加害者に支払いを求めることができる慰謝料の金額は、認定された後遺障害等級によって異なります。
弁護士基準(弁護士に示談交渉を依頼した場合に適用される基準)による後遺障害慰謝料の金額の目安は以下のとおりです。
足の慰謝料の目安
外貌に著しい醜状を残すもの(7級) | 1,000万 |
---|---|
外貌に相当程度の醜状を残すもの(9級) | 690万 |
外貌に醜状を残すもの(12級) | 290万 |
加害者に支払いを求めることができる慰謝料の金額は、認定された後遺障害等級によって異なります。
弁護士基準(弁護士に示談交渉を依頼した場合に適用される基準)による後遺障害慰謝料の金額の目安は以下のとおりです。
外貌に著しい醜状を残すもの(7級) | 1,000万 |
---|---|
外貌に相当程度の醜状を残すもの(9級) | 690万 |
外貌に醜状を残すもの(12級) | 290万 |
「外貌」とは、頭部、顔面部、頸部のように日常露出する部分のことです。
上肢および下肢の醜状は外貌醜状に含まれません。
そして「醜状」とは、人目につく程度以上の瘢痕(ひきつれ)や線状痕といった傷あとのことをいいます。
すなわち、「頭、首、顔など、手足以外で日常露出する部分に残った人目に付く程度以上の傷あと」が「外貌醜状」です。
外貌醜状が後遺障害等級の認定を受けられる場合、該当する等級は傷あとの部位や大きさにより3通りに分けられます。
※外貌醜状の後遺障害については、かつては男女間で認定される等級に差があり、男性の方が女性よりも低い等級に定められていました。
しかし、2011年の障害等級表の改正により、後遺障害等級から男女の区別は撤廃されています。
7級12号:外貌に著しい醜状を残すもの
外貌醜状のうち、「外貌に著しい醜状を残すもの」は、後遺障害等級7級12号に該当します。
「著しい醜状を残すもの」とは、人目に付く程度以上のもので、以下のいずれかに該当する場合です。
9級16号:外貌に相当程度の醜状を残すもの
「外貌に相当程度の醜状を残すもの」は、後遺障害等級9級14号に該当します。
「相当以上の醜状を残すもの」とは、以下の場合をいいます。
12級14号:外貌に醜状を残すもの
「外貌に醜状を残すもの」は、後遺障害等級12級14号に該当します。
単に「醜状を残すもの」というときは、人目に付く程度以上のもので、以下のいずれかに該当する場合です。
加害者に支払いを求めることができる慰謝料の金額は、認定された後遺障害等級によって異なります。
弁護士基準(弁護士に示談交渉を依頼した場合に適用される基準)による後遺障害慰謝料の金額の目安は以下のとおりです。
胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの(1級) | 2,800万 |
---|---|
胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの(2級) | 2,370万 |
胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの(3級) | 1,990万 |
胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの(5級) | 1,400万 |
胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの(7級) | 1,000万 |
両側の睾丸を失ったもの(1級) | 1,000万 |
胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの(9級) | 690万 |
生殖器に著しい障害を残すもの(9級) | 690万 |
胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの(11級) | 420万 |
胸腹部臓器の機能に障害を残すもの(13級) | 180万 |
胸腹部臓器とは人体の胸部、そして腹部内にある臓器のことを指します。胸部の臓器は心臓と心臓を包む心嚢(しんのう)、肺臓と胸膜、気管、胸部と腹部を分ける横隔膜です。腹部の臓器には、肝臓、腎臓、脾臓、大腸、小腸、胆嚢(たんのう)、胃、膀胱などがあります。
それぞれの部位や障害状況によって必要な検査は異なり、後遺障害の等級も細かく分かれています。
呼吸器の検査方法は、交通事故の状況やケガの症状によって異なりますが、ここでは主な検査方法をご紹介します。
動脈血酸素分圧とは動脈血中の酸素分圧のことであり、動脈血ガス分析で測定します。
