リーガルエッセイ
公開 2022.06.28

最近報道でよく目にしていた「トー横」「グリ下」に思うこと

最近報道でよく目にしていた「トー横」「グリ下」に思うこと
記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、刑事分野の責任者として指導にあたる。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら

「トー横」「グリ下」に思うこと

ちょっと話がそれますが、先日、会社員の男性が、SNSで知り合った中学1年生の女子にお金を渡してみだらな行為をしたとして強制性交などの被疑事実で逮捕されたと報じられました。
男性は事実を否認しているとのことですから、まだ真実はわからず、この件自体に対するコメントはできません。
ただ、この報道を見て、「中学生も同意のもとでみだらな行為をしたのだとしたら、なぜ『強制性交』になるのだろう」と思われたかたもいるかもしれません。
結論として、同意のもとでしたことであったとしても強制性交になるのです。
なぜなら、この犯罪は、13歳以上の者に対しては、手段としての暴行、脅迫を用いて性交等を行った場合に成立するのですが、13歳未満の者に対しては、暴行、脅迫を用いない場合でも成立するからです。

この報道を見たときに私が思い出したのが、最近報道でよく目にしていた「トー横」「グリ下」という場所のことでした。

この報道の中には、「トー横」「グリ下」という場所が出てくるわけではないのですが、報道の根底に横たわるものに共通の背景を感じたのです。

それは、中高生たちが置かれている状況です。

「トー横」「グリ下」という場所に集まる未成年者たちにもさまざまな背景があると思います。

でも、どのような背景があるにしても、そこが彼らにとっての大事な居場所になっているという側面がある点は共通しているように思います。

そして、その居場所が、彼らにとって真に安心できる場所であれば問題はないのです。
でも、実際は、そこに行くことで危険に巻き込まれることもある。
一番恐ろしいなと思うのは、彼らが居場所と感じられる場所が、彼らにとっての危険な場所だということです。
そこ以外に行きつける場所がないのかもしれないという状況についてです。
家庭は?
学校は?
親戚のおうちは?
ご近所さんは?
危険のある場所に行きつくまでに受け皿となり得る場所がどのような状況になっているのだろうかと思うのです。

受け皿自体はあっても、彼らが、自分にとって居心地の良い場所として、客観的には危険な場所を選択しているのかもしれません。
でも、その選択に際しての判断は、彼らにとって決して正しいものではないように思います。
この判断基準となるものを、どうしたら彼らの中に構築することができるのか?

やはり、その学びは、家庭や学校でなされることが期待されていると思います。
具体的に、実際のSNS投稿や、報道事例を示しながら、どんなところに未成年者が気を許してしまいそうな落とし穴があり、そこにひっかかってしまった場合に、どんな危険が待ち受けているのか、ということを説明する必要があります。
単に、「SNSで知らない人と連絡を取り合うと危険よ」なんていう抽象的な注意喚起をしただけでは、注意喚起として機能しないのです。

そんな今や必須のSNS教育。
ご希望に応じて、子どもたちが、自分事に落とし込めるように実例に基づきお伝えすることができます。
ご希望の学校関係者の皆さま、PTAご関係者の皆さま、ぜひお気軽にご連絡ください。

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