コラム

事故で目立つ傷あとが残ってしまった!「外貌醜状」の後遺障害について解説

交通事故による後遺障害というと、手足に残る麻痺の症状や、体の一部を失うような大ケガを想像するかもしれません。
しかしそのようなものだけでなく、目立つ傷あとが残ってしまう「外貌醜状」も後遺障害の一つです。
では、どのような場合にこの外貌醜状に該当するのでしょうか?

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部政治学科卒業、桐蔭法科大学院法務研究科修了。交通事故分野を数多く取り扱うほか、相続、不動産、離婚問題など幅広い分野にも積極的に取り組んでいる。ご依頼者様の心に寄り添い、お一人おひとりのご要望に応えるべく、日々最良のサービスを追求している。
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見た目に残る「醜状障害」

外貌醜状の外貌(がいぼう)とは、体の部位の中でも頭部や顔面、頸部(首)といった、普段の生活で人目につく、衣服などによって覆われずに露出する部分のことを指します。

そして醜状(しゅうじょう)とは、人目につく程度以上に傷あとが残ってしまった状態をいいます。
例として、治療しても残ってしまった傷あとの他にあざ、手術痕、欠損などが挙げられます。

すなわち「外貌醜状」とは、分かりやすくいえば「首より上の部分に人目につくような傷あとが残ってしまった状態」のことです。

では、他の部位に傷あとが残った場合は後遺障害に該当することはないのでしょうか?
実はそうではなく、外貌以外の部位でも、上肢の露出部分(ひじから下)や下肢の露出部分(ひざから下)の醜状について、後遺障害であると認められる可能性があります。
これらをまとめて「醜状障害」といいます。
ここからは、これらの醜状障害について、どのような症状で後遺障害の何級に該当するのかを具体的に見ていきましょう。

醜状障害の後遺障害等級

醜状障害の後遺障害等級

交通事故によるケガや手術のあとが将来にわたって治らず残ってしまう場合、その醜状障害について後遺障害等級認定の申請手続きを行うことにより、後遺障害の等級が認められる可能性があります。

後遺障害等級は、最も重度の1級から、最も軽度の14級までに分かれています。
そのうち、醜状障害で該当する等級は以下のとおりです。

第7級 外貌に著しい醜状を残すもの
第9級 外貌に相当程度の醜状を残すもの
第12級 外貌に醜状を残すもの
第14級 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

ここで7級、9級、12級の外貌醜状について見てみると、「著しい醜状」「相当程度の醜状」「醜状」という程度によって等級が分かれていることが分かります。
では、この醜状の程度とはどのようなものを指すのでしょうか?

外貌醜状の程度

外貌醜状の程度は、以下のように分類されています。

第7級 著しい醜状

「著しい醜状」とは、人目につく程度以上のもので、頭部においては手のひら大(※指の部分は含まない手のひらの大きさ)以上の傷あと、または頭蓋骨の手のひら大以上の欠損をいいます。
顔面においては、鶏卵大面以上の傷あと、または10円銅貨大以上の組織陥没をいいます。
そして、頚部(首)においては、手のひら大以上の傷あとが「著しい醜状」に該当します。

第9級 相当程度の醜状

「相当程度の醜状」とは、原則として顔面部の長さ5センチメートル以上の切り傷で、人目につく程度以上のものをいいます。

第12級 醜状

単に「醜状」というときは、人目につく程度以上のもので、頭部においては鶏卵大面以上の傷あと、または頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損をいいます。
顔面においては、10円銅貨大以上の傷あと、または長さ3センチメートル以上の切り傷をいいます。
そして頚部においては、鶏卵大面以上の傷あとがこの単に「醜状」といわれるものに該当します。

交通事故によってこれらの外貌醜状が生じ、将来にわたって治癒しない場合に、それぞれの後遺障害等級が認定される可能性があります。

外貌醜状にあてはまる場合・あてはまらない場合

外貌醜状にあてはまる場合・あてはまらない場合

どのような場合に外貌醜状の後遺障害に該当するかはここまで説明してきたとおりですが、それ以外でも後遺障害等級の認定を受けられる場合があります。

例として、耳介軟骨部、いわゆる耳たぶの2分の1以上を欠損した場合は7級の「著しい醜状」に、一部を欠損した場合で外貌醜状に該当する場合は12級の「醜状」になります。
また、鼻軟骨部の全部または大部分を欠損した場合は7級の「著しい醜状」に、一部また鼻翼を欠損した場合は12級の「醜状」になります。
その他、1つ1つの傷あとが小さくても、隣接する2つ以上の傷あとが1つの大きな醜状と認められるのであれば、後遺障害に該当する可能性があります。

一方、顔に傷あとが残っても後遺障害とは認められないケースもありえます。
外貌醜状に該当するのはあくまで「人目につく程度以上のもの」であるため、眉毛や頭髪で隠れる部分は除外されるのです。
仮に目の上に3.5センチメートルの切り傷が残ったとしても、そのうち1.5センチメートルが眉毛に隠れていれば、顔面に残った人目につく切り傷は2センチメートルとなるため、後遺障害の12級(顔面においては、10円銅貨大以上の傷あと、または長さ3センチメートル以上の切り傷)には該当しません。

後遺障害等級認定の注意点

外貌醜状の後遺障害には、他の後遺障害とは異なる点があります。

後遺障害を認定するための審査は、通常は書面だけで行われます。
しかし外貌醜状の場合、「人目につく程度以上」の傷あとであるという基準があることから、事故被害者は面接調査を受けることになります。
その際に、調査者の主観によって適切な等級認定がなされないことを防ぐためには、弁護士に面接調査に同行してもらうことが非常に有用です。

また、外貌醜状の逸失利益では、労働能力喪失率が争いになるケースが考えられます。
「労働能力喪失率」とは、後遺障害による逸失利益を算定するうえで、等級ごとに定められている「労働能力が〇%低下した」という割合です。
しかし、外貌醜状によって仕事に影響が出て、収入が減少したことを相手方に認めてもらうには、資料に基づいた具体的な立証が不可欠となり、ここでも弁護士のサポートが大きなメリットとなりうるのです。

まとめ

交通事故によって目立つ場所に傷あとが残ってしまえば、事故後の生活に影響があるだけでなく、大きな精神的ショックを受ける方も多いはずです。
加害者側から提示された慰謝料などの損害賠償に、金額面で納得できないこともあるでしょう。
醜状障害の後遺障害等級認定手続きや、逸失利益に関する加害者側との交渉について、不安な点や気がかりなことがあれば、お気軽にオーセンスの弁護士にご相談ください。

オーセンスの弁護士が、お役に立てること

交通事故で負傷をして、外貌醜状と思われる傷が残ってしまった場合、的確な主張をしなければ、外貌醜状が考慮されないまま解決となってしまう可能性があります。まずはお気軽に弁護士にご相談いただき、負われた傷が後遺障害に該当する可能性はあるのか、後遺障害に該当する場合どのような逸失利益が発生すると考えられるのかなど、今後の対応方針などについてご説明いたしますので、その上で弁護士とともに交通事故を適正に解決していきましょう。

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