結果は、50Torr(トル、圧力の単位)以下、50Torr超60Torr以下、60Torr超70Torr以下、そして70Torr超に分けて考えます。
動脈血炭酸ガス分圧とは動脈血ガス分析で得られる数値であり、限界値範囲内である37Torr以上43Torr以下と限界値範囲外に分けて考えます。
・スパイロメトリー検査
スパイロメトリー検査とは、スパイロメーターという呼吸機能を検査するための医療機器を用いて呼吸気量を計測する検査です。
この検査結果は、下記の3つに分類されます。
%1秒量が35以下または%肺活量が40以下
%1秒量が35超55以下または%肺活量が40超60以下
%1秒量55超70以下または%肺活量60超80以下
・運動負荷試験
動脈血酸素分圧と動脈血炭酸ガス分圧の検査、スパイロメトリー検査で判定しても後遺障害に該当しない場合でも、後遺症が残っていると判出される場合はあります。
呼吸機能の低下による呼吸困難と運動負荷試験の結果から明らかな呼吸機能障害が認められるものには11級の後遺障害が認定されるのです。
循環器の後遺障害は、「心肺機能の低下」、「除細動器またはペースメーカを植え込んだもの」、「房室弁又は大動脈弁の置換」、「大動脈の解離」の大きく4つに分けられます。
心肺機能の評価は、運動の強さを表す単位であるMETs(メッツ)を用いて表します。METs(メッツ)安静座位の酸素摂取量=1METs=3.5ml/KG/minの何倍の酸素摂取量にあたるかを示します。
腹部臓器の後遺障害は、「食道、胃、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓(すいぞう)、脾臓(ひぞう)に障害がある」、「腹壁瘢痕(ふくへきはんこん)ヘルニア、腹壁ヘルニア、鼠径ヘルニア、内ヘルニアが残る」など、大きく2つに分けられます。
それぞれの臓器に対して細かく後遺障害の認定が分かれているため、障害や症状に応じた診察や検査が必要です。
泌尿器の後遺障害とは、腎臓、尿管、膀胱、尿道などといった泌尿器を受傷した場合に、腎機能の低下や排尿障害などが残ることを指します。
泌尿器の検査方法
泌尿器の検査方法は、交通事故の状況やケガの症状によって異なりますが、ここでは主な検査方法をご紹介します。
・腎臓の亡失の有無と糸球体濾過値(GFR)検査
腎臓の障害に関する等級は、腎臓亡失の有無と糸球体濾過値(GFR)による腎臓機能低下の程度により、判断します。
・超音波画像検査
人の耳では聞こえないほどの高い周波数の音を超音波といい、臓器や組織の境界で反射する性質があります。この性質を利用して反射波を受信し、画像を作り出して排尿後の残尿量を調べます。
ウロダイナミクス検査
ウロダイナミクス検査とは、下記のような膀胱の働きをしらべることより、膀胱と尿道の形態を調べる検査です。この検査では、下記の内容などを調べます。
膀胱にどのくらい尿が貯められるか
その時膀胱は緊張して尿を貯めているのか、それともリラックスしているのか
・膀胱内圧検査
膀胱内圧検査は、膀胱機能(尿を貯める力・尿を出す力)を調べるための検査です。尿道口を消毒後に尿道口からカテーテルと呼ばれる細い管を膀胱内に入れ、生理食塩水を注入して膀胱内の圧力を計測します。
・尿道内圧検査
尿道内圧測定は、安静時における尿道括約筋の緊張度合を評価し、腹圧性尿失禁を判定するための検査です。
・プレッシャーフロー・スタディ
尿流内圧測定といい、尿道がどれだけふさがってしまっているかを測定するための検査です。
生殖器の後遺障害は、男女によって認定基準が異なりますが、生殖器(睾丸や卵巣、陰茎など)を失ったり、生殖機能に影響を残してしまったりすることを指します。
生殖器の検査方法
生殖器の検査方法は、交通事故の状況やケガの症状によって異なりますが、ここでは主な検査方法をご紹介します。
・リジスキャンによる夜間陰茎勃起検査
勃起機能を評価するための検査です。レム睡眠時に勃起しているかどうかを判断します。
リジスキャンといった装置によって、陰茎海綿体を簡単に測定できるよう担っています。健康的な男性は、一晩に3~6回程度勃起するというのが、一つの目安です。
・視聴覚的性刺激テスト
こちらも、勃起障害の有無を判断するための検査です。
勃起を促すための性的刺激として視聴覚性的刺激(AVSS)を用いて、AVSS負荷前後の陰茎皮膚温度の変化や陰茎周径増大率、陰茎硬度の変化を記録します。
加害者に支払いを求めることができる慰謝料の金額は、認定された後遺障害等級によって異なります。
弁護士基準(弁護士に示談交渉を依頼した場合に適用される基準)による後遺障害慰謝料の金額の目安は以下のとおりです。
