損害賠償請求裁判
- ご相談者
- 年齢:50代
- 性別:男性
- 職業:会社員
- 後遺障害等級:12級 0号
- 過失割合:10:0
相談までの経緯・背景
Aさんは交差点で右折待ちをしていました。そこへ対向車線からやってきたBがハンドル操作を誤り、B車が右折待ちの車列に突っ込みました。衝突された前の車がこの反動で後退し、Aさんとバイクに乗り上げ、Aさんは車の下敷きになりました。Aさんは一命を取り留めたものの、左脚の開放骨折の大怪我を負いました。
この事故により、Aさんは2か月の入院、1年間の松葉杖によるリハビリの生活を送ることとなりました。
しかし、その後も左足の痛みは続き、怪我の瘢痕が広範囲に及んだことから、12級の後遺障害等級の判断となりました。
一方、加害者Bについては今回の事故を起こした行為が、自動車運転過失傷害罪として起訴され、執行猶予つきの判決が下されました。
自分には全く非のない事故により後遺症を負ってしまったAさんは、加害者であるBに対して損害賠償請求をすることに決め、当法律事務所をおとずれました。
解決までの流れ
事故の前、Aさんは将来が約束された役職についていました。しかし、脚を怪我したことにより、出張や接待などに参加ができなくなってしまいました。
そのため、思うように仕事の結果を残せなかったAさんは、役職を解かれ、子会社に出向させられてしまいました。
Aさんの会社では、Aさんの役職についてる人は将来的に役員になることが慣例となっていましたが、このような出向を命じられることは前例がなく、結果的にAさんは約束されていたポストにはつけなくなってしまったのです。
Aさんにはすでに保険会社からは自賠責の範囲で1000万円の保険料が支払われているため、加害者Bに対して直接賠償を請求する必要がありました。
そこで、弁護士は加害者Bに対して損害賠償請求訴訟を提起しました。
本訴訟の主な争点としては次のものがあげられます。
◆入院中の個室代
責任ある立場についていたAさんですが、入院期間が長く、その間出勤はできませんでした。そのため、入院中に部下が次々と決済を求めて来院してくるという事情がありました。Aさん自身も閉所恐怖症であり、上記の事情で周りの入院患者に迷惑がかかることなどから、個室での入院を希望していました。そこで加害者Bに相談すると、快諾してくれたため、Aさんは個室入院をしていました。
◆逸失利益の算定基準
Aさんは1年もの間、怪我のせいで仕事に支障をきたし、約束されていた役職からも外されてしまいました。Aさんは後遺症障害認定12級に認定されたので、この基準に沿って逸失利益を算定して損害賠償額を算出しました。
結果・解決ポイント
Aさんは当初から裁判を長引かせたくはないと思っていたため、和解も視野に入れていました。
そこで、両者の主張に対し、裁判所から加害者BがAさんに622万円を支払う旨の和解案が提示されたのです。
その中で、各争点には以下の判断が下されました。
入院中の個室代については、裁判所は原則として個室代を治療費に算入しないという考え方を取っています。しかし、弁護士の主張していた内容から、個室代が損害に含まれないことは妥当ではないと判断されました。
そこで、裁判所は個室代としてではなく、個室代相当額を慰謝料の一部に組み込むという案を提案してきました。
一方で、逸失利益の算定基準については、Aさんは12級の後遺症を負ってはいるものの、その症状が瘢痕であることから、慣例どおり14級相当の基準を用いた損害額のみが認められることになりました。
この提案に対し、Aさんは和解を受け入れ、弁護士のさらなる交渉の結果、8万円が増額され630万円でAさんと加害者Bとの和解が成立したのです。
この結果、Aさんは630万円の和解金を手にし、再び元の生活を取り戻せるよう奮起してます。
このように、損害賠償請求の場合、原告の主張する損害額のすべてが認容されるわけではありません。しかし、弁護士の交渉によって少しでも有利に和解をすることができます。
このような交渉は、専門の弁護士に対応してもらうことが大切だといえるでしょう。
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