リーガルエッセイ
公開 2021.06.03 更新 2021.07.18

コンビニや商業施設のごみ箱に家庭ごみを捨てることは犯罪に当たるのか?

記事を執筆した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。司法試験に合格後、検察官任官。約6年間にわたり、東京地検、大阪地検、千葉地検、静岡地検などで捜査、公判を数多く担当。検察官退官後は、弁護士にキャリアチェンジ。現在は、刑事事件、離婚等家事事件、一般民事事件を担当するとともに、刑事分野の責任者として指導にあたる。令和2年3月には、CFE(公認不正検査士)に認定。メディア取材にも積極的に対応している。
<メディア関係者の方>取材等に関するお問い合わせはこちら

お店のごみ箱に家庭ごみを捨てたら犯罪?

もう1か月くらい前のことなのですが、私は、外出するついでに、家で出たごみを、住んでいるマンションのごみステーションまで持っていこうと、数日間のごみが入った燃えるゴミ45リットル用の大きなごみ袋を手に持ち、家を出ました。
よくあることなのですが、玄関から一歩出ると、頭のスイッチがオンモードに切り替わってしまい、家の中での出来事をすっかり忘れてしまいます。
この日も、家を出た瞬間、手に持っていたごみ袋のことなどすっかり忘れてしまい、そのまま、最寄り駅まで歩き始めてしまったんです。
途中、駅前のコンビニに寄ることにし、数日間のごみが入った大きなごみ袋を持ったまま、颯爽とコンビニに入ったところ、困惑したように近寄ってきたベテラン店員さんから「申し訳ありませんが、ご家庭ごみはご家庭のごみ集積所にお願いします」と声をかけられました。
まさか、自宅のごみステーションに捨てるはずだったごみ袋を持ったまま外に出て、さらに、これに気がつかずコンビニに入る人間がいるとは思い至らず、私が、家庭ごみをコンビニのごみ箱に堂々と捨てようとしていると思われたようです。
慌てて状況を説明し、身の潔白を訴えようとしたのですが、おそらくあの店員さんの目は、私の訴えに疑いを抱いていたと思います。

そんな出来事があって、家庭ごみを集積所以外の場所に捨ててしまうという事象に人一倍敏感になっていたところ、先日、あるニュースが目に留まりました。
1か月弱の間に、ある商業施設の女子トイレ内に設置してあるごみ箱に、それぞれレジ袋1袋分くらいのごみを7回にわたって捨てたという事実で女性が逮捕されたというのです。
報道によれば、女性は否認しているということですし、真相はわかりません。
ですので、一般論でお話ししたいと思います。
たとえばコンビニとか商業施設のトイレとかに設置してあるごみ箱に、自分の家で出たごみを捨てることが犯罪に当たるのか?
結論として、廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反になり、犯罪に当たる可能性があります。
この法律には、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」という条文があります。
要は、ルールに反した方法でごみを捨ててはいけません、ということ。
この法律に違反した場合の法定刑は、5年以下の懲役、1000万円以下の罰金です。
コンビニや商業施設のトイレに設置されたごみ箱に、家で出たごみを捨てる行為は、ルールに違反しているといえるのか?
これは、違反しているといえます。
最近では、ごみ箱に、「ご家庭で出たごみについては捨てないでください」などと貼り紙がしてあることもありますよね。
仮にこのような貼り紙がなかったとしても、やはりルール違反です。
というのも、コンビニや商業施設に設置してあるごみ箱は、たとえば、コンビニで買った物をその場で食べたり飲んだりしてしまったというときに、これが周囲に散らばったりしてしまわないよう、よろしければこちらのごみ箱に捨ててくださいね、というサービスで設置されているもので、家で出たごみを持ち込んで捨てていいよというサービスなどではないからです。
そもそも、コンビニや商業施設で出たごみは事業系のごみ、家庭で出たごみは家庭系のごみと区別され、自治体のホームページでも確認できますが、ごみの廃棄方法が区別して決められています。
それなのに、家庭で出たごみを、コンビニなどに捨てるというのは、ルールに則った捨て方ではなく、「みだりに」捨てる行為だといえるのです。

それにしても、ちょっと捨てるくらい、ばれないだろうという軽い考え方もあるかもしれないですね。
とんでもありません。
ばれます。
コンビニや商業施設には防犯カメラが設置されています。
また、これらのお店は自宅や職場から近く、生活圏内にあるということも多く、どこのだれかということは簡単にばれると思った方がよいと思います。
それに、ばれるばれないは別としても、家庭ごみを収集日まで家に置いておかずに済んですっきりしたという人がいる一方で、無造作に投げ込まれた家庭ごみをひとつひとつ分別して処分しなければならない事業者のかたの負担を想像してみる必要がありますよね。
特に、感染症対策に敏感になっている今、ごみの分別作業は、通常時以上に神経を遣う負担の大きい作業であるはず。
これから、特に、家で出たごみを収集日まで家に置いておくことが嫌になってしまう季節かもしれませんが、これをコンビニなどのごみ箱に捨てるという行為は、マナー違反ではなく、犯罪に該当するということを今一度意識しなくてはいけないなと思います。

弁護士へのご相談予約で、
初回相談60分無料 ※ ご相談の内容によっては、有料となる場合もございます
些細なご相談もお気軽にお問い合わせください
弁護士へご相談可能な時間帯
平日:10:00~最終受付18:00 /
土日祝:10:00~最終受付17:00

こんな記事も読まれています

CONTACT

法律相談ご予約のお客様
弁護士へのご相談予約で、
初回相談60分無料 ※ ご相談の内容によっては、有料となる場合もございます
些細なご相談もお気軽にお問い合わせください
弁護士へご相談可能な時間帯
平日:10:00~最終受付18:00 /
土日祝:10:00~最終受付17:00
弁護士へのご相談予約で、初回相談60分無料 ※ ご相談の内容によっては、有料となる場合もございます
弁護士との初回面談相談60分無料 ※ ご相談の内容によっては、有料となる場合もございます