両足のひざ関節以上で失う(1級) | 2,800万 |
---|---|
両足の機能を全て失う(1級) | 2,800万 |
両足の足首関節以上で失う(2級) | 2,370万 |
片足の機能を全て失う(5級) | 1,400万 |
片足の偽関節を残し、著しい運動障害を残す(7級) | 1,000万 |
片足に偽関節を残す(8級) | 830万 |
足の露出面に手のひら大の醜いあとが残る(14級) | 110万 |
両足の足指を全て失う(5級) | 1,400万 |
---|---|
両足の足指の機能を全て失う(7級) | 1,000万 |
片足の足指を失う(8級) | 830万 |
それぞれの部位や障害状況によって必要な検査は異なり、後遺障害の等級も細かく分かれています。
欠損障害は、「両下肢をひざ関節以上で失う」、「1足をリスフラン関節(足の中心部分、足根骨と中足骨の間の関節)以上で失う」など、下肢の一定部位より先を失う障害です。
機能障害は、「両下肢の用を全廃(3代関節(また関節、ひざ関節、足関節)の全てが硬直すること)」、「1下肢の3代関節中の2関節の用を廃した※」など、下肢の一定部分より先の運動機能が、健常時と比較して失われてしまう障害です。関節可動域は、原則として他動域に基づいて認定します。
※用を廃した
変形障害は、「1下肢に偽関節(本来関節ではない部分が不安定になってしまった状態)を残し、著しい運動障害を残す」「長管骨に変形を残す」など、治療を続けても、形が変わったままの障害を指します。
短縮障害は、「1下肢を5センチメートル以上短縮した」、「1下肢を1センチメートル以上短縮した」など、長さが、短くなってしまう障害を指します。この障害では、健側と患側の長さを比較し、等級認定されます。
醜状障害は、「下肢の露出面に手のひらの大きさの醜状痕を残す」など、線状痕や瘢痕などが、下肢に残ってしまう障害です。醜状障害は、普段露出する場所に残った場合しか通常は認められません。
それぞれの部位や障害状況によって必要な検査は異なり、後遺障害の等級も細かく分かれています。
欠損障害は、「両足の足指の全部を失った」、「1足の第3の足指以下の1または2の足指を失った」など、足指の中足指節関節から先を失う障害を指します。
機能障害は、「両足の足指の全部の用を廃した」、「1足の第3の足指以下の1または2の足指の用を廃した」など、第1の足指は末節骨の半分以上、その他の足指は遠位指節間関節以上を失う、または中足指節関節もしくは近位指節間関節に著しい運動障害を残す障害をさします。
加害者に支払いを求めることができる慰謝料の金額は、認定された後遺障害等級によって異なります。
弁護士基準(弁護士に示談交渉を依頼した場合に適用される基準)による後遺障害慰謝料の金額の目安は以下のとおりです。
両腕をひじ関節以上で失う(1級) | 2,800万 |
---|---|
両腕の機能を全て失う(1級) | 2,800万 |
両腕を手首関節以上で失う(2級) | 2,370万 |
片腕の手首関節以上で失う(5級) | 1,400万 |
片腕の偽関節を残し、著しい運動障害を残す(7級) | 1,000万 |
片腕に偽関節を残す(8級) | 830万 |
腕の露出面に手のひら大の醜いあとが残る(14級) | 110万 |
両手の手指を全て失う(3級) | 1,990万 |
---|---|
両手の手指の機能を全て失う(4級) | 1,670万 |
片手の人指し指、中指又は薬指を失う(11級) | 420万 |
片手の小指を薄なう(12級) | 290万 |
上肢や手指における後遺障害は認定が複雑に分かれており、機能障害の場合は、伸ばしたり曲げたりなどを障害がない側(健側・けんそく)と障害がある不自由な側(患側・かんそく)で比較して判断します。
欠損または機能障害は、「両上肢をひじ関節以上で失った」、「両上肢をひじ関節以上で失った」など、上肢のうち一定部位より先を失う、または一定部分より先の運動機能が健常時と比較して失われてしまう障害です。
上肢の機能障害は、関節可動域の主要運動を測り、健側(障害のない側)の腕と患側(障害がある不自由な側)の腕で比較します。参考可動域からどれだけ機能が失われたかを検査し、後遺障害を認定していきます。
変形障害は、「1上肢に偽関節※1を残し、著しい運動障害を残した」、「1上肢に偽関節を残した」、「長管骨※2に変形を残す」など、一定以上は骨が元通りにならず、変形したまま残ってしまう障害です。
※1.偽関節(ぎかんせつ)
骨折した部位の再生が停止したため完全には癒合せず、本来関節ではない部分が関節のように動くようになってしまった状態。
