リーガルエッセイ
公開 2022.07.25

未成年者がスマホゲームに高額課金!親はその金額を払わなければならない?「石子と羽男―そんなコトで訴えます?―」第2話

未成年者がスマホゲームに高額課金!親はその金額を払わなければならない?「石子と羽男―そんなコトで訴えます?―」第2話
記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、刑事分野の責任者として指導にあたる。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
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ゲーム課金と未成年者取消権

石子と羽男第2回目の放送を視聴しました。
2回目にして、ドラマの構成に関して、ひとつ物申したい点があります。
それは、1話の中に、トピックを盛り込み過ぎではないかということです。
たしかに、正常な状態で視聴する分には、何ら問題のない内容だと思うのです。
でも、あのドラマの視聴者の中には、私を含め、多くの中村倫也さんファンがいるはずです。
中村倫也さんファンは、一見、真剣かつ集中してドラマを視聴しているように見えて、実は、頭の機能のわずか1割ほどしかあのストーリーに入り込めていません。
残りの9割では、ただただ中村倫也さんのすてきな所作にぼーっとしており、ストーリーに集中できていないのです。
そのような状態であることを前提にすれば、あの内容は盛りだくさん過ぎて到底頭の中に残りません。
案の定、今回の第2話についても、私の頭に残っている内容はわずか2つのみ。

  • 1つ目が「未成年者が親の同意なく勝手にスマホでゲーム課金したら、その金額を親は払わなければならないのか」問題。
  • 2つ目が、「弁護士たるや、商売繁盛・人気弁護士を装うために、クライアントの前では忙しく見せる努力をすべきか」問題。

まず1つ目。
結論として、個別事情によります。
払わなければならなくなるケースもあれば、払わなくてよいケースもあるということ。

この点、問題になってくるのは、未成年者取消権です。

未成年者が法定代理人の同意を得ずに契約をした場合、その契約を取り消すことができます。
ただ、取り消すことができなくなる場合もあります。
それは、自分が契約できるということを信じさせるために「詐術」を用いた場合。
たとえば、ゲーム課金をする前に、「あなたは18歳以上ですか?未満ですか?」という画面が出てきて、「はい」か「いいえ」を押すことを求められることがあります。
ここで、「はい(つまり18歳以上であるということ)」を押した場合は、その行為自体が、相手に、問題なく契約ができる成人であると信じさせるための詐術を用いたと評価されることがあり得るといえるでしょう。

ただし、この点、年齢確認ボタンを押してうそをついたら直ちに取り消すことができなくなるかというと、そうではありません。

経産省の電子商取引等に関する準則というものがあります。

ここには、詐術を用いたといえるかどうかは、個別の事情を考慮して判断されることになると書かれています。

詐術を認めるか否かは、単に未成年者が成年であると回答したことだけをもって判断されるのではなく、事業者側がわざとその未成年者の回答を誘導したのではないかなどという点も含め、取引の内容や商品の性質、事業者が設定する画面構成などを具体的に評価していくことになるというのです。

例として、単に、「あなたは成年ですか」に対し「はい」と回答しただけの場合は、詐術を用いたとまでは評価できない可能性があるものの、「未成年者の場合は法定代理人の同意が必要」と説明を付した上で年齢確認をしている画面である場合に成年であると偽った場合は詐術を用いたと評価できる可能性があることが挙げられています。

今回のドラマの中でも、未成年者がゲーム課金をした時期にどんな画面だったかという点を踏まえて未成年者取消権の行使が認められるはずだなどと主張している場面がありましたね。

このゲーム課金問題は、多くの未成年者がスマホを持つことが多い今の時代、家庭にとって身近な問題です。

未成年者取消権が行使できるかどうかというその前に、そういった事態にならないよう、普段からスマホでゲームをする場合の家庭のルールをしっかり話し合っておきたいですね。

そして2つ目。

中村倫也さん演じる弁護士が、本当は、事務所でのんびりラーメンを食べていたのに、SNSに、打ち合わせの合間に、外で、立ったまま昼食をとったといううその投稿をすることで、忙しいアピールをしたという場面。

パラリーガルから、本当は暇なのに、忙しい売れっ子弁護士であるかのように見せようとしていると厳しい指摘をされる場面がありましたね。
くすっと笑ってしまう場面だとは思いますが、私は、そんな発想もあるんだなとちょっと驚いてしまいました。

というのも、私は、どちらかというと、忙しさアピールよりも、暇であるアピールをしたいと思うからです。

私自身、昔検事になりたてのころに、指導してくれていた先輩からいつも言われていたことがありました。
「お前は、いつも忙しそうに、庁内の廊下や部屋を全速力でバタバタ走っているが、それはやめたほうがいい。しょっちゅう人とぶつかったり転んだりして危険だということは当然として、そうやって検事がバタバタしていると、検察事務官やその他の職員に不安を感じさせるだろう。上司だって、『あいつは忙しそうだから新しい仕事は頼めないな』と思ってしまうだろうし、お前に後輩ができたときに、お前に何か相談したいと思っても、バタバタしている先輩には、申し訳なくてなかなか相談ができないと思わせてしまうだろう。だから、いつも検事は、水面下では足をバタバタしていても、それを決して周りに見せてはいけない。『あいつ、暇そうだな』と思わせるくらいの余裕のある姿を見せなければいけないんだ」と。

もっともだと思いました。

いろいろな考え方もあるだろうし、そもそも、周りからどう見えるかなどということは完全にコントロールできないことだと思うので、あまり何も考えなくていいのだという考え方もあるのだと思います。

でも、私は、やはり、常に余裕を持っているように見える対応を目指したいと思うのです。

まだまだ未熟なので、忙しい時には忙しいように見えてしまう傾向があるのですが、それでも、いつかは、どんなに忙しくても、周りからは暇そうに見えたり、いつも余裕があるなと思ってもらえたり、そんな姿を見せられる弁護士でありたいなと常々思います。

そうでないと、クライアントに「こんなことで連絡しちゃまずいかな」と思わせてしまう可能性もあり、私はそうありたくないなと思うからです。

第3話は、ファスト映画の著作権問題が取り上げられるそうです。
第3話も視聴して感想を投稿します!

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