の期日内
 ②計算関係書類及び会計監査報告に関する監査役会監査報告:特定取締役及び会計監査人に通知 会計監査人による会計監査報告の通知を受領して1週間以内もしくはその他規定の期日内
監査役会
 ①監査役選任議案に対する同意
 ②会計監査人の選任等に関する議案内容の決定
5/24 取締役会
 ①監査の終了した連結・単独計算書類、事業報告及びこれらの附属明細書の承認
 (②剰余金の配当の決定)
 ③株主総会招集・議案等の決定
監査報告受領後速やかに
6/11 招集通知、添付書類、参考書類等の発送・ウェブ開示 総会開催日の2週間前まで
6/12 計算書類・事業報告等の備置き 総会開催日の2週間前の日から
6/22 議決権不統一行使通知期限 総会開催日の3日前まで
6/25 議決権行使書の提出等の期限 総会開催日直前の営業時間の終了時まで
6/26 定時株主総会の開催 事業年度終了後3ヶ月以内
株主総会終了後の取締役会、監査役会
責任限定契約の締結
決算公告、有価証券報告書等の提出 事業年度終了後3ヶ月以内
臨時報告書(議決権行使結果) 総会終了日から遅滞なく
株主総会決議通知、配当全関係書類の発送
議事録作成、議決権行使書、委任状の備置き
7/10 登記(役員選任他) 総会終了日から2週間以内
9/26 議決権行使書、委任状の本店備置き期限 総会終了日から3か月以内
株主総会議決取消訴訟の提訴期限 総会終了日から3か月以内

基準日公告

基準日の2週間前までに、基準日や基準日株主に関する公告を行います。
基準日公告については「非公開・非大会社の場合」と同じであるため、上の解説を参照してください。

計算書類と附属明細書等の作成・提出

「非公開・非大会社の場合」と同様に、事業年度終了後速やかに計算書類や附属明細書等を作成しなければなりません。

ただし、会計監査人設置会社の場合には、それぞれ次の監査を受ける必要があります(同法436条2項)。

  • 計算書類(貸借対照表、損益計算書その他法務省令で定める書類)とその附属明細書:監査役と会計監査人
  • 事業報告とその附属明細書:監査役

議題提案権行使と議案の通知請求の期限到来

株主総会の日の8週間前(または定款で定めた期間の満了日)に、株主による議題提案権行使と議案通知請求権行使の期限が到来します。
詳細は「非公開・非大会社の場合」と同じであるため、上の解説を参照してください。

会計監査人による会計監査報告の通知

会計監査人が計算関係書類を受領したときは、所定の事項を記載した会計監査報告を作成しなければなりません(会社計算規則126条)。
そして、次のいずれか遅い日までに、会計監査報告を通知先となる所定の監査役(「特定監査役」といいます)と取締役(「特定取締役」といいます)へ通知する必要があります。

  1. その計算書類の全部を受領した日から4週間を経過した日
  2. その計算書類の附属明細書を受領した日から1週間を経過した日
  3. 特定取締役、特定監査役、会計監査人の間で合意した日

監査役会による監査役会監査報告の通知

会計監査人設置会社の監査役が事業報告や計算書類、附属明細書、会計監査報告書を受領したときは、所定の事項を記載した監査報告を作成しなければなりません(会社法施行規則130条、会社計算規則127条)。
そして監査役会は各監査役が作成した監査報告をもとに、監査役会の監査報告を作成する必要があります(会社法施行規則130条、会社計算規則128条)。

そのうえで、特定監査役は、その監査報告を特定取締役および会計監査人へ通知しなければなりません(会社法施行規則132条1項、会社計算規則132条1項)。
通知の期限は、次のうちいずれか遅い日です。