※2.長管骨
四肢の骨にみられる長く伸びた管状の骨。上肢では上腕骨、橈骨、尺骨を指す
醜状障害は、「上肢の露出面(上腕部における肩の付け根から指先まで)に手のひらの大きさの醜いあとを残す」など、瘢痕や組織陥没などが身体に残ってしまう障害です。
瘢痕とは、外傷や火傷などの傷あとを指します。また、組織陥没とは、欠損障害などによって、身体の組織にくぼみが残ってしまった状態です。
上肢や手指における後遺障害は認定が複雑に分かれており、機能障害の場合は伸展や屈曲などを健側と患側で比較して判断します。
欠損障害は、例えば、「手指を中手骨または基節骨で切断した」「近位指節骨の間にある関節(親指にあっては指節骨の間にある関節)において基節骨と中節骨を切り離した」など、親指であれば指節間関節、その他の手指であれば近位指節間関節以上を失った障害を指します。
機能障害は、「1手の親指以外の手指の遠位指節関節を屈伸できなくなった※」など、指の末節骨の半分以上を失った、もしくは中手指関節もしくは近位指節間関節(親指の場合は指節間関節)に著しい運動障害を残す障害です。
当該部分の感覚神経が無くなり得る外傷を受けた事に加えて、筋電計による感覚神経伝導速度検査にて感覚神経活動電位(SNAP)が検出されない時などに認定されます。
※遠位指節間関節(DIP)が強直したもの、屈伸筋の損傷など原因がはっきりしているものであって、自動(自分の力)で屈伸ができない、もしくはそれに近い状態にあるもの
加害者に支払いを求めることができる慰謝料の金額は、認定された後遺障害等級によって異なります。
弁護士基準(弁護士に示談交渉を依頼した場合に適用される基準)による後遺障害慰謝料の金額の目安は以下のとおりです。
脊椎に著しい変形又は運動障害を残す(6級) | 1,180万 |
---|---|
脊椎に運動障害を残す(8級) | 830万 |
脊椎に変形を残す(11級) | 420万 |
鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨又は骨盤骨に著しい変形を残す(12級) | 290万 |
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの(1級) | 2,800万 |
---|---|
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの(2級) | 2,370万 |
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服する事ができないもの(3級) | 2,800万 |
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの(5級) | 2,800万 |
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、軽易な労務以外の労務に服する事ができないもの(7級) | 2,800万 |
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの(9級) | 690万 |
局部に頑固な神経症状を残すもの(12級) | 2,800万 |
脊柱・その他の体幹骨の検査方法は、交通事故の状況やケガの症状によって異なりますが、ここでは主な検査方法をご紹介します。
完全損傷のような脊椎の骨折を伴う脊髄損傷の場合はレントゲンでも確認できますが、不完全損傷の場合は軟部組織を十分に確認できるMRI検査を受ける必要があります。
後遺障害認定に必要となる、各種神経症状テストを受けておくことも大切です。
脊柱(せきちゅう)とは
脊柱(せきちゅう)とは、後遺障害認定の上では、首から腰にかけての「頸椎・胸椎・腰椎」です。頸椎は頭部の支持機能、胸腰椎は体幹の支持機能がそれぞれの役割です。
脊柱の後遺障害は、「変形障害」と「運動障害」、その他の体幹骨変形があります。手足のしびれや機能障害、重症の場合は四肢麻痺などの神経系統の機能または精神の障害がでます。
変形障害は、脊柱に著しい変形が残る、もしくは(そこまでには至らない)変形が残る障害です。
運動障害は、脊柱に著しい運動障害が残る、もしくは(そこまでには至らない)運動障害が残るもの障害です。
その他の体幹骨変形は、鎖骨、胸骨、ろく骨、肩こう骨又は骨盤骨に著しい変形が残る障害です。
加害者に支払いを求めることができる慰謝料の金額は、認定された後遺障害等級によって異なります。
