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殺害現場に残っていた指紋は確実な証拠になるのか ~「アンチヒーロー」第一話
昔から、長谷川博己さんが好きでした。
その長谷川さんが弁護士役を演じるというドラマが始まりました。
早速、見逃し配信1.75倍速で視聴してみました。
今回取り上げたいのは、指紋について。
ある殺人事件の犯人として起訴された男性の指紋が現場に残っていたことが、被告人を犯人と特定する証拠となるのかという点をめぐる話が取り上げられていました。
検察官が請求する証拠の中に、「防犯カメラ」「指紋」などというものがあると、「有罪の堅い証拠があるな」という印象をもたれることがあります。
きっと、その印象は、「防犯カメラ映像や指紋というものは客観的な証拠」という前提に基づくものなんじゃないかと思うのです。
つまり、これらの客観的な証拠は、人の供述と違う。
人の供述は、あるものを知覚し、それを記憶し、さらにはその記憶をアウトプットするそのいずれの過程にも誤りが存在し得ます。
だから、ときとして不確かなものになりやすい。
一方、客観的な証拠は、そこに対して故意による改ざん可能性を排斥できれば、信用に値する確実な証拠であるという捉え方ができると思うのです。
でも、私は、「客観的な証拠」という一見確実なものに見えてしまうものにこそ危うさがあると思います。
一見確からしく見えてしまうからこそ、「本当に、それは、被告人を犯人と特定するだけの価値を備えているのか」という慎重な評価が必要になると思います。
具体的にはどういうことか。
指紋についていえば、たしかに、現場に被告人の指紋が残っているということは、その現場に被告人が行ったことがあるという事実を示す証拠になり得ます。
でも、被告人が、犯行を行ったという直接の証拠にはなり得ないのです。
そんな話を、以前こちらのエッセイでもしたことがありました。
それにしても、最近、しょっちゅう、法律事務所を舞台にしたドラマが放映されていますね。
友人からは、「そうはいってもさ、実際のところは、ドラマに出てくるようなドラマティックな場面なんてそうそうないんでしょ?」と聞かれることがあります。
私は、他のお仕事をしたことがないので比較することはできません。
それに、私は、まだまだ「弁護士の仕事」を語れるほどの経験をしていないという自覚もあります。
でも、私個人でいえば、仕事をする上で、理不尽な思いでいっぱいになり、どーんと落ち込んだり、緊張して呼吸困難になったり、でもそこから這い上がって舞い上がるような気分を味わったり、絵に描いたようなガッツポーズをしてしまったり…そんなことがしばしば起きます。
その意味では、とてもドラマティックな仕事じゃないかなと思っています。
いや、弁護士の仕事がドラマティックというわけではなく、その仕事に取り組む側の受け止め方の問題なのかもしれない。
私はきっとどんな仕事をしていても、仕事をしていなくても、そのとき自分の目の前で起きていることで頭も心もいっぱいになってしまうし、平常心を保ち、淡々と仕事や日常をこなせるタイプではなく、起きることのすべてに平常心を奪われ、常に心がアップダウンしている人間だから、意図せずドラマティックな仕事や日常になっているのかもしれないなとも思います。
今後もこのドラマを視聴して、リーガルな要素を取り上げてみたいと思います!
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