事業報告を受領した場合

  1. 事業報告を受領した日から4週間を経過した日
  2. 附属明細書を受領した日から1週間を経過した日
  3. 特定取締役と特定監査役の間で合意した日

会計監査報告を受領した場合

  1. 会計監査報告を受領した日から1週間を経過した日
  2. 特定取締役および特定監査役の間で合意した日

監査役会の開催

取締役は、監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役会の同意を得なければなりません(会社法343条1項、3項)。
また、監査役会は取締役に対し、監査役の選任を株主総会の目的とすることや監査役の選任に関する議案を株主総会に提出することを請求することができます(同条2項)。
さらに、株主総会に提出する会計監査人の選任や解任、再任しないことに関する議案の内容は、監査役会が決定することとされています(同法344条)。

そのため、株主総会の議案などを決定する取締役会が開催される前に監査役会を開催し、これらの事項を決定することが必要です。

取締役会の開催

次に、取締役会を開催します。
この取締役会で行うべき主な事項は、次のとおりです。

  • 監査役と会計監査人が監査をした計算書類や事業報告、これらの附属明細書の承認(同法436条3項)
  • 剰余金配当(議案)の承認(一定の会社では定款に定めを置くことで、株主総会を待たず、取締役会での決定が可能)(同法454条1項、459条1項)
  • 株主総会を招集する旨や、株主総会の日時、場所、議題などの決定(同法298条1項)

計算書類等の据置開始

株式会社は、所定の計算書類等を一定期間、本店や支店に据え置く必要があります。

なお、株主総会開催までのこれ以後の流れは、上で解説した「非公開・非大会社の場合」と特に変わるところはありません。
そのため、この後のスケジュールについては「非公開・非大会社の場合」の解説を参照してください。

定時株主総会の運営を正しいスケジュールで行うために

定時株主総会の運営スケジュールに問題があれば、決議不存在確認の訴えなどが提起されるなど、トラブルに発展するかもしれません。

定時株主総会の運営を正しいスケジュールで行うため、次の対策を講じるとよいでしょう。

定期的に根拠法令を確認する

株主総会のスケジュールは、会社法や会社法施行規則などの法令に根拠があります。
また、自社の定款で別段の定めをしている場合もあるでしょう。

前年のスケジュールをそのまま踏襲するのではなく、定期的に根拠法例と定款を十分確認することをおすすめします。

不明点は顧問弁護士等へ相談する

株主総会を運営する中でスケジュールの不明点が生じた場合には、顧問弁護士等へ相談するとよいでしょう。
上で紹介をした信託銀行による議決権行使書の不適切処理は、株主総会が集中する繁忙期に郵便局から1日早く議決権行使書などの郵便物を受け取る例外的な処理をしたところ、結果的に議決権行使期限内に到着した議決権行使書の集計が漏れたというものでした。

このような通常とは異なる処理をした場合には、法的に正しい処理であるのか特に迷ってしまいがちです。
法的に問題がないことに確信が持てない場合には、漫然と対応するのではなく、弁護士へ相談のうえ慎重に対応する必要があるでしょう。

まとめ

株主総会の運営スケジュールについて解説しました。
株主総会の運営スケジュールに瑕疵があれば、決議の無効を主張されるなどトラブルに発展する可能性があります。
そのため、株主総会の運営は単に前年のスケジュールを漫然と踏襲するのではなく、法令や定款の根拠を確認のうえ、慎重に決定することが必要です。

特に、招集通知の発送や議決権行使書の期限など株主への直接的な影響が大きな手続きについては、ミスのないよう慎重に対応しなければなりません。
株主総会の運営スケジュールにおける問題を見落とさないため、機関法務に詳しい弁護士を活用するとよいでしょう。

記事監修者

Authense法律事務所
弁護士

山口 広輔

(第二東京弁護士会)

第二東京弁護士会所属。明治大学法学部法律学科卒業、慶應義塾大学法科大学院修了。健全な企業活動の維持には法的知識を活用したリスクマネジメントが重要であり、それこそが働く人たちの生活を守ることに繋がるとの考えから、特に企業法務に注力。常にスピード感をもって案件に対応することを心がけている。

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