弁護士基準(弁護士に示談交渉を依頼した場合に適用される基準)による後遺障害慰謝料の金額の目安は以下のとおりです。
局部に頑固な神経症状を残す(12級) | 290万 |
---|---|
局部に神経症状を残す(14級) | 110万 |
首(頸)・腰の検査方法は、交通事故の状況やケガの症状によって異なりますが、ここでは主な検査方法をご紹介します。
ジャクソンテストは、まず患者が椅子に座り、頭を少し後ろに倒します。医師はその頭を上から圧迫します。神経に異常がある場合、神経根が圧迫されることで手や肩、腕にしびれや痛みが出ます。
検査方法は椅子に座った患者の頭を、医者が圧迫するというものです。スパーリングテストでは、しびれや痛みが出ている方向に首を圧迫して、神経根の出口を狭めます。
圧迫した際に、肩や腕、手などにしびれや痛みが出る場合は、神経異常の可能性があります。
徒手筋力検査は、神経障害が発生している場所を特定するためのテストです。
力を入れている部分に、人の力で負荷をかけて筋力を図ります。徒手筋力検査は、主に肩や腕に対して行われます。筋力の低下が見られた場合は、神経系の後遺障害が疑われます。
脚気の検査として有名な診断方法です。
脊髄や神経根に異常があるか、また異常がある場合はどの神経が原因かを判定することができます。
腱反射の検査方法は、患者は検査する部位をリラックスさせて伸ばします。医師は検査部位の筋肉の付け根にある腱をゴムのハンマーでたたき、筋肉が反射的に動くかをチェックします。
脊髄に異常がある場合、腱反射が過剰に起こります。一方で神経根に異常がある場合は反射が弱い、または反射しないといった症状が現れます。
筋萎縮検査は、筋肉の萎縮度合いを測る検査です。実際にむちうちになっているのか、その場合に神経障害があるのかを見極めます。
筋萎縮検査では、肘の上下10cm部分の腕周りや、膝上下10cm部分の足回りの太さを計測します。
腕または足の左右で周径に違いがある場合、細くなっている方はあまり使われていないと判断できるため、神経障害を疑うことができます。
交通事故後の検査は、骨の異常を調べるためのレントゲンやCTが一般的です。
しかし、骨の異常が見られない場合、神経の状態を確認するため、MRIを実施することがあります。MRIでは強い磁力と電磁波によって、体の断面図を撮影します。
神経の状態を撮影し、異常の有無を確認できるため、とくに頭痛やめまいといった神経異常の自覚症状がある場合はMRIが実施されます。
頸椎捻挫
頸椎捻挫は、「むちうち」と呼ばれることもあります。
首(頸)の痛み、しびれ、めまい、ふらつき感など、神経系統の機能または精神の障害が出る可能性があります。また、「首まわりの不快感」、「手や腕など首以外の部分の痛み」、「頭痛」、「吐き気」、「耳鳴り」、「目のかすみ」、「首や肩、足指の麻痺」、「不眠などの睡眠障害」などの症状が出ることがあります。
腰椎捻挫
腰椎捻挫は、強い腰痛があります。また、「腰が伸ばせない(前かがみになってしまい動けない)」、「同じ姿勢を続けていると腰が痛くなる」、「背中から腰まわりが熱っぽい」などの症状が出ることがあります。
頸椎捻挫や腰椎捻挫の多くは、事故直後に激しい腰痛がありますが、頸椎捻挫と同様に、事故の数日後に痛みが出ることもあります。
そのため、交通事故にあったら、症状の有無に関わらず、病院で検査をすることをおすすめします。特に神経系の後遺障害が疑われるケガは、事故直後に症状が出ないこともありますので注意してください。
加害者に支払いを求めることができる慰謝料の金額は、認定された後遺障害等級によって異なります。
弁護士基準(弁護士に示談交渉を依頼した場合に適用される基準)による後遺障害慰謝料の金額の目安は以下のとおりです。
咀嚼(そしゃく)及び言語機能を失う(1級) | 2,800万 |
---|---|
咀嚼(そしゃく)又は言語機能を失う(3級) | 1,990万 |
咀嚼(そしゃく)及び言語の機能に著しい障害を残す(4級) | 1,670万 |
咀嚼(そしゃく)又は言語の機能に著しい障害を残す(6級) | 1,180万 |
咀嚼(そしゃく)及び言語の希望に障害を残す(9級) | 690万 |
咀嚼(そしゃく)又は言語機能に障害を残す(10級) | 550万 |
14歯以外に歯科補綴を加える(11級) | 550万 |
10歯~13歯以上に歯科補綴を加える(12級) | 420万 |
7歯~9歯以上に歯科補綴を加える(11級) | 2,800万 |
5歯~6歯以上に歯科補綴を加える(12級) | 290万 |
3歯~4歯に歯科補綴を行う(1級) | 110万 |
歯科補綴 → 入れ歯やインプラントのこと
咀嚼機能障害は、「食べ物が噛みにくい」など、口周りや顎の筋肉の直接の損傷や、関連する脳部位や神経の損傷により、咀嚼が困難になる障害です。
咀嚼機能の検査方法
咀嚼機能の検査方法は、「ふるい分け法」「吸光度法」「発光ガム法」などがあります。
いずれの検査でも被験者が試料を咀嚼し、その咀嚼された試料の状態から被験者の咀嚼機能を評価します。
言語機能障害は、「発音しにくい」など、口唇音、歯舌音、喉頭音、口蓋音の4種類の語音が発音不能となった場合、後遺障害として認定されます。
口唇音 ま行音、ぱ行音、ば行音、わ行音、ふ
歯舌音 な行音、た行音、だ行音、ら行音、さ行音、しゅ、し、ざ行音、じゅ
口蓋音 か行音、が行音、や行音、ひ、にゅ、ぎゅ、ん
喉頭音 は行音
言語機能の検査方法
言語障害の検査方法は、主に医師による聴覚判定です。
歯牙障害は、「歯を失った」など、歯科補綴(てつ)を必要する障害です。インプラントなどの一定数の歯科補綴を施した場合、後遺障害として認定されます。
歯牙障害の検査方法
歯牙障害の検査方法は、歯科医による目視の検査やレントゲンでのチェックなどです。
歯牙障害の後遺障害認定は、歯科補綴を加えた歯の本数に依存します。
嚥下機能障害は、「食べ物を上手く飲み込めない」など、舌や喉、その周りの筋肉や神経に異常をきたしてしまう障害です。
嚥下機能の検査方法
嚥下機能の検査方法は、「スクリーニング検査」、「嚥下造影検査」、「嚥下内視鏡検査」などがあります。
嚥下機能障害は、後遺障害等級表に記載がありませんが、咀嚼障害の等級が「準用」されます。
味覚障害は、「食べ物などの味が分からない」など、甘み、塩み、苦み、酸みなどが分からなくなる障害です。1つの味だけ感じられなくなることもあれば、食べ物の味が全くしない、感じられないといったケースもあります。
味覚機能の検査方法
味覚機能の検査方法は、「ろ紙ディスク法」です。
ろ紙ディスク法は、基本4味質の甘味、塩味、苦味、酸味について、それぞれ5段階の味覚認知検査を行います。
味覚機能障害は後遺障害等級表に記載ありませんが、後遺障害として認定される場合は下記の等級になることが予想されます。
等級 後遺障害
12級相当 ※①味覚脱失
14級相当 ※②味覚減退
※①:4味質の認知不能の場合に該当します。
※②:1味質以上の認知が不可能の場合に該当します。
鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの(第9級5号) | 690万 |
---|---|
完全な嗅覚脱失(第12級相当) | 290万 |
鼻呼吸困難(第12級5相当) | 290万 |
嗅覚の減退(第14級相当) | 690万 |
鼻の機能障害(鼻の嗅覚脱失や嗅覚減退など)が疑われる場合には、T&Tオルファクトメータという嗅覚検査キットを用いて嗅覚を検査することになります。
T&Tオルファクトメータでは、5種類の基準臭を被験者が段階ごとに嗅ぐことで、被験者の鼻のにおいを嗅ぎ分ける能力の状態を確認することが可能です。
T&Tオルファクトメータを用いた検査では検査結果が数値で表されますが、この数値が5.6以上で嗅覚脱失、5.5以下2.6以上で嗅覚減衰と認定されます。
また、T&Tオルファクトメータを用いた嗅覚検査以外にもアリナミン静脈注射を使った方法でも嗅覚検査を行うことが可能です。
なお、後遺障害認定基準の中に「欠損を伴わない鼻の機能障害」を直接認定する認定基準はありません。そのため、鼻に欠損がない状態で嗅覚脱失や嗅覚減衰などの症状が残った場合には、その機能障害の程度によって12級12号および14級9号が準用がされます。
鼻の欠損や変形が認められる場合、鼻の欠損や変形に対する検査は医師の触診や視診、CT(コンピューター断層撮影)やXP(X線撮影)を用いた画像診断などが用いられます。
検査の結果として鼻の欠損や変形が後遺障害として等級認定される場合、その等級は9級5号に該当しますが、鼻の欠損や変形を外貌醜状として捉えることも可能です。
仮に鼻の欠損や変形を外貌醜状として等級認定する場合には、その等級は7級12号に該当します。
外貌醜状として認定申請する場合には、9級5号との併合にはならない点に注意が必要です。
欠損障害は、外鼻の軟骨部の全部または大部分を欠損する障害です。
鼻は、外鼻(がいび)と鼻腔(びくう)に分けられます。そのうち外鼻は、顔の三角錐上の飛び出ている部分です。その外鼻のおよそ上半分の部分が鼻骨、下半分が軟骨で構成されており、その軟骨の全部または大部分を欠損した場合、後遺障害に認定されます。
嗅覚脱失は、においを全く感じなくなる障害です。
鼻の軟骨部の欠損や脳の損傷などを理由に、においを感知する機能に影響が及ぼされ、においを全く感じなくなってしまいます。
鼻呼吸困難は、鼻での呼吸が難しくなる障害です。
欠損や嗅覚の能力が落ちる以外にも、脳の損傷などが原因で鼻での呼吸が困難になります。
嗅覚減衰は、においを感じづらくなる障害です。
嗅覚脱失のように完全とまではいかなくても、平常時と比べてにおいを感知しづらくなってしまいます。
加害者に支払いを求めることができる慰謝料の金額は、認定された後遺障害等級によって異なります。
弁護士基準(弁護士に示談交渉を依頼した場合に適用される基準)による後遺障害慰謝料の金額の目安は以下のとおりです。
両耳の聴力を全て失う(4級) | 1,670万 |
---|---|
両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になる(7級) | 1,000万 |
片耳の聴力を全て失う(9級) | 1,670万 |
片耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になる(11級) | 420万 |
聴力検査には大きく以下の2つの検査方法があります。
・純音聴力検査
純音聴力検査は、どのくらい小さな音まで聞き取れるかを調べる検査です。オージオメーターという機器を使います。
検査結果には「〇dB(デシベル)」と書かれています。dBは音の大きさを表す単位です。
例えば、検査結果に「30dB」と書かれていたら、「30dBより小さな音は聞き取れない」ことがわかります。
・語音聴力検査
語音聴力検査は、語と語をはっきり聞き分けられるか調べる検査です。スピーチオージオメーターという機器が使われます。
検査結果には「〇%」と書かれています。値が大きいほどよく聞き分けられる」という意味です。
聴力検査には大きく以下の2つの検査方法があります。
・純音聴力検査
純音聴力検査は、どのくらい小さな音まで聞き取れるかを調べる検査です。オージオメーターという機器を使います。
検査結果には「〇dB(デシベル)」と書かれています。dBは音の大きさを表す単位です。
例えば、検査結果に「30dB」と書かれていたら、「30dBより小さな音は聞き取れない」ことがわかります。
・語音聴力検査
語音聴力検査は、語と語をはっきり聞き分けられるか調べる検査です。スピーチオージオメーターという機器が使われます。
検査結果には「〇%」と書かれています。値が大きいほどよく聞き分けられる」という意味です。
平衡機能障害の検査方法は、「立ち直り反射検査」と「偏倚検査」の2種類です。
・立ち直り反射検査
姿勢を保つために、体が動いたときに元に戻そうとする働きが「立ち直り」です。
立ち直り反射検査では、たとえば気をつけの姿勢で立ったり、両足を前後にまっすぐ揃えて立ったりして、姿勢を保てるかチェックする検査があります。
・偏倚(へんい)検査
偏倚検査は、体の動きに偏りがないか調べる検査です。
例えば、体の動きに偏りがあると、まっすぐ歩いているつもりでも、どんどん違う方向に向かっていくことがあります。
偏倚検査の中でも、検査方法はいくつか種類があります。
代表的には、その場で50回または100回足踏みをして、体の向きが何度かわるか測る方法や、目を閉じて縦にまっすぐ文字を書き、字がどれだけ偏るか観察する方法などです。
欠損障害は、耳介(じかい)が欠けたり、全部なくなってしまうことです。
耳介の2分の1以上がなくなってしまうと、後遺障害に認められます。
欠損障害ではなく、醜状障害(見た目が悪くなってしまったこと)として後遺障害に認められることもあります。
聴力障害は、難聴ともいいます。聴力障害では、音が聞こえづらくなったり、声をうまく聴き取れなくなったり等の症状があります。
聴力障害の等級の基準は、障害が残ったのが片耳なら「1耳の聴力障害」、両耳なら「両耳の聴力障害」となります。
平衡機能障害は、「真っすぐ歩けなくない」や「めまい」などの症状が出ます。
めまいは耳だけが原因とは限りません。むち打ちの症状として現れることもあるので、耳を怪我していなくても注意が必要です。
耳漏は、耳の穴から体液が流れでてくる状態です。交通事故で鼓膜に穴があくと発症することがあります。
耳鳴りは、健康な人でもときどき経験するかもしれません。音が鳴ってないのに、耳に音を感じる状態です。
自覚症状とピッチ・マッチ検査、ラウドネス・バランス検査の結果を合わせて、後遺障害に認められます。
目の慰謝料の目安
加害者に支払いを求めることができる慰謝料の金額は、認定された後遺障害等級によって異なります。
弁護士基準(弁護士に示談交渉を依頼した場合に適用される基準)による後遺障害慰謝料の金額の目安は以下のとおりです。
両眼が失明(1級) | 2,800万 |
---|---|
片眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になる(2級) | 2,370万 |
両眼の視力が0.02以下になる(2級) | 2,370万 |
片眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になる(5級) | 1,400万 |
両眼の視力が0.1以下になる(6級) | 1,180万 |
両眼の視力が0.6以下になる(9級) | 690万 |
片眼のまぶたに著しい障害を残す(12級) | 290万 |
片眼の視力が0.6以下になる(13級) | 2,800万 |
両目が失明(1級) | 180万 |
加害者に支払いを求めることができる慰謝料の金額は、認定された後遺障害等級によって異なります。
弁護士基準(弁護士に示談交渉を依頼した場合に適用される基準)による後遺障害慰謝料の金額の目安は以下のとおりです。
神経系統の機能又は精神に著しく障害を残し、常に介護を要するもの(1級) | 2,800万円 |
---|---|
神経系統の機能又は精神に著しく障害を残し、随時介護を要するもの(2級) | 2,370万円 |
神経系統の機能又は精神に著しく障害を残し、終身労務に服することができないもの(3級) | 1,990万円 |
神経系統の機能又は精神に著しく障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの(5級) | 1,400万円 |
神経系統の機能又は精神に著しく障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの(7級) | 2,800万円 |
神経系統の機能又は精神に著しく障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの(9級) | 2,800万円 |
事故後に、頭部・脳の症状が出てきた場合にも慰謝料などの請求は可能です。
ただし、後遺障害等級の認定を受ける必要があります。認定を受ける際には、交通事故と症状の関連性や因果関係の立証が必要とされています。交通事故との因果関係を立証するためには、下記の対応を行いましょう。
◆頭部の診断と診断書作成
交通事故後に、上記で紹介したような症状がある場合、病院で頭部の診断を受けましょう。
医師に頭部に受傷している旨を伝え、診断書に作成してもらいましょう。
◆CT MRIで撮影する
CTやMRIを使い、脳に異常がないか確認してもらいましょう。仮に異常があった場合には、後遺障害の認定がされやすくなります。
◆症状の検査と程度の記載
顔面部などに異常がある場合、そちらも検査するようにしましょう。
顔面部などに異常は、脳損傷による症状であることも考えられるため、脳損傷の状態を検査・確認する必要があります。そして、その症状の程度なども記載してもらうことが大切です。
◆後遺障害診断書に症状を記載する
後遺障害の等級認定では、後遺障害診断書に記載ある内容以外は認定されません。そのため、診断内容は、確実に症状の詳細を記載してもらいましょう。
◆高次脳機能障害
「高次脳機能障害」は、言語・思考・記憶などの障害です。
高次脳機能障害では、記憶力や集中力の低下などの症状があります。他にも、感情のコントロールができない症状もあるようです。そのため、他人とうまく人間関係を維持できない等の症状が出ることがあります。
◆麻痺や感覚障害
交通事故で、頭部に衝撃を受けたり、頭部が激しく揺れることで、麻痺や感覚障害などの症状が出ることもあります。外貌の後遺障害としては、顔面麻痺に相当します。
◆遷延性意識障害
遷延性意識障害は寝たきり、植物状態と言われる後遺障害です。
遷延性意識障害には、食事や排せつ、意思疎通ができない等の症状があります。交通事故で発症する場合、頭部外傷が原因となるケースが多いです。
◆運動障害
運動障害とは身体の自由が利かなくなり、日常生活に支障が出る障害のことです。
外貌の運動障害の場合、目やまぶたが対象箇所となります。
◆てんかん
てんかんは「てんかん発作」を繰り返す脳の病気です。
「てんかん発作」は、痙攣や突然意識がなくなる等の症状を指します。交通事故で発症するてんかんは、主に「外傷性てんかん」に該当